昨今は、携帯電話やスマートフォンの普及により、固定電話を持たない家庭が増えています。家を代表して電話に出るという経験が乏しいからか、社会人になっても「会社の電話に出るのが怖い」という若い社員の声が聞かれることもあります。しかし、電話対応は社会人としての基本的なマナーの1つです。本記事では、電話対応が苦手な人に向けて、電話におけるビジネスマナーのポイントをご紹介します。
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1.電話マナーが大事な理由とは
電話対応は、新人研修でも真っ先に取り組むものの一つであり、社会人が身につけるべきマナーとして非常に重要視されています。電話に出た従業員の対応によって、相手が自社に抱く印象が決定づけられるからです。
電話は相手の表情も姿も見えない、声のみのコミュニケーション方法です。電話をかけてきた相手にとっては、電話に出た従業員の声や言葉から得られる情報のみが相手を評価する材料となります。
そのため、会社の電話を取る際には、自分が会社の代表者である意識を持たなければなりません。自分の言葉が相手にどのような影響を及ぼすかという点に、対面時以上に想像力を膨らませ、気を配る必要があります。
1.1.電話対応が苦手な若手社会人が増加中
携帯電話が普及していなかった時代はどの家庭にも固定電話が設置されており、子供でも当たり前に知らない人からの電話を受ける環境がありました。そのため、社会人になってからも大きな抵抗なく会社で電話対応ができていました。
一方、1人1台ずつ携帯電話を持つのが当たり前の時代に生まれ育った現代の若者世代は、子供の頃からメールやLINE、チャットなど文字によるコミュニケーションが日常的で、電話をするとしても家族や友人・知人以外の人と通話をしたり、第三者に電話を取り次いだりという経験をほとんどしていません。その影響から、近年は電話対応を苦手とする若手社員が増加している傾向にあります。
ただ、苦手意識を抱いている若手社員の多くは、場数を踏んでいないがためにそう感じているに過ぎません。誰でも知らないことや慣れないことには抵抗を感じるものでしょう。幼い頃、箸の持ち方や自転車の乗り方を練習したときのように、電話対応もポイントを学び繰り返し実践することで、必ず克服できるはずです。
1.2.電話だからこそ可能になるコミュニケーションがある
メールやLINE、チャットなどのコミュニケーションと電話でのコミュニケーションの違いは、テキストでのやり取りか、音声でのやり取りかという点です。
メールやLINE、チャットなどのテキストでのやり取りでは、自分がどのような雰囲気でその言葉を発しているのか、100%正確に相手に伝えることはできません。誤解のないよう最大限の配慮をしても、最終的には相手の受け取り方に任せるしかありません。
一方、電話による音声の言葉は、声のトーンや「間」など、単なる文字列以外の要素を加えて相手に情報を渡すことができます。つまり電話は、相手の受け取り方や想像力に依存せず、自分の話し方次第で相手と良好な信頼関係を構築できる可能性が高いコミュニケーションツールと言えるのです。
1.3.就活でも電話マナーに注意
社会人になってからはもちろんですが、就職活動をしている学生にとっても電話マナーは重要です。企業から連絡があったり、企業に問い合わせたいことがあったりする場合に、電話を使う機会もあります。
電話対応に限りませんが、社会経験の少ない学生はビジネスシーンでの振る舞い方がわからない場合も多いでしょう。特に電話は、先ほども述べたように若者にとって馴染みのないものです。
失礼な対応になって企業に悪い印象を抱かせないよう、基本的なマナーを押さえておく必要があります。
【関連記事】「「電話対応が苦手...」克服するためのコツやポイントを紹介」
2.電話対応の基本的な流れ
まずは、社会人としての電話対応の基本的な流れを確認しておきましょう。電話を受けるとき、かけるときの大まかな流れは以下の通りです。
・ 電話を受けるときの流れ
1.電話に出て社名や所属、自分の名前を名乗る
2.相手の名前や用件を聞く
3.相手の用件に応じた対応を取る
(自分で問い合わせ内容に答える、上司などに内容を確認してから答える、担当者に取り次ぐなど)
4.電話を切る
・ 電話をかけときの流れ
1.相手が電話に出たら、社名や所属、自分の名前を名乗る
2.用件を伝える
(相手が担当者でない場合は簡潔に用件を伝えて取り次ぎを依頼し、担当者に代わったら再度名乗って用件を伝える)
3.担当者が不在の場合は希望する対応を伝える
(かけ直す旨を伝える、伝言を依頼する、折り返しの電話を依頼するなど)
4.電話を切る
【関連記事】「ビジネスホンの使い方は?先輩社員に初歩的な質問をするコツも紹介」
3.電話を受けるときのマナー
「うまく電話対応できないかもしれない」と不安を感じる方もいるかもしれませんが、いくつかのポイントを押さえるだけで相手に不快な思いを与えずに済みます。以下のマナーを確認し、頭の中でシミュレーションをしておきましょう。
3.1コール以内で出る
かかってきた電話には3コール以内で受けるようにしましょう。これは社会人の一般的なマナーとして根付いている認識です。3コール以上の呼び出し音を聞いている相手は、「この会社は平気で相手を待たせる会社なんだ」などとマイナスな印象を抱いてしまう可能性があります。
