更新日:2021/08/26
株式売買の窓口としての認識が高い証券会社には、日本企業と外資系企業があります。
日本人が中心となって経営する日本企業と比べ、外資系企業にはどのような特徴があるのでしょうか。
今回は、外資系の証券会社について詳細を紹介します。
企業形態や仕事内容などの基本情報をはじめ、外資系証券会社に向いている人の特徴もまとめています。
外資系証券会社での働き方を具体的にイメージしやすくなるでしょう。
目次
外国人投資家や外国の法人が一定の割合で出資している証券会社であったり、外国法人の100%子会社であったりする証券会社のことを外資系証券会社といいます。
日本でも外資系の証券会社は多く存在しており、ニュースなどで目にする機会もあるでしょう。
外資系証券会社の業務内容の中心は、株式取引や顧客の資産運用、株式市場の分析と情報収集となっています。
外資系といえども、業務内容は国内の証券会社とほぼ同様です。
日本の証券会社も外資系証券会社もグローバルな活動をしています。
証券会社と混同されがちな企業形態に投資銀行がありますが、顧客層に明確な違いがあります。
投資銀行の主な業務は、企業株式の管理や企業経営に関するサポートで、顧客は法人です。
一方、証券会社は、投資家の証券取引を仲介する業務が中心となるため、顧客は個人となる場合もあり、法人に限定されません。
投資銀行の主戦場はプライマリーマーケット、証券会社の主戦場はセカンダリーマーケットと呼ばれます。
両者とも証券を取り扱うことがメイン業務です。
証券会社の一部門が投資銀行の業務を遂行している企業も多くあり、この傾向は日本企業でよくみられます。
一般的に外資系証券会社は年収が高いといわれています。
外資系証券会社では、日系企業同様に基本となるベースサラリーが決められていますが、業績しだいではベースサラリーの数%分をインセンティブとして上乗せされる場合があるためです。
外資系証券会社では成果が上げられない場合、インセンティブを得られず年収が下がることも考えられます。
しかし、高い業績を保つとベースサラリーに加えてインセンティブを多く取得できるため、年収が高くなる可能性があるでしょう。
外資系証券会社で働く前に知っておきたいことが、仕事の特徴です。
外資系証券会社は多くが外国法人であるため、取り扱う案件や必要なスキルなど、日本企業とは少し異なる点もみられます。
日本の証券会社と比較しながら、具体的な特徴をみていきましょう。
和を重んじる日本人が主体となって経営する証券会社とは異なり、外資系証券会社は一人ひとりの働き方や実力を重要視し、成果主義である傾向があります。
インセンティブ制度を取り入れている企業が多く、会社に対する大きな利益をもたらす成果を上げることで、年齢や勤続年数に関係なく高額な報酬を得られるようになるでしょう。
多くの場合、外資系証券会社で社員を評価するのは、人事部ではなく直属の上司です。
自身の成果をしっかりとアピールできるような人間関係を整え、責任感のある仕事を行うことで高い評価の獲得につながるでしょう。
外資系証券会社の取り扱う株式市場や為替市場は、刻一刻と状況が変化します。
少しの判断ミスが多額の損失につながる可能性もあるため、高い判断力が必要不可欠です。
また、大きなトラブルが発生した場合にも、正確な判断ですばやい対応をしなければなりません。
外資系証券会社で働く人物には、日本だけではなく世界の情勢を日常的に学習したり株式や為替に対するリサーチをしたりして、判断力を培うことが大切となるでしょう。
外資系証券会社では海外企業の買収や合併に関する案件も取り扱っていることもあり、日本証券会社よりも大型の案件を手がける機会が多い傾向です。
多くの外資系証券会社は従業員構成が少数精鋭型で、少ない人数で利益を上げる必要があるため、少ない案件数でも大きな利益を得られる案件を多く取り扱う仕組みが作り上げられています。
大型の案件を取り扱うことは、勤務時間や作業が増えるなど従業員の負担が増大することにもつながりますが、やりがいを感じられる仕事であるともいえるでしょう。
外資系企業は、日本企業に比べて海外で勤務するチャンスが多いイメージがあるかもしれません。
しかし、外資系証券会社は多くの場合、本社から別の地域へ従業員を派遣します。
外資系証券会社の本社は海外にあり、日本は派遣先という立ち位置であるため、日本にある外資系証券会社では海外勤務の可能性は低いようです。
外資系証券会社でも企業や部署によっては海外勤務がありますが、出張という形がとられることが多くなっています。
成果重視である外資系証券会社では、企業が求める成果を上げられない場合には解雇につながる可能性があります。
一方、日本の証券会社は終身雇用という考え方が多い傾向です。
外資系証券会社も日本で事業を展開する限り日本の法律が適用されるため、従業員を一方的に解雇できません。
しかし、日本証券会社のような終身雇用という考え方がないため、解雇リスクは高めであるといえるでしょう。
本社が海外にある外資系証券会社は、経理や人事などの部門でも語学力が必要とされます。
経理をはじめとするバックオフィス業務では、本社や海外にあるオフィスと協力して業務を進める機会が多く、高い語学力を持つ人材を採用する傾向にあります。
一方、外資系証券会社の営業では日本人を顧客とする場合が多いため、語学力よりも営業力が重視されています。
ただし、上司が外国人の場合もあり、社内コミュニケーションなどで不自由しない程度の語学力は必要です。
外資系証券会社での勤務を希望する場合には、部門によって求められるスキルが異なることを覚えておくとよいでしょう。
外資系証券会社には複数の部門が存在します。
詳しい業務内容が分からず、外資系証券会社への入社を踏みとどまっているという方もいるのではないでしょうか。
ここでは外資系証券会社の部門別に業務内容を紹介します。
リテールとは個人を対象とする小売り営業のことです。
