更新日:2022/04/01
ITサービスマネージャ試験に合格することで、安定したシステム稼働を行えたり、システム上のトラブル発生時に速やかに対処できたりするなど、安全性・信頼性のあるITサービスを提供できる人材であることを示すことができます。
ここでは、ITサービスマネージャ試験の内容や難度、受験方法の他、ITサービスマネージャの資格が役立つ職業について紹介します。
目次
ITサービスマネージャ試験は、経済産業省が認定する国家資格である「情報処理技術者試験」の試験区分のひとつです。
システムエンジニアとして体系的な知識を身に付けたい人の他、ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーなど、裁量権が大きいポジションを目指している人は、取得しておきたい資格といえるでしょう。
ITサービスマネージャ試験では、システムの導入や維持・拡張の他、システムの管理方法、情報セキュリティ対策、障害を最小限に抑えるための対処法、ITサービス改善に向けての立案など、様々な知識が問われます。
記述問題では、論理的思考力や文章表現力も求められるため、合格は容易ではありません。
受験資格の制限はないため、実務未経験者でも受験することができますが、実務をこなしながら数ヵ月から数年かけて合格を目指すのが一般的です。
試験は午前I・午前II・午後I・午後IIの4項目となっており、午前は4つの選択肢から1つの回答を選択する多肢選択式、午後は記述式の試験が行われます。
それぞれの試験時間と出題数、回答数は以下のようになります。
ITサービスマネージャは、安全性と信頼性の高いITシステムの提供を担う人材です。
そのため試験では、システムの安定的な稼働の確保や、トラブル発生時の対策、品質管理などの知識が問われます。
ITサービスマネージャ試験は、具体的にどの程度難しいのか、独学でも合格できる資格なのか、詳しく見ていきましょう。
ITサービスマネージャ試験の合格率は2019年実績で14.7%となっており、難度の高い試験といえます。
また、合格者の平均年齢は39.0歳となっており、ある程度実務経験を積み、ITのスキルと経営的観点を養わないと合格が難しい試験といえます。
ITサービスマネージャ試験の合格条件は、午前I・IIおよび午後Iの各試験で60点以上を取った上で、午後IIの試験で評価ランクAを取得すること。
先の3つの試験の結果が60点に達していなければ、午後IIの採点は行われず、不合格となります。
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ITサービスマネージャ試験では、午前I・IIは過去に出題された問題が使い回されることが多いため、過去問を重点的に解いておきましょう。
一方、午後I・IIの試験では、毎回新しい問題が出題され、問題文の読解力や自分の考えをまとめる力、それを時間内に文章で表現する力が求められます。
試験勉強では、できる限り午後I・IIの対策に時間をかけたいところ。
特に午後IIは、2時間で計3,000字ほどの文章を書かなければならないため、時間内に書き上げる練習をしておくことが大切です。
なお、2年以内に応用情報技術者試験、または8つの高度試験のうち、いずれかの午前Iに合格している場合は、申請により午前Iの試験が免除されます。
ITサービスマネージャ試験は、毎年10月の第3日曜日に実施されており、申込期限は7月初旬から8月中旬までとなっています。
インターネットと願書郵送の、いずれかで申し込むことができます。
試験の一部免除規定がありますので、事前にチェックしておくと良いでしょう。
5,700円(税込)
ITサービスマネージャ試験には、年齢制限や受験資格はありません。
12月下旬に合格者の受験番号が、試験を主催するIPA(情報処理推進機構)のウェブサイトに掲載されます。
また、個人の成績照会をするには、受験番号とパスワードが必要です。
試験結果の通知はありませんので、自分でウェブサイトを見て確認します。合格者の受験番号は後日、官報にも公示されます。
ITサービスマネージャは、ITサービスを提供するためのマネジメント業務を行います。
QCDを意識しながら運用リーダーとして、その時の状況に見合った判断を下し、メンバーに指示を出します。
※QCDとは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(提供)の頭文字です。
また、情報セキュリティにも精通している方も多いので、セキュリティ面でも効果的な運用や管理を行い、より良いITサービスを提供できるようにサービスを改善していきます。
改善していく事で、顧客満足度を高めていくことがITサービスマネージャの役割です。
ITサービスマネージャの資格が役立つ職種として、システムの運用・保守を担当するシステムエンジニアや、システムの開発・管理部門に携わるシステムエンジニアが挙げられます。
顧客の要望を聞いて、システムエンジニアに橋渡しをするポジションであるITコンサルタントやプロジェクトマネージャーなども、資格を活用できる職種です。
これらの職種に就いている人は、資格を取得することで、顧客の信頼を得たり、顧客の要望に適したシステム開発につなげられたりする可能性が高まるでしょう。
この他、ヘルプデスクやコールセンターのリーダー職を目指す場合も、ITサービスマネージャの資格取得はおすすめです。
企業によっては、リーダー職に就くために資格取得を必須としている場合もありますし、資格を持っていることで、転職や昇進のチャンスも広がります。
ITサービスマネージャは、システム全体の統括を担当するため、一人でシステム全体の事が分かるレベルの技術・知識が求められます。
システムを導入する時には、セットアップをはじめとするシステムの構築、安定した運用および運用フローの確立を行います。
障害が発生したときは、状況を切り分けて自ら改修もしくは関係部門のメンバーに指示だしをして修復します。
障害が起こらないようにセキュリティ対策を万全にし、QCDを保つことがITサービスマネージャに求められます。
ITサービスマネージャには、マネジメント能力も必要です。
プロジェクトを遂行するに当たって、各メンバーを取りまとめて計画通りに進めるためにはマネジメント能力が必須スキルです。
マネジメントと聞くと管理職を想像される方も少なくないと思いますが、ただのマネージャーではありません。
ITサービスマネージャー試験の出題範囲にもありますが、システム監査の知識も必要となります。
そのため、システムの知識だけではなく、経営に関する理解も必要となります。
システムエンジニアやITコンサルタントのような専門職種として働くために、資格は必須ではありません。
しかし、資格を持っていると、客観的に自分のスキルを証明できるため、就職や転職の際に有利になったり、昇給やステップアップにつながったりするので、メリットしかありません。
システムエンジニアやITコンサルタントとしてキャリアアップを目指している人や、IT系のリーダー職を目指している人は、試験に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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