定量と定性の違いとは?ビジネス分析・目標設定・人事評価の使い分けを解説

ビジネススキル・マナー

定量とは「数値で測れるもの」、定性とは「数値化できないもの」を指します。この違いを理解して適切に使い分けることが、ビジネス分析・目標設定・人事評価などで重要です。

本記事では、それぞれの特徴や活用シーン、使い分けのポイントについてわかりやすく解説します。

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1. 定量と定性の違いとは

定量とは、物事を「数字」で表せる要素のこと。定性とは数値化できない「質」に関する要素を指します。そのため、定量と定量は対を為す概念といえます。

具体的には、定量は売上額・顧客数・価格・変化率などがあてはまり、定性は顧客の声・製品レビュー・従業員のモチベーションなどの感覚的・主観的な情報を含みます。

定量の強みは、物事を明確に数値化することで受け手との共通認識を持ちやすく、客観的に把握できる点にあります。

一方、定性の強みは、数字だけでは見えない背景や因果関係を明確にするうえで欠かせません。数字に表せない情報は定性的な視点で伝えられます。

1.1. 定量と定性の違いがわかる具体例

定量と定性は対概念であるため、違いがあるのは当然です。ここでは、その違いを明確に理解するために、「A社の〇〇という商品の売上が落ちている」という具体的な情報をもとに、定量的・定量的な2つの視点から考えていきましょう。

1.1.1. 定量的に考えた場合

定量とは数字で表される要素です。そのため定量的なアプローチを用いて情報を分析する際には、「期間」「売上」「変化率」などの数値的事実を取り入れ、その情報により客観性を付与することが重要です。

このように、数値的事実が加わることで情報の客観性が一気に増したことがわかります。

1.1.2. 定量的に考えた場合

定性とは物事の「質」の部分を表しています。そのため定性的なアプローチを用いて情報を分析する際には、その情報の「良し悪し」や「因果関係」などを読み取ることで、それが表す本質的な意味を抽出することが重要です。

このように、定性的に深く掘り下げることで、その情報の本質的な意味が浮き上がってきます。

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2. ビジネスシーンにおける定量と定性

ここからは定量と定性が、実際のビジネスシーンでどのように活用されているのかについて見ていきましょう。

マーケティングの現場では、定量と定性という言葉がさまざまな形で登場します。なぜなら、対象を分析する際は、定量と定性の双方向から物事を分析する必要があるからです。

2.1. 定量分析

定量分析とは、定量データを扱う分析です。代表的な手法としては、Googleアナリティクス分析やヒートマップ分析等があります。数字で回答するアンケート調査もこれに含まれるでしょう。

定量データは数字で表されたFact(事実)をベースにしているため、正確な割合や分布を確認する際に有効です。

しかし、あくまで数値的な事実を分析しただけなので、顧客や市場のリアルなニーズなどを探ることには向いていません。

2.2. 定性分析

定性分析とは、定性データを扱う分析です。代表的な手法としては、現地調査やインタビュー調査等があります。記述で回答するアンケート調査もこれに含まれるでしょう。

定性データはFact(事実)の裏付けがない、言葉で表された抽象的なデータです。抽出したサンプルを対象に狭く深く分析を行うため、顧客や市場のリアルなニーズなどを具体的かつ立体的に知ることができます

しかしその一方で、正確な割合や分布の確認には向いていません。

3. マーケティングには「定量→定性」分析が欠かせない

定量分析と定性分析に優劣はなく、それぞれが互いのメリット・デメリットを補完し合う関係性にあります。

そのため、マーケティングの現場では双方向からの分析が求められますが、なかでも両者の効力を最大限発揮できるのが「定量分析→定性分析」という順序です。

ここでは、新商品発売の企画が立ち上がったケースを例に、具体的な流れを見ていきましょう。

3.1. まずは定量分析で仮説を立てる

新商品発売の企画が立ち上がった場合にまずやるべきは、定量分析です。Factに裏付けされた定量データを基に、「◯◯な商品の需要が高い」といった仮説を立てていきます。

定性データを基に仮説を立ててしまうと、たとえそれがどれだけもっともらしかったとしても、Factの裏付けがないため、万人の納得を得ることはできません。そのため、価値ある仮説を設定するには、定量分析をまず先におこなうことが重要です。

3.2. 定性分析でニーズを掴む

定量分析だけでは、効果的なマーケティングは達成できません。定量データ発の仮説を立てたら、次は定性分析の出番です。

インタビューや記述式のアンケートを通じて見聞きした顧客の生の声(定性データ)を基に顧客の内面を探ることで、定量分析では推測の域を超えなかった、顧客の本当のニーズを掴むことができます。そのため、顧客への理解に基づく良質なマーケティングには定性分析が欠かせません。

このような「定量→定性」分析は、マーケティングの現場では日常的におこなわれています。

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4. 目標設定における定量と定性

目標設定には、「定量目標」と「定性目標」があります。

定量目標とは、目標とする成果を数字で表します。例えば、契約獲得本数や売上などについて「増やす」ではなく、「月に3本の契約を取る」や「売上を5%伸ばす」など数字を使って目標を設定します。

一方、定性目標とは、数字での測定ができない事柄についての成果を言葉で設定します。例えば、顧客対応や仕事に対する工夫などについて「信頼関係を築く」や「積極的に発言する」など行動に着目した目標を設定します。

5. 人事評価における定量と定性

人事評価においても、「定量評価」と「定性評価」があります。

定量評価は契約獲得件数や訪問数など、数字で表せる実績をもとに評価します。客観的な指標があるため、公平に感じられますが、顧客対応や勤務態度といった部分は評価しづらいため、定性評価と組み合わせて使われることが多いです。

一方、定性評価は数値に現れないプロセスや行動などを評価します。評価の基準が設けにくく、評価する人によって判断が異なる場合もありますが、社員のモチベーション向上にもつながります。

6. 定量と定性を使い分けるポイント

定量と定性にはそれぞれ向き不向きがあり、効果的に活用するには、分析の目的や状況に応じて使い分けることが重要です。

例えば、採用面接という一つの場面でも、受け答えを3〜5段階で点数化する定量評価と、やる気や人柄などの印象を踏まえて判断する定性評価の両方を使い分ける必要があります。

定量と定性を用いてビジネス分析・目標設定・人事評価をおこなう際は、まずは数値化できるものとそうでないものに分けることから始めましょう

6.1. 両方を活用する際の注意点

定量と定性の両方を用いた判断する際、「◯件達成」や「◯%改善」といった定量的な数値は客観的で公平性を保ちやすい反面、時代や市場の変化によっては、そのままでは実態とずれが生じることもあります。適切な判断をおこなうには、基準自体を定期的に見直すことが求められます。

一方、定性評価は「態度」や「取り組む姿勢」などが対象となるため、評価者の感じ方によって差が出やすい傾向があります。できるだけ視点や基準を明確にし、評価のばらつきが生まれないような工夫が必要です。

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7. まとめ

定量は物事を数値化して表現し、定性は数値化できないものを主観的・感覚的に言語化して表現します。これらは互いに補完し合い、双方の強みを活かして全体像を深く理解するために欠かせない要素です。

「定量」「定性」はビジネス分析・目標設定・人事評価など、さまざまな場面で活用されており、それぞれの特性を踏まえた適切な使い分けが求められます。

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