更新日:2025/05/19
この記事のまとめ
転職を検討する際に「一度離れた会社に戻る」という選択肢を考えたことはありませんか。転職したものの、期待と現実のギャップに直面し、以前の職場が恋しくなることは珍しくありません。近年、出戻り転職は珍しいケースではなくなりつつあります。
しかし、どのように元の職場にアプローチすればよいか、出戻り転職のデメリットは何か、分からない方もいるでしょう。本記事では、出戻り転職のメリットとデメリット、成功させるためのポイントを紹介します。
目次
転職活動に臨んだものの、残念ながら失敗した際に、取り得る選択肢には以下の3パターンがあります。
一度辞めた会社に戻るのは難しいと思われがちですが、近年の雇用環境の変化により、この選択肢が以前より現実的になっています。なぜ出戻り転職が注目されるようになったのか、また、成功しやすい人と難しい人にはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、出戻り転職というキャリアの選択肢について、その難しさや実現可能性を探っていきましょう。
「出戻り転職」とは、会社を一度退職してほかの会社で働いた後に、もう一度以前の勤務先に転職することをいいます。他社で働いてみて「やっぱり前の会社の方がいい」と感じ、出戻り転職をする人も少なくありません。
ただし、出戻り転職したからといって、以前と同じ雰囲気や関係性で働けるとは限りません。転職する側にとっても企業にとってもメリットが多い反面、出戻り転職ゆえのデメリットもあるため注意が必要です。
出戻り転職が受け入れられる背景には、少子高齢化による労働人口の減少と働き方に対する意識の変化という2つの大きな要因があります。企業が人材確保に苦戦する中、即戦力となる中堅・ベテラン層の需要が高まっているといます。
出戻り社員は社風や業務内容を理解しているため、すぐに戦力になれるメリットがあります。また、他社での経験を持ち帰ることで、新たな視点や知識を会社にもたらすことも魅力です。
中には、出戻り転職者を積極的に受け入れるカムバック制度を設ける企業もあります。人材の流動性が高まる現代社会において、出戻り転職は双方にとって価値ある選択肢として注目されています。
出戻り転職を選択する人には、いくつかの特徴的なパターンがあります。成功しやすいのは、在籍時に高い評価を得ていた人や退職後も元同僚と良好な関係を保っている人です。円満退社だった場合も受け入れられやすい傾向があります。一方、在籍期間が極端に短かったり退職時にトラブルがあった人は、難しい場合が多いでしょう。
出戻り転職の動機は、転職先での環境や業務内容のミスマッチのほか、キャリアアップのために得た新たなスキルを元の会社で活かしたいという前向きな理由も多く見られます。また、他社で得た経験を通じて、以前の職場の良さを再評価するケースも少なくありません。
出戻り転職者は即戦力として期待される反面、以前と同じ待遇が保証されるわけではないことを理解する必要があります。また、周囲の目や自分自身の心理的プレッシャーへの対処も重要です。
出戻り転職には、ほかの転職にはないさまざまなメリットがあります。新しい会社に転職するよりミスマッチのリスクが低く、経験を活かせるのが魅力です。ここでは、出戻り転職にはどのようなメリットがあるかを見てみましょう。
以前勤務していたため、仕事の内容や社内の雰囲気はよく知っています。また、企業の良い面だけでなく、悪い面も十分に分かっているでしょう。そのうえで、再び転職するのであれば、ほかの企業に転職する場合に比べて、ミスマッチは少ないといえます。
以前の勤め先ということは、社風や企業文化は分かっています。しかし、一度ほかの企業に転職して異なる企業文化に触れたことによって、最初に勤めていたときよりも客観的に自社を見ることができます。
転職活動はすぐに結果が出るわけではありません。転職活動の準備から入社までは、3ヵ月から半年程度はかかるのが一般的です。転職活動が難航すれば、さらに長期におよび、生活や現在の仕事に影響が出る場合もあります。
出戻り転職の場合、企業が応募者のスキルや人柄を把握しており、採用までの期間が短縮されるため、転職活動が長引かずに済みます。
かつての勤務先に復帰するため、在籍時に積み上げた実績やスキルを活かした仕事ができます。さらに、一度退職したからこそ得られた他社での経験やスキル、知識、人脈を活かせます。
さまざまなメリットがある出戻り転職ですが、メリットだけではありません。以前在籍していたときと社員や雰囲気、雇用条件が異なる場合、デメリットを感じることもあります。ここでは、出戻り転職のデメリットを見ていきましょう。
