更新日:2023/01/17
厚生労働省は第二新卒をはじめとした若年層の雇用機会を増やすため、2017年5月1日から「特定求職者雇用開発助成金」という助成金制度を開始しました(2016年2月10日~2017年4月30日までは「三年以内既卒者等採用定着奨励金」という制度でした)。
この制度を簡単に説明すると、第二新卒や既卒の人を新たに募集・採用し、その人が一定期間働くと雇用側に助成金が支給されるというものです。これによって、企業は第二新卒者の転職を積極的に受け入れるようになることが予想されるため、転職希望者にとって有利となる可能性が生まれました。 そこで今回は、特定求職者雇用開発助成金制度の内容を解説しつつ、具体的にどのような人が制度の対象になるのかを明らかにしていきます。
目次
そもそも第二新卒者とは、各学校を卒業してから3年ほどで就職する人、あるいは(卒業後に)就職して3年以内に転職する人のことを指します。年齢ではなく職務経歴で判断するため、「社会人経験おおよそ3年以内」というとらえ方をする場合がほとんどです。つまり、高校卒業後に就職して3年以内に転職をする人も、大学や大学院を卒業してすぐに就職しなかった人も、同じ第二新卒というカテゴリーに入ります。なお、特定求職者雇用開発助成金制度では、対象となる第二新卒者を学校卒業または中退後「3年以内」と厳密に定めています。
特定求職者雇用開発助成金は、「既卒者等コース」と「高校中退者コース」の2種類があります。コースが分かれていることは雇用される側には関係ありませんが、企業に支給される助成金には差が生じますので、雇い入れる側にとっては大きな違いとなります。
既卒者・中退者が応募可能な新卒求人を行い、直接雇用した上で期間の定めも設けず、社内のほかの雇用形態の労働者(アルバイトやパートタイマー、契約社員、派遣社員。役員を除く)に比べても、重い責任を負いながら業務に従事させる必要があります。さらに、これまでに既卒者等を新卒枠で雇い入れたことがないことも条件です(企業がこの助成金を受け取れるのは、第二新卒者を初めて雇用した年のみということになります)。
高校中退者が応募可能な高卒求人を行い、直接雇用で期間の定めを設けず、社内のほかの雇用形態の労働者(役員を除く)に比べ、重い責任を負いながら業務に従事させること。そして、企業がこれまでに高校中退者を高卒枠で雇い入れたことがないことも条件になります。
制度が適用される(助成金を得る)ためには、既卒者等コースは既卒者および中退者を「新卒枠」で雇い入れたことがなく、高校中退者コースは高校中退者を「高卒枠」で雇い入れたことがないという、項目の遵守が重要になります。第二新卒者を採用する企業には、既卒者および中退者を、新卒者または高卒者として扱うことが求められるのです。一方、就職や転職を希望する既卒者や中退者にとっては、新卒として採用してもらえるチャンスということになります。
制度の対象者を雇い入れた企業は、以下の金額を助成金として受け取ることができます。ただし、各コース1名までが受け入れ上限と定められている点には注意が必要です。
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※1 青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)に基づく認定企業(ユースエール認定企業)の場合は、いずれも10万円が加算されます。
※2 上記表における「中小企業」の定義
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助成金制度が始まったのは、離職した若年層の完全失業率が高くなっていることが原因といわれています。早期離職率の高さと、その後の再就職率の低さが完全失業率を上げてしまうのです。
政府が掲げる「一億総活躍社会」の観点からも、この問題を解決して失業率を下げるのは大切なことであるといえます。若年層の再就職を応援する助成金制度は、このような政府の方針から生まれたものといえるでしょう。
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※厚生労働省「新規学卒就職者の在職期間別離職状況」
もちろん、自分が助成金支給の対象になるからといって、「ほかの人に比べると内定が出やすいだろう」という考えは禁物です。たとえ助成金が支給されたとしても、上記で紹介したように数十万円程度の金額です。採用や雇用そのものにかかるコストのほうが確実に高くなりますので、企業が(他の就転職希望者より)第二新卒者を選ぶ決定的な理由にはなりません。助成金の制度はおまけ程度ととらえ、堅実な転職活動を行うようにしましょう。
助成金制度は始まったばかりですし、昨今の完全失業率の増加という背景があってこそのものです。とはいえ、現在は景況感を背景に第二新卒者の転職にとって追い風が吹いている状態であることは事実です。もし、あなたが第二新卒者で、今まさに転職を考えているのであれば、助成金制度という好条件があることを頭に入れておいてもいいでしょう。
また、転職エージェントに相談をすれば、第二新卒の採用に積極的な企業の情報を得ることができます。一人で漠然と探すのではなく、転職エージェントの力を借りることで、より良い条件の企業と出会うチャンスを広げましょう。
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