目標設定や効果測定の場面でたびたび耳にする「定量」と「定性」という言葉。しかし改めて考えてみると、2つの言葉の違いを明確に説明するのはなかなか難しいものです。ここではビジネスシーンで使われる「定量」と「定性」の違いについて解説していきます。
目次
1.定量とは?
2.定性とは?
3.定量と定性の違いとは
4.ビジネスシーンにおける定量と定性
5.マーケティングには「定量→定性」分析が欠かせない
6.目標設定における定量と定性
7.人事評価における定量と定性
8.まとめ
1.定量とは?
定量とは「数字」で表せる要素のことで、売上額や顧客数、価格、変化率などがあてはまります。イメージの共有は非常に難しいものです。たとえイメージをうまく言語化できたとしても、その言葉がどのように伝わるかは受け手によって様々。しかし、数字という客観的事実を通して表された定量データを活用すれば、全ての受け手が共通の認識を得ることができるのです。
2.定性とは?
定性とは「数字」で表すことのできない要素のことです。つまり定量と対を為す概念なのですが、言葉で説明するのは難しいのが正直なところ。物事の「質」に関する部分を表していると考えれば分かりやすいかもしれません。物事を定性的に表すことで、その意味や因果関係などを明確にしやすくなります。
3.定量と定性の違いとは
定量と定性は対概念であるため、違いがあるのは当然です。ここではその違いを明確に理解するために、「A社の〇〇という商品の売上が落ちている」という具体的な情報をもとに考えていきましょう。
それではまず定量的に考えた場合です。
定量とは数字で表される要素です。そのため定量的なアプローチを用いて情報を分析する際には、「期間」や「売上」、「変化率」などの数値的事実を取り入れ、その情報により客観性を付与することが重要となります。
数値的事実が加わることで情報の客観性がグッと増したことが分かります。
次に定性的に考えた場合です。
定性とは物事の「質」の部分を表しています。そのため定性的なアプローチを用いて情報を分析する際には、その情報の「良し悪し」や「因果関係」などを読み取ることで、それが表す本質的な意味を抽出することが重要となります。
定性的に深く掘り下げたことで、その情報の本質的な意味が浮き上がってきました。
定量と定性の違いが伝わったでしょうか?
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4.ビジネスシーンにおける定量と定性
ここからは定量と定性が、実際のビジネスシーンでどのように活用されているのかについて見ていきましょう。
マーケティングの現場では、定量と定性という言葉が様々な形で登場します。なぜならば、対象を分析する際、定量と定性の双方向から物事を分析する必要があるからです。
4.1.定量分析
定量データを扱う分析です。代表的な手法としては、Googleアナリティクス分析やヒートマップ分析等があります。数字で回答するアンケート調査もこれに含まれるでしょう。定量データは数字で表されたFact(事実)をベースにしているため、正確な割合や分布を確認する際に有効です。しかし、あくまで数値的な事実を分析しただけなので、顧客や市場のリアルなニーズなどを探ることには向いていません。
4.2.定性分析
定性データを扱う分析です。代表的な手法としては、現地調査やインタビュー調査等があります。記述で回答するアンケート調査もこれに含まれるでしょう。定性データはFact(事実)の裏付けがない、言葉で表された抽象的なデータです。そのため正確な割合や分布の確認には向いていません。しかし、抽出したサンプルを対象に狭く深く分析を行うため、顧客や市場のリアルなニーズなどを具体的かつ立体的に知ることができます。
5.マーケティングには「定量→定性」分析が欠かせない
定量分析と定性分析に優劣はなく、それぞれが互いのメリット/デメリットを補完しあう関係性にあります。そのため、マーケティングの現場では双方向からの分析が求められますが、なかでも両者の効力を最大限発揮できるのが「定量分析→定性分析」という順序です。
例えば、新商品発売の企画が立ち上がったとしましょう。
この際にまずやるべきは、定量分析です。Fact(事実)に裏付けされた定量データを基に、「○○な商品の需要が高い」といった仮説を立てていきます。定性データを基に仮説を立ててしまうと、たとえそれがどれだけもっともらしかったとしても、Factの裏付けがないため、万人の納得を得ることはできません。そのため、価値ある仮説を設定するには定量分析をまず先におこなうことが重要なのです。
しかし定量分析だけでは、効果的なマーケティングは達成できません。定量データ発の仮説を立てたら、今度は定性分析の出番。インタビューや記述式のアンケートを通じて見聞きした顧客の生の声(定性データ)を基に顧客の内面を探ることで、定量分析では推測の域を超えなかった、顧客の本当のニーズを掴むことができるのです。そのため、顧客への理解に基づく良質なマーケティングには定性分析が欠かせません。
このような「定量→定性」分析は、マーケティングの現場では日常的におこなわれています。
6.目標設定における定量と定性
目標設定には「定量目標」と「定性目標」があります。
「定量目標」は目標とする成果を数字で表します。
例えば、契約獲得本数や売上などについて「増やす」ではなく、「月に3本の契約を取る」や「売上を5%伸ばす」など数字を使って目標を設定します。
一方、「定性目標」は、数字での測定ができない事柄についての成果を言葉で設定します。
例えば、顧客対応や仕事に対する工夫などについて「信頼関係を築く」や「積極的に発言する」など行動に着目した目標を設定します。
7.人事評価における定量と定性
人事評価においても「定量評価」と「定性評価」があります。
「定量評価」は契約獲得件数や訪問数など、数字で表せる実績を元に評価する方法です。
一方、「定性評価」は、数値に現れないプロセスや行動などを元に評価する方法です。
評価の基準が設けにくく、評価する人によって判断が異なる場合もありますが、社員のモチベーション向上にも繋がります。
定量評価は客観的な指標があるためフェアのように感じますが、顧客対応や勤務態度などを評価できないため、定性評価と組み合わせて人事評価が行われる場合が多いです。
8.まとめ
日常生活で聞き慣れないためニュアンスをつかみにくい「定量」と「定性」ですが、この記事を参考に理解を深めてもらえれば幸いです。
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