出戻り転職をした場合、まったく同じ雇用条件で戻れるとは限らないのが懸念点です。他社で積んだ経験やスキルを評価してもらい、以前よりも給与や役職がアップするケースもあるでしょう。
ただし、企業によってはほかの社員とのバランスを考慮して、以前よりも給与や役職の待遇が悪くなる可能性もあります。
元の勤務先に復帰すると、かつての上司や同僚、後輩が既存の社員として多数在籍しています。「気心が知れていて、阿吽の呼吸で仕事ができる」と、温かく迎え入れてもらえればよいものの、そうとは限りません。中には、「一度辞めたのに、戻ってくるなんて」と、出戻りを面白く思わない人もいるでしょう。
退職してからの期間が長ければ、以前とは会社の雰囲気が違うこともあります。自分が退職した後に入社した面識のない人が上司や同僚になることも珍しくありません。そういった場合、元の勤務先でも人間関係を改めて築き直す必要があります。
出戻り転職をする人のメリット・デメリットを踏まえたうえで、出戻り社員を採用する企業のメリットを紹介します。企業の思惑を知ることで、応募書類の作成や面接対策、元上司へのアプローチといった転職活動で役立つでしょう。
もともとその企業で働いていたことから、即戦力としての活躍が期待できます。人手不足の中、即戦力となる出戻り社員は貴重な人材となり得るでしょう。
新たに中途採用者を雇う場合、企業の仕事に早く適応できるように研修などを行う必要があり、そのためのコストもかかります。出戻り社員を採用すれば、そうしたコストが大幅に削減できるため、企業にとっては大きなメリットです。
さらに、出戻り社員は他社で培った経験やスキルが身についています。育成コストをあまりかけずに、他社での経験やスキルを自社の仕事に活かしてもらえるでしょう。
以前働いていた人材であることから、能力やスキル、人柄は理解されています。そのため、応募者と同様に、企業にとってもミスマッチは起こりにくいです。
出戻り社員を採用した場合のデメリットとして考えられるのは、ほかの社員との関係性です。一度辞めた人が再び戻ってくるため、また一緒に仕事ができると喜ぶ人がいる一方、快く思わない人もいます。
「どうせ長続きせず、また辞めるのだろう」という不信感が生まれ、役職や給与に関して優遇すれば、ほかの社員が不満を感じるでしょう。出戻り社員の雇用を成功させるには、ほかの社員とのバランスを考えることが重要です。
出戻り転職を決意したものの、どのように転職活動をすればよいか分からない方もいるかもしれません。以前の勤務先に出戻り転職する方法は、主に2つです。ここでは、それぞれの方法の特徴や成功させるコツを紹介します。
通常の転職活動をするのがひとつの方法です。ただし、ほかの応募者と同じように転職活動に臨んでいては、出戻り転職は成功しないでしょう。
応募書類や面接では、「御社には他社にはない○○という強みがあるためです」「他社で働くことで、御社の○○がほかにはない魅力であると気付きました」と出戻り転職ならではの前向きな転職理由や志望動機を伝えて、転職先での経験やスキルをどう活かして貢献したいかアピールすることが大切です。
出戻り転職では、以前の人間関係を活かしたほうが転職の成功率が高まります。先輩や同僚を通して、あるいは直接元の上司と連絡を取り、出戻り転職したい旨を相談しましょう。採用担当者への橋渡しや根回しをサポートしてもらうことで、採用への道が開けます。
重要なのは、辞めた後も元上司や同僚と頻繁に連絡を取り合える関係かどうかです。これがなければ、出戻り転職は難しいでしょう。
出戻り転職ができるかどうかは、以前勤務していた際の働き方や退職後の人間関係が大きく関わってきます。自身の特徴と照らし合わせて、出戻り転職が可能か考えてみるとよいでしょう。ここでは、出戻り転職ができる人の特徴を紹介します。
まず、以前勤務していたときに信頼と実績を残していたことが挙げられます。成果を上げていない社員と再び一緒に働きたい企業は少ないでしょう。
信頼と実績がある社員が辞めたことは、企業にとってはマイナスです。そういった有能な社員が自社に戻ることは、企業にとっては利益になります。
出戻り転職ができるのは、迷惑をかけずに円満退職した人です。退職する際にきっちりと引き継ぎをして、支障なく辞めた人であれば、企業も出戻り社員の採用を考えてくれるでしょう。
一方、きちんと引き継ぎをしなかったり、感情的なしこりを残すような後味の悪い辞め方をしたりした人は、積極的に受け入れようとは思いません。出戻り転職に限らず、職場の人間関係を良好にしてトラブルを起こすことなく、円満退職できるようにすることが大切です。
