ITサービスマネージャとはどのような資格?勉強法と取得後のキャリアパス|求人・転職エージェント

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更新日:2023/05/16

IT業界

ITサービスマネージャとはどのような資格?勉強法と取得後のキャリアパス

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この記事のまとめ

  • ITサービスマネージャはシステムの設計・開発・運用に必要なスキルを有していて、リーダーとして活躍できることを証明する資格。
  • 資格を取得するには、多肢選択式試験や論述試験などのさまざまなタイプの試験対策が必須。
  • ITサービスマネージャはIT業界でプロジェクトマネージャーや経営層などへのキャリアアップを目指したい方におすすめの資格。

ITサービスマネージャは、システムを安定的に稼働させたりトラブルが発生したときに速やかに対処したりするのに必要なスキルを有することを証明する資格です。キャリアアップを目的としてITサービスマネージャの取得を目標にしている方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ITサービスマネージャ試験の内容や試験対策として有効な勉強方法を紹介します。スキルアップ・キャリアアップにつながるため、この機会に取得を目指すのもおすすめです。

目次

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ITサービスマネージャ試験とは?

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ITサービスマネージャ試験は、経済産業省が認定する国家資格である「情報処理技術者試験」の試験区分のひとつです。システムエンジニアとして体系的な知識を身につけたい人のほか、ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーなど、裁量権が大きいポジションを目指しているのであれば、取得しておきたい資格といえるでしょう。

ITサービスマネージャ試験では、システムの導入や維持・拡張のほか、システムの管理方法、情報セキュリティ対策、障害を最小限に抑えるための対処法、ITサービス改善に向けての立案など、さまざまな知識が問われます。記述問題では、論理的思考力や文章表現力も求められるため、合格は容易ではありません。

受験資格の制限はないため、実務未経験者でも受験できますが、実務をこなしながら数ヵ月から数年かけて合格を目指すのが一般的です。

ITサービスマネージャ試験の出題内容

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試験は午前I・午前II・午後I・午後IIの4つに分かれており、午前は4つの選択肢からひとつを選択する多肢選択式、午後は記述・論述式です。それぞれの試験時間と出題数、解答数は以下のとおりです。

  • 午前I:50分/多肢選択式/出題数・解答数ともに30問
  • 午前II:40分/多肢選択式/出題数・解答数ともに25問
  • 午後I:90分/記述式/3問中2問を選択して解答
  • 午後II:120分/論述式/2問中1問を選択して解答

出題範囲

ITサービスマネージャは、安全性と信頼性の高いITシステムの提供を担う人材です。そのため試験では、以下のようにシステムの安定的な稼働の確保や、トラブル発生時の対策、品質管理などに必要な知識が問われます

  • サービスサポートとサービスデリバリーのプロセスの整備・実行に関すること
  • 安定した情報システム基盤の提供と、効率的なシステムの運用管理に関すること
  • ITサービスとマネジメントプロセスの継続的な改善に関すること
  • 情報セキュリティポリシーの運用と管理、情報セキュリティインシデント管理に関すること
  • 顧客の設備要件に合致したハードウェア・ソフトウェアの導入、カスタマイズ、保守および修理に関すること

受験方法

受験料 7,500円
受験資格 なし
試験時期 毎年4月(年1回)
合格発表時期 毎年6月

2023年4月時点において、ITサービスマネージャ試験の実施時期および受験料は上記のとおりです。毎年1月中旬頃から申し込みの受付がスタートするため、受験する方はIPAの公式サイトから申し込みましょう。

2023年4月時点では、試験はPBT方式で実施されています。合否はWebサイトで受験番号とパスワードを入力して確認する仕組みです。

ITサービスマネージャ試験の難易度

令和4年度春期に行われたITサービスマネージャ試験の合格率は14.8%となっており、難度の高い試験のひとつです。ある程度実務経験を積み、ITスキルと経営的観点を養わないと合格が難しい試験といえます。

