更新日:2022/06/06
ロボットというと、漫画やアニメのキャラクターが思い浮かびますが、ロボット設計技術者やロボット開発技術者が製作しているロボットは、私たちの生活を豊かにするために、すでに様々な場所で働いています。
たとえば、工場では多くの産業用ロボットが稼働し、自動車や食品などを作っています。そして、手術を支援するロボットが登場するなど、医療や介護の現場での活躍も期待されています。また、一番身近なところでいえば、家庭に広く普及したロボット掃除機が挙げられるでしょう。
今後は少子高齢化や働き方改革によって、人間の代わりとして様々な分野での需要が拡大するロボット。そのロボットを生み出すロボット設計技術者・ロボット開発技術者の仕事は、将来の社会を支える重要な職種といえるでしょう。
目次
ロボット設計技術者・ロボット開発技術者の役割は、クライアントのニーズに合わせてロボットの設計・開発を行う仕事です。ロボット本体の構造設計や動作に関わるプログラミング、ロボットの感覚を司るセンサーの開発など、幅広い工業系の知識が求められます。
また、一般的に設計とは、実際に作られるものの設計を行い、開発は設計者の図面を基に物を作り上げる役割のことですが、ロボット設計や開発の場合は、総合的に設計から開発まで携わることが求められる傾向があります。実際の求人でも、明確な区分けはありません。
ロボット設計技術者、ロボット開発技術者は、どのように仕事を進めていくのでしょうか。3つのステップに分けて見ていきましょう。
一見すると、2つ目のステップのみに携わるように見えますが、実際の現場では1から3まで関わることが多いようです。
クライアントが求めるロボットの用途から、必要とされる機能や解決策を提案していきます。
技術や知識を用いながら、柔軟な姿勢でアイディアを出すことも必要となります。
ロボットは、プログラムやセンサー、構造素材など、様々な分野の技術の集合体です。
設計・開発段階では、他分野の技術者がチームを組み、個々の専門分野で作業を行うことが一般的です。
ロボットが完成しただけで作業は終わりではありません。設計どおりの性能を発揮するか、あらゆる環境での耐久性は十分かといった点において実験や検証を行いつつ、実用化を目指します。
幅広い知識と技術が要求されるロボット設計技術者とロボット開発技術者は、どのようなタイプの人が向いているのでしょうか?
全て備わっていることが理想的な、3つの素質をご紹介します。
ロボット開発は、今後あらゆる産業へ発展する可能性を秘めた新分野です。
既存の使い方を学ぶだけではなく、「どのような場所でロボットが活躍できるか」「どのように活躍させられるか」という方法を探求することが求められます。
常に新たな構想を模索し、好奇心を持って仕事に取り組む姿勢が求められます。
ロボットは、様々な技術の集合体であり、他分野との交流から新たな発想が生まれることも珍しくはありません。
昨今ではAI技術も導入され、多くの技術や知識に精通していることが理想です。
ロボット開発は日本だけではなく、世界中で注目を集めている分野です。
今後は、海外の企業や大学との連携、共同開発も一層進むと考えられ、文化の違うエンジニアと仕事を進める協調性や、語学の学習を苦にしない方が向いています。
ロボット設計技術者やロボット開発技術者になるために、明確な資格はありません。
しかし、電気制御、機械設計、情報処理技術の総合的な知識が要求されるため、関連した資格があるとベストです。また、海外との交流や、最新の論文を読み解く意味でも、特に語学学習は進めておくべきでしょう。
ここでは、ロボット設計技術者・ロボット開発技術者におすすめの資格を4つご紹介します。
情報処理技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構が試験業務を行っている、情報処理技術者の国家試験です。
技術者としてのスキルの目安にもなり、就職する上でも考慮される資格のひとつです。
CAD=キャドとはコンピューター上で設計、製図を行うシステムであり、ロボットの構造を作る上でも重要な役割を果たします。
CAD資格の中でも、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催するCAD利用技術者試験は受験者数が多く、最も認知度が高い資格です。
機械設計技術者試験は、一般社団法人日本機械設計工業会による技術力認定試験です。
機構学・機械要素設計、材料力学、機械力学、流体工学、制御工学、熱工学、工作法、機械製図など、機械設計に関する技術力が問われる試験です。
電気主任技術者試験は、電気主任技術者になるための国家試験です。一般財団法人電気技術者試験センターが実施しています。電気主任技術者で試される内容は、機械の制御に欠かせない電子・電気技術や知識などですから、ロボット開発とも密接な関係にあるといえます。
ロボット設計技術者やロボット開発技術者は、機械制御や電子・電気に関する高い技術力・知識が要求される職種であり、専門的な学校で学習することが就職のカギを握ります。
ロボットの開発には、理系でも特に先端分野の技術を学ぶことが必要とされています。
最も効率的にロボット開発を学ぶのであれば、専門の学部を持つ大学・工業系大学や専門学校へ進学することが理想です。
卒業後はそのまま産業系のメーカーでロボット開発に従事するケースが基本となりますが、大学から大学院へ進学することで、より高度なロボット開発を学び、その後就職するという選択肢もあります。
高等専門学校、略して高専では、中学卒業後から5年間を基本として、実践的な専門教育を受けることができます。現在ではロボットを専門的に学ぶ学科も設立されており、分野としての注目度がうかがえます。
また、高専に在学しているのであれば、高専ロボコン(正式名称「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」)への参加も可能となります。
求人の募集要項にロボコン出場経験者と記載している企業もあるほどで、高専で学ぶことによりロボット開発の基礎が身に付くだけではなく、ロボコンへの出場が就職に有利になる場合があるのです。
ロボットは、社会の需要と技術の発展によって、今までは不可能と思えたことも、実現できるようになる可能性を秘めています。それだけに、求められる知識や技術はハイレベルですが、将来的な需要の高まりを考えると、より待遇の良い職場を求めて、転職を考えても良い職種といえるでしょう。
ロボット設計技術者、ロボット開発技術者への転職を考えている方は、ぜひ一度マイナビエージェントのキャリアアドバイザーにご相談ください。
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