更新日:2022/08/16
転職に失敗した場合、改めて他の企業への転職にチャレンジするのか、それともいったん現状のまま働いて好機を待つのかなど、選択肢は人それぞれでしょう。
そんな中、最近増えてきつつあるのが、会社を一度退職して他の会社で勤務した後に、再び元の会社に転職する「出戻り転職」です。
この記事では、「出戻り転職」をするために知っておきたいポイントを詳しく解説していきます。
目次
転職活動に臨んだものの、残念ながら結果は失敗......。
その場合に取り得る選択肢には、以下の3パターンがあります。
転職したいという気持ちはあるものの、再度転職活動に臨むのも難しいという場合などは、今の勤務先への不満や、やってみたい新たな仕事への挑戦をいったん我慢して、そのまま働き続けることになります。
2つ目の選択肢は、転職活動に失敗した理由はどこにあるのかを分析したうえで万全な準備を行い、改めて自分がやりたいことができて経験やキャリアが活かせるような新たな転職先を探すことです。
3つ目の選択肢が、新たな転職先ではなく、前職に戻るということ、いわゆる「出戻り転職」です。
最近では転職を考えている人だけでなく、人手不足で即戦力を求める企業などが出戻り社員を受け入れるケースも増えつつあるようです。
「出戻り転職」とは、会社を一度退職して他の会社で勤務した後に、再び元の会社に転職することをいいます。他社で働いてみて、「やっぱり前の会社の方がいい」と感じ、出戻り転職をする人も少なくないようです。
とはいえ、出戻り転職はそう簡単にうまくいくとは限りません。必ずしも、以前と同じ雰囲気、関係性で働けるとは限らないからです。転職する側にとっても、企業側にとってもメリットが多い反面、出戻り転職ゆえのデメリットもありますから注意が必要です。
出戻り転職には、それなりのハードルがあるということを忘れないようにしたいものです。
次項以降、出戻り転職のメリット・デメリット、転職にあたって注意すべき点などを詳しく紹介します。
ここではまず、出戻り転職する側にとってどんなメリットがあるかを見ていきましょう。
以前勤務していた企業ですから、仕事の内容や社内の雰囲気などはよくわかっているはずです。また、その企業の良い面だけでなく、悪い面も十分にわかっているでしょう。その上で、再び転職するということですから、他の企業に転職する場合に比べて、ミスマッチが起こる可能性は少ないといえます。
以前の勤め先ですから、社風や企業文化などはわかっていますが、一度他の企業に転職して異なる企業文化などに触れたことによって、最初に勤めていたときよりも客観的に自社を見ることができるようになります。
転職活動はすぐに結果が出る訳ではなく、準備から入社に至るまでには、一般に3ヵ月から半年程度はかかるとされています。転職活動が難航すれば、さらに長期に及び、生活や現在の仕事にも影響が出る場合もあります。
その点、出戻り転職の場合は、企業側も応募者のスキルや人柄などを把握しており、採用までの期間が短縮されるので、転職活動が長引かずに済みます。
かつての勤務先に復帰することになるわけですから、在籍時に積み上げてきた実績やスキルを活かした仕事をすることができます。さらに、他社で培ってきた経験やスキル、ノウハウ、人脈など、一度退職したからこそ得られたものを活かすこともできます。
様々なメリットがある出戻り転職。しかし、残念ながらメリットだけではないのが実情です。
次に、出戻り転職のデメリットを見ていきましょう。
出戻り転職をした場合、全く同じ雇用条件で戻れるとは限らないというのが懸念点です。
他社で積んできた経験やスキルを評価してもらい、以前よりも給与や役職がアップするケースもあるでしょう。
ただし、企業によっては他の社員とのバランスなどを考慮して、以前よりも給与や役職などの待遇が悪くなる可能性もあります。
元の勤務先に復帰するわけですから、かつての上司や同僚、後輩なども既存の社員として多数在籍しているでしょう。「気心が知れていて、阿吽の呼吸で仕事ができる」と、暖かく迎え入れてもらえればいいのですが、そうとは限りません。
「一度辞めたのに、戻ってくるなんて...」と、出戻りを面白く思わない人がいても不思議ではありません。退職してからの期間が長ければ、以前在籍していたときとは会社の雰囲気が変わっていたり、自分の退職後に入社した人が上司や同僚になったりすることも珍しくありません。
出戻り転職した場合には、人間関係を改めて築く必要があると心得ておきたいものです。
ここまでは出戻り転職をする側のメリット・デメリットをご説明してきました。
それでは逆に、「出戻り社員を採用する企業側」にはどういったメリットがあるのでしょうか?