ITサービスマネージャ試験に合格するには、午前I・IIおよび午後Iの各試験で60点以上を取ったうえで、午後IIの試験で評価ランクAを取得する必要があります。先の3つの試験の結果が60点に達していなければ、午後IIの試験は採点されず、その時点で不合格です。

【分野別】ITサービスマネージャ試験に合格するための対策

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難易度が高めとされるITサービスマネージャ試験に合格するには、4つの試験それぞれの対策をする必要があります。ここでは、午前I・午前II・午後I・午後IIそれぞれの出題範囲と効果的な対策法を見ていきましょう。

限られた勉強時間を効率的に活用するためにも、勉強を始める前に一通り確認しておくことをおすすめします。

午前I:応用情報技術者試験と共通の学習方法が有用

午前Iの試験ではITエンジニアとして活躍するうえで必要な基礎知識が問われ、出題範囲は応用情報技術者試験と共通です。主に以下の内容が出題されます。

  • ITに関連する基礎的な理論
  • ハードウェア・ソフトウェア
  • インターフェース
  • プログラミング
  • ネットワーク
  • セキュリティ
  • システム監査

出題範囲は幅広いものの、過去問を中心に学習することでカバーできるのが特徴です。午前Iの試験対策としては、過去問を繰り返し解き、出題傾向と解き方をつかむとよいでしょう。なお、応用情報技術者試験に合格している受験者は午前Iの試験が免除されます。

午前II:システム・データベース・マネジメント系を強化する

ITサービスマネージャとして活躍するのに必要とされる専門的な知識・スキルを問う試験が午後IIです。システムやセキュリティなど午前Iと共通する分野が多いものの、内容を比較すると専門性が高く難易度も上がります。

試験方式は多肢選択式で、過去問を中心にした対策が有用なのは午前Iと変わりません。午前Iの試験対策と同様に過去問を繰り返し解きつつ、専門的な知識を覚えていきましょう。

午後I:設計・運用・管理に関する記述問題の対策をする

午後Iの試験では、実務を中心にした記述問題が出題されます。試験問題にはシステムの概要やインシデントへの対応などに関する長文が掲載されており、関連する設問に対する回答を記述する流れです。

計算問題が出題されるため、問題文中の数値と設問で要求されている答えを算出するうえで必要な計算式をマスターしましょう。問題を正しく理解するスキルや、指定された文字数で適切な答えを記述する練習をするのがおすすめです。実務経験が豊富であれば、より有利になるでしょう。

午後II:論述対策をきちんと行う

マネジメントに関する論述問題が出題されるのが、午後IIの試験です。合格するには出題される3つの設問に関連する問題・対策・結果を的確に解答することが求められます。

試験対策では具体的なプロジェクトを考案して設問に解答するのに必要な要素を抜き出し、論文として組み立てる練習をするとよいでしょう。2時間で2,200文字~3,600文字の小論文を書く必要があることを考えると、ライティングスピードを高める意識も大切です。

ITサービスマネージャ試験に合格するための勉強方法

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ITサービスマネージャ試験への合格を目指して勉強する方法は、「独学」と「講座の受講」の大きく2種類に分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の学習スタイルに合ったほうを選ぶことが大切です。

ここでは、参考書を利用して独学する方法と通信講座を利用する方法の2パターンを紹介します。どのように学習を進めるか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

試験対策用の参考書を利用する

独学で合格を目指す方は、ITサービスマネージャ試験に特化した参考書を利用するのがおすすめです。合格に必要な知識を集約した書籍を利用すれば、限られた時間で効率的に学べるでしょう。

論述試験に特化したものをはじめとして、特定の分野に注力した参考書も出版されています。苦手分野がある方は、その分野に特化した参考書を併用するのも有効です。

独学には、学習にかかるコストを抑えられるメリットがあります。そのため、低コストで合格を目指したい方に向いている勉強方法です。一方、学習効率が低下しやすいのがデメリットといえるでしょう。

通信講座を活用する

効率的に学習を進めて合格を目指したいと考えているのであれば、資格スクールが開設している通信講座を受講するのがおすすめです。通信講座であればオンラインで講義を受けられるため、スクールに通う必要はありません。カリキュラムに沿って集中的に学ぶことで、効率的に知識を習得できます。