自社の証券口座を開設してもらえるように、新規の顧客を増やしていくことが中心となります。
リテール部門に配属されると一定のノルマが課せられ、企業の創業者や元役員といった資産を多く保有している方への営業活動をかけていくことになるでしょう。
また、証券口座を持っている既存顧客に対して、情報をもとに値上がりしそうな株式を提案するという営業活動も行います。
リサーチ部門の主な業務は、外資系証券会社に必要な情報の収集です。
経済の状況により変動する株価を予想するため、国内・海外問わず情勢やさまざまな経済動向を調査・分析しています。
リテールの営業スタッフは、リサーチ部門が発信する株価予想などの情報をもとに、顧客に提案を行っています。
リサーチ部門では金融経済や株式といった多くの情報を処理する必要があり、高度な財務・数学に関するスキルや豊富な知識などが求められます。
外資系証券会社にある投資銀行の役割は、企業の資金調達やM&Aのサポート業務です。
顧客企業がひとつの企業を買収しようと考えている場合、相手企業の買収価格を調査したり、買収するメリット・デメリットを検討して報告したりします。
ほかにも、企業を上場させるためのアドバイスをする、企業を存続させるためにあらゆる手段で資金を集めるなど、顧客企業の将来を左右する重要な業務を行う場合もあるでしょう。
外資系証券会社では顧客の資産運用を代行する業務を行っています。
アセットマネジメント部門で行う場合が多く、顧客の資産を増やすために多くの金融商品を厳選して発注します。
企業によっては、資産運用に特化した会社を設立して運営している場合もあるほどで、外資系証券会社にとって重要な業務だといえるでしょう。
資産運用を行う社員には、高度な金融知識が求められるため、ある程度の経験が必要となります。
ここでは、実際に外資系証券会社で活躍しやすいのはどのような人物か、特徴をまとめてみました。
就職・転職先に外資系証券会社を検討している方は、しっかりとチェックしていきましょう。
求められる人物像は他業種の外資系企業と大差ありませんが、より重視されるポイントもあります。
外資系証券会社で実力を発揮するには、グローバルなマインドを持っていることが重要です。
語学力の必要性は業務内容や部門によって異なりますが、ネイティブクラスの英語力を持っていれば業務に役立つ可能性は高いでしょう。
外国人の顧客に情報を提案するときや本社の社員とやりとりするときに、細かなニュアンスまできちんと伝えられることは、大きな強みとなります。
また、世界中の株式や為替を取り扱うため、平常時から国際情勢を意識して、英語を学んでおくという心がけが必要です。
外資系証券会社では、企業を動かすほどの大金を扱うこともあります。
自身が提案したことが、顧客の未来を左右する場合も多いため、強い責任やプレッシャーを感じながら働くことになるかもしれません。
さらに、社内目標やノルマが課せられることも多いため、プレッシャーに負けることなく前向きにとらえる姿勢が必要です。
成果を上げるために努力し続けられる人物は、外資系証券会社で活躍できるといえるでしょう。
年齢による上下関係があまり存在しない外資系証券会社は、向上心の高い人材を求める傾向があります。
外資系証券会社の多くが、常に実力や成果を重視したうえで年収やポジションを決定しているため、年齢や経験によって自然に年収がアップすることは少ないでしょう。
年齢に関係なく、成果を追求し上を目指す気持ちが強い人にとって、外資系証券会社は大きなやりがいを感じながら仕事に取り組める環境であるといえます。
外資系証券会社にスムーズに就職・転職するには、押さえておくべきポイントがあります。
面接や試験までに情報を頭に入れておくことで、採用への近道となるでしょう。
事前の把握は転職活動の効率化に役立つだけでなく、採用後のミスマッチも防げます。
多くの外資系証券会社では、部門や職種に分けて人材を採用しています。
リテールやリサーチ、資産運用など、多くの業務を細かい分野に分けて運営しているため、採用も業務別に動く仕組みです。
公式ホームページや求人情報サイトの募集要項では業務内容が分かりにくい場合があるため、事前に入念なリサーチを行っておくとよいでしょう。
外資系証券会社では、業務に生かせる資格を持った人材が求められる場合があります。
語学力をアピールできるTOEICや、企業経営知識を持つMBA、USCPA(米国公認会計士)など、金融関係の資格もグローバルなスキルを持っていると大きな武器となるでしょう。
また、国際秘書検定や国際会計検定といった日本が発行する資格も、就職に有利となる可能性があります。
検定試験において、英文の読解力や英語を交えたコミュニケーションスキルなどが必要となるため、外資系証券会社での勤務でカギとなるスキルをアピールできるかもしれません。
キャリアアップとして人気の高い外資系証券会社。
確実なキャリアアップを目指すのであれば、企業の求める人材を熟知したエージェントのサポートを受けるのがおすすめです。
自分のスキルや実力が存分に発揮できる環境は外資系証券会社だけとは限りません。
広い視野と豊富な実績がある転職エージェントに頼れば効率よく転職活動を行える可能性があります。
また、希望に沿う外資系証券会社の求人がない場合は、求人募集が行われたときに連絡をもらうことも可能です。
外資系証券会社は、海外に本拠地を置いていたり、業務が細分化されていたりと日本の証券会社とは異なる部分も多くあります。
外資系証券会社に転職し、高いインセンティブを獲得して年収アップを狙うなら、日本の証券会社との違いや求められるスキルをしっかり確認しておきましょう。
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外資系証券会社にこだわらない広い視野から自分のマインドやスキルを生かせる活躍の場を見出します。
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