3.2.大きな声でハキハキ話す
相手の表情や口元が見えない電話対応においては、聞き取りやすい大きな声でハキハキと話しましょう。特に第一声には注意が必要です。電話応対の第一声は、店頭における「いらっしゃいませ」と同じで、第一印象が決まる大切なポイントとなります。
その第一声から大きなビジネスにつながるかもしれません。そのくらい気合いを入れて1本1本の電話に出るようにしましょう。電話によって仕事を中断しなければならないときも、「また電話か......」という気持ちで出てはいけません。その気持ちは不思議と相手に伝わるからです。
3.3.忘れないようにメモを取る
相手から聞いた話の内容は、必ずメモを取るようにしましょう。「この程度のことなら覚えられる」と思っていたとしても、その後別の業務に追われる間にうっかり忘れてしまう可能性も大いにあります。自分の記憶力を過信しすぎず、記録を残す癖をつけましょう。
3.4.相手の会社名、担当者名、用件は復唱する
相手の会社名、担当者名、用件を確認する際は、復唱するようにしましょう。聞き間違いや認識間違いを避けるのに有効です。
3.5.取り次ぐ際は必ず保留にする
他の従業員に電話を取り次ぐ場合は、相手にお待ちいただきたい旨を伝え、保留ボタンを必ず押しましょう。受話器の送話口を手で押さえて取り次ぐ人もいますが、こちらの声が相手に聞こえてしまうリスクがあります。
3.6.30秒以上待たせてしまう場合は相手に確認する
保留時間は、どんなに長くても30秒までです。30秒以上お待たせしてしまう場合はいったん保留を解除して、「このままお待ちいただく」「こちらからかけ直す」のいずれか都合の良い方を選択いただきます。決して保留のまま放置せず、時間がかかりそうなことが判明した時点で相手にお詫びし確認しましょう。
3.7.折り返し連絡する際は電話番号、都合の良い時間帯を確認する
相手が折り返しの連絡を希望した場合は、電話番号と都合の良い時間帯を確認しましょう。たとえ電話機のディスプレイに相手の電話番号が表示されていても、折り返しの際に希望する電話番号と異なる可能性があるため、自分の思い込みで判断するのは危険です。
3.8.電話を切るときも丁寧に
主要な用件を話し終わっても、最後まで丁寧な対応を心がけましょう。切電時の挨拶は店頭における「ありがとうございました」と同じで、最後の印象が決まる大切な場面です。最後まで気を抜いてはいけません。
・ お問合せの場合はフォローの一言を添える
不明点の有無を確認し、何かあった場合は連絡をいただきたい旨を伝えます。
・ 最後に名乗る
あらためて責任を表明する意味でも、最後にもう一度自らの名前を名乗ります(面識があるなど、あらかじめ名前がわかっている場合は除く)。
・ 相手が切るのを確認してから切る
相手が受話器を置いたのを確認してから切るようにしましょう。もし相手も様子を見てなかなか切らない場合は、「それでは失礼いたします」と小さな声で伝え、先にそっと受話器を置いても構いません。
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4.電話をかけるときのマナー
会社では電話を受けるだけでなく、自ら電話をかける機会も出てくるでしょう。その際に気を配った方が良いマナーを3つ解説します。
4.1.メールで済む内容では電話しない
すべてのケースにおいて電話連絡が正しい訳ではありません。電話で直接伝えた方が丁寧な印象ではありますが、その間相手の作業の手を止めてしまうことになります。緊急度や重要度が低い用件、一言で済む確認事などは、メールで済ませるようにしましょう。
4.2.電話する時間帯を選ぶ
電話をかける場合は、時間帯に配慮しましょう。相手の会社の業務時間外はもちろんですが、始業直後、昼休憩、終業直前、休み明けの午前など、相手の手が空いていない可能性が高い時間帯は避けます。話が長くなるようであれば尚更です。状況的に連絡せざるを得ない場合は、事前にアポイントを取るか電話のはじめに確認をするようにしましょう。
4.3.電話をかける前に用件をまとめておく
電話をかける前には、相手に伝えたいことをまとめておくようにしましょう。伝え漏れを防ぐという目的もありますが、あらかじめ用件をまとめておけば自分の頭の中も整理され、相手がスムーズに理解できるよう話し方への配慮ができます。
最初に電話に出る人が担当者でない場合や、担当者が不在の場合なども想定しておくと安心でしょう。
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5.【例文】電話を受けるときの言葉遣い
ここからは、電話を受ける時の文例を紹介していきます。電話対応が上手い人というのは、概して通話中の言葉遣いが上手いものです。下記を参考に、相手との会話に合わせて話すようにしましょう。
5.1.電話がかかってきた時の第一声
電話がかかってきた際には、自分の会社名、部署、名前を伝えます。その際、状況に応じて以下のような一言を加えます。
・ 通常時
「お電話ありがとうございます。○○商事、営業部、田中でございます。」
・ 3コール以上経過した場合
「大変お待たせいたしました。○○商事、営業部、田中でございます。」
・ 午前中
「おはようございます。○○商事、営業部、田中でございます。」
