社会で働くうえで、なぜ「ビジネスマナー」が必要なのでしょうか。そもそも「マナー」とはなんでしょうか。「マナー」は守らなければならない、できないと恥ずかしい、面倒くさい、そんなふうに思っていませんか。「ビジネスマナー」が必要な3つの理由と、「マナー」の本質についてご紹介します。
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目次
1.そもそもビジネスマナーとは
2.ビジネスマナーが必要な理由
3.社会人として最低限必要なビジネスマナー
4.仕事上のビジネスマナー
5.第二新卒なら身につけておきたいビジネスマナーとは
6.企業に所属しているからこそ意識すべきビジネスマナーとは
7.ビジネスマナーを習得する上での心構え
8.まとめ
1. そもそもビジネスマナーとは
「マナーは堅苦しいから苦手」、「マナーを間違えると恥ずかしい」という言葉をよく耳にしますが、そもそも「マナー」とは何か、ご存じですか?「ルール」と混同している方も多いと思いますので、比較しながら見ていきましょう。
■「ルール」:明文化された「規則」。守らなければ罰則がある。(「交通ルール」や「サッカーのルール」など)
■「マナー」:相手を大切に思う"気持ち"を形式化したもの、「礼儀作法」。守らなくても罰則はなく、自発的に守るもの。(「ビジネスマナー」や「テーブルマナー」など)
つまりビジネスマナーとは、ビジネスにおける相手への"思いやり"なのです。相手を不愉快にさせないという防御的な意味合いだけでなく、「あなたと良い関係をつくっていきたいです」という意思表示にもなります。
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2. ビジネスマナーが必要な理由
社会人が働くうえで何かと議題に挙がるビジネスマナーですが、なぜここまで重要視されているのでしょうか?仕事で成果を挙げていれば細かいマナーは気にする必要はないという考え方もありますが、果たして本当にそうなのでしょうか?
ここでは、ビジネスマナーが必要な3つの理由についてご紹介します。
2.1. 理由その1:ビジネスの場で信頼関係を構築するため
ビジネスの世界は、年齢・性別・経験・価値観の異なる人たちで構成されています。そんな、様々な人たちが共通して持てる一つの指標が「ビジネスマナー」です。
目を合わせて挨拶ができない、言葉の使い方がおかしい、名刺交換の仕方も知らない......そんな「ビジネスマナーの基本」を身につけていない人は信頼できない、と考える人が世の中にはたくさんいます。
2.2. 理由その2:組織のイメージを左右するため
例えば、あなたがある会社に初めて訪問し、受付でとまどっているとき、通りがかった従業員があなたの様子に気づいても、ちらっと視線を投げかけるのみで、挨拶もしなかったとします。あなたは内心、「なに、この"会社"。感じが悪い」とその従業員だけではなく、"会社"そのものに対して不快感を抱くのではないでしょうか。
反対に、その従業員があなたの様子に気づくと、すぐに明るい笑顔で挨拶、「お伺いしていますか?」と親切に問いかけ、的確に取り次いでくれた場合、あなたは「この"会社"、感じがいいなぁ」と"会社"そのものに対して好感をもつでしょう。
これは来客対応だけでなく、電話対応、メール対応にも当てはまります。お客さまから見ると、「対応した従業員一人ひとりが組織の代表」。たった一人の従業員が、組織全体の印象を左右することもあるのです。
2.3. 理由その3:CS(顧客満足)のため
CS(顧客満足)には、「物的要素」と「人的要素」の2つの要素が必要です。
「物的要素」とは、商品の質が良い、種類が豊富、店舗が駅に近いなど。それに対して、「人的要素」とは人がすること、具体的には従業員の商品知識が豊富、笑顔で感じよく応対してくれる、などです。
物があふれ、インターネットを利用してたいていの物が手に入る現代では、「人的要素」を重視される方が多いといわれています。もちろん、物的要素も大切です。人の価値観は様々ですし、商品やサービスによって多少の違いもあるでしょう。ですが、「どうせなら感じのいい"人"から買いたい、感じのいい"人"とビジネスをしたい」という人が多いのです。
