更新日:2024/06/21
企業の法律に関する業務を担う法務部は、トラブルを未然に防いだり、早期に解決したりするための大切な役割を担っています。
とはいえ、具体的な仕事内容をイメージしづらい人も多いのではないでしょうか。そこで、企業の法務部における主な仕事内容を5つご紹介し、どうすれば企業の法務として活躍できるのかをご紹介します。
目次
法務部の主な仕事内容は、大きく分けて5つあります。
法律に関する仕事であるという点は全て同じですが、「社内の仕事か、社外の仕事か」「トラブルを防ぐための仕事なのか、トラブルを解決するための仕事なのか」といった点が異なります。
それぞれの具体的な仕事内容をまとめました。
法務部のメインの仕事内容として最初に挙げられるのは、取引先との契約書類等を確認する業務です。
企業は、取引で契約を交わす際、売買契約書や業務委託契約書など、様々な契約書を作成します。
契約を結ぶということは、契約書に定められた条項を承諾するということです。後のトラブルを防ぐため、事前に契約書の内容に問題がないかを十分確認する必要があります。
「どのような条件で契約を結ぶのか」「トラブルが起こった際にはどのように対処すべきか」「契約内容を変えたい場合はどうすればいいのか」など、自社にとって不利な契約を結んでしまうことがないよう、法律に詳しい法務担当者による厳重な精査が必要です。
社内規定を整備する際、内容に問題がないかどうか、チェックすることも法務部の業務となります。
企業内には、就業規則や賃金規定、服務規程などの規定が存在しています。これらの規定は、企業が独自に定めるものですが、労働法などの法律に抵触する内容を定めるわけにはいきません。
対外に事業の健全さを主張できるか、何より従業員の正当な権利が守られているか、法務の見識を用いて社内規定を整備します。
法律に関する社内相談窓口として社員の質問に答えることも法務部の業務です。
たとえば、リードビジネスを行う事業において、クライアントのドメインとなるウェブサイトでアンケートを行うとします。営業担当者や企画担当者が氏名やメールアドレスを回収する際、法的に問題ないかどうか疑問に思うことがあるでしょう。
そんなとき、法務部が社内相談窓口となり、個人情報保護法を確認し実行できるかどうか判断します。
また、パワハラやセクハラといった社内の問題に関する相談を受けたり、労働法等に関する社内研修を行ったりするのも法務部の仕事です。
子会社を設立したり、株式の発行や分割等を行ったり、企業経営を行ったりする上で、必要な法的手続きを行うのも法務部の業務です。
事業は、法律と切り離せない関係にあり、法的な知識や手続きが必要な作業が頻出します。その際には、税理士や経営陣と相談しながら進めるのが法務部の仕事です。
また、株主総会や取締役会を、会社法に則った正式な形で開催する役割も果たしています。
顧客からクレームを受けた場合や、取引先とのあいだで紛争が起こった場合は、企業の法務部が訴訟対応などを行います。
法務部の具体的な業務内容は、企業が顧客とトラブルを起こさないために、事前に契約書の確認や営業からの相談受付などを行うことです。
事前の対処を行っていたにもかかわらず顧客からクレームが入るなど、問題が起こることもあります。そのようなとき、企業の内情をとりまとめ現状を把握し、専門的な法律の知識を用いて、企業が不利益を被ることがないよう対処するのが法務の仕事です。
法務の仕事に就くには、法学部を卒業するか、関連資格を取得するかの、いずれかになります。
法務として企業で働くには、法律に関する十分な知識が必要となりますから、これ以外の方法で就職を目指すことはほぼ不可能です。新卒の方、またはすでに大学を卒業している方が、卒業後に就職して法務部に配属されるための方法を見ていきましょう。
大学卒業後の進路として、企業の法務部を視野に入れて学部を選択していた場合や、そもそも法律家を志して法学部に入学していた場合は、そのままストレートに法務部への配属を狙うことができます。
一方、すでに大学を卒業している場合など、あらためて法学部に入学し直したり、転籍したりするのが難しい場合もあるでしょう。そのような場合は、下記で紹介する関連資格の取得を目指すことになります。
行政書士や司法書士など、法律に関する資格を取得したり、司法試験合格といった実績を積んだりすることで、企業の法務部への配属を目指せます。
法律に関連する資格は難度が高く、簡単には取得できない場合もあるでしょう。しかし、正しい法律知識を身に付けていなければ、法務として働くことはできません。
法学部は出ていないが企業の法務として働きたいという場合や、新卒以外で法務部への配属を目指す場合は、資格の取得を検討しましょう。
法務の仕事に就くためには、多くの知識やスキルが求められます。
法務として属した企業が、法律を遵守しながら健全な経営を持続させるため、絶え間ない法律や時事の勉強が必要です。
事業拡大を図る際には、何ができて、何ができないのかという線引きを正しく行い社内に示唆します。
時勢に逆らわぬ安定した経営とトラブル回避を図る法務の仕事には求められるスキルが多々ありますが、ここでは4つのスキルに着目してご説明します。
法務の仕事には、高度な法律知識が不可欠です。企業の法務担当者が正しい法律知識を持っていなければ、法的なトラブルに対処したり、法令遵守のため適切な対応を行ったりすることができません。
また、法制度は日々改正されていくことから、常に最新の法令を理解している必要があります。法務担当者は常に学び続け、情報をアップデートし続けなければなりません。
企業の法務担当者は、自社の事業内容や、業界の知識に精通している必要があります。
ただ単に、法律に詳しい専門家に法律問題を委任したいというのであれば、わざわざ社内に法務部を作る必要はありません。外部の法律事務所等と顧問契約を結べば事足りるからです。
しかし、外部の法律専門家が自社の業界に関する詳しい知識、ひいては事業を改善していこうという向上心を持っているとは限りません。
事業内容や自社の立ち位置、業界の情報などを踏まえ、法律に抵触せず経営を行い事業拡大するため、専門的なアドバイスを行うのが、企業法務の役割なのです。
海外企業との取引がある会社では、英語での交渉等が行われる可能性もあります。取引先の主張を正しく理解するとともに、自社の主張を伝えるためにも、高い英語力が求められる場合があるでしょう。
ちなみに、外資系企業の法務に就職する場合、英語力は必須となります。
法務は、法律の専門家同士でのやりとりだけを行うわけではありません。社員からの質問に答えたり、ヒアリングから問題をくみ上げたりする上では、ある程度のコミュニケーションスキルが求められます。
また、取引先等とのやりとりを行う上でも、コミュニケーションスキルは大切です。いくら法的な知識が豊富でも、一方的に自社の主張をするだけでは、交渉はうまく進まないでしょう。
相手の主張を聞き、うまく折り合いをつけていく力が必要です。
企業は事業を展開する上で、法令を遵守しつつ利益を追求していく必要があります。法務は、その線引きを明確にする大切な役割だといえるでしょう。やりがいのある仕事ですが、その分、就職は狭き門となっています。
企業の法務部として活躍したい方は、まず情報収集から始めてみはいかがでしょうか。その際には、マイナビエージェントにご相談ください。
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