社会人になり仕事にも慣れ、「新しい知識を勉強したい」と思い始めたものの、何をどう勉強すべきか悩んでいるという方も多いのではないでしょうか。
学生時代とは異なり、社会人は誰にも強制されることなく、自らの意志と判断で勉強を進めていかなければなりません。
そこで今回は、社会人に勉強は必要なのか悩んでいる方や、社会人として働いているけれども何かの勉強を始めたいと考えている方に向けて、勉強で得られるメリットやおすすめの勉強内容・方法などを解説していきます。
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1.社会人に勉強は必要?
学生時代は、どんなことに役立つのかもわからないまま勉強している場合も少なくないでしょう。これに対して、社会人になってからの勉強は、自らの意志でスキルを身につけようとする場合が多いです。
それは、5年後、10年後に理想の自分を実現するための投資にもなります。逆に言えば、社会人で勉強をしないという選択をすることは、自らの成長のチャンスを奪い、大きな機会損失を招くことにもなりかねません。
総務省が実施した「平成28年社会生活基本調査」では、20~50代のうち、45~54 歳を除くすべての年齢で何らかの勉強に取り組む社会人が増加傾向であることがわかっています。特に20~29歳は勉強する人の割合が高く、社会人の学びの重要性が浸透していることがうかがえます。
平均寿命が延びる一方、労働人口の減少が進むとされる日本において、知識や技術を身につけることは自ら価値を高めるものであり、今後ますます必要となってくるでしょう。
一見そのような素振りを見せていないあなたの上司や同僚たちも、将来を見据えて実はコツコツと勉強しているかもしれません。
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1.1.AI技術の進展などで今のままの仕事ができる保証はない
近年のAI技術の目覚ましい発展は私たちの生活をより便利に快適にしてくれる一方、これまで私たちが担ってきた仕事の多くがAIに取って代わられる日がやってきても不思議ではありません。
2015年に株式会社野村総合研究所が公表した研究結果では、日本の労働人口のうち49%に該当する仕事は今後10~20年のうちにAIに代替が可能だと試算されています。
上記の結果から、AIに代替されることが難しい領域のスキルを高めることが、この先のキャリアを守るために重要であると想像できます。そのためには継続的な勉強が避けて通れないということを理解しなければなりません。
【出典】株式会社野村総合研究所「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」
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1.2.政府も社会人の学び直し「リカレント教育」を推進している
政府も、社会人となった大人たちが再び学び直す「リカレント教育」を推進しています。リカレント教育とは、学生時代を終えて学びの場から離れた社会人が再び大学などへ通い、自らの仕事に活かせる能力やスキルを磨き続けることです。
厚生労働省、経済産業省、文部科学省が連携し、社会人が主体的に学べる環境の提供などを行っています。
リカレント教育の詳細は、厚生労働省のページでもご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
(【参考】厚生労働省「リカレント教育」)
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2.勉強をしない・できない人の多くが挙げる主な理由
勉強が必要と考える社会人が多く見受けられる一方、「社会人になってまで勉強しなくても良いのでは」と考える人も一定数います。そのような人たちが勉強しない理由として挙げるのが主に以下の4つの理由です。
2.1. 仕事が忙しくて時間が取れない
「日々の仕事が忙しく、勉強時間が確保できない」というのは、勉強を始められない人の大きな理由の一つです。定時で帰れる職場なら、現実的に平日2~3時間程度の勉強時間を確保することが可能です。
しかし、残業が当たり前の状況では物理的にも精神的にも難しいのが現実でしょう。
2.2.何から始めればいいのかわからない
勉強したいという意思はあるものの何から始めれば良いかわからず、結局手つかずのまま時間が過ぎてしまっているという方もいます。そうした人は、勉強の目的を見出だせていないのかもしれません。
また、目的を持っていても、情報を取り入れすぎてしまうと何が正しいプロセスなのか判断できず、結局何から始めれば良いかわからないという状態に陥るリスクも考えられます。
2.3.今の仕事の評価に反映されないと感じる
成果を正当に評価してもらえない環境に身を置いている人は、「勉強してもどうせ評価には反映されず、意味がない」と感じてしまうでしょう。
勉強は自己投資であり自分自身のためではありますが、そのスキルで会社に貢献しても正当な評価を受けられないような状況下では、勉強する気が起きなくても無理はありません。
2.4. 余暇の時間がなくなる
社会人が勉強時間を捻出するためには、多少なりとも余暇の時間を減らす必要があります。趣味の時間や家族・友人と過ごす時間を勉強に充てるには、それなりの覚悟が必要です。勉強が必要だと強く感じていなければ、貴重な余暇の時間を勉強に割こうという気持ちになりにくいでしょう。
