上場企業とは?非上場企業との違いから転職するメリットまでまとめて解説|求人・転職エージェント

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更新日:2025/10/23

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上場企業とは?非上場企業との違いから転職するメリットまでまとめて解説

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この記事のまとめ

  • 「上場企業」とは、証券取引所で株式を公開し、多くの投資家が株式を売買できる企業のこと。
  • 上場企業は会社の状況を開示しており、自分に合うかどうかを客観的に把握できるため、入社後のミスマッチを防ぎやすい。
  • 上場企業への転職を成功させるには、自身の経験やスキルをしっかりとアピールできるよう、事前に転職の目的や入社後に貢献できることを明確にしておくのがポイント。

大手企業に転職したいと思っている方にとって、上場企業は魅力的な選択肢といえるでしょう。上場企業とは、東京証券取引所などの証券取引所に株式を公開している企業のことです。非上場企業と比べると社会的信用度や給与水準が高い傾向にありますが、一方で業績プレッシャーが大きいという側面も持ち合わせています。

本記事では上場企業の定義や種類から、転職する際のメリット・デメリットまで、キャリアプランを考えるうえで押さえておきたいポイントを徹底解説します。

目次

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上場企業とは|非上場企業との違い

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上場企業と非上場企業には、明確な違いがいくつかあります。株式を公開しているか、決算報告書を開示する義務があるかなどが大きな違いといえるでしょう。

上場企業は多くの投資家が株主であることから、タイムリーに事業の状況を開示する必要があります。一方で、投資家が特別な取引(相対取引)を行わなければ株式を売買できないのが非上場企業の特徴です。ここでは、「上場」の意味や、上場企業と非上場企業の相違点について詳しく解説します。

「上場」と「上場企業」について

自社の株式を公開し、証券取引所でトレードできるようにすることを「上場」と呼び、株式を上場した企業を「上場企業」と呼びます。株式を公開していることから「公開会社」と呼ばれることもあるため、併せて覚えておきましょう。

上場企業の株式は証券取引所を通じて一般投資家が売買でき、株式を取得した株主は所有する株式の割合に応じて経営に参加できる点が特徴です。企業側にとっては、一般投資家から資金を集められる点が大きなメリットといえるでしょう。

上場企業と非上場企業の違い

株式を証券取引所に公開しておらず、市場を通じて自由にトレードできない企業を「非上場企業」と呼びます。非上場企業の株式は、経営層や親会社をはじめとした関係性が深い企業や個人が所有していることが多い点が特徴です。一般投資家が経営に参加しない分、経営の自由度が高いところが魅力といえるでしょう。

上場企業とは異なり、非上場企業は株主から事業の整理を求められたり、短期的な成果を追求されたりすることはありません。ただし、資金を集めにくい点はデメリットといえます。

上場企業とは|上場市場の種類

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証券取引所は、いくつかの市場に分けられています。ここでは、日本国内で多くの企業が株式を上場している東京証券取引所を例にして市場区分を見ていきましょう。東京証券取引所内の市場は、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つです。それぞれの市場で上場する企業に求められる条件についても併せて紹介します。

プライム市場

プライム市場は、誰もが知っているような大手企業が株式を公開している市場です。「機関投資家の投資対象としてふさわしい市場」をコンセプトとしていて上場基準が厳しく、流通している株式の時価総額が100億円を超えることや過去2年間の利益が25億円以上であることなどが求められます。厳しい条件を満たしてプライム市場に上場している企業は社会的な信頼性が高いといえるでしょう。

スタンダード市場

機関投資家を対象にしたプライム市場とは違い、「一般投資家が投資するのにふさわしい市場」をコンセプトとしているのがスタンダード市場です。流通株式の時価総額が10億円以上、最近1年間の利益が1億円以上などの条件が定められているものの、プライム市場よりは緩く設定されています。

スタンダード市場には、今後も持続的に成長することが見込まれており、それに伴って企業価値も向上していくと予想される企業が集まっているのが特徴です。

グロース市場

今後高い成長を遂げると予想されている企業に対し、資金調達の機会を与えることをコンセプトとして開設されているのがグロース市場です。

新規上場基準として定められている流通株式の時価総額が5億円以上であることからも、上場基準を緩めて多くの企業に上場の機会を開いていることが分かるでしょう。グロース市場は、ベンチャー企業などを対象にした市場です。

