更新日:2022/10/31
この記事のまとめ
生産技術者は転職市場における人気の職種のひとつです。熟練の技術者が不足しているため、経験者が優遇される傾向がありますが、未経験でも転職できるのでしょうか。
この記事では、未経験でも生産技術に転職できるか解説します。生産技術で役立つスキルや資格が分かるため、転職活動が有利になるでしょう。例文つきで志望動機の書き方も紹介します。
目次
未経験の方の中には、生産技術がどのような仕事なのか把握していない方もいるかもしれません。希望する職種の情報収集は転職活動の基本です。仕事内容や年収、やりがいや厳しい面を知ったうえで、自分に合っているか判断しましょう。ここでは、生産技術がどのような仕事か解説します。
生産技術の主な仕事は、企業の工場のような生産現場におけるラインの管理や生産効率の改善です。「いかに製品のコストを下げて生産するか」「どのような設備を導入するか」といった製品開発や生産管理全般を担当します。すでに稼働している設備の改良やメンテナンスを担うこともあり、情報工学や機械工学といった理系の専門知識が求められます。
ほかにも、作業員と改善部分を相談したりトラブルが発生したときに対処したりと、生産効率に関わるコンサルティングを担う仕事です。
転職先を選ぶ際は、収入は重要な項目です。年収を最重要視して仕事を探す方も多いでしょう。マイナビエージェントの調査によると、生産技術の平均年収は521万円です。20代の391万円から30代では626万円に向上しており、経験を積むことで年収アップが期待できます。技術を要する専門職であるため、スキルを身につけ実績を上げることで高収入を見込めるでしょう。
生産技術は、自分の仕事の成果が生産ラインの改善という目に見える形で表れるのがやりがいと言えるでしょう。ラインの立ち上げや設備の搬入の際は現場で働くさまざまな人たちと連携して業務に当たるため、うまくいったときは大きな達成感を得られるのも魅力です。
幅広い業務に関わることから、スキルアップしやすい環境に身を置いて成長できるのも財産になるでしょう。生産のコンサルタントを目指す方が経験を積む職としても適しています。
やりがいや魅力にあふれた仕事ではあるものの、注意が必要なポイントも存在します。生産技術は現在抱えている課題を抽出し、解決し続けることが求められる仕事です。常に最適な提案を出さなければならないのは、人によっては負担となるでしょう。
また、海外の工場に長期出張する機会が多いため、私生活を優先したい方にとっては厳しいと感じる可能性があります。気になる方は、海外出張があるか入社時に確認しておきましょう。
生産技術は実務経験があると重宝されるため、経験者の場合、転職はあまり難しくないでしょう。一方、未経験者でも転職は可能です。ここでは、未経験者の生産技術への転職事情と転職後のキャリアの展望について解説します。
生産技術はスキルや実績が重視されるため、求人では経験者が優遇されます。未経験者は応募できないケースもあり、未経験可の求人でも無条件で歓迎する企業は多くありません。ただし、昨今は人手不足が深刻な企業が多く、未経験でも転職できる可能性はあります。
中には、あまり専門性の高い知識を必要としない現場もあるため、これまで生産に関わった経験があれば転職できる可能性は十分あるでしょう。応募する際は、自分が生産工程で何ができるのか明確にアピールすることが大事です。
生産技術は仕事内容が幅広いため、キャリアアップを目指す際の選択肢も豊富です。工場長のような生産拠点の責任者になるのが一般的ですが、独立して生産コンサルタントとしてマネジメントに特化した道に進むケースも見られます。
ほかにも、品質管理や研究開発など、生産技術のスキルが生かせる職種はさまざまです。自身が生産技術の現場で何を経験したかによってあらゆる道を選べるでしょう。
生産技術は海外で活躍するケースが多く、外国人との交流の機会も多いため、英語や中国語といった語学力があると重宝されます。設備のマニュアルや技術書は英語で書かれていることが多く、会話が難しくてもリーディングができれば十分武器になるでしょう。
作業員や他部署と連携して動くことが多いため、マネジメント経験やコミュニケーション能力も必要です。製造工程における経験や知識もあれば、選考時にアピールしましょう。
生産技術の仕事内容は幅広く、業務を遂行するにはさまざまな技能が求められます。設計に用いるCADシステムの扱い方や分析するためのCAE、マネジメントに関するスキルは特に重要と言えるでしょう。ここでは、生産技術の仕事で役立つ4つの資格を紹介します。
一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催する試験です。CADシステムに関する知識やスキルが一定水準に達していることを認定する試験で、CADシステムを使って設計や製図を行う方やこれからCADを学びたい方が必要な技能を身につけるのに適しています。
CADシステムを利用した設計は生産技術のメインの業務のひとつであるため、取得すれば即戦力として歓迎されるでしょう。試験は、2次元CAD利用技術者試験と3次元CAD利用技術者試験の2つです。使用するCADシステムの種類に合わせて受験しましょう。
