更新日:2022/06/29
この記事のまとめ
電気業界で働く中で、どのようなキャリアアップが可能なのか気になる方は多いでしょう。また、転職やキャリアチェンジを考えるにあたり、どのような企業を目指せるのかについて知りたい方もいるのではないでしょうか。
今後のキャリア形成を具体的に検討する際は、電気業界の一般的なキャリアパスや、これまでに培った経験を活かせる転職・キャリアチェンジ先を知ることが大切です。そこでこの記事では電気業界のキャリアパスや転職・キャリアチェンジ先について解説します。
目次
電気業界で描けるキャリアパスは、現場施工を担当する「電気技術者」や建築工事全体を管理する「施工管理」、CADを使って図面を作成する「CADオペレーター」など職種によって大きく異なります。ここでは、職種別の一般的なキャリアパスについて見ていきましょう。
現場施工を担当する電気技術者の場合、見習いとして入社してから、技能者・職長・上級職長へとステップアップするキャリアパスが一般的です。それぞれの役職の特徴は以下のとおりです。
施工管理を担当する場合、補助者として経験を積んでから現場代理人、工事課長・工事部長へとステップアップするキャリアパスが一般的です。それぞれの役職の特徴は以下のとおりです。
CADオペレーターは「CADで正確に図面を引く」ことが主な役割なので、入社後はCADソフトの扱いに習熟しつつ、設計にしたがって図面を引く経験を積みます。設計の知識を習得すれば、自ら設計するCAD設計士へのキャリアアップも可能です。また、建築業界であればCADオペレーターの知識・経験を活かして建築士になる道も開けます。
いずれの職種も5年・10年後のキャリアアップを見据え、スキルを磨いたり資格を取得したりして経験を積んでいくことが大切です。
営業や企画、品質管理など電気業界の職種は多岐にわたりますが、描けるキャリアパスは「管理職や経営層を目指す」「専門職を極める」の2つに大別されます。ここでは、電気業界で働くうえで目指せるキャリアパスについて解説します。
企業によって多少の違いはありますが、電気業界では基本的に全職種に昇格や昇給といったキャリアアップの道が用意されているため、典型的なキャリアパスのひとつとして管理職や経営層を目指すことが可能です。
具体的には、主任や係長といったリーダークラス、課長や部長といった管理職を経て、経営層へとステップアップしていきます。ただし枠は限られているため、管理職や経営層へキャリアアップできる人材はごくわずかです。
電気業界には、技術力を磨いて専門職を極めるキャリアパスもあります。ものづくりに携わるエンジニアの中には管理職というポジションに興味がなく、「いつまでも技術を磨き続けたい」「生涯ものづくりに携わっていたい」と願う人も少なくありません。
企業によって役職名は異なりますが、技術職としてのキャリアを蓄積していくと、主任技師・主幹技師・技監・首席技監といった役職を目指せます。
理想とするキャリアパスを描くには、転職を検討するのも選択肢のひとつです。電気業界は主に家電・半導体・重電・OA機器・時計という5つの業界に分類されますが、同じ業界内の転職であれば、これまでに培った経験や知識が高く評価されるでしょう。ここでは、電気業界の経験を活かせる転職先について解説します。
家電メーカーは、テレビや冷蔵庫、洗濯機などの家電製品を製造・販売する企業です。主な職種として、企画・研究開発・生産管理・営業などが挙げられます。
基本的には一般の消費者を対象とした製品を扱うため、消費者の欲求を満たす付加価値を高める工夫が必要です。「開発に携わった製品が生活の役に立っている実感を得やすい」というエンジニアならではの魅力もあります。
ただし消費行動の変化に伴って売れ筋の商品や業績も変わりやすく、企業によっては家電部門を売却する例もあります。
半導体メーカーは、光エネルギーや電気エネルギーを活用する機械に搭載される半導体を製造・販売する企業です。主な職種に、設計・研究開発・営業・資材調達などがあります。
半導体は家電・自動車・スマートフォン・太陽電池・IoT機器などさまざまな機械に搭載されており、外からは見えないものの私たちが日常生活を営むうえで必須の部品です。半導体業界で働くと、「技術で人々の生活を支えている」というやりがいを感じられるでしょう。
ただし近年は世界的な半導体不足が問題になるなど、業界特有の懸念材料がある点には注意が必要です。
重電メーカーは発電機・変圧器・電池などの電力機器を製造・販売する企業で、企画・研究開発・システムエンジニア・営業などの職種の人々が働いています。
