更新日:2023/11/14
転職をする理由は人それぞれですが、では実際にどのような理由で転職する人が多いのでしょうか?
ここでは、厚生労働省が発表している「雇用統計調査」の結果をもとに転職理由ランキングを紹介するとともに、面接での退職理由の答え方なども合わせて見ていきましょう。
目次
ここではまず、厚生労働省の「平成30年雇用統計調査」の結果から、転職理由のランキングを紹介します(19歳以下~39歳までの男女の平均データを算出して策定)。
平成28年、29年のランキングと比較してみると、変わらず「給料が不満」「労働条件が悪い」「人間関係が良くない」がトップ3となっています。
給料と労働条件の2項目で全体の約4分の1を占め、人間関係の悩みも微増傾向にあることから、やはり本音ではネガティブな理由で退職する方が多いことがわかります。
では、平成30年の転職理由ランキング第1位~8位を具体的に見ていきましょう。
最も多かった転職理由は、労働条件や休日などの労働条件の悪さです。
働き方改革が進む中、やはり残業や休日出勤が多いなど、労働条件のきつさから転職する方はかなり多いようです。
給与の不満も、労働条件の悪さと並んで多い転職理由です。
なかなか給与が上がらない、入社前に聞いていた話と実際の支給額が違った、実績が正しく評価されず給与にも反映されていないといった理由から、転職を図るようです。
なお、転職面接では直接「給料に不満があった」という理由を述べるのではなく、「実力主義の評価制度がある御社で働きたい」「キャリアアップを図り、年収アップを目指したい」など、伝え方を工夫する必要があります。
人間関係は、職場でのトラブルや働きにくさといった要因の一つです。あくまでも組織、チームで仕事をするわけですから、人間関係が好ましくない職場では自分の能力を発揮し、やりたいことを実現しにくいと考えて転職に及ぶ方が多いと考えられます。
なお、男女別に見ると、20代前半の女性では転職理由のトップとなっており、先輩女性社員や上司との人間関係に悩むケースが多いことがうかがわれます。
今後のキャリアプランやライフプランを考えたとき、会社の将来が不安なようでは、そのプランを実現することが難しくなります。
そのため、自分のプランを実現することができる企業への転職を考えるのは、ある意味当然のことといえるでしょう。
非正規雇用は長期雇用の保証がないため、雇用が不安定で、生活や将来設計に不安を覚える方も少なくないでしょう。そのため、契約社員や派遣社員などの方が契約期間の満了をもって安定した職を求めて転職するケースも多いようです。
新卒で志望通りの企業に就職することができなかった場合など、配属された部署の仕事に興味を持てないと、やりがいや向上心が見い出せなくなってしまいがちです。そこで、自分がやりたい仕事ができる場を求めて転職することになります。
自分が持っている経験やスキル、資格などを十分に生かすことができる企業を求めて転職するというケースで、上位の転職理由と比べると、前向きな転職理由だといえるでしょう。
一般に経営不振や倒産、リストラなどを理由に、一方的に労働契約を解除された場合などを言います。そのほか、退職勧奨や希望退職に応じた、いじめや嫌がらせなどのハラスメント被害を受けた、給与の未払いが続いたなどの理由で退職を余儀なくされた場合も会社都合の退職にあたります。
会社都合による退職では、面接で詳しく質問を受ける可能性があります。例えばリストラによる退職では、応募者自身に原因があるのではないかという疑問が生じるケースが考えられます。
その場合、会社側の事情によることをきちんと説明できるようにしておく必要があるでしょう。
ランキングに挙げた転職理由は、いわば「本音」の理由です。
皆さんもおわかりかと思いますが、これらの理由を面接の際に素直に伝えると、面接官に与える印象は決して良いものとは言えません。「採用しても、また同じ理由で辞めてしまうのではないか」と思われる可能性が高いのではないでしょうか。
面接の際には、どちらかというとネガティブな本音の理由を「ポジティブな転職理由」に変換して伝えることが大切です。採用してもらわなければ意味がないのに、わざわざネガティブで印象が良くない理由を伝えるのは逆効果となります。
次に、ケース別の転職理由の答え方を見ていきましょう。
参考例も示しましたので、自分に当てはめてアレンジしたうえで活用してください。