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3. 社会人として最低限必要なビジネスマナー
ビジネスマナーとひと言にいっても、その領域は幅広く、一度にすべてをマスターするのは困難です。ここでは、社会人として最低限身につけておくべきビジネスマナーをご紹介します。
3.1. TPOに合わせた挨拶をする
挨拶は、人と人とのコミュニケーションの中で最も基本的な部分です。
挨拶の有無や挨拶のしかたで、相手があなたに抱く印象はガラッと変わります。これから相手と良好な関係性を構築していくために、TPOに合わせた挨拶を使い分けることが大切だと心得ましょう。
挨拶は、ただ「おはようございます」「お疲れ様です」と、マニュアル通り言葉にすれば良い訳ではありません。毎日顔を合わせる同僚や上司、初対面の取引先、お客様など、相手や状況を鑑みて臨機応変に対応できるようにしましょう。
3.2. 時間、期日を守る
資料の提出、商談やミーティングなど、あらゆる場面において時間、期日は厳守しなければなりません。どんなにスキルがあって優秀な人だと評価されていても、時間や期日が守れなければその評価が一瞬で揺らいでしまう程、ビジネスの場面においては重要な要素です。
また万が一間に合わない場合は、遅れが想定された時点で迅速に報告しましょう。間違っても、決められた時間、期日が過ぎるまで何の連絡もしないということがないように注意しましょう。
3.3. 公私混同はしない
仕事にプライベートの感情や物事を持ち込むことは避けなければなりません。仕事とプライベートの境界線をきちんと意識し、公私混同は避けましょう。例えば、仕事中に私用の連絡をしたり、仕事に関係のないサイトを閲覧したりすることは厳禁です。
また、会社の情報や仕事で知り得た秘密情報をプライベートのSNSアカウントに投稿したり、周囲に話したりすることもあってはなりません。
3.4. 身だしなみに気を付ける
身だしなみは、あなたの第一印象を左右する重要な要素です。清潔感があり、相手に不快感を与えない身だしなみを心がけましょう。
なお、身だしなみを整える際は主に以下に注意しましょう。
- 寝ぐせがないよう髪の毛を整え、奇抜なヘアカラーは避ける
- スーツやワイシャツはTPOや体形に合ったものを選び、アイロンやクリーニングでシワを伸ばしておく
- 靴を磨いておく
- 口臭、体臭ケアをおこない、過度な香水の使用は控える
- 爪が長くなりすぎないように、適度な長さを保つ
- 長すぎる髪は結ぶ
- ナチュラルなメイクを意識する
- 短すぎるスカート、高すぎるヒールはなるべく避ける
4. 仕事上のビジネスマナー
続いては、実際のビジネスシーンにおいて注意すべきポイントを紹介します。
4.1. 言葉遣い・敬語
言葉遣いは、あなたの内面が表れる重要なポイントです。言葉遣いがきちんとしていないと相手に悪印象を抱かせるだけでなく、ミスコミュニケーションによるトラブルに発展する可能性も考えられます。ビジネスの場面では相手を敬う表現である敬語を使用し、場面に応じて丁寧語や尊敬語、謙譲語を使い分けましょう。
- 丁寧語:語尾が「です」「ます」の丁寧な表現
- 尊敬語:相手を立て、敬意を表す
- 謙譲語:自分をへりくだり、相手に敬意を表す
初めから完璧に使いこなすことは難しいかもしれませんが、まずは使用頻度の高い以下の内容を覚えておくと良いでしょう。
- 自分のことを指すときは、男女ともに「私」を使用
- 社外で社内の上司、同僚の話をするときは敬称を取る
例)「部長の田中が対応いたします」 - いません ⇒ おりません
- わかりません ⇒ わかりかねます
- やめてください ⇒ ご遠慮願います
- 申す(「言う」の謙譲語。上司や目上の人の発言を社外の人に伝える際に使う)
- お世話になっております(取引先など、社外の人に対する挨拶)
- お手数ですが(こちらから物事を依頼する際に添える枕詞)
- 恐れ入りますが(上司や取引先、お客様など、立場が上の人に対して添える枕詞)