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3.社会人が勉強することで得られるメリット
社会人になってから始める勉強には大きなメリットがあります。主なメリットとしては以下の3点が挙げられます。
3.1.人生の選択の幅が広がる
社会人になってから勉強することで、人生において選択の幅が広がるメリットがあります。今携わっている分野を深掘りするのもまったく新しい分野をイチから学ぶのも同様に価値があり、今後のキャリアの可能性を広げる足がかりになるはずです。
「これしか選べない」ではなく、「これも選べる、あれも選べる」という状況を勉強によって作っていくことができます。
3.2.自身の市場価値を高めることができる
社会人の勉強は自分自身の市場価値を高める手段として有効です。コツコツと積み重ねた知識はいずれ大きな武器となり、自らの市場価値の向上に貢献してくれるでしょう。近年は働き方改革により副業解禁をする企業が増加していることなども影響し、個人の能力がより試され評価される時代となりました。
そのため、自らの市場価値を高める努力をしなければ理想のキャリアを実現することは困難となる可能性が高まっています。未来を見越して地道な努力を積み重ねることが、将来の自分を助けることになるのです。
3.3. やりたいことを仕事にできる
やりたい仕事、魅力的だと感じている仕事があるものの、スキルや知識、資格などがないために諦めてしまっている人は多いと思います。しかし、学び直しによってそれらを身につけることで、本当にやりたかった仕事に就けるチャンスが広がります。
まだ明確にやりたいことが見えていないという人も、勉強をすることで今まで自覚していなかった自分の得意や強みを発見できれば、やりたい仕事が見つかるかもしれません。
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4.社会人の勉強におすすめのジャンル
ここでは、社会人におすすめの勉強内容を紹介します。勉強の方向性が明確に描けていない方はぜひ参考にしてみてください。
4.1.語学
社会人の学び直しの定番と言っても過言ではないのが語学です。特に英語は根強い需要があります。グローバル化により英語力が求められるシーンが増えたことや、公用語に英語を採用する企業が登場したことなどにより、ニーズはより高まっています。
また、自社事業に関連のある言語を勉強すれば新たな仕事に携われるチャンスに恵まれるかもしれません。
4.2.プログラミング
IT社会の現代においてはプログラミングも重要なスキルです。現在は小学校でもプログラミングの授業が導入されていますので、今後社会に出る新卒社員の多くはすでに一定のプログラミングスキルを持ち合わせていることになります。
「プログラミングはできて当たり前」という時代が迫っている今、勉強をしておいて損はないでしょう。
4.3.パソコンスキル
パソコンスキルの勉強はすべての社会人におすすめです。パソコンはオフィスでの仕事になくてはならないツールとなりましたが、十分に使いこなせているわけではないという人も多いと思います。
この先どのような業界、仕事に就いても確実に役立つものであり、勉強が無駄になることもありません。すぐに実務へ活かすこともできるため、勉強のモチベーションも維持しやすいはずです。
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4.4.ビジネスマナー
一般的なビジネスマナーの知識は社会人として必ず身につけておくべきものです。社会人として経験を積めば積むほど「できて当たり前」という認識となり、たとえ誤った言動をしていたとしても教えてくれる人はいなくなりますので、ビジネスマナーの基本はなるべく若いうちにしっかり勉強しておきましょう。
社会人として成長したい、活躍の幅を広げたい、キャリアアップしたいと思っている方ほど勉強することをおすすめします。
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4.5.興味・関心のある仕事に関連するもの
前項までは一般的におすすめの勉強内容を紹介してきましたが、「どうしても勉強の意義を見いだせない」という人もいるかもしれません。
その場合は、やはり自分が興味や関心を持てる分野を勉強するのが良いでしょう。それが自分の仕事に関連するものであればベストです。
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5.社会人におすすめの資格
確実なスキルを身に付けるために、資格取得を目標にするのもおすすめです。
ここからは、業界や職種に関わらず評価に繋がりやすいものに絞り、転職やキャリアアップにも役立つおすすめの資格や試験をご紹介します。
5.1.TOEIC
TOEICは英語力を測るテストで、国際的に多くの人が受験しています。
特にビジネスシーンにおける英語力が試されます。結果はスコアで示され、満点は990点です。
一般に600点以上が評価対象とされ、英語を使用する仕事の場合はさらに高いスコアが求められるでしょう。
複数回受験してスコアアップを目指すこともできます。
TOEICのスコアは英語力を評価する指標として信頼度が高く、転職や昇格の際にはスコアを示すことで英語力をアピールできます。
最近では「TOEIC○○点以上」と応募条件に設定している企業も増えています。
グローバル化が進んでいる現代において最も汎用性の高い言語である英語を使えることは、どのような業界、職種でも評価に繋がりやすいです。