CAE解析に関して一定以上のスキルがあることを証明する資格で、主催は一般社団法人日本機械学会です。CAEは内容の難しさから関係者以外の評価を得にくい一面がありますが、資格があればスキルに見合った正当な評価を受けやすくなるでしょう。
資格は「固体」「熱流体」「振動」の3つに区分されており、業務に必要な分野の資格のみを取得できます。初級から上級アナリストの4段階の等級が設定されているため、実力に合ったレベルを選択可能です。
生産の現場ではQCD(品質・費用・納期)が重視されます。要件を満たして業務を遂行するには、計画的なマネジメントが欠かせません。生産技術者マネジメント認定は、生産マネジメントのプロフェッショナルであることを認定する資格で、主催は一般社団法人日本能率協会です。
試験では、生産プロセスの実践的な知識や開発・量産との協力について問われます。等級はB級とA級があり、B級は受験条件がありません。一方、A級を受験できるのはCPE資格取得者に限られます。
生産環境を維持するのに不可欠な設備のメンテナンスに関するスキルを認定する国家資格で、公益社団法人日本プラントメンテナンス協会が運営しています。資格を取得する過程で、設備メンテナンスの業務に必要なさまざまな技能が身につくでしょう。
1級から3級に特級を加えた4つの等級が設定されており、それぞれ受験資格が異なります。3級は誰でも受験できますが、2級以上は実務経験が必要です。
転職に成功しても仕事内容が自分に合っていなければ、十分なパフォーマンスは発揮できません。転職活動では、目指す職種が自分に適しているか判断することも重要です。ここでは、生産技術に適性がある方の特徴を2つが紹介します。
生産技術は、製造工程を効率化する方法を考えることが求められる仕事です。さまざまなことを同時に検討する多角的な思考や、低コストを実現するための柔軟な発想ができる方は、生産技術に向いていると言えるでしょう。効率化するには関係部署との連携も不可欠であるため、プレゼンテーションや業務状況の説明で物事を論理的に伝えられるコミュニケーション能力も重要です。
設計業務では効率アップのために細かな数値設定や調整を繰り返し、設計後は設備が正常に稼働しているかチェックする必要があります。業務に細かい管理や監督が含まれるため、さまざまな要素に気を配らなければなりません。注意深く観察するのが苦手で大雑把な性格の方は、ストレスが溜まるリスクがあります。集中力を保つためのストレス耐性があり、適度な息抜きができることも大事です。
志望動機では、限られたスペースで自分を最大限にアピールするスキルが求められます。特に未経験の場合は職歴や実績を武器にできないため、志望動機の書き方は重要です。スムーズに転職するために、企業が志望動機で見ているポイントや盛り込みたい内容を押さえておきましょう。
企業が志望動機で知りたいのは、応募者の志望度の高さや企業との相性です。自社に対して熱意がなければ、内定を辞退したり入社してもすぐに辞めたりする恐れがあるため、本当に自社で働くことを志望しているのかチェックします。
企業への志望度が高くても、ミスマッチな環境では能力を発揮するのは難しいため、相性の良さも重要です。「応募者と企業の価値観が一致しているか」「社風は合っているか」といった企業風土とのマッチングも確認します。
志望動機では、「業界を選んだ理由」「志望する企業を選んだ理由」「企業にどのように貢献できるか」といったポイントを明確に伝えることが大切です。業界や企業を選んだ理由が不明瞭だと、「ほかの業界や競合他社でもよいのではないか」という疑念を与えるリスクがあります。
また、ただ入社したいと伝えるだけでなく、自分が入社することで企業にどのようなメリットがあるか提示することも重要です。企業が求める人物像を考慮して、これまでの職歴や経験から何ができるか考えましょう。
【例文】
前職で電子機器組み立てのライン工程を担当していた経験を活かし、大規模な製造を強みとしている貴社で生産技術としてスキルを役立てたいと思い志望いたしました。
前職では管理部門の責任者も経験しており、確認作業フローの改善によって不良品の発生率を下げることに成功しました。ほかにも、設備の最適化を徹底し工期の短縮に成功した実績があります。貴社は大規模製造に対応したシステムを導入しており、前職の経験を活かしつつ新たなことに挑戦できる環境に魅力を感じています。
貴社の生産技術業務においても、前職で培った正確性を活かして、業績向上に貢献できるように尽力してまいります。
例文では、生産工程の業務経験や成果、生産技術に必要な業界の知識やスキルをアピールしています。リーダー経験や製造の実績があることから、未経験でも適応できることを具体的なエピソードを交えて伝えているのがポイントです。最初に結論として志望理由を書き、最後に入社後の意気込みを伝える分かりやすさを重視した志望動機と言えるでしょう。
生産技術は経験者が優遇される傾向がありますが、未経験でも採用される可能性はあります。未経験可の求人に応募し、自身のスキルや職歴から活かせる部分をアピールしましょう。志望動機では、職種や企業を選んだ理由を明確に伝えることが大切です。
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