確定拠出年金の仕組みと引き継ぎ方法
「転職とお金」完全ガイド
今の現役世代の人たちがリタイアしたとき、公的年金だけで生活していくのは難しいと考えられることから、“自分年金”を作っておく必要性が高まっています。自分年金は若いときから少しずつ準備しなければなりません。そのために導入されているのが、「確定拠出年金」です。
企業型確定拠出年金の仕組み
確定拠出年金には、企業型と個人型があります。
企業型は企業年金の1つとしてとして導入されるもので、勤務先が掛け金を払い(従業員が給与の一部を掛け金として払うケースもあります)、それを従業員1人1人が投資信託などで運用していく仕組みです。運用に利用する金融商品は、勤務先が提携している運営管理機関(金融機関)が提供しているものの中から選びます。いくつかを組み合わせることも可能です。積み立てたものを引き出せるのは原則として60歳以降です。
確定拠出年金の大きなメリットは、運用で得られた利益に税金がかからないこと。そして、転職したときに転職先に積み立てた資産を移管できる“ポータビリティ”です。
企業型から企業型へ
企業型確定拠出年金に加入していた人が転職したとき、資産の移管先は企業型の場合と個人型の場合があります。
転職先に企業型確定拠出年金があって、その加入資格を満たしている場合は、転職先の運営管理機関にそれまでに積み立てた年金資産を移して、運用を継続することができます。掛金額は転職先の会社によって異なります。また、運営管理機関は会社によって違うため、掛金を運用する金融商品は新たに選び直すことになります。手続きは転職先で行います。
企業型から個人型へ
転職先に企業型確定拠出年金がない場合や、転職して公務員あるいは自営業者になる場合は、個人型確定拠出年金を利用することになります。
個人型を利用するには、個人型確定拠出年金を扱う金融機関を自分で選び、資料請求して口座を開設します。これまで積み立てたものは解約して新たな口座に移し、掛け金を運用する金融商品を選んで運用を続けます。
個人型の場合は、掛け金を自分自身で払わなければなりませんが、全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。年末調整あるいは確定申告でを控除を申告すると、所得税・住民税の負担が少なくなります。
掛け金には次のように上限が決められています。
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確定給付型年金のみがある企業の従業員:
年14万4000円(月1万2000円)
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確定給付型年金のない企業の従業員:
年27万6000円(月2万3000円)
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公務員:
年14万4000円(月1万2000円)
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自営業者:
国民年金基金の掛け金との合計で年81万6000円(月6万8000円)
6カ月以内に必ず手続きを
企業型確定拠出年金に加入していた人が、転職後に企業型あるいは個人型への移管手続きをしないまま一定期間を過ぎると、それまで積み立てた資産は国民年金基金に自動的に移管されてしまいます。
そうすると、掛金の拠出も運用も行われなくなります。自動移管の際には手数料として4269円が積立金から差し引かれ、自動移管されてから4カ月経過すると管理手数料として毎月51円が差し引かれます。
また、自動移管されたあとに企業型または個人型の確定拠出年金に移管する場合には、1080円の手数料もかかります。
自動移管されたままだと、これまで積み立てた年金資産は手数料によってだんだん減ってしまううえ、掛け金を積み立てて“自分年金”を作ることもできなくなっていまいます。
企業型確定拠出年金を移し替える手続きの期限は、退職した翌日の属する月の翌月から6カ月以内です。転職の際にはこの期間内に必ず手続きを行うようにしてください。
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