- 承知いたしました(内容を理解したことを伝える言葉)
【関連記事】「ビジネスで使う敬語まとめ【若手が覚えておきたい実例つき】」
4.2. 電話対応
電話でのやり取りは、相手の顔が見えないぶん、相手の状況に配慮しより丁寧な対応が求められます。日常的に電話を受ける機会が少ない場合はなかなか実践できないかもしれませんが、いざという時に覚えておくと役立つポイントがありますので、以下を押さえておきましょう。
- 3コール以内に出る
- 電話を受けるのが遅くなった場合は「お待たせいたしました」と一言お詫びする
- 「もしもし」は使用しない
- ゆっくりと、はっきりした口調で話す
- 利き手とは逆の手で受話器をもち、メモを取れるようにする
- 電話を受けた場合は、先方が電話を切ってから自分の電話を切る
【関連記事】「【電話対応マニュアル】電話を取るとき、かける時のポイントや言葉遣いをチェック!」
4.3. 名刺交換
初対面の人と仕事をする際には、始めに名刺交換をすることになります。自分の第一印象を印象付ける重要な場面なので、あらかじめマナーを確認してから挑みましょう。</p>
手順は以下の通りです。
- 名刺入れを準備し、すぐに名刺が出せるようにしておく
※1対1の場合は、目下の人から名刺を差し出すようにする - 自己紹介をする(社名、所属、役職、氏名の順)
※自社側が複数人いる場合は、立場が上の人から順番におこなう - 名刺を交換する
※交換の際は、名刺入れの上に名刺を重ねて両手で持ち、相手側に向けて差し出す
※相手が同時に名刺を出している場合は、相手よりも低い位置で差し出す
この時、名刺入れを左手でもち、名刺入れの上で相手の名刺を受け取る
自分の名刺は右手でそのまま差し出す - 「頂戴いたします」と挨拶をする
- 着席後は、名刺入れの上に相手の名刺を乗せ、机の上に置いておく
【関連記事】「名刺交換の基本マナー!できるビジネスパーソンになるためには」
4.4. 報・連・相(ほうれんそう)
報連相とは、報告・連絡・相談のことを指します。ビジネスにおいて常識といっても過言ではない、業務を進める上で欠かせないコミュニケーションです。
4.4.1 報告
報告には、仕事の進捗状況や結果報告、トラブルやミスなどの報告があげられます。報告は迅速におこない、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、どのようにして)を意識して伝えると、相手も理解しやすくなります。
4.4.2 連絡
連絡は、決定事項を周知することをいいます。「~だと思う」「大丈夫そう」など、曖昧な表現や自分の憶測を含まず、あくまでも事実のみを伝えましょう。
4.4.3 相談
相談は、疑問点や不安点の相談や、判断やアドバイスを仰ぎたい場合などがあげられます。相談を依頼する場合は、あらかじめ相談内容と所要時間を明確にし、相手の都合を確認した上でおこないましょう。
5.第二新卒なら身につけておきたいビジネスマナーとは
一度社会人として働いたことがある第二新卒の場合、会社は「あらかじめ基本的なビジネスマナーが身についている」と見なします。ここからは、そんな第二新卒だからこそ身につけておきたいワンランク上のビジネスマナーを紹介します。
5.1. 簡潔にわかりやすく話す
話をする際には、簡潔でわかりやすいことを心がけましょう。経緯からダラダラと話すのではなく、はじめに最重要ポイントである結論を述べてから、原因、対策などを伝えます。
5.2. 席次の基本ルール
席次とは、会議室やエレベーター、車などでの座席の順番のことです。基本的に、出入口から最も遠い場所が「上座」、最も近い場所が「下座」と覚えておけば問題ありません。目上の人から順番に、上座についていきます。
【関連記事】「【図解】上座・下座はどこ?~会議室編・居酒屋編・タクシー編~」
5.3.メールの送り方
メールは、ビジネスにおいて必須ともいえるコミュニケーションツールです。対面と同様、敬語を使用し、失礼のない言葉遣いを心がける必要があります。単に文字を羅列するのではなく、文章が長くなる場合は適度に改行を入れたり、情報量が多い場合は箇条書きにしたりするなど、読み手に配慮した構成を心がけましょう。
