更新日:2021/12/28
転職活動の努力が実り現職の退職に向けて動き出す時に忘れてはならないのが有給消化です。あなた自身もまわりの方たちも納得できる形で退職日を迎えられるよう、あらかじめしっかりと計画を立てておく必要があります。
今回は、有給休暇の概要から退職時の消化方法、注意点、トラブル対処法などを解説していきます。有給休暇をしっかりと消化したうえで気持ちよく新しい環境へ進めるようにしましょう。
目次
有給休暇(年次有給休暇)とは、会社が従業員に与えなければならない賃金を伴う休暇です。
有給休暇の取得にあたってのポイントは、以下のとおりです。
有給休暇は退職決定後でも問題なく取得できます。従業員への有給休暇の付与は会社に課された義務であると同時に、それを使用するのは従業員に与えられた権利です。
しかし、かといって自分本位なやり方で取得するのはよくありません。上司や身近な同僚に相談しながら早めにスケジュールを調整するようにしましょう。
賞与は有給消化の間でも会社から支給されます。一般的な賞与は年に1~4期ほどの算定期間が設けられ、各期間中の会社全体の業績や従業員の在籍実績、成果などを考慮して金額が決定、支給される仕組みです。
賞与支給日は算定期間終了後に設定されているはずなので、在籍中に支給日を迎える分に関しては有給消化中でも支給対象となります。ただし、支給額の査定方法は各社規程に則る形となるため、満額支給でなくなる可能性も考えられます。そのため、賞与を受け取った後に退職希望を申し出て有給消化へ進むのが最も安全な方法でしょう。
いずれにしても、一度自社の規程を確認しておきましょう。
有給休暇の付与日数は継続勤務年数に応じて法令で定められています。
まずは入社から6ヵ月が経過した段階で10日が付与され、以降1年経過ごとに以下のとおり付与されていきます。
付与日数の上限は20日です。そのため、7年6ヵ月目からは一律で毎年20日が付与されていきます。
なお、週あたりの所定労働日数が4日以下、時間が30時間未満の従業員に関しては上記は適用されず、別途定められています。
有給休暇は以下の条件を満たす場合に付与するよう労働基準法第39条で定められています。
上記の条件は、業種や職種、雇用形態を問わずすべての従業員に対して適用されるものです。
有給休暇は在職中永続的に使用できる訳ではなく、付与されてから2年間が経過すると消滅し使用できなくなります。そのため、勤続年数が長く毎年20日の有給休暇が付与されている従業員でも最大で40日分しか保持できません。
退職時の有給消化には主に2つの方法があります。
事前の準備や注意すべきポイントも踏まえながら、どちらの方法が自身に適しているか検討してみましょう。
まずは支給済みの有給休暇日数を正確に確認しましょう。
毎月の給与明細に記載されていたり、社内のシステムから確認できたりする会社もあります。不明な場合は人事担当者に問い合わせましょう。
引き継ぎのボリュームが多く退職日ギリギリまで時間を要する可能性があったり、転職先への入社が迫っていて退職日を後ろ倒しできなかったりする場合は、業務の引き継ぎをする合間に有給消化をしていく形となるでしょう。この場合は最終出社日と退職日が同日となります。
引き継ぎなどやるべきことを終えてしまいたい、転職先への入社前に休む期間がほしいという場合は、最終出社日を退職日以前に設定し、その間に有給消化する方法があります。
など、諸々の環境が揃うことが実現の条件だといえます。
有給休暇は従業員に与えられた権利ではあるものの、一方的な自分の都合で有給休暇を取得しようとするのはトラブルを招く原因となります。円満退社実現のためにも前もって上司に相談し、後任者の通常業務の状況に配慮しながらスケジュールを立てるべきです。無理のないスケジューリングを意識しつつも、最終出社日までに確実に引き継ぎを終えるようにしましょう。
また注意すべきなのは、退職日までの日数と有給休暇の残日数の計算を誤ることです。土日などの休日に対しては有給休暇は適用されませんが、それを考慮せずに退職日を決定した結果、消化しきれず退職に至るケースもあります。本来取得できるはずだった有給休暇を無駄にしないよう十分に注意しましょう。
できる限りの策は打ったものの、どうしても退職までに有給消化できない方もいるかもしれません。
その場合、会社側に買取ってもらうことはできるのでしょうか。
退職時の有給休暇の買取りは、原則として認められていません。有給休暇の目的は従業員の心身の休息やリフレッシュにあるため、買取りの実施は目的に反してしまいます。
しかし、一部ケースを例外と解釈する専門家もいます。それが退職時におけるケースです。ただし、社内規程に記載がない限り会社に受け入れる義務はないため、拒否される可能性もあるでしょう。買取りを求めること自体は違法ではありませんが、受け入れてもらうには会社と交渉を試みるしかありません。
有給休暇の買取り額は法令で定められていないため、会社の判断に委ねられています。一概に言い切ることはできませんが、1日あたりの賃金に買取り日数を掛け合わせた金額が原則と考えてよいでしょう。
まずは社内規程に関連する記載がないかを確認し、見当たらない場合には人事担当者に問い合わせましょう。
有給休暇の買取りができれば、退職日を早めることも可能です。
消化を待たず最終出社日と同時に退職できれば、転職先に早く入社できたり転職前に心身を休める時間が取れたりするメリットもあります。
本来あってはならないことですが、上司などに有給消化を拒否されることがあるかもしれません。
その際の対処法について紹介します。
有給休暇の付与は法令により会社に課された義務です。
そのため、有給消化を拒否することは会社の義務を放棄した違反行為となります。話し合いで納得してもらえれば問題ないでしょうが、納得してもらえない場合は次のステップに進みましょう。
話し合いが決裂した場合は、別の上司や他部署の目上の人、もしくは人事担当者へ直接相談しましょう。
すべての従業員に与えられた権利ですので、たとえ拒否されても諦める必要はありません。堂々と振る舞いましょう。
有給消化に関して他の人に相談しても、「うちはそういう会社だから」「いま忙しい時期だってわかってるでしょ」などとまともに取り合ってもらえない場もあります。
その時は、勤務地を管轄する労働基準法へ相談しましょう。労働基準監督署は、企業が法令に則った運営をしているかを監督する立場にある機関です。解決につながるヒントを与えてくれるだけでなく、場合によっては会社に指導を入れてくれることもあります。
また、実際に相談に行かなくても、上司や人事担当者に労働基準監督署へ相談に行こうと考えている旨を伝えるだけで状況が改善される見込みはあります。会社側は従業員が労働基準監督署へ相談、通報することを恐れているはずです。望ましいやり方とは言い難いですが、いざという時の手段として覚えておきましょう。
たとえ最終出社を終えても、有給消化中はその会社の従業員です。転職先で正式に働き始めるのは有給消化が完了してからが無難でしょう。
万が一どちらかの会社が二重就労を禁止している場合、就業規則に抵触し何らかのペナルティを受けることになりかねません。どうしても事情がある場合は、念のため双方の会社の人事担当者に確認し、許可を取るようにしましょう。
有給休暇はあなたがいままで頑張って働いてきたからこそ与えられる権利です。できる限りそれを行使するために、退職を決めたらなるべく早めに上司に報告し、後任者への引き継ぎを調整していくことが必要です。
有給消化をすべて完了し、会社とトラブルなく円満な状態で退職を迎えられるよう、着実に準備を進めましょう。
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