更新日:2024/04/17
企業内で行われる内部監査とは、一体どのような仕事なのでしょうか。内部監査という言葉は知っていても、具体的な仕事内容について、はっきりとしたイメージがわかない方が多いかもしれません。
そこで、外部監査との違いや内部監査を行う目的の他、経営への活かし方、内部監査として働くための方法についてまとめました。
目次
内部監査とは、企業内の独立した部門が行う、独自の監査のことです。企業の不祥事の防止や業務効率のチェック、または売上向上を目的として、合法性・合理性に基づき、経営諸活動に対するアドバイスを行います。健全な経営を維持し、問題点を改善するための制度といえるでしょう。
ちなみに、内部監査専任の部門が設けられていない企業の場合、監査を受ける部署とは別の部署の社員が内部監査を行います。
監査には、企業が独自に行う内部監査の他、外部監査があります。内部監査と外部監査では、その目的や監査を行う人、監査を命じる人が異なります。
内部監査は、企業の監査役や社内担当者が、経営者に命じられて行うものです。具体的には、社内規定が正しく文書に記載され、社内で正しく運用されているかなどをチェックします。
内部監査の結果は経営者に報告され、経営改善のために役立てられます。
また、内部統制報告書を作成するのも内部監査の一種です。内部統制とは、企業の従業員全てが遵守すべき社内のルールや仕組みを表し、内部統制報告書には、内部統制がきちんと守られているかどうか、評価を記載します。
作成された内部統制報告書は、外部の公認会計士による、「内部統制監査」を受けます。内部統制報告書は、最終的には金融庁に提出され、チェックされる仕組みです。
外部監査は、監査法人に属する公認会計士が行うものです。企業内の社員ではなく、外部の独立した機関が企業の財務諸表等が適正であるかどうか、客観的にチェックします。
外部監査は、企業の財務諸表等が適正であることを保証するためのもので、大企業は外部監査を受けることが義務付けられています。
また、企業内部で作成された内部統制報告書が適正であるかどうかをチェックする内部統制監査も外部監査の仕事です。
内部監査を実際に行う際の6つの手順についてまとめました。内部監査の大まかな進め方について見ていきましょう。
最初に、監査計画の策定を行います。監査計画とは、いつ、誰が、何のために、どの部門の監査を行うのかを策定するものです。監査計画がしっかり立てられていないと、せっかく監査をしても調査に抜けが出てしまいます。
内部監査においては、客観性が保たれることが重要です。そのため、監査人の選定においては、内部監査の対象となる部門と関わりがない人物であるか、慎重に検討する必要があります。また、十分なチェックが行えるように、項目の内容を吟味することも必須といえるでしょう。
監査計画の策定時には、監査の進め方についてのマニュアル作成も同時に行います。
作成された監査計画に基づき、予備調査を実施します。予備調査とは、監査対象の部門に対して監査を行う旨を通知し、必要な書類をまとめたり、スケジュールの調整を行ったりすることです。
監査の目的をあらかじめ伝えておくことで、対象部門の担当者との認識のすり合わせをすることができます。
ただし、不正が疑われる部門の内部監査においては、事前の通知を行わないこともあります。
監査とは本調査のことであり、予備調査で得られた書類やデータを基に行われるものです。
内部監査人が監査の対象となる部署を訪れ、作成したマニュアルとチェック項目に沿って、文書の整備や従業員の業務状況、現場状況などをチェックします。
部署の管理職といった責任者の他、業務中の従業員からのヒアリングも行ってよい決まりです。予備調査の段階で気付いた問題点も、監査の段階で確認します。
監査後に行う作業として欠かせないのが、監査結果をとりまとめて評価することです。評価はチェック項目ごとに行いますが、マニュアルに記載された要件や規定、ルールと合致しているかどうかが評価基準となります。
評価は、結果報告書に記載され経営陣などに提出される重要なデータです。
監査結果をとりまとめた結果報告書を、経営者および監査対象部門長宛に提出します。
今後、どのような対応が必要であるのか、経営陣に把握・対応してもらうため、問題点だけでなく、なぜ改善が必要なのか、いつまで、どのような方法で改善すべきなのかを記載します。
改善しないまま放置した場合、どのようなリスクが考えられるかについてもふれるのが一般的です。
監査の対象となった部署に改善計画書や回答書を渡し、改善の提案を行います。
これは基本的に、内部監査部門が監査対象の部署に対して行うものです。部署内での対応だけでは改善が困難な場合や、問題の領域が部署内にとどまらないと判断される場合、役員や経営陣に対して問題提起等を行うこともあります。
内部監査を行う際の注意点として、単に形式的にこなすのではなく、内部監査を行って得られたフィードバックを活かすよう、心掛けることが大切です。内部監査は、営業部門のように直接利益を生み出す仕事ではありません。必要性や有効性が正しく認識されず、軽視されることもあり、中には実施しない企業もあるでしょう。
内部監査を行うのであれば、まずは目的を明確にすることが大切です。自社の問題点や改善点を発見し、フィードバックを活かすことで企業を成長させ、利益拡大につなげるという目的を意識していれば、十分機能させることが可能です。
内部監査の仕事に就く方法は、大きく2つあります。現在の勤務先で内部監査の部門に転属するか、転職をすることです。
どちらの場合も、内部監査を行うための専門知識が必要になります。
現在、勤務している会社に内部監査部門がある場合は、転属を目指すことが可能です。
内部監査部門で働く条件として、社内規定やルールを把握していることは必須条件です。その上で、客観性や問題提起のセンス、解決能力が求められます。
転属を希望する際は、このような能力をアピールしていくことがポイントとなるでしょう。
また、内部監査人の能力を証明する唯一の資格である公認内部監査人(CIA)の資格を取得していると、転属の際に有利になる場合があります。
公認内部監査人(CIA)資格を保有している場合は、資格を活かして転職を目指す方法もあります。
また、経営、経理、労務、財務などの知識や実績は、内部監査部門への転職において優遇されることが多いスキルです。
自社に内部監査部門がない場合や転属が望めない場合は、実績や資格を活かした転職を目指しましょう。
内部監査は、客観的な立場から社内の各部門の評価を行う仕事です。内部監査を正しく活用すれば、企業を成長させることができるでしょう。
ただし、内部監査は義務ではないため、独立した内部監査部門が設置されている会社もあれば、設置されていない会社もあります。自社に内部監査部門がない場合は、内部監査として働くには転職が必要となるでしょう。
内部監査への転職を検討される方は、まず自分に活かせる能力がないかチェックすることから始めましょう。
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