更新日:2025/04/10
この記事のまとめ
子育てと仕事の両立、キャリアアップ、ワークライフバランスの改善など、さまざまな理由から育休中の転職を検討する方も多いのではないでしょうか。しかし、育児休業給付金や保育園の問題など、考慮しなければいけない点も多くあり、「なかなか一歩を踏み出せない」という方も少なくありません。
そこでこの記事では、育休中の転職に関するメリットとリスクを詳しく解説します。転職を成功させるための秘訣とともに、育休中の転職について総合的に探っていきましょう。
目次
育休中の転職は、法律上、問題ありません。育児・介護休業法には、育休中の退職を禁止する規定がなく、労働者の権利として認められています。つまり、育児休業中であっても自由に転職活動を行い、新しい職場に移ることが可能です。ただし、いくつかのリスクはあるため、慎重な計画が必要です。育休中の転職は、キャリアアップや働き方の見直しの機会となる一方で、十分な準備と検討が求められるといえるでしょう。
育休中に転職を考える理由はさまざまですが、主に3つの要因が挙げられます。子育てとの両立の難しさ、復帰後の待遇への不満、そして会社や家庭の状況の大きな変化です。以下では、それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。
育休中の転職を考える主な理由のひとつに、子育てとの両立の難しさがあります。「これまでの働き方では時間のやりくりが難しい」「テレワークが認められていないため柔軟に働けない」など、仕事と育児の両立が困難な状況に直面することもあるでしょう。たとえば、職場が遠くて時短勤務でも保育園の迎えに間に合わないケースや、急な子どもの体調不良に対応できない状況などが挙げられます。
育休後の待遇に不満を感じて転職を考えるケースもあります。希望する部署や役職で復職できなかったり、勤務時間が短くなったりすることで転職を検討するケースです。育休前のポジションを外されたり、重要なプロジェクトに参加できなくなったりといったケースも考えられます。
このような状況下では、「やりがいを感じられない職場へ復帰するよりも、理想的な働き方ができる新たな職場に転職したほうがよい」と考える方が一定数いることも理解できるでしょう。
育休中に会社や家庭の状況が大きく変化し、転職を考えるケースがあります。たとえば、会社の組織再編や業績悪化により、復職後の待遇や雇用継続に不安を感じるケースです。社内体制や部署編成の大幅な変更、所属部署のメンバーの大量退職、業績悪化に伴うリストラなどは、育休中の転職を検討する大きな要因となるでしょう。
また、家庭状況の変化、たとえば配偶者の転勤や家族の介護が必要になるなどの理由で、現在の勤務地や勤務形態がライフスタイルに合わなくなることもあります。
育休中の転職活動には、いくつかのメリットがあります。あらかじめメリットを理解しておくことで、転職の決断や準備に役立ちます。育児と仕事の両立を考えるうえで、新たなキャリアの可能性を見いだすきっかけにもなるでしょう。ここでは、育休中の転職活動における主な3つのメリットについて詳しく解説します。
育休中の転職には、引継ぎの負担が少ないという大きなメリットがあります。通常、職場復帰後に退職する場合は業務の引継ぎや役割分担が必要です。しかし育休中は、すでに仕事の引継ぎが済んでいるため、改めて行う必要がありません。これにより、退職手続きのみで済むケースが多く、心理的なストレスも軽減されるでしょう。
育休中の転職活動では、子育てに理解のある企業や柔軟な勤務形態を提供する会社を選びやすいというメリットがあります。時短勤務やテレワークなど、子育てに配慮した制度を持つ企業を探せます。また、育児と仕事の両立に関する自身のニーズをしっかりと見極める時間的余裕があるため、長期的なキャリアプランを考慮した転職先選びが可能です。
育休中は、子どもの成長に合わせた働き方や家族のサポート体制など、さまざまな要素を考慮しながら自分に最適な企業を選択できる貴重な機会といえるでしょう。
育休中に退職した場合でも、失業保険の受給要件は変わりません。ほかの退職者と同じように一定の条件を満たせば失業保険を受給できます。受給資格を得るには、すぐに就労可能な状態で就職活動の意思があることや、退職日前2年間で雇用保険の被保険者期間が通算12ヵ月以上あることなどが条件です。
育児を理由とする退職の場合は特定理由離職者とみなされ、受給期間の延長が認められることがあります。これらの制度を理解しておくと、転職先が見つからない状態で退職した場合でも経済的なリスクを最小限に抑えられるでしょう。
参照:基本手当について|厚生労働省
参照:雇用保険法|e-GOV法令検索
育休中の転職にはメリットがある一方で、いくつかのリスクもあります。これらのリスクは、経済面や子育て環境、キャリア形成に大きな影響を与える可能性があるため、育休中の転職を検討する際は十分に理解したうえで慎重に計画を立てることが重要です。以下では、主なリスクについて詳しく解説します。
育児休業給付金は、子育てをしながら仕事に復帰することを支援する制度です。しかし、育休中に退職すると、受け取れなくなるリスクがあります。育児休業給付金は、退職日を含む月の前月までが給付対象となり、それ以降は支給されません。ただし、月末が退職日の場合は退職日を含む月まで給付対象です。
このため、育休中の転職を考える際は、受給期間と新しい職場の入社時期を慎重に検討する必要があります。なお、育休中の退職では育児休業給付金が打ち切られますが、満額の育児休業給付金が支払われるタイミングである育休明けと同時の退職や復帰後の退職であれば満額受け取れます。
