ビジネスシーンでたびたび見聞きする「ナレッジ」という言葉。あなたは正しく意味を理解し、使いこなせているでしょうか。
知らない言葉と遭遇したとき、何となくその場をやり過ごせる場合もありますが、正しい意味を理解しておけば業務をスムーズに進められたり、成果を上げるチャンスに恵まれたりすることもあります。
そこで今回は、ナレッジについて、その正しい意味や使い方などを解説していきます。
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1.ナレッジ(知識・知恵)とは?
まず、そもそもナレッジとはどのような意味を持つ言葉なのか、具体的に見ていきましょう。
1.1.ナレッジの意味・定義について
ナレッジ(knowledge)とは、「知識」や「知恵」「情報」といった意味を持つ単語です。事例や経験、付加価値のある知識という意味も持ち合わせ、ビジネスシーンではこちらの意味合いで使用されるケースも多くなります。
また、これらを管理する「ナレッジマネジメント」と呼ばれる経営手法もあります。
1.2.ナレッジ類義語・共起語一覧
ナレッジの類義語としては以下のような言葉が挙げられます。
●了知
物事の内容を知ること。さとり知ること。
●知識
ある事柄や内容について知ること。
●認知
何かを認識・理解・判断する過程のこと。
また、共起語の例は、以下のとおりです。
●ナレッジマネジメント
「企業などの組織にとっての有益な情報」などの意味。個人の持つ知識や情報を組織全体で共有し、有効活用する経営手法のこと。
●ナレッジワーカー
ナレッジ(知識)とワーカー(労働者)を組み合わせた造語で、企業に対し知識によって付加価値や競合優位性を示し、知的生産物を想像する労働者のことです。
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2.「ノウハウ」と「ナレッジ」の違いを正しく理解しよう
「ノウハウ」という言葉はナレッジと似た意味を持ちます。しかし、ニュアンスは似ているものの厳密には異なる意味をもつ言葉のため、使い方に注意しましょう。
2.1.ナレッジ(知識・知恵)とは『学習して得るもの』
ナレッジは、冒頭で触れたように「知識」「知恵」「情報」などを意味する言葉です。ここでいう知識や知恵、情報というのは、書籍やインターネットなどから学習したもの、会話から聞いたものを指します。
また、ナレッジのポイントは文章で表現し伝えられる点です。そのため、ナレッジで意味する内容はノウハウよりも汎用性が高いものといえます。
2.2.ノウハウとは『体験を通して得るもの』
対するノウハウとは、ナレッジと同様に知識や知恵、情報といった意味合いが含まれますが、「実体験から培う専門性が高いもの」という概念が前提となります。「方法を知る」という語源が変化し、現在では「秘訣」や「秘法」がイメージされる言葉となりました。
ノウハウはナレッジとは異なり文章での表現が難しく、OJTのように実地で見て学ぶことで身につくものが多く当てはまります。実体験を伴うため、ナレッジよりも深く限定的であるともいえるでしょう。
3.ナレッジの基本的な使い方
ナレッジは業種職種を問わずビジネスシーンで幅広く使われる可能性がある言葉です。たとえば以下のような使われ方をします。
- 私たちのナレッジはグループ会社の拡大成長にも必ず役立つものです
- このプロジェクトで培ったナレッジは来期からの新規プロジェクトにも転用できるはずです
- 今後の課題は蓄積したナレッジをどう管理していくかだ
ポジティブな要素もネガティブな要素も含めたさまざまな経験、知識、情報の蓄積が、ナレッジという言葉で広く表現されるようになっています。
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4.組織全体を成長させるには「ナレッジ共有」が重要
ここまでナレッジの意味や使い方、ノウハウとの違いを解説してきました。
では、実際にナレッジを活用するにはどのようにしたら良いのでしょうか?
ここからはナレッジを活用するためのプロセスである、「ナレッジ化」や「ナレッジ共有」について説明します。
4.1.まずは社内の情報を「ナレッジ化」する
学んだ「知識」「知恵」「情報」を個人で蓄積しているだけでは、企業としての飛躍的な成長は見込めません。
そこで、社員一人一人が得た情報を他の社員も活用できるように、可視化して記録・データとして残すことで情報を共有しやすくします。
これを「ナレッジ化」と呼びます。
4.2.「ナレッジ共有」とは
個人の持つ情報をナレッジ化し社員同士で共有することを「ナレッジ共有」と呼びます。
積極的にナレッジを共有することで、業務の進め方を統一しやすくなり、ミスや齟齬が生じにくくなります。
個人で情報を管理するより社員一人一人が格段に成長しやすく、スムーズな業務進行が見込めるため、組織全体の成長を期待できます。
また、社内情報をナレッジ化し共有するこれらのプロセスを「ナレッジマネジメント」と呼びます。
5.ビジネスでよく聞く「ナレッジマネジメント」について
ナレッジマネジメントとは、ナレッジを組織で管理、運用する経営手法の一つです。従業員に蓄積したナレッジを組織全体のナレッジとして一元化・共有し、業務に活用していきます。
5.1.ナレッジマネジメントの重要性
ナレッジマネジメントを適切に行うことは企業の競争力の底上げにつながります。経験により体が覚えているものや言語化が困難な「暗黙知」と言われる知識を、誰もが理解し実践可能な状態である「形式知」に転換し、企業に受け継ぎ浸透させる効果を発揮します。蓄積されるナレッジは企業の資産となり、将来にわたり多くの従業員のスキルを強化し、組織全体の拡大成長を後押しするはずです。
5.2.ナレッジを蓄積するメリット
ナレッジが蓄積されると、以下のようなメリットが享受できます。
5.2.1.業務の効率化が図れる
ナレッジが蓄積されると、リサーチの時間削減が実現します。新規でリサーチを行うよりも一元化したナレッジから引き出すほうが、効率的かつスムーズに業務を遂行できます。
5.2.2.属人化を防ぐことができる
多くの企業における共通の課題の一つに、従業員個人に依存する「属人化」があります。業務の属人化が顕著になると、その人物がいないと何もわからない、トラブルにも対応できないという状況が生じ、企業として致命的なリスクを抱えることになります。
しかし、ナレッジを人に集約せず組織として集約できれば、属人化によるリスクを回避することが可能となります。
5.2.3.人材育成の強化が図れる
ナレッジマネジメントにより属人化が解消され各業務が標準化されることは、従業員一人ひとりのスキルを向上させることにつながります。たとえノウハウがなくても、あらゆる領域のナレッジが企業に蓄積されることで、効率的な人材育成が可能となります。企業全体のスキルの底上げを図るうえでもナレッジマネジメントは有効な手法なのです。
6.ナレッジの蓄積には情報共有ツールが有効
ナレッジの蓄積には、デジタルツールを導入するとより効果的です。情報共有ツールを導入すれば、従業員が必要な時に自由にナレッジを引き出し活用できるようになります。同時に、自らのナレッジも素早く共有できるため、業務サイクルをスムーズに回すことが可能となります。
ここ数年、ITベンダー各社から多種多様な情報共有ツールがリリースされています。自社の活用方法にマッチするツールをぜひ探してみてはいかがでしょうか。
7.まとめ
ここまで、近年よく耳にする「ナレッジ」という言葉について、その正しい意味や使い方、ナレッジマネジメントの効果などを解説いたしました。
「情報は資産である」という概念が定着したいま、企業や従業員の中にある経験や知識、情報は積極的に社内で共有されるべきだとする考え方が広く浸透しつつあります。企業の発展のためにも個人の成長のためにも、ナレッジをビジネスに活かす発想はいまや欠かせないものなのです。