プライベートではよく「もしもし」と言って電話を取りますが、ビジネスシーンではマナー違反となりますので使わないようにしましょう。
5.2.調べるor担当者に取り次ぐ場合
問い合わせ内容に対して、調べる必要がある場合や担当者に取り次ぐ場合は、以下のように伝えて電話を保留にします。
「ただいまお調べいたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか。」
「ただいまおつなぎいたしますので、少々お待ちくださいませ。」
そして保留を解除した際には、以下のような一言を添えましょう。
「○○様大変お待たせいたしました。」
「お電話代わりました。営業部の〇〇でございます。」
5.3.聞き取れなかった場合
相手の言葉が聞き取れなかった場合は、お詫びの上再度話していただくよう依頼します。
「大変恐れ入りますが、お電話が少し遠いようです。もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか。」
「申し訳ございませんが少々聞き取りにくい箇所がございましたので、再度お伺いしてもよろしいでしょうか。」
5.4.担当者が不在の場合
担当者が離席している場合は、伝言を預かるか担当者から折り返し連絡をするか、相手の都合を確認しましょう。
「もしよろしければ、私がご用件をお伺いし本人に申し伝えますが、いかがいたしましょうか。」
「16時頃帰社予定となりますので、戻り次第〇〇様へお電話する形でよろしいでしょうか。」
5.5.迷惑電話だった場合
営業電話などを含む迷惑電話は、曖昧な対応をしていると何度も同じようにかかってきてしまいます。自社としての姿勢をきちんと伝えるようにしましょう。
「大変申し訳ございませんが、弊社は現在予定がないのですべてお断りするよう言われております。必要になった際にはこちらからご連絡させていただきますので、今後同様のご案内は不要です。」
「申し訳ございませんが、御社名、お名前、ご用件をお伺いできない場合はお取次ぎできかねます。」
5.6.クレームの電話だった場合
クレーム電話を受けた場合は、相手の話を遮らずしっかりと聞くことに専念しましょう。まずは相手が自社の何に対して怒りや不満を感じているのか、適切に状況を把握します。相手の話を聞く時は、否定せず同調しながら聞くことで、相手の怒りや興奮を落ち着かせる効果が望めます。
「左様でございましたか。ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません。」
「〇〇様のおっしゃる通りです。誠に申し訳ございません。」
5.7.電話を切るとき
用件が終わり電話を切る前に、フォローの一言を添えます。
「他にご不明な点はございませんでしょうか」
「なにかご不明な点がございましたら、いつでもお電話くださいませ」
何もないようであれば、最後に名前を名乗り、お礼を伝えて会話を終えます。
「本日はわたくし〇〇が承りました。お電話ありがとうございました。失礼いたします。」
6.【例文】電話をかける時の言葉遣い
続いては、自分から電話をかける際の例文を紹介します。相手の状況に配慮した対応を心がけましょう。
6.1.相手に繋がった時の第一声
電話がつながったら挨拶をし、会社名と名前を伝えます。その後、担当者への取り次ぎを依頼するようにしましょう。
「いつもお世話になっております。○○商事、営業部、〇〇と申します。〇〇部の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。」
お客様や担当者の携帯電話など、個人の電話にかける際は、以下のような切り出し方が良いでしょう。
「いつもお世話になっております。○○商事、営業部、〇〇と申します。〇〇様でいらっしゃいますか?〇〇の件でご連絡させていただいたのですが、今お時間よろしいでしょうか。」
6.2.伝言をお願いしたい時
相手が不在で伝言をお願いしたい時には、以下のように伝えましょう。
「恐れ入りますが、〇〇様へ〇〇の件で伝言をお願いできますでしょうか。」
「〇〇より電話があった旨、お伝えください。」
6.3.折り返しの電話がほしい時
相手が戻り次第電話での連絡がほしい場合は、以下のように伝えます。
「恐れ入りますが、お戻り次第折り返しのご連絡をいただきたいと〇〇様へお伝えいただけますでしょうか。」
「〇〇様がお戻り次第で結構ですので、〇〇までお電話をいただきたいとお伝えください。」
6.4.電話を切る時
切電は電話をかけた側から行うのがマナーです。また、電話を切る際、受話器をそのまま戻すと、その音で相手に不快感を与える可能性があります。そのため、電話機のフックを指で押して切るようにしましょう。
「お忙しいところお時間を頂戴しましてありがとうございました。」
「それでは失礼いたします。」
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7.まとめ
「習うより慣れよ」という言葉がありますが、電話対応もそう言われるものの1つです。
相手への配慮や礼儀、社会人の業務の一環であるという意識を持って行動し、電話がつながったときの第一声、保留時、切電時の挨拶や言葉遣いに気を配るだけで、印象はぐんとよくなります。さっそく今日から実践してみましょう。
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