企業が株式上場するメリット・デメリット

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上場は、さまざまなメリットとデメリットを同時に抱えることになります。ここでは企業視点から見た株式上場によって得られる具体的なメリットと避けられないデメリットについて詳しく解説します。

企業が株式上場するメリット

上場企業が株式を公開する大きなメリットは「資金調達力の向上」です。株式を一般投資家や機関投資家に購入してもらうことで、企業は大規模な資金を集めることが可能になります。金融機関からの借入とは異なり、返済義務がない点も魅力といえるでしょう。

また、株式上場により企業の社会的信用度が大幅に高まります。これは証券取引所の厳格な上場審査をクリアした企業として認められるためです。この信用力向上は新たな取引先の開拓やビジネスパートナーシップの構築に有利に働き、事業拡大の機会を生み出します。

さらに、企業の成長が加速する可能性が高まります。調達した資金を研究開発や設備投資などに活用することで、事業規模の拡大が期待できるためです。加えて知名度向上により優秀な人材が集まりやすくなり、人的資源の面からも企業の成長を後押しします。ただし、上場が成長につながるとは言い切れない点に注意しましょう。

企業が株式上場するデメリット

株式上場にはメリットだけでなく、見逃せないデメリットも存在します。まず「株主からの厳しい監視」が挙げられます。上場企業は株主から継続的な利益創出を求められるため、短期的な収益と長期的な成長戦略の両立が必要になります。これにより、野心的な経営判断が制限される場合もあります。

次に挙げられるデメリットは「情報開示義務の発生」です。上場企業は金融商品取引法に基づき、有価証券報告書の提出が義務づけられています。また、株価に影響を与える重要事項が発生した際には迅速な情報公開も求められます。さらに四半期ごとの決算対応も必要なため、企業にとって大きな負担となるでしょう。

最後に「TOBによる買収リスク」です。上場企業は常に、経営権獲得を目的とした大量株式取得の対象となる可能性があります。発行済み株式の過半数を取得されれば、経営の主導権を奪われる危険性が生じます。企業の成長と注目度が高まるほど、このリスクも増大するでしょう。

企業があえて株式を上場しない理由とは?

上場の条件を満たしていても、あえて上場しない会社もあります。有名な会社や大手の会社であっても、上場していないケースも珍しくはありません。

上場しない理由のひとつには、上場による手間やコストの削減が考えられます。会社が株式市場に上場する場合、四半期報告書制度に基づき、3ヵ月に一度決算を行わなければいけません。そのため決算業務に多くの時間や労力を要するでしょう。

また上場時や、その前後にかかるコストは決して安いものではありません。上場すると株主の意見によって経営方針が変わる可能性もあるため、上場によるデメリットを考慮して「非上場」を選択する会社もあります。

上場企業を簡単に調べる方法はある?

会社が上場企業かどうかを知りたいときには、インターネットや新聞を利用してリサーチするのがおすすめです。新聞の場合は「株価欄」をチェックしましょう。株価欄には、証券取引所で株式を公開している企業の株価や売買高が記載されています。そのため、株価欄に名前がある会社は上場企業です。

特定の会社名でリサーチしたい場合には、インターネットを利用するとよいでしょう。会社名をWeb検索すると、上場を含めたさまざまな会社情報が得られます。

また、日本取引所グループ(JPX)のWebサイトでは「東証上場銘柄一覧」として毎月更新される最新の上場企業リストを確認できます。このリストには、プライム、スタンダード、グロースの各市場に上場している全企業が掲載されており、検索機能も利用できます。

上場企業に転職するメリット

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上場企業と聞くと、安定している印象を受ける方も多いのではないでしょうか。実際に上場企業は年収が高く、職場環境が整っている傾向にあります。上場企業の中には知名度の高い会社も多いため、社会的信用を得られるケースもあるでしょう。ここからは、上場企業に勤めるメリットを紹介します。