試験制度・内容に精通したプロの講師の指導を受け、より実際的な知識を習得できるのもメリットです。受講料を負担する必要があるものの、それに見合った学習効果が期待できるでしょう。

ITサービスマネージャの仕事内容

ITサービスマネージャは、ITサービスを提供するためのマネジメント業務を行います。QCD(品質・コスト・提供)を意識しながら運用リーダーとして、そのときの状況に見合った判断を下し、メンバーに指示を出します。

また、情報セキュリティに精通している方も多く、セキュリティ面でも効果的な運用や管理を行い、よりよいITサービスを提供できるようにサービスを改善していきます。必要に応じて改善しつつ、顧客満足度を高めていくことがITサービスマネージャの役割です。

ITサービスマネージャに必要な2つのスキル

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ITサービスマネージャとして働くには、「技術面」と「マネジメント面」に関する幅広い知識・スキルが求められます。その理由は、ITシステムの設計・運用・開発に携わるだけではなく、プロジェクトマネジメントや企業の経営に携わるケースもあるためです。ここからは、ITサービスマネージャとして働こうと考えている方が習得しておきたい知識・スキルを紹介します。

その1.幅広い技術に関する知識

ITサービスマネージャはシステム全体の統括を担当するため、システム全体が分かるレベルの技術・知識が求められます。システムを導入するときには、セットアップを含めたシステムの構築、安定した運用および運用フローの確立を行います。

障害が発生したときは、状況を切り分けて自ら改修もしくは関係部門のメンバーに指示を出して復旧作業を進めます。障害が起こらないように万全なセキュリティ対策を施し、QCDを保つことがITサービスマネージャに求められます。

その2.マネジメント能力

ITサービスマネージャには、マネジメント能力も必要です。プロジェクトを遂行するにあたって、各メンバーを取りまとめて計画どおりに進めるために不可欠なスキルです。

マネジメントと聞くと管理職をイメージする方もいるかもしれませんが、ただのマネージャーではありません。ITサービスマネージャ試験の出題範囲にもありますが、システム監査の知識も必要です。そのため、システムの知識だけではなく、経営に関する理解も必要になるでしょう。

ITサービスマネージャ試験合格が役立つケース

ITサービスマネージャの資格が役立つ職種として、システムの運用・保守・開発・管理に携わるシステムエンジニアが挙げられます。顧客の要望を聞いて、システムエンジニアに橋渡しをするポジションであるITコンサルタントやプロジェクトマネージャーなども、資格を活用できる職種です。

これらの職種に就いている人は、資格を取得することで、顧客の信頼を得たり、顧客の要望に適したシステム開発につなげられたりする可能性が高まるでしょう。ほかにも、ヘルプデスクやコールセンターのリーダー職を目指す場合も、ITサービスマネージャの資格取得はおすすめです。

企業によっては、リーダー職に就くために資格取得を必須としているケースもあります。資格を取得することで、転職や昇進のチャンスも広がるでしょう。

まとめ

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ITサービスマネージャは、システムを設計・開発・運用するのに必要な知識やスキルを有していることを証明する資格です。さまざまなプロジェクトでリーダーとして活躍できる人材であることを客観的にアピールでき、キャリアアップにつなげやすいのもメリットといえるでしょう。プロジェクトマネージャーをはじめとしたマネジメント職を目指している方は、取得を目指すのがおすすめです。

マイナビITエージェントでは、IT業界に精通したキャリアアドバイザーが知識や経験を活かしてキャリアアップしたい方の転職をサポートしています。ITサービスマネージャとしての転職を検討している方は、ぜひ一度ご相談ください。

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執筆・編集

大原 直人

前職は大手メーカー系SIerにて要件定義から実装・導入まで幅広く担当し、現在は関西圏のIT領域責任者を担当しております。エンジニアとしての現場知識を活かし、コンサルタント・SI・WEB系・社内SEなど、ご希望に対する適切な提案を強みとしております。

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