6.企業に所属しているからこそ意識すべきビジネスマナーとは
企業に所属する場合は、自分だけではなく沢山の人と一緒に働くことになります。
ビジネスマナーは顧客や取引先に信頼されるために大切ですが、一緒に働く仲間と信頼関係を築くためにも大切です。
6.1. 企業に所属しているという自覚を持つ
働いた分の対価として所属企業から報酬をもらいます。たとえ入社したばかりだったとしても、受け身ではなく積極的に学び仕事を見つける姿勢が大切です。一人前に働く先輩社員と同じ気持ちで臨みましょう。
少しでも早く戦力になるためには、経験を積むことが大切です。以下の内容を意識して社内での信頼関係を築いていきましょう。
・先輩の働きをみて自ら学ぶ
・電話対応や雑務などできることは自分で行う
・任された仕事は責任を持って対応する
・不明点は曖昧にしない。調べてわからないことは質問して早急に解決する
6.2. 「守秘義務」を遵守する
「守秘義務」とは、職務上知りえた機密扱いの情報を外部に漏らさない義務です。多くの企業で守秘義務を就業規則に記しています。
具体的には、主に顧客の個人情報や取引先の情報が機密情報として扱われます。
漏洩や紛失などの事故が起きないよう、会社のルールに従い機密事項は十分に注意して取り扱いましょう。
7.ビジネスマナーを習得する上での心構え
ビジネスマナーを習得するための心構えとして大切なことは、マナーを身につける意味を理解することと、実践的に取り組んでみることです。
ここでは、ビジネスマナーを習得するための心構えについて詳しく解説すると同時に、テレワーク(リモートワーク)におけるビジネスマナーについても述べていきます。
7.1. ビジネスマナーを習得する意味を理解する
ビジネスマナーが必要な理由は前述の通り、良い信頼関係を構築して組織のイメージを良くしたり、または顧客満足度を上げたりするためなどです。
入社直後の研修でビジネスマナーを学ぶ機会が多いですが、その際に「会社にやらされている」のではなく、本来の意味を理解しなければ習得は難しいでしょう。
研修などがない企業への就職や転職をする場合は、ビジネスマナーが学べるスクールに通ったり、最近では動画配信サイトなどでビジネスマナーについて配信されていたりするので、様々なサービスを活用しましょう。
7.2.机上の学習だけでなく、実践的に学ぶ事をこころがける
ビジネスマナーは社会において人と接するためのマナーなので、机上の学習だけでは習得が難しいところがあります。
そのため、きちんと身につけるには、ロールプレイング形式の研修などで実践的に取り組むことが大切です。
企業サイドが研修の機会を設ける場合は、ビジネスマナーを実践的に取り組むための設計が必要です。
様々なシチュエーションを想定したシーンを用意し、それぞれに対応できるようなロールプレイング形式の研修の場をセッティングしましょう。
ある程度のリアリティを持たせることで、より一層学習効果が高まります。
7.3.テレワーク時代におけるビジネスマナー
昨今テレワークの広がりによって、以前と比べると取引先と直接会う機会が減少しています。
ただ、テレワークの際は直接会うことがないからこそ、ビジネスマナーについて気を付けねばなりません。
例えば、取引先とオンライン会議を行う際は、5分前行動を心掛けて早めに接続をしておいたり、背景に映るものが不適切・不快なものでないかを確認したりするなど、オンラインならではの部分に注意しましょう。
また、服装や身だしなみもきちんと整え、会議中においては表情を豊かにしたり相手の話に頷いてみたりするなどして、円滑なオンラインのコミュニケーションが行えるような対応が大切です。
8.まとめ
「ビジネスマナー」さえ身につけていれば契約が取れる、数字が上がる、出世ができるということはありません。しかし、「ビジネスマナー」を身につけていないことで、契約が取れない、数字が上がらない、出世ができないということは十分あり得ます(仕事はできるが身だしなみが悪いので大切な商談に呼ばれない、提案の中身はいいが言葉遣いが悪いので採用されないなど)。いま一度、自分自身の「ビジネスマナー」を見直してみましょう。