会社の状況を把握できる

上場企業では会社の状況を客観的に把握できることが大きなメリットです。証券取引所の規則により、財務情報はもちろん、従業員数の推移、平均勤続年数、平均給与など、転職希望者が気になる情報が有価証券報告書などで公開されています

特に注目したい点は、「人的資本情報」の開示です。企業の人材育成戦略や育成投資額、社員のスキルアップに関する取り組みなどを事前に確認できるため、入社後のキャリア形成についても予測が立てやすくなるでしょう。

また、財務情報は監査法人によって厳格にチェックされているため、信頼性が高いのも特徴です。会社の経営状態や成長性を外部から客観的に判断したうえで応募できるため、「入社後に思っていた状況と違った」というミスマッチも防げます。

社会的信用が増す

会社が株式市場に上場するときには、多くのコストや維持費が必要です。知名度の高い会社はもちろん、たとえ知名度が低い場合でも、上場していることで経営が安定していると捉えられるケースも多いでしょう。そのため上場企業に勤めていると社会的な信用度が増し、クレジットカードや車のローン、住宅ローンの審査において有利になる可能性があります

労働環境が整っている

職場環境がよく手厚い待遇を受けられる可能性が高いことも、上場企業に勤めるメリットです。一定の条件をクリアしている上場企業には、大手企業が多く存在します。特に、多くの投資家から注目を集める東証プライム市場は、誰もが知っているような大企業が多数上場しているのが特徴です。

一概にいえるわけではないものの、大企業は小規模な企業に比べて住宅手当や子育てサポートなどの福利厚生が充実している傾向にあります。ライフステージに合わせた労働環境が整っていることは、大きな魅力のひとつといえるでしょう。

年収が高い傾向にある

こちらも企業によって異なるものの、上場企業は年収が高い傾向にあるとされています。したがって、より高い年収水準を求めて転職する場合にも、上場企業を検討するとよいでしょう。

ただし、上場企業であれば年収水準が高いと言い切れるわけではないため、実際に転職するときは企業ごとの年収水準を確認することをおすすめします。上場企業が公開している有価証券報告書の中に年収データが記載されているため、目を通しておくとよいでしょう。

上場企業に転職するデメリット

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上場企業への転職にはメリットがある一方で、見逃せないデメリットも存在します。転職を検討する際は、上場企業の持つ特性をしっかり把握したうえで判断することが大切です。以下では、上場企業に転職する際に直面する可能性がある主な3つのデメリットについて詳しく解説します。

社内の規定が厳しい

上場企業ではコンプライアンス意識が非常に高く、社内規定が厳格に設定されている傾向があります。これは上場審査基準に「コーポレート・ガバナンスおよび内部管理体制の有効性」が含まれており、法令違反や不祥事を防止するための体制が求められるためです。株主に対して経営方針や将来の展望を開示する義務があり、売上や経費だけでなく、適切な内部統制が機能していることも証明しなければなりません。

このような厳格な規則の下では、新しい施策を実行するために多くの部署への確認や承認が必要となり、柔軟かつ迅速に対応することが難しくなります。また、過度に厳格な社内ルールによって業務内容に制限がかかり、従業員が窮屈さやもどかしさを感じることも珍しくありません。

高い業績が求められる

上場企業は、四半期ごとに株主や投資家に対して業績報告を行う義務があるため、常に高い業績達成へのプレッシャーがあります。株価は業績に連動するため、短期的な利益を追求する傾向が強くなり、従業員には成果を出し続けることが求められます。目標未達となれば株価下落や株主からの批判につながるため、現場では数字を達成するための緊張感も高まるでしょう。

また、経営者は中長期的な視点で投資したいと考えていても、短期的な業績悪化を避けるために、本来必要な投資や挑戦を先送りにするケースも少なくありません。この「短期志向」は、従業員の働き方にも影響し、イノベーションよりも目先の数字達成が優先される企業文化を生み出すことがあります。

買収される可能性がある

上場企業の株式は市場で自由に売買できるため、買収リスクが常に存在します。大量の株式を買い集められると、経営権が他者の手に渡る可能性があるのです。特に業績不振や株価下落時には、買収の標的になりやすい傾向があります。