<参考例>
「転職回数が多いのは、『自分の能力を高めてステップアップを図る』という考えで転職してきたからです。過去の2回の転職でも、新たなスキルを習得するなどのステップアップを実現してきました。
御社ではさらなるステップアップを図り、○○のスキルを活かして御社に貢献したいと考えております。御社では○○事業のリーダーになることを目標としており、一層の努力を重ねる所存です。」
転職が多いのは、前向きな理由であることを伝えましょう。
参考例のようにステップアップを図るためという理由のほか、例えば営業職であれば、最初は商品企画にも関わることができる仕事がしたいので転職し、その次は商品開発力の高さに魅力を感じて転職したというように、ポジティブな理由で転職先企業を選んだことが伝えられるのがベターです。
<参考例>
「前職では3年間〇〇の仕事に携わっておりましたが、××について興味を持つようになりました。より高度な知識を学び、スキルアップしたいと思っていたところ、御社には○○の研修制度があることを知り、応募させていただきました。
前職で培ってきた〇〇の経験やスキルを生かし、御社の研修制度でさらにスキルを高めて、貢献したいと考えております。」
スキルアップのために転職する場合は、自分のためのスキルアップだけではなく、これまでの経験やスキルを生かしたうえで、さらなるスキルアップを図ることで会社に貢献したいということ伝えることが大切です。
<参考例>
「結婚により、○○県から夫の住まいがある東京へ転居しなければならず、前職を退職いたしました。転居後の生活も落ち着き、結婚後も変わらず仕事を続けたいと考えておりましたので、前職での経理の経験やスキルが活かせる仕事がしたく、御社を志望しました。
夫も、仕事を続けることに賛成してくれております。よろしくお願い致します。」
仕事復帰する理由、これからどういう仕事がしたいかといったことに加え、家族の理解があることも伝えます。妊娠・出産した場合の働き方について聞かれた場合は、長く働きたいという意欲を示すといいでしょう。
ここでは、面接官の側から見た転職理由を取り上げます。
面接官は、その人の人柄や意欲など、応募書類だけでは十分に見えてこない要素を読み取るために、転職理由をチェックしています。
以下、面接官が確認しているポイントを3つご紹介します。
面接官が転職理由を聞く際には、仕事に求めるビジョンやモチベーションといった面で、企業が求めている人物像と合致しているかを確認しています。
転職理由は、前職を辞めた理由であると同時に、新しい仕事への意欲を示すものでもあります。転職後に実現、貢献したいことなどから、社風と合致しているのか、どういった意識を持って仕事に取り組んでいるのかなどを確認します。
ですから、実際は前職への不満が理由であったとしても、それをポジティブな形に変換して伝える必要があるのです。
面接官が転職理由を聞くのは、「今の勤務先への不満だけで応募してきていないか」「入社したい気持ちがしっかりとあるか」「応募者が即戦力として活躍できるかどうか」といったことを見極めるためです。
ですから、退職の理由を明確にし、面接で転職理由を述べる際には即戦力アピールにつなげることができるようにしなければなりません。
面接官は、仕事に責任感を持って向き合い、企業に貢献してくれる人材かどうかを見極めています。前職を辞めた理由から仕事に対するいい加減な態度が透けて見えるような人材には、信頼して仕事を任せることができないからです。
さらに、問題が発生した際の「自責思考」「他責思考」にも注目しています。転職理由に会社の方針といった環境を挙げる場合は、他責思考が強く責任感が無いのではないかと疑われることもあるでしょう。
面接において面接官を納得させることができる転職理由の答え方のキーポイントは、転職理由を志望理由につなげることができるかどうかです。
退職理由と志望理由に一貫した流れがあると、意欲ややる気が感じられますが、退職理由と志望理由のつながりが薄かったり、矛盾があったりすると、「本当の退職理由は違うのでは?」、「ほかの会社でもいいのではないか?」といった印象を面接官に与えてしまいます。
「ポジティブな退職理由」と「転職後のビジョン」をうまくつなげることで、アピール度を高められるようにしましょう。
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