出戻り転職ができる人は、退職後も元上司や同僚と密に連絡を取り合っている人です。いったんは企業を離れる選択をしたため、「出戻りでもぜひ再び雇いたい」と思えるような人材でなければ、企業は積極的に動いてはくれないでしょう。
元上司や同僚とまめに連絡を取り合って、関係を維持しておけば、出戻り転職で後押しが得られるかもしれません。転職後もスムーズに職場復帰しやすくなるため、辞めた後も人間関係を大切するとよいでしょう。
出戻り転職しづらい人にもいくつかの特徴があります。自身に当てはまる場合、元上司や同僚に頼らず、ほかの応募者と同じように通常の求人募集に応募した方がよいかもしれません。ここでは、出戻り転職しづらい人の特徴を紹介します。
円満退職できなかった人は、出戻り転職は難しいかもしれません。円満退職ではないというマイナスイメージは、転職活動でも不利に働きます。仮に転職できても、退職時のしこりが残っている職場では働きづらいでしょう。
出戻り転職はもちろん、他社への転職でも、円満退社でないことは転職では不利な要因であることを肝に銘じる必要があります。
勤続年数が短い場合、企業での実績や人間関係がそれほど築けているわけではありません。そのため、勤務年数が長く、信頼と実績を残した人に比べると、出戻り転職は難しいといえます。
出戻り転職を成功させるには、適切な準備と戦略が欠かせません。どのようにして元の職場に戻る道を切り開けばよいのでしょうか。ここでは、出戻り転職を実現するためのアプローチ方法として、説得力のある理由づけから元職場の人間関係の再構築、面接での効果的な自己アピールまで実践的なポイントを紹介します。
出戻り転職の面接では、退職理由と再入社の意図を明確に伝えることが重要です。まずは前回の退職理由を前向きに説明します。「スキルアップのため」「キャリアの幅を広げるため」といった建設的な表現を心がけましょう。
転職先で得た経験やスキルをどのように元の会社で活かせるかを具体的に伝えると、説得力が高まります。たとえば、「他社での営業経験を通じて獲得した新規開拓手法を御社の営業戦略に取り入れたい」といった提案ができると好印象です。
また、出戻りを希望する理由をしっかりと考えて「御社の企業文化や事業内容が自分のキャリアビジョンと合致している」という本質的な理由を伝えれば、採用担当者にも納得してもらえるでしょう。ネガティブな表現は避け、常に前向きな姿勢を示すことが出戻り転職成功の鍵です。
出戻り転職を検討する際は、元上司や信頼できる元同僚への連絡が効果的です。まずは退職時の謝罪から始め、前職の良さに気づいた点を伝えましょう。その後、初心に戻って再び貢献したい気持ちを具体的に説明します。
コンタクト方法は直接会うのが理想的ですが、メールやLINEでも構いません。円満退職していれば、即座に連絡を取っても問題ないでしょう。特に人手不足で即戦力を求めているなら、好反応が期待できます。
一方、返信がなかったりそっけなかったりした場合は、出戻り転職を再検討したほうがよいかもしれません。相手の反応を見極めながら、世間話や職場の近況を尋ねる余裕も持ちましょう。
出戻り転職の面接では、退職理由と他社での経験を上手に伝えることが大切です。「なぜ一度退職したのか」という質問には、キャリアアップやスキル習得のためなどの前向きな理由を誠実に説明しましょう。また、「なぜ再び戻りたいのか」と聞かれたら、転職先で得た経験を具体的にどう活かせるかを伝えます。
面接では「他社での失敗経験から学んだこと」も積極的に語り、成長力をアピールしましょう。志望動機には「出戻りを考えた理由」「外から見た企業の魅力」「他社での経験の活かし方」の3つの要素を盛り込むと説得力が増します。
多くの企業は他社経験を持つ出戻り社員の価値を理解しているため、自信を持って企業への感謝と意欲を伝えましょう。
出戻り転職は人手不足や働き方の意識変化を背景に、即戦力を求める企業に評価されつつあります。成功させるには、説得力のある出戻り理由を準備し、適切なタイミングで元上司や同僚へアプローチすることが重要です。面接では他社での経験をポジティブに伝え、自社に戻ることの価値を明確にアピールしましょう。
マイナビエージェントでは、出戻り転職を含む複雑な転職事情に精通した専任のキャリアアドバイザーが、あなたの状況に合わせた最適な戦略を提案します。面接対策から条件交渉まで徹底サポートし、出戻り転職ならではの説得力ある志望動機の作り方もアドバイスするため、ぜひご相談ください。
転職全般
退職届の紙は何が最適?種類やサイズの選び方を詳しく解説
転職全般
公務員の志望動機の書き方・伝え方は?ポイントや注意点を例文とともに解説!
転職全般
求人について問い合わせメールを送るのはNG?マナーを紹介