更新日:2022/06/06
日本には数多くの神社仏閣・城郭があり、それらの建築や補修を手掛ける職人のことを宮大工といいます。
神社や仏閣の特徴は、釘などの金具を使わない「木組み工法」が使われていること。つまり宮大工は、木材だけで建築物を作る、大工の中でもさらに専門性の高い職種なのです。
ここでは、宮大工の仕事内容や年収、キャリアパス、転職するときに役立つスキルや資格などについてご紹介します。
目次
宮大工の仕事は、大きく「神社仏閣・城郭の建築や修繕」と「一般住居の建築」の2つに分類することができます。
手間と時間を要する木組み工法の技術を身に付け、神社仏閣や城郭の建築・修繕を行うのが、宮大工の主な仕事です。
日本の建築物は、古くから木組み工法と呼ばれる木の特性を最大限に活かした工法で建てられてきました。重要文化財と呼ばれる神社・仏閣や城郭などもこの工法で建てられています。
木はたわみやすい素材であり、釘などの補強金具を使うことで負荷がかかって、傷んでしまうことがあります。
木材を組み合わせて建築物の骨組みを作ることで、何十年、何百年先まで長持ちさせることができるのです。
住宅を建てたいと考えている方の中には、木組み工法での建築を希望する方も少なからずいます。そのような場合、木組み工法の技術を持つ宮大工が、住居の建築を請け負うこともあります。
木材建築は定期的なメンテナンスが必要であり、建築を請け負った工務店が補修も請け負うのが一般的です。
宮大工に求められる基礎的なスキルは、一般的な住宅を手掛ける大工と変わりません。
細かい作業をこなすための手先の器用さや、肉体労働に耐えられるだけの筋力と持久力、安全に作業を行うための集中力などは必須といえるでしょう。
ただし、釘などの金具を使わない木組み工法を行うにあたっては、プラスアルファの知識とスキルが必要となります。
木材には適材適所があり、堅さやしなり方などの特徴を見極めて、建築物への適切な配置を考えることが必要です。
また、木材を組み合わせた際の力のかかり方を計算するため、物理学の知識も欠かせません。その他、原寸図を描き、それを基に木材を切り出したり、狂いなく加工したりする技術も求められます。
宮大工に必要な技術を習得し、一人前と呼ばれるまでには、10年もの歳月が必要といわれています。
宮大工として働くために、必ず取得すべき資格はありません。
ただし、宮大工としての知識や技術力を客観的に証明するものとして、資格を取得しておくことはおすすめです。ここでは、代表的な資格を3つご紹介します。
二級建築士は、国土交通省が管轄する国家資格です。「戸建住宅程度の規模」を対象とするなど、設計できる建物の規模と構造に制限があります。
試験の出題範囲は、建築計画、建築法規、建築構造、建築施工など幅広く、選択式の試験のほか、5時間で設計・製図を行う実技試験もあります。
木造建築士は、二級建築士と同じく、国土交通省が管轄する国家資格です。戸建住宅程度の木造建築物の設計・工事管理を行うことができ、いずれ一級建築士や二級建築士を目指すためにも、取得しておいて損はない資格といえます。
試験の出題範囲は二級建築士と同じであり、選択式の試験と実技試験があります。
建築大工技能士は、都道府県職業能力開発協会が認定する国家資格です。この資格を有していることで、木造建築物の施工に必要な技能があると証明することができます。
試験の出題範囲は、建築構造、規矩術(きくじゅつ)、施工法、材料、製図、安全衛生など幅広く、学科試験のほか、実際に大工工事作業を行う実技試験もあります。
宮大工の年収は、技術や経験年数によって変動します。見習いの場合、年収は350万~400万円程度。経験を積んで一人前になると、600万円程度になるといわれています。ごく少数ですが、中には年収1,000万円を超える宮大工もいます。
独立して工務店を経営するのが年収アップの近道ですが、建築と修繕は同じ工務店に依頼されるケースが多く、新規の工務店が仕事を請け負うのは難しいといえるでしょう。現在は、神社仏閣の建築・修繕の仕事が減りつつあるため、一般的な住宅建築にも携わる宮大工も増えているようです。
宮大工は、貴重な日本の文化財を守り続けるために欠かせない存在であり、基本的には引退するまで続ける方が多い職種です。しかし、中には、材料を見る目と加工技術を活かして、大工が使う材料を事前にカットするプレカット業者にキャリアチェンジする方もいます。
人材育成や教育などに興味がある場合は、専門学校に勤め、建築の知識や技術を教える方向にキャリアチェンジする方もいるようです。
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