保育園の入園審査に、育休中の転職が影響を与える可能性があるため注意が必要です。一部の自治体では、入園申請時の勤務先と復職時の勤務先が異なると、入園が取り消されるケースがあります。また、転職活動中で就職先が決まっていない場合は「求職中」と判断され、審査の優先順位が下がる可能性もあるでしょう。
さらに、保育園継続利用にも影響が出る場合があります。事前に自治体の窓口で詳細な情報を収集し、計画的に転職活動を進めることが重要です。
育休中の転職は、職場に迷惑をかける可能性もあります。会社は社員の復職を前提に人員配置や業務調整を行っているため、突然の退職は混乱を招くことがあるでしょう。代替要員の確保や業務の再分配が必要となり、ほかの社員の負担が増加する可能性もあります。また、育休中の社員の復帰を待っていた同僚や上司にとっては、予定外の事態となり、人間関係に影響を与える恐れもあります。
転職後は、すぐに有給休暇や時短勤務を利用できない場合があります。多くの企業では、有給休暇の取得には一定期間の勤務が必要です。法律上、有給休暇は入社後6ヵ月間の継続勤務が条件となります。また、時短勤務制度も、入社後1年以上経過している社員が対象となることが多い傾向です。
そのため、子どもの急な病気や保育園からの呼び出しに対応できない可能性があります。転職先選びでは、これらの制度の利用開始時期について事前に確認し、育児と仕事の両立が可能な職場を選ぶことが重要といえるでしょう。
育休中の転職を成功させるためには、適切な準備と戦略が欠かせません。子育てと仕事の両立を考慮しつつ、自身のキャリアアップを図るには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、育休中の転職活動を成功に導くための具体的な秘訣を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
育休中の転職活動では、子どもの預け先の確保が重要です。面接や会社訪問の際に子どもを預ける必要があるため、事前に保育園やベビーシッターなどの確保が欠かせません。認可保育園や認証保育園、企業主導型保育園などの入園状況を確認し、できるだけ早めに準備を進めましょう。
また、一時保育やファミリーサポートなどの利用も検討するとよいでしょう。預け先が決まっていないと、転職活動に集中できないだけでなく、企業側も採用活動を円滑に進めることができない可能性があります。子どもの預け先を事前に確保することで、転職活動をスムーズに進められるでしょう。
育休中の転職を成功させるには、自身のスキルや経験を活かせる企業を選ぶことも大切です。これにより、即戦力として評価されやすく、採用のチャンスが高まります。まずは自己分析を行い、強みを明確にしましょう。次に、その強みを活かせる企業を徹底的にリサーチします。
中小企業やベンチャー企業も視野に入れると、柔軟な働き方が可能な環境が見つかりやすいでしょう。スキルを活かせる企業選びは、長期的なキャリア形成にも大きく影響するため、慎重に検討することをおすすめします。
企業研究は、入社後のミスマッチを防ぎ、面接での自己アピールを効果的に行うために欠かせません。まず、企業の基本情報や業務内容を確認し、企業理念や求める人物像を把握しましょう。企業の全体像を把握すると、応募を検討している企業の比較が容易になります。
また、業界動向や将来性についても調査し、長期的なキャリアプランを考慮することがポイントです。企業研究で得た情報は、応募書類作成や面接準備、企業比較など、転職活動のさまざまな場面で活用できます。
育休中の転職では、転職先が決まってから現職を退職することをおすすめします。退職すると育児休業給付金が受け取れなくなるため、転職先が決まってから退職することで、経済的なリスクを軽減できるでしょう。
また、ブランク期間の発生も避けられます。転職活動中に予期せぬ空白期間が生じると、キャリアに影響を与える可能性があるため注意が必要です。さらに、万が一転職活動がうまくいかなかった場合でも、現職への復帰という選択肢を残しておけます。
育休中の転職活動をスムーズに進めるには、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントは、豊富な求人情報と専門知識を持っているため、育児と仕事の両立を考慮した求人を紹介してくれます。企業の育児支援制度や職場環境についての詳細な情報も得られるため、ミスマッチも防げるでしょう。
また、書類作成から面接対策まで幅広くサポートしてくれる点も魅力といえます。育休中の転職特有の課題にも精通しているため、安心して相談できる心強い味方となるでしょう。
育休中の転職には特有の課題がありますが、マイナビエージェントはそれらを熟知したサポートを提供しています。経験豊富なキャリアアドバイザーが、あなたの状況やニーズを丁寧にヒアリングし、子育てとの両立が可能な企業を厳選してご紹介します。
書類作成から面接対策、さらには条件交渉まで、転職活動の全過程をきめ細かくサポートしますので、ぜひご活用ください。
育休中の転職は、キャリアアップや働き方の見直しの機会となる一方で、いくつかのリスクも伴うため慎重な計画が必要です。育児休業給付金や保育園の継続利用への影響を考慮しつつ、自身のスキルや経験を活かせる企業を選ぶことが転職成功の秘訣といえるでしょう。
育休中の転職に関するお悩みは、マイナビエージェントにご相談ください。専門家のサポートを受けることで、育休中の転職を成功させ、理想のワークライフバランスを実現しましょう。
転職全般
転職時に厚生年金の手続きは必要?それとも不要?ケース別に詳しく解説
転職全般
正社員とパートの違いを徹底解説|メリットデメリット・転職成功の秘訣も必見
転職全般
転職する際の引っ越しのタイミングとは?成功への最適スケジュール