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5.2.マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
WordやExcelなどマイクロソフトオフィス製品に関わるPCスキルを証明する資格です。
「スペシャリスト」とより難易度の高い「エキスパート」の2種類があります。
MOSの魅力は、資料作成やデータ分析など業務ですぐに活用できる実用的な知識とスキルが身に付くことです。
今やどの分野の仕事でもPCスキルを求められる時代ですから、PCスキルを客観的に判断する材料としてMOSを取得しておくことは決して損にはならないでしょう。
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5.3.ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー(FP)は税金や年金、保険などお金に関わる専門知識を証明する資格です。
国家資格の「FP技能士」と民間資格の「AFP」「CFP」がありますが、「FP技能士」は一度取得すると生涯有効になるのでおすすめです。
また、2級FP技能検定はAFP試験も兼ね備えているため、2級FP技能検定に合格し日本FP協会に登録すれば同時にAFPも取得できます。
FPを取得するメリットは、税金から住宅ローン、相続、資産運用まであらゆる面からお金のことが学べることです。
これらの知識は仕事だけでなく自身の家計やライフプランにも役立ちます。
また、FPの資格は金融業界だけでなく、不動産、保険、住宅メーカーなど幅広い分野で活かすことができます。
キャリアアップを図れると同時に、今後のキャリアの選択肢も増えるでしょう。
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6.社会人におすすめの勉強方法
ここでは、社会人におすすめの勉強方法を3つご紹介します。現職で今後長く働いていく方はもちろんですが、転職先で実務に活かせれば上司から高評価を得られるかもしれません。働きながら勉強を継続するために、以下の方法をぜひ取り入れてみてください。
6.1.目的・目標を明確化する
何はともあれ、まずは勉強する目的や目標を明確にしましょう。社会人の勉強はいかに自分自身を奮い立たせられるかが継続の鍵です。
目的や目標が自覚できていないとモチベーションの維持も難しくなり、日常生活における勉強の優先順位はどんどん低くなっていきます。気持ちに迷いが生じたときに立ち返ることができる目的や目標をしっかりと見定めておきましょう。
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6.2.無理のない範囲でスケジュールを組む
無理のないスケジューリングは、社会人が勉強を継続するための鉄則です。短期間で知識を詰め込むやり方もありますが、無理なやり方だと短期間で息切れし、勉強自体が嫌になってしまう恐れがあります。
また、残業など想定外の出来事で勉強のスケジュールが崩れてしまうと、「1回できなかったしもういいや」とモチベーションが保てなくなるかもしれません。勉強習慣を身につけて細く長く勉強を続けていくことを目指し、無理のない余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。
6.3.勉強時間や場所を決めておく
勉強時間や勉強場所をあらかじめ決めておくことも勉強を継続するためにおすすめの方法です。時間をかけることも大切ですが、ダラダラと長時間やるよりもメリハリをつけ短時間で集中する方が効率的です。「平日は○時間、休日は○時間」とあらかじめ時間を設定し、それ以上は勉強しないと割り切ることも必要でしょう。
また、「今日はどこで勉強しよう」と考えるのは意外と負担になり、勉強自体が億劫になりかねません。通勤電車も勉強するにはいい場所です。スケジューリングの際に決めておくと良いでしょう。
【関連記事】「【仕事の目標が立てられない】定性・定量目標の立て方と"SMARTの法則"活用法」
7.転職先の探し方
新たに得た知識と経験を生かし転職を考える人もいるかもしれません。最後は転職先の探し方についてご紹介します。
7.1.求人サイトを活用する
求人サイトは、時間や場所を問わず気軽に自分のペースで転職活動を始めることができます。さまざまな求人情報を集めることができ、チャレンジできる仕事の範囲も広がります。
ただし、応募や日程調整などを全て個人で進めていく必要があるため、最後まで自己管理がしっかり行えることが重要となります。
7.2.転職エージェントを活用する
転職エージェントは、求職者が内定を獲得するためにさまざまなサービスを提供しています。希望条件を元に求人を紹介してくれるので、より自分に合った仕事を見つけやすいでしょう。
その他にも応募書類の添削や面接対策、日程調整などのサポートも行っています。
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8.まとめ
社会人として勉強を継続することは決して簡単なことではありませんが、費やした時間や労力のぶん、自分に返ってくるメリットも大きいものです。時間的な余裕や体力や気力がものをいう面もありますが、仕事を最優先に、負担にならない程度に継続していきましょう。
時には「自分はなぜ勉強しているんだろう」と気持ちがブレてしまうこともあるかもしれません。そのような時には、勉強で知識を身につけて成長した未来の自分の姿を想像し、マイペースにコツコツ積み重ねていきましょう。