もともとその企業で働いていたわけですから、即戦力として活躍することが期待できます。人手不足が叫ばれている時代において、即戦力となる出戻り社員は貴重な人材となります。
新たに中途採用者を雇う場合、その企業の仕事に早く適応できるように研修などを行う必要があり、当然、そのためのコストもかかります。その点、出戻り社員を採用すれば、そうしたコストが大幅に削減できるので、企業にとっては大きなメリットだといえます。
さらに出戻り社員には、他社で培ってきた経験やスキルが身についています。育成コストをかけることなく、新たな経験やスキルを仕事に活かしてもらえることもプラスの効果となるでしょう。
以前働いていた社員ですから、その人の能力やスキル、人柄などは十分にわかっているはずです。ですから、転職する側と同じように、企業側にとっても、ミスマッチは起こりにくいといえるでしょう。
一方、出戻り社員を採用した場合のデメリットとして考えられるのは、他の社員との関係性です。
一度辞めた人が再び戻ってくるわけですから、「また一緒に仕事ができる!」という歓迎ムードがある一方、それを快く思わない人も出てくるはずです。
「どうせ長続きせず、また辞めるのだろう」と不信感を抱かれる可能性があり、役職や給与で優遇された場合には社員の間に不満が生じかねません。
企業側としては、出戻り社員の雇用を成功させるために、他の社員とのバランスを考えることが重要だといえるでしょう。
以前の勤務先に出戻り転職する方法には、大きく分けて次の2つがあります。
1)の場合、他の応募者と同じように転職活動に臨んでいては、以前働いていたとはいっても、出戻り転職の可能性は高まりません。応募書類や面接で、「他社に転職して、御社の○○が良いことに気付きました」「御社には、他者にない○○があるからです」といった前向きな転職理由や志望動機を述べたり、転職先での経験やスキルをどう活かして貢献したいと考えているかなどをしっかりとアピールしたりすることが大切です。
出戻り転職を成功させるには、1)の通常ルートではなく、伝手を活用する2)のの方が採用確率がグンと高まるでしょう。先輩や同僚を通して、あるいは直接、元の上司と連絡を取り、出戻り転職したい旨を相談して、採用担当者への橋渡しや根回しなどをサポートしてもらうことで、採用への道をできるだけ確実なものにしましょう。
その際重要なのは、次項でも述べるように、辞めた後も元上司や同僚と頻繁に連絡を取り合える関係があるかどうかです。これがなければ、出戻り転職はしづらくなるといえるでしょう。
出戻り転職ができるためには、以前勤務していた際の働き方や退職後の人間関係などが大きく関わってきます。
まず、以前勤務していたときに信頼と実績を残していたことが挙げられます。信頼や実績がない社員を再び雇いたいと考える企業は少ないでしょう。
信頼と実績がある社員が辞めてしまったのは、企業側にとってはマイナスだったはず。その社員が戻ってきてくれることは利益になります。
出戻り転職ができる人の条件の2点目は、迷惑をかけずに円満退職したかどうかです。退職時にきちんと引き継ぎを済ませるなど、支障なく辞めていった人であれば、企業側も出戻り転職を躊躇することはないでしょう。
しかし、きちんと引き継ぎをしなかったり、感情的なしこりを残すような後味の悪い辞め方をしたりした場合には、出戻り社員を積極的に受け入れようとは思わないものです。
出戻り転職をする場合だけに限らず、職場の人間関係を良好にしてトラブルを起こすことなく、円満退職できるようにしておくことが大切です。
出戻り転職ができるかどうかのもう1つ重要なポイントが、退職後も元上司や同僚と密に連絡を取り合っているかどうかです。
出戻りで元の勤務先に転職しようとしている人は、いったんはその企業を離れる選択をしたわけですから、「出戻りでもぜひ再び雇いたい」と思うような人材でない限り、企業側から復帰に積極的に動いてはくれないでしょう。
その点、元上司や同僚と頻繁に連絡を取り、関係を維持しておけば、出戻り転職にあたって有効な後押しが得られる可能性があります。また、転職後もスムーズに職場復帰しやすくなるので、辞めた後も人間関係を大切にしておきたいものです。
一方、以下のような人は、出戻り転職しづらいといえます。
出戻り転職ができる人の特徴の裏返しで、円満退職できなかった人は、やはり出戻り転職がしづらくなります。円満退職できなかったというマイナスイメージは、転職活動の際にも不利に働きますし、仮に転職した場合でも、退職時のしこりが残っている職場では働きづらくなるでしょう。
繰り返しになりますが、出戻り転職の場合はもちろん、他社への転職であっても、円満退社でないことは転職にとって不利な要因にしかならないことを肝に銘じておきましょう。
勤続年数が短い場合、その企業での実績や人間関係がそれほど築けているわけではありません。そのため、勤務年数が長く、信頼と実績を残していた人に比べると、出戻り転職は難しいといえます。
最後に、出戻り転職をする際に気を付けておくべきポイントを確認しておきましょう。
出戻り転職を考えたら、出戻りする会社を辞めることになったきっかけや原因を振り返ってみましょう。
これまでも見てきたように、辞め方は出戻り転職するにあたって、大きな影響を及ぼすものです。在職時の人間関係のトラブルがきっかけで辞めた、円満退社ではなかったなど、辞めた理由如何によっては、出戻り転職することが難しくなりかねません。
次に、「なぜ出戻りしたいのか?」という転職理由です。企業側にとっても、「なぜ出戻り転職したいのか?」は、転職の可否を判断するにあたって大きなポイントとなります。
単に「やっぱり元の職場の方が良かった」「転職したものの、うまくいかなかったから」といった理由では、出戻りしたくても説得力が全く感じられません。
転職によって得た新たな経験やスキルを活かしたり、異なった企業文化や仕事に対するスタンスなどをフィードバックしたりすることによって、以前の在職時とは違ったプラスアルファの貢献をしたいといったことをアピールできるようにしておきましょう。
転職に失敗した場合の選択肢として、出戻り転職が転職者、企業の双方にとって有効であることはこれまで見てきたとおりです。
もちろん、出戻り転職がうまくいくためには、さまざまな条件をクリアしておかなければなりません。
結果的に辞めることになるとしても、出戻り転職するだけでなく、転職先の取引相手として関係が継続することもあります。勤務していた頃に築いた信頼や人間関係を大切にして、かつ謙虚さとやる気を持って出戻り転職に臨むようにしましょう。
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