更新日:2022/04/14
この記事のまとめ
銀行には地方銀行や都市銀行、ネット銀行とさまざまな種類がありますが、信託銀行がどのような銀行なのか知らない方もいるのではないでしょうか。信託銀行とは一般的な銀行業務に加えて信託業務と併営業務を営んでいる銀行で、多種多様な商品やサービスを取り扱っています。
信託銀行への転職を考えている方は、ほかの銀行との違いを知ることが大切です。そこでこの記事では、信託銀行の特徴や業務について詳しく解説します。
目次
「信託銀行は通常の銀行と何が違うの?」という疑問を持っている方もいるでしょう。信託銀行は一般的な銀行と同じ預金や貸付といった銀行業務のほかに、信託業務や併営業務を取り扱うという特徴があります。
ここでは、信託銀行への転職に興味がある方に向けて、信託の仕組みや信託銀行の特徴、一般的な銀行との違いについて解説します。
信託とは「信じて託す」という文字どおり、委託者の金銭や土地といった財産を信頼できる人(受託者)に託し、運用や管理をしてもらう制度のことです。日本では「信託法」で規則が定められており、受託者は委託者の信託目的に沿った管理・処分をする義務があります。
信託を利用するメリットは、受託者の専門的な知識や経験を生かした資産運用や財産の保全を実現できる点です。また、委託者は信託目的を自由に設定でき、信託財産から得られる利益は第三者である受益者か委託者自身が受け取れます。
都市銀行や地方銀行と同じように、信託銀行は預金や貸付といった銀行業務に携わります。一般的な銀行との違いは「信託業務」や「併営業務」もできることです。一般的な銀行は銀行業務のみで、信託業務や併営業務は営んでいません。
信託銀行の業務には、信託業務のほかにも不動産業務や相続関連業務といった併営業務もあるため、多様なニーズに合わせた商品やサービスを提案できます。資産全般を幅広く見据えたコンサルティングができる点が信託銀行の大きな特徴です。
信託銀行は預金や貸付といった一般的な「銀行業務」に加え、委託者の財産を管理・運用する「信託業務」、不動産業務や証券代行といった「併営業務」を営む銀行です。信託銀行が提供する商品やサポートはさまざまで、住宅ローンや投資信託のようなお金に関するサポートだけではありません。
さまざまな業務を取り扱うため、高い専門性と幅広い知識が求められる職業といえるでしょう。ここでは、信託銀行の仕事内容をまとめました。
信託銀行の業務には、都市銀行や地方銀行と同じような「預金」「貸付」「為替」といった銀行業務も含まれます。預金業務とは、個人や法人から預金を預かり管理する業務です。預金を元手に融資や運用をして得た収益で預金者への利息を支払います。
貸付業務とは、資金を必要とする個人や企業に融資する業務です。住宅ローンや設備投資資金では大きな金額を融資することもあるため、融資先の業績や将来性も慎重に審査しなければなりません。為替業務は振り込みや送金、公共料金の口座振替といった口座間で資金移動をする業務です。
信託業務とは、個人や法人の財産を受託者に移転させて管理・処分する業務です。受託者となった信託銀行は委託者の信託目的に従い、受益者のために信託目的を果たす運用・管理をする義務があります。
信託財産はお金や土地だけではありません。「有価証券」「金銭債権」「不動産」といった金銭的価値のあるものであれば何でも信託できます。遺言信託や結婚・子育て支援、老後に関する信託など、商品やサービスは信託銀行によってさまざまです。
信託銀行の業務には証券代行業務や不動産売買の仲介業務、相続関連業務といった併営業務もあります。併営業務は銀行法や兼営法により、免許を取得した金融機関のみができる業務です。業務の範囲は信託銀行によって異なります。
証券代行業務は、株式名簿の管理や株主総会の運営サポートなど、企業に代わって株式全般の事務を担う業務です。ほかにも、相続関連業務として遺言書の保管や遺言執行、遺産管理のような業務もあります。
信託銀行は多種多様な商品やサービスを取り扱っています。財産管理や投資信託のような資産を管理・運用するサービスだけでなく、遺言信託や遺言整理、不動産の売買といった顧客のニーズに合わせた提案が可能です。
ここでは、信託銀行が提供する商品やサービスをまとめました。なお、実際に取り扱っている商品やサービスは信託銀行によって異なります。
投資信託(ファンド)とは、複数の投資家から資金を集め、投資家の代わりに投資の専門家が有価証券や不動産を運用する商品です。運用の成果はそれぞれの投資額に応じて分配されます。
