更新日:2024/09/11
現代の生活に欠かすことのできない電気。その、電気に関する工事を一手に引き受けるのが電気工事士です。
ここでは、電気設備の安全を守り、様々な場面で活躍する電気工事士の仕事内容と必要な資格、年収などについてご紹介します。
目次
一口に電気工事といっても、大規模なものから小さな現場での工事まで幅広くあります。
まずは、建設電気工事と鉄道電気工事について、それぞれの具体的な仕事内容をご紹介します。
公共施設、工場、ビル、事務所、病院、住宅といった、ありとあらゆる建築物の屋内外電気設備の設計・施工を行う電気工事士。
このような建設電気工事では、電線の敷設・配線や大型機器の制御回線の保守・点検、建物のコンセントや照明器具の取り付けといった電気に関する様々な作業を行います。
電気工事以外の他の建設作業と並行して行うことも多いため、様々な人が集まった状況で、仕事をすることがほとんどです。
大規模な現場での工事では、施工責任者や現場監督の指示に従って工事を進めていくことも多いでしょう。
また、電気工事以外の作業が発生することがあるのも、建設電気工事の現場です。工事現場での仮設の電柱を立てるための穴を掘ったり、ペンキを塗ったり、セメントで現場を補修したりといった、電気工事を行うための作業も行います。
鉄道の正確な運行にも、電気は大きく関わっています。そのため、鉄道電気工事も、電気工事士が必要とされる仕事となります。
鉄道電気工事には、いくつかの種類があります。電車が走るために必要な電気を送る役割をするのが、鉄塔と鉄塔のあいだに張られる電線です。この電線のことを鉄道業界では、「架線」と呼びます。架線工事は、この電線を新しく張ったり、古くなった電線の張り替えをしたりする工事です。
また、安全運行を支える信号システムの工事では、信号機の交換や設置工事のほか、信号機が問題なく作動するかどうかの点検やメンテナンスを行います。踏切の保守・点検も、鉄道電気工事の重要な仕事です。
その他、駅の敷地内に設置される受変電設備の点検・メンテナンスのほか、駅構内の照明設備や自動改札装置、券売機、電気掲示器などの施工や保守業務も行います。
鉄道の安全でスムーズな運行は、電気工事士の仕事に支えられているといっても過言ではありません。
電気工事士として働くためには、電気工事士としての国家資格が必要です。
電気工事の欠陥は、火事などの災害につながる危険性が大きく、そのようなことを防ぐために、電気工事に従事するには資格が必要となるのです。
ここでは、電気工事の仕事をするために必要となる資格をご紹介します。
第二種電気工事士は、一般住宅や商店といった小規模の店舗・事業所など、600V(ボルト)以下の低い電圧で受電する場所の配線や電気設備、いわゆる「一般用電気工作物」の電気工事の作業ができます。
第二種電気工事士の資格試験を受けるためには、資格は特に必要ありません。
試験には筆記試験と技能試験とがあり、上期と下期に、年2回実施されます。前回の試験で筆記試験に合格していたり、高校や大学などで電気工学を勉強し卒業していたりすれば、筆記試験は免除となります。
合格後、各都道府県知事に申請すると、第二種電気工事士免状の交付を受けることができます。
第一種電気工事士は、第二種電気工事士ができる仕事の範囲に加え、最大電力500kW(キロワット)未満の自家用電気工作物の電気工事を行うことが可能です。つまり、工場やビルなど、大型施設での電気工事に従事することができるようになるのです。
第一種電気工事士の資格を得るためには、第二種電気工事士と同様に、筆記試験と技能試験が課されます。受験にあたって、特に資格は必要ありません。試験の実施は年1回のみで、前回の筆記試験に合格している人や、電気主任技術者免状を持っている人は、筆記試験の免除を受けることができます。
技能試験に合格し、第一種電気工事士の免状の交付を受ける場合には、実務経験が必要となります。実務経験の必要年数は基本的には5年、学歴などの条件を満たせば3年でも申請が認められます。
電気工事関連の資格は、電気工事士以外にもあります。
電気工事施工管理技士は、電気工事の行われる現場において、施工計画や施工図を作成し、工程や品質、安全の管理など、施工全体の管理を的確に行うことができる技術を認定する国家資格です。
1級と2級に区分され、資格取得のためには、学科試験と実地試験が行われます。
厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、電気工事に携わる「電気工(平均年齢40.2歳、平均勤続年数13.4年)」の平均月収は33万4,100円、平均賞与は79万8,800円となっています。つまり、推定年収は、480万8,000円となります。
ただし、この年収は平均ですので、勤続年数やスキル、会社の規模などで変わってきます。
電気工事士としての仕事を始めたばかりであれば、見習いとしての期間は当然、平均の収入よりは少なくなるでしょう。
また、企業の規模や請け負う仕事の内容によっても、収入の違いは出てきます。
勤める企業によっては、資格を取ることで資格手当がつくことも多く、収入アップを見込むこともできます。
第二種電気工事士よりは第一種電気工事士、そして、現場の管理を任せられる電気工事施工管理技士の資格を取得すれば、自ずと仕事ができる範囲も広がりますので、年収アップにつながります。
それでは、電気工事士を目指すには、どのような方法があるのでしょうか。
電気工事士の資格がなければ、電気工事に従事することはできませんので、まずは第二種電気工事士の資格を取るのが第一です。
前述のとおり、第二種電気工事士の資格試験は誰でも受けることができますので、独学で試験に臨むこともできます。また、通信講座を使って勉強したり、職業訓練校に通ったりするといった方法もあります。
あるいは、電気工事会社などの企業にそのまま就職し、見習いとして経験を積んでいくという方法もあります。資格を取るまでは、電気工事そのものの作業ではなく、あくまでも補助作業がメインの仕事となってしまいますが、現場での工事の様子などを間近で見て学んだ上で、第二種電気工事士の試験を受験できるというのは、ひとつのメリットです。
最後に、電気工事士に向いている方の特徴をいくつかご紹介します。
まずは、電気や電気工事に興味・関心を持っている方です。
電気工事そのものの経験がなくても、小さいときから電気機器をさわるのが好きだったとか、ものづくりや建物が造られる様子を見るのが好きだったり、家具の組み立てやDIYが好きであったりするなど、電気工事に近いような作業や物事に興味のある方は向いているといえるでしょう。
電気工事の現場では、細かい資材や機材、専門用語など覚えなければならないことが多くあります。少しずつでも自分でコツコツと学び、覚えていく根気のある方は電気工事士に向いています。
電気工事はちょっとしたミスが、火事などの大きな事故につながったり、感電といった危険とも隣り合わせであったりします。
丁寧で慎重に作業ができる方は、電気工事の現場に入っても、無理なく仕事を続けることができるでしょう。
電気工事の現場では、自分の会社以外の方との共同作業もあります。
正確に情報をやりとりし、チームで協力して作業をすることができるコミュニケーション能力が必要とされます。
体力があることも大切です。
電気工事の現場は、屋外での長時間にわたる作業や重い機材を運ぶといった体力のいる仕事がほとんどです。
作業を安全に進めるためにも、日頃から体調管理に気を付けられる方であれば、電気工事士として働き続けることができるでしょう。
電気工事は、現代の生活のあらゆる場面で必要とされています。災害時には、壊れてしまったインフラをゼロから作り上げることもあります。
電気工事士の仕事を目指すために必要な資格の取り方や、電気工事士としての適性に迷いがあったら、マイナビエージェントにご相談ください。経験豊富なキャリアアドバイザーがあなたに合ったアドバイスをいたします。
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