近年、国内における重電機器の需要が減少の一途をたどる中、各社は海外に裾野を広げる取り組みに力を入れています。今後も国内では事業の拡大は期待できない現状にあるため、やや先行きが見通しにくい業界である点は押さえておいたほうがよいでしょう。
OA機器メーカーは、プリンター・コピー機・複合機・シュレッダーなどを製造・販売する企業です。採用職種には企画・研究開発・生産管理・営業などがあります。
OA機器はインクジェットプリンターやFAXといった紙を使うものが多く、ペーパーレス化などを背景に業界全体として縮小トレンドにある点には気をつけなければならないでしょう。そのような状況下、海外企業を買収するなど攻めの姿勢で経営を続ける企業は多く、クラウドサービスなどを駆使した挑戦的なエンジニアリングも求められています。
時計メーカーは、置き時計や掛け時計、腕時計などを製造・販売する企業です。採用職種は企画・研究開発・生産管理・営業など多岐にわたります。
腕時計は小型の精密機械であるため、設計・組み立て・メンテナンスといったあらゆるプロセスで精緻なエンジニアリングを求められる点が特徴です。スマートウォッチ市場が勢いを増す中、日本ならではのものづくりの美学を活かした挑戦的なエンジニアリングが活発化しています
総合電機メーカーでは重電・家電・半導体・ITサービスなどを総合的に取り扱います。総合電機メーカーは他業界に比べて圧倒的な市場規模を誇りますが、海外企業の国内進出などにより大きく売上を落としているのが現状です。
そこで各社はAI(人工知能)やIoTを導入するなどして競争力強化や収益構造の改善に努めており、世界のトップに返り咲くことが期待されています。
電気通信工事業は、電気・電波を使った情報通信設備の設置・工事をする建設業(設備工事業)です。電話・テレビ・ラジオのほか、LAN・インターネット・防犯カメラ・インターホン・火災報知器などさまざまな機器を扱います。鉄道やビル建築などの電気工事とは異なり大きな電力を扱うことはありませんが、現場で最新の情報通信技術に触れられる点が仕事の魅力として挙げられます。
一方、工事には体力が求められ、また夜間・高所作業では危険が伴うなど、電気通信工事業ならではの仕事の厳しさがあります。
電気設備工事業は、建物内の送電線・配電盤・電灯・電力機器などの設置・修繕工事を請け負う建設業(設備工事業)です。ゼネコンの下請けとして建築時の設備工事や物件引渡し後のメンテナンスに携わることから、サブコンとも呼ばれます。
建築がある限り仕事はなくならないという意味で安定性はありますが、総合工事業の業績に影響を受けやすい点には注意が必要でしょう。そこでサブコン業界では経営環境を安定させるためにM&Aによる事業領域拡大、海外展開の活発化などの対策をしています。
キャリアパスの選択肢のひとつとして、電気業界から他業界へキャリアチェンジすることも視野に入れることをおすすめします。たとえば自動車メーカーや医療機器メーカーはどちらも電気関係の専門知識が求められるため、経験やスキルによっては高待遇を期待できるでしょう。ここでは、電気業界からキャリアチェンジする際の転職先について紹介します。
近年、自動車業界ではガソリン車から電気自動車への移行が進みつつあります。また、自動運転技術がトレンドとなるなど、ますます電気との関わりは深くなっている状況です。そのため、異業種であっても電気業界における経験や知識が豊富な人材を求めています。
転職市場ではこれまでに電気業界で培ってきたスキルが高く評価される傾向にあるため、電気業界からのキャリアチェンジ先として検討の余地があるでしょう。
医療機器メーカーも電気業界からのキャリアチェンジに向いた転職先です。医療機器メーカーは心電計・脳波計・MRI・マイクロ波治療器など、計測や治療に用いるさまざまな医療機器を扱います。
また、AI・VR/AR(仮想現実/拡張現実)・遠隔治療など、IoTを活用した医療機器も増えている状況です。こういった機器を製造・販売するには電気・電波や通信技術の知識が欠かせないため、電気業界で培ったスキルが重宝されます。
電気業界のキャリアパスには、「管理職・経営層を目指す」「技術職を極める」方法があります。一方、家電・半導体・重電・OA機器・時計メーカーといった同じ業界内における転職や、自動車メーカー・医療機器メーカーなど異業界でのキャリアチェンジの際も、電気業界で積み重ねてきた知識やスキルを活かしたキャリアアップを目指せるでしょう。
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