更新日:2021/12/27
多岐にわたる管理職の業務のなかでも特に重要とされているのが「組織のマネジメント」と「部下の育成」です。しかし、この2つを遂行するうえでどのような知識を持っておくべきかわからないという方も多いのではないでしょうか。
管理職の業務に必要な知識を体系的に習得する方法の一つとして挙げられるのが資格の取得です。
ここでは、管理職に必要な資格の種類や、取得に向けた取り組みなどをご紹介します。
目次
結論から言えば、特定の資格がなければ管理職になれないというわけではありません。しかし、資格を取得することで管理職に必要な資質を手に入れることはできるかもしれません。
まず、管理職における資格取得の有効性を考えてみましょう。
ひと口に管理職と言っても、その業務は多岐にわたります。会社の経営方針を理解し、部下へ浸透させ、部下とともに目標に向かって部の業務を遂行していく。そのためには、経営や人事労務、プロジェクト管理などさまざまな分野の知識が必要です。
そんな時に役立つのがマネジメント系の資格です。専門知識を見える形でアピールできるため説得力の強化にもつながりますし、マネジメントに求められる幅広い知識を体系的に身につけることができます。
マネジメントの資格に限った話ではありませんが、資格を取得しただけでは実務能力は身につけることができません。資格によって得られるのは知識のみですので、実務能力の向上には経験を積んでいく必要があります。
とはいえ、知識がある状態と知識がない状態とでは実務に臨んだ時に対応する方法やかかる手間、時間に差がつくでしょう。したがって、実務能力が身につかないから資格は意味がないというわけではありません。
資格取得は一つのゴールには違いありませんが、円滑なマネジメント業務を遂行するうえでのスタートと捉えておく必要があります。
資格を得るために学んだ知識をどのようにマネジメント業務に活かすのか事前に視野に入れ、必要な資格を選定しましょう。
ここからは、管理職の業務に関連する資格を労務管理・事業経営の観点から5つ紹介します。
ビジネスマネジャー検定は、マネジメントの基礎や経営者としての知識を体系的に習得できる検定です。
管理職の心構えやチームの意義、マーケティング、事業計画・財務諸表の見方などが習得できます。受験資格は特になく、一定の勉強をしておけば合格できるレベルのため、気軽に受験ができる資格の一つです。管理職向け研修の機会が特に設けられていない会社に勤務している方や新任管理職で基礎知識を身につけたい方におすすめです。
社会保険労務士(以下、社労士)は、労働や社会保険に関する法律知識を体系的に習得できる資格です。
マネジメント業務においては雇用契約や労働環境など人事・労務の知識も必要となりますので、持っていると何かと役立ちます。合格率は、令和2年度は6.4%、昨年が6.6%と難易度が高い資格ですが、 「労務の基礎知識さえあれば」という場合はテキストで学習するだけでも有効です。
中小企業診断士は、財務・会計、運営、法務、人事、マーケティングといった経営戦略に関わる資格です。
社労士同様、専門性の高い資格のため、合格率は20%前後 と資格習得の難易度は高めです。中小企業診断士の各科目のポイントを1冊に簡単にまとめた入門書もあるので、幅広い知識を習得したい際にはテキストを活用するのもいいでしょう。
経営学修士号(MBA)は資格ではなく学位です。MBAプログラムを開講している大学院修士課程を修了することで修得できます。
他資格よりも高額で、かつ学位取得までに時間を要しますが、高度な経営学を体系的に学ぶことができます。また大学院によっては夜間授業や通信制度を設けている教育機関もありますので、社会人として仕事を続けながら修得を目指することも可能です。
ITストラテジストは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が運営し経済産業省が認定する国家試験です。
情報処理技術者試験の「スキルレベル4」に相当し、合格率15%前後と難易度の高い試験です。試験内容は、法務・マネジメントのほか、システム戦略やシステム企画など、ITにまつわる広範な領域にわたっています。
次に、資格取得を志したら行うべきことを解説します。
まずは、その資格が本当に必要なのか、なぜ必要なのかを考えます。
前述の通り、資格は取得しただけでは実務能力が身につくわけではありません。実務で活かすことができて初めて資格は自分にとって役に立つものになるのです。
今回ご紹介した5つの資格や学位には実務における受験資格はありませんので、経験がなくても受験することができます。ただし、ITストラテジストに関してはITの実務経験がなければ取得するのがむずかしい資格です。
ご自身の業務やキャリアプランに見合った資格にフォーカスして取得を目指すことをおすすめします。
資格を取得したら実務にどのように活かすのか、事前に周囲に説明しておきましょう。
そうすることで、資格の必要性をより具体的にイメージすることができると同時に、合格までのモチベーションを維持することができます。
難易度や合格のために必要な勉強時間・方法は資格によって異なります。勉強時間や方法・難易度などを調べる際は、「資格の公式Webサイト」を活用してみましょう。資格の公式Webサイトには資格取得の最低必要事項が記載されています。
また、資格取得者から直接話を聞けるようであれば、勉強方法や学習計画の立て方など、どのように資格を取得したのかなどの経験談を聞いておくと、スケジューリングするときに役立ちます。
資格に関する基本情報を収集したら、スケジュール調整を行います。年に一度しか試験を実施しない資格もありますので、出願時期や受験日をしっかり確認しておきましょう。
勉強期間を設けるのがむずかしいようであれば次回を目指すなど、余裕をもって出願することも大切です。
1,000時間の勉強時間が目安とされている資格において1年後の試験で合格を目指す場合、平日2時間、週末7時間で1週間24時間の勉強時間を確保できると想定すれば、41週間で1,000時間に到達することになります。必要勉強時間と自分のプライベートの時間を捻出しながら、確実なラインでスケジュールを調整していきましょう。
資格はなくてもマネジメント業務を行うこと自体は可能です。したがって、本記事で挙げた管理職に役立つ資格をすべて取得する必要はありません。あくまでご自身の業務範囲や責任に応じて必要な資格を選択していくことをおすすめします。
中小企業診断士などは科目ごとに必要な部分から勉強してもよいでしょうし、社労士であれば資格に届かなくても勉強するだけでも十分に必要な知識を身につけることができます。
体系的に学べることが資格取得に向けた学びの最大のメリットです。業務に必要な資格から優先して知識を得るようにしましょう。
特定の資格がなければ管理職になれないというわけではありませんが、取得しておくと管理職としてより大きなフィールドで活躍するチャンスに恵まれる可能性があります。
日常の業務に取り組みながら勉強をすることが負担になってしまっては本末転倒ですが、組織の強化や部下のスキル向上のため、そして何より自分自身のキャリアを築くため、時間の許す範囲でぜひ資格取得にチャレンジしてみてください。
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