買収が成立すると企業にはさまざまな変化が生じます。社名変更や経営陣の入れ替え、組織再編などが行われることが一般的です。また、コスト削減を目的とした人員削減や給与体系の見直しが実施され、従業員の待遇が悪化するケースもあります。

上場企業への転職を成功させるポイント

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上場企業への転職を成功させるためには、明確な戦略と準備が欠かせません。優秀な人材獲得競争が激しい上場企業に選ばれるには、転職の軸を明確にする、企業研究を念入りに行う、適切なタイミングで応募するという3つの重要ポイントを押さえることが必要です。それぞれのポイントについて具体的に解説していきます。

転職の軸を明確にする

上場企業への転職を成功させるには、まず「転職の軸」を明確にすることが重要です。単に「知名度が高い」「安定している」という理由だけでは、面接での評価を落とす可能性があります。自己分析を通じて、これまでの経験から得た強みと弱み、大切にしたい価値観、目指すキャリアパスを整理しましょう。

特に重要なのは、「なぜその上場企業で働きたいのか」「どのようにして会社に貢献できるのか」という点です。入社後に実現したい目標や、自分の経験やスキルがどのように企業の課題解決に役立つかを具体的に説明できるよう準備しておきましょう

企業研究を念入りに行う

上場企業への転職では、一般的な求人情報だけでなく、投資家向けに開示されている「IR情報」を活用した企業研究が効果的です。上場企業の公式サイトにはIR(インベスター・リレーションズ)ページがあり、財務状況や事業戦略、将来ビジョンなどが詳細に公開されています。また、経営陣のインタビュー記事なども貴重な情報源です。

これらの情報から企業が直面する課題や今後の事業計画を把握し、面接対策を行いましょう。自分の経験やスキルがどのように企業の課題解決に貢献できるかを具体的に説明できれば、採用担当者に強い印象を与えられるでしょう。

求人情報は小まめにチェックする

上場企業に転職を希望する場合、採用スケジュールを把握することが成功の鍵となります。特に大手企業では年間の採用計画が事前に決まっていることが多く、募集期間が短いケースも少なくありません。そのため、志望する企業の採用サイトや求人情報を小まめにチェックし、応募のタイミングを逃さないようにすることが重要です。

企業によっては「春採用」「秋採用」など特定の時期にのみ求人を出すこともあります。自分が希望する企業がどのような採用スケジュールで動いているのかを事前にリサーチしておくと、効率的に転職活動を進められるでしょう。 

総合的な視点で転職活動を進めるのがおすすめ!

上場の有無によって、転職のメリットは異なります。そのため自分の就きたい職種や、求める職場環境、転職において優先したい事項を整理してそれらを判断材料として検討するとよいでしょう。

上場しているかどうかではなく、社風や会社の規模で検討するのも転職で自分に合った企業を選ぶコツといえます。業界や会社についての詳しい情報を参考に転職活動をしたい場合には、転職エージェントの活用がおすすめです。

転職エージェントでは、丁寧なヒアリングを通して専任の担当者がこれまでの経歴や今後の希望などを整理しながらあなたの転職活動をサポートします。転職エージェントを活用することで、自分ひとりでは調べ切れない企業情報や採用の傾向、求める人材の詳細などのさまざまな情報を収集できます。多くの情報に基づいて判断することで、転職活動をより有利に進められるようになるでしょう。

まとめ

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上場企業とは、証券取引所に株式を公開している企業のことです。上場企業への転職には、情報の透明性、社会的信用、整った労働環境、高い年収という利点がある一方で、厳格な社内規定や高い業績要求、買収リスクという課題も存在します。

上場企業への転職を成功させるポイントは、自身の軸の明確化、入念な企業研究、求人情報の定期確認です。マイナビエージェントでは、企業の財務状況や将来性の分析から非公開求人の紹介、面接対策まで転職のプロセスを一貫してサポートいたします。上場企業特有の採用プロセスや企業文化についても詳しくアドバイスいたしますので、ぜひご相談ください。

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執筆・編集

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