更新日:2024/03/07
履歴書にある「扶養家族数」「配偶者の有無」「配偶者の扶養義務」を記入する欄。それぞれの家庭の状況によって、どのように書いたらいいのか迷うことが多い部分ではないでしょうか。
ここでは、扶養家族の定義を踏まえた上で、正しい記載の仕方をご紹介します。
目次
履歴書に、扶養家族の人数や配偶者の有無を記さなければならない理由は、採用に至った場合、企業が所得税の計算や健康保険の手続きなど、事務的な確認をする必要があるためです。企業によっては、社宅や住宅手当、あるいは家族手当などについて確認している場合もあります。
あくまでも事務的な要素が強いため、具体的な内訳などは求められず、配偶者の有無や扶養家族の人数のみの記載となっているのです。
それでは、扶養家族とは一体何を指しているのでしょうか。
扶養家族とは、自分の収入から生活費を出し、養っている家族のことです。ただし、税法上と健康保険における考え方とでは違いがあります。
所得税の計算をする際に、扶養控除の対象となる親族のことを扶養親族といいます。
扶養親族とは、所得税を計算する年の12月31日現在で、次の要件の全てにあてはまる方を指します。
<扶養親族となる条件>
1.配偶者以外の親族、もしくは里子や養護を委託されている老人
2.納税者と生計をひとつにしている
3.年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
4.青色申告者の事業専従者として、その年一度も給与の支払いを受けていないか、白色申告者の事業専従者でない
ただし、扶養控除の対象となるのは、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の方になります。
また、「生計をひとつにしている」とありますので、子供が学校に通うため、親元から離れて、仕送りで生活している場合も含まれます。
しかし、このとき注意しなければならないのは、子供がアルバイトをしているケースです。アルバイトの収入が年間103万円を超えると、扶養親族からは外れることとなります。
健康保険においては、自分自身は被保険者、扶養家族は被扶養者と呼ばれます。
被扶養者になれる範囲は、健康保険法で次のように定められています。
<被保険者と同居していなくても扶養家族になれる人>
・配偶者(内縁を含む)
・子(養子を含む)
・孫
・兄弟姉妹
・父母(養父母を含む)の直系尊属
<被保険者と同居していないと扶養家族となれない人>
・義父母など上記以外の三親等内の親族
・内縁の配偶者の父母、連れ子
・内縁の配偶者が亡くなった後のその父母、連れ子
この範囲において、次に挙げる全ての条件を満たせば被扶養者と認定されます。
1.後期高齢者ではない
2.被保険者がその家族を扶養せざるをえない理由がある
3.被保険者がその家族の生活費を負担している
4.被保険者に継続的にその家族を養う経済的扶養能力がある
5.その家族の年収が被保険者の年収の2分の1未満である
6.その家族の収入が年間130万円未満(60歳以上もしくは59歳以下の障害年金受給者は年間180万円未満)
法律婚をとっていない事実婚・内縁関係の場合でも、パートナーを配偶者ということはできるのでしょうか。
配偶者については、税法上と健康保険とでは捉え方が違ってきます。
税法上では、「民法の規定による配偶者であること」という条件があるため、事実婚や内縁関係の場合は配偶者とはみなされません。
健康保険の被扶養者の範囲には、「配偶者(内縁を含む)」とあるので、事実婚・内縁関係のパートナーも配偶者に含まれます。
それでは、履歴書に記載する扶養家族数と配偶者は、税法上の捉え方と健康保険上の捉え方のどちらを採用すればいいのでしょうか。
一般的に、履歴書に記載する扶養家族数と配偶者は、健康保険上の被扶養者で数えます。ですので、ここでいう配偶者とは、事実婚・内縁関係である場合も有効です。
扶養家族数に自分自身は含めません。また、後期高齢者となる75歳以上の方も扶養家族には入りませんので注意しましょう。
収入の条件などは、先にご説明したことを参考にしてください。これらを踏まえて、パターン別に履歴書への書き方をご紹介します。
独身の場合は当然、配偶者は「無」、配偶者の扶養義務は「無」となります。
扶養家族数は、仕送りをするなど主たる生活費を負担している親族がいる場合は扶養家族がいることになります。
たとえば、同居あるいは別居している母親の生計を支えているのであれば、扶養家族は「1人」となります。
結婚していて、配偶者が専業主夫・主婦の場合、配偶者は「有」、配偶者に収入がまったくないので、配偶者の扶養義務は「有」となります。
扶養家族数は、配偶者を除く扶養者(収入のある方)が扶養している親族の人数です。
<パターン1>
夫(扶養者)、妻(収入なし)、子供2人(収入なし)の場合
扶養家族は「2人」
<パターン2>
夫(扶養者)、妻(収入なし)、子供1人(年収130万以上)の場合
扶養家族は「0人」
<パターン3>
夫(扶養者)、妻(収入なし)、子供(収入なし)、夫の母(同居・収入なし・75歳未満)の場合
扶養家族は「2人」
夫婦が共働きの場合は、それぞれの収入の状況により、配偶者の扶養義務、扶養家族の人数は異なります。
<パターン1>
夫(扶養者)、妻(年収130万円未満)、子供2人(収入なし)の場合
配偶者は「有」、配偶者の扶養義務は「有」、扶養家族は「2人」
<パターン2>
夫(扶養者)、妻(年収130万円以上)、子供2人(収入なし)の場合
配偶者は「有」、配偶者の扶養義務は「無」、扶養家族は「2人」
<パターン3>
夫(扶養者)、妻(年収130万円以上)、子供1人(年収130万以上)、夫の母(同居・収入なし・75歳未満)の場合
配偶者は「有」、配偶者の扶養義務は「無」、扶養家族は「1人」
仕送りをするなど生計をともにしているのであれば、配偶者・子・父母・孫・兄弟姉妹などの、直系親族は扶養家族とすることができます。
<パターン1>
夫(扶養者)、妻(収入なし)、子供1人(収入なし)、夫の母(別居・夫の仕送りで生活・75歳未満)の場合
配偶者は「有」、配偶者の扶養義務は「有」、扶養家族は「2人」
<パターン2>
夫(扶養者)、妻(収入なし)、子供1人(収入なし)、夫の母(別居・夫の兄の仕送りで生活)の場合
配偶者は「有」、配偶者の扶養義務は「有」、扶養家族は「1人」
収入や同居か別居かなど、様々な要件で、履歴書の配偶者の扶養義務や扶養家族の人数は決まってきます。ただし、この内容が選考に影響を与えることはほとんどありません。とはいえ、正確に記載するようにしましょう。
記載するにあたり、「こんなケースの場合はどうだろう?」と迷いが生じることがあるかもしれません。そんなときは、マイナビエージェントのキャリアアドバイザーにご相談ください。
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