更新日:2023/12/28
身の回りにある文房具や家電、食器、自動車。このような様々な製品の形やデザインを決めるのが、プロダクトデザイナーの仕事です。
ここでは、身近にありながらあまり知られていないプロダクトデザインの概略や、プロダクトデザイナーのなり方、プロダクトデザイナーとして求められるスキルなどをまとめました。
目次
プロダクトデザインとは、製品のデザイン(意匠)のことです。
文房具や食器などの生活用品、冷蔵庫やテレビといった家電、そして自動車など、私たちの身近にあるあらゆる製品は、プロダクトデザイナーを中心に、メーカーが考え抜いて作り出した物です。
ただ、「カッコいい」や「美しい」だけでは、プロダクトデザインは成立しません。使用する人の立場に立って使いやすさを追求し、形状や機能、材質を決定しなければなりません。
プロダクトデザインと類似した言葉に「インダストリアルデザイン」がありますが、こちらは、工業製品・機械製品のデザインのことです。
プロダクトデザインには、機械製品のデザインが含まれる場合もありますが、基本的にプロダクトデザインは、広く世の中に出ている製品のデザインを指します。
プロダクトデザイナーは、あらゆる製品のデザインを行います。製品デザインは、紙面やウェブ上のように平面で終わるものではありません。立体の製品の形がデザインのゴールとなりますので、デザイン案が出来上がると、製品化を担当する技術者や、販売担当者などの関連スタッフと連携し、何度も試作を繰り返しながら、完成を目指していきます。
見た目のデザインの良さとともに、実際の使い勝手の良さや機能性などを兼ね備えた製品にするまでが、プロダクトデザイナーの仕事といえます。
続いて、実際にプロダクトデザイナーがデザインを行う制作過程について解説します。
クライアントや社内の商品企画者から、これから開発したい新商品の方向性や盛り込みたい機能、商品を売り込みたいターゲットなどの説明を聞き取ります。
この段階で、新商品の目的をしっかりくみ取ります。
ターゲットとする顧客の好みなどをリサーチし、コンセプト、形状などを固めていきます。
類似の商品がすでに発売されているのであれば、その商品の分析も行います。
コンセプトに基づき、ラフスケッチを制作します。
平面のデザインを基に、パーツごとのデザインや、立体にしたときの全体像などのアイディアを描き出していきます。この際、ただのスケッチとして考えるのではなく、製品の機能や安全性、素材なども同時に考えます。
ラフスケッチを基に、クライアントあるいは社内商品企画者、設計担当、技術者、営業担当などの関連スタッフとともに意見を交わし、修正を重ねます。
デザインがある程度決定したら、デザイン画を清書し、より製品に近い形を見せるために模型を作ります。
場合によっては、3DCG(3次元コンピューターグラフィックス)も作成します。
模型や3DCGなど、製品化したときの状態がわかりやすい形にしたものを基に、設計や製品化の際に問題がないか、機能・デザインとして十分なものかなどを協議し、製品化に向けてブラッシュアップします。
最終デザインが決定したら、設計担当者に製品化のための設計に入ってもらいます。
プロダクトデザイナーに向いている方とは、どのようなタイプなのでしょうか。いくつかのタイプをご紹介します。
プロダクトデザイナーは、とにかくあらゆる物のデザインを考える仕事です。様々な物に関する使い勝手やその機能など、多岐にわたる知識を持っている必要があります。
ですから、世の中にある物に対する興味を常に持っていることや、ものづくりが好きで楽しめることもプロダクトデザイナーとしては大切な資質です。
プロダクトデザイナーが、製品をデザインする際に求められるのは、見た目の美しさとともに、その製品に見合った目的にかなっていることです。
機能としての使いやすさを備えているか、そして、市場に出たときにニーズに応えられるかが重要となってきます。
そのためには、日頃からどのような物が世の中で受け入れられているのかなど、トレンドに敏感であることが大切です。
それと同時に、色彩感覚、人間工学、行動学、心理学などの専門知識を求められる場面もあります。
構造や立体をすぐさま想像できるセンスもあるとなおいいでしょう。
プロダクトデザイナーには、多角的に物事を捉え、表現するデザインセンスやスキルが必要とされるのです。
プロダクトデザイナーの仕事は、決して一人でデザイン案を出し続けているだけの仕事ではありません。
新商品企画の最初から関わり、最終デザインが完成して設計担当者にデザインを引き渡すまで、常に様々な部署の担当者との綿密な打ち合わせが必要です。
また、自動車など大きな製品のプロダクトデザインとなると、何人かでチームを組んで取り組むことになります。
円滑に協議を進め、クライアントや社内の商品企画担当者の意向をくみ、セールス担当者が積極的に販売できるデザインの商品を作り上げるためには、コミュニケーション能力は重要なスキルといえるでしょう。
プロダクトデザイナーを目指すには、大学や専門学校で専門知識や技術、芸術的センスを学ぶのが一般的です。
プロダクトデザイン学科がある芸術大学や美術大学などで、プロダクトデザインを専攻できるところもあります。
また、プロダクトデザインの専門学科がなくても、工学部、造形学部などでプロダクトデザインを学べるところも多くあります。
学校を卒業したら、自動車や家電、文房具、おもちゃなどのメーカーに就職して、企業内のインハウスデザイナーとして業務につくか、プロダクトデザインの制作会社などで、制作会社のデザイナーとして勤務します。
デザインの実務の中でノウハウやプレゼンの能力を身に付け、経験を積んでいくことになるのは、いずれの場合も同様です。
違いは、インハウスデザイナーは自社のプロダクトデザインを手掛ける一方、制作会社のデザイナーは多種多様な製品のデザインに取り組むことになる点です。
どのようなプロダクトデザイナーを目指したいかによって、インハウスデザイナーか制作会社のデザイナーを目指すかを決めるといいでしょう。
プロダクトデザイナーを目指すために、必要な資格はありません。
民間資格には、公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会が行う「プロダクトデザイン検定」があります。これは、プロダクトデザインの知識が問われる資格で、2級と1級に区分されます。
客観的な実力を提示するためには、このような資格を取得しておいてもいいかもしれません。
ただし、プロダクトデザイナーに現実的に求められるのは実務経験です。
自身の実力やセンスをアピールできる、しっかりとしたポートフォリオ(作品集)を用意するほうがより効果的でしょう。
プロダクトデザイナーは、見た目の良さと機能を兼ね備えた商品を生み出すために、メーカーにとって大切な存在です。デザインセンスはもちろんですが、その他にも身に付けなければならないスキルは多岐にわたります。
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マイナビエージェント編集部
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