投資信託は元本が保証されている金融商品ではありません。 運用が成功することもあれば失敗することもあります。しかし、少額から投資できることや複数の金融商品に分散して投資できるのがメリットです。
勤労者財産形成促進制度に基づいて、財産形成の促進を目指した財産管理のサービスを提供する場合もあります。勤労者財産形成促進制度とは、勤労者が退職した後の生活の安定や住宅の取得、貯蓄について企業と国が連携し援助する制度です。
信託銀行では、「財産形成信託」「財産形成年金信託」「財産形成住宅信託」などを取り扱っています。中でも、財産形成年金信託と財産形成住宅信託は、積立金にかかる利子や配当が合計550万円まで非課税という点が魅力です。
信託銀行で扱う年金サービスは、各企業の年金制度を支えるサービスです。老後の生活を支える年金には、国が運営する公的年金に加え、企業が従業員の給与の一部を積み立てて退職後に給付する企業年金があります。
企業年金の種類は「厚生年金基金」「確定給付企業年金」「確定拠出年金」の3つです。信託銀行では資産運用や資産管理の専門家として、企業の年金資産の管理や運用、年金受給者への給付金の支払い事務といった企業年金に関わる総合的なサービスを提供しています。
「将来生まれてくる孫のために財産を残したい」「死後の財産を別々の受給者に渡したい」といった委託者が亡くなった後の願いを叶えるために、遺言信託・遺産整理も取り扱っています。遺言信託を利用することで、相続人同士のトラブルを防止し、遺言者の意思を安全にかつ確実に再現できます。
ほかにも、遺言書作成の相談、遺言書の保管、遺言の執行、相続財産目録の作成、遺産分割手続きのような遺言に関わるコンサルティングもサービスのひとつです。
信託銀行のサービスには、株式会社に代わって株主名簿管理人が株式全般の事務を担当する証券代行業務もあります。具体的には、株主名簿管理、配当金計算、単元未満株の買い取り、株主総会関係書類の封入、法制度改正への対応といった業務です。
また、株式代行機関として、株主総会の日程打ち合わせやシナリオ作成によって株主総会運営もサポートします。本来株式会社が担当する株式事務を外部に委託できるため、企業にとっては労力や手間を削減できる点がメリットです。
不動産の買い手と売り手をつなぐ不動産仲介営業や委託者が定めた信託目的に従って不動産を管理・処分する信託があります。信託銀行が受託者となって不動産を管理するため、委託者の管理事務の手間を軽減できる点が魅力です。
また、不動産の鑑定評価や不動産を有効活用するためのコンサルティングといった幅広い不動産サービスを提供しているのも特徴です。
信託銀行への転職を考えている方は、どのような人材が求められているのか把握することが大切です。また、一般の銀行と信託銀行では業務の範囲が変わるため、企業が取り扱う商品やサービスに関して情報収集しましょう。ここでは、信託銀行への転職に向いている人について解説します。
信託を利用する方の多くは信頼できる方に財産を預けたいと考えています。信託銀行で相続や遺産に関する信託をする場合、2世代3世代にわたることもあるため、長期的に良好な関係性を築かなければなりません。発言が適当な方や責任感のなさそうな方には大切な財産を預けたくないと考える方がほとんどでしょう。
したがって、ビジネスマナーや身だしなみが徹底された表裏のない誠実な人物が信託銀行への転職に向いているといえます。
信託銀行では顧客のニーズを引き出すためにしっかりと話を聞くことが大切です。「自分の財産をどのように活用するか」という悩みに対して、営業目的で一方的にサービスを提案しても顧客の信頼は得られないでしょう。
顧客の話をしっかりと聞き、相手の気持ちを理解したりニーズを汲み取ったりできる聞き上手な方が信託銀行には向いています。
信託銀行に限らず金融機関で働くのであれば、金融に関心のある方が適しています。特に信託銀行の業務範囲は多岐にわたり、さまざまな金融商品を取り扱っているため、幅広く専門的な知識を有しているほうがよいでしょう。
また、時代が変化するにつれ顧客のニーズも変わり、今後はフィンテックのようなITを組み合わせた新しい金融サービスが増えると予想されます。そうした新しい金融商品にも目を向け、時代の変化に適応できる能力が必要です。
信託銀行は一般的な銀行とは違い、信託業務や併営業務もできる金融機関です。多種多様な商品やサービスを取り扱っているため、金融に関心のある方が向いています。また、顧客からの信頼を得て大切な財産を託してもらうには、誠実な対応や聞き上手であることも大切です。
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