ものづくり・メーカー
- 年齢
- 50歳
- 性別
- 男性
- 転職活動期間
- 4ヵ月
50代の転職。その難しさは単純な年齢の高さだけではなかった!
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前職
- 業種
- 電子・電気機器
- 業務内容
- 社内ITの運用サポート(管理職)
- 年収
- 900万円
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現職
- 業種
- 生命保険
- 業務内容
- グループ企業のシステム運用
- 年収
- 600万円
転職へのご志向、転職経緯
今回の転職者Yさんは、ご登録をいただいた時の情報では在職中とのことでしたが、実際に初回のご面談の際にお聞きしたところ、既に現職の会社に対して自己都合での退職の申し入れをされていて、自主退職がもう確定であるとのことで、私はとても驚きました。 なぜならYさんは有名大手企業にお勤めで、ご年収も高く、また何よりご年齢が50代でいらっしゃったからです。 50代で転職先を決める前に、退職を先に決めてしまうということのリスクはあまりに大きく、私はこの転職活動のケースは一筋縄ではいかないと感じ、候補者様と共にしっかりと危機感を共有し、腹を括って取り掛かることになりました。
退職の気持ちを固めた理由はワークライフバランスの問題が主因でした。
24時間365日のITサポートのお仕事で、しかも管理職とくれば、確かに公私の境い目は不明瞭。
週末や夜中にも関わらず、いつ顧客からトラブル対応のお呼び出しがあってもおかしくなく、さらに常に責任を問われる立場でした。
仮にそれ相応の報酬は得ていたとしても、確かにヘビーなお仕事でして、Yさんは退職を決めたこと自体になんの躊躇も後悔も無かったようでありました。
転職活動中の不安、不安へのアドバイス
Yさんは、私とキャリアの棚卸しをし転職市場の温度感に触れる中で、転職活動が厳しい戦いであることが徐々に実感を伴っていきました。
書類選考の通過がなかなか出ないので、そもそも面接の機会を得ること自体が難しい――
しかし、面接にさえ行ければ、素晴らしい人間力で面接を突破できるという自信は密かにありました。
また、Yさんは転職にあたって「ワークライフバランスが改善されるなら、年収額にはこだわらない。たとえ前職の半分以下になったって別に構わない」というスタンスをお持ちでした。
よくよくお聞きするに、希望年収を低く下げて構えさえすれば、リーズナブルだと考える採用企業はきっと現れるはずだ、という見通しでした。
けれども、現実は全く違い、企業側としては「希望年収が想定よりも高いなら採用は見送らざるを得ない」と厳しく見るということ。
同時に「希望年収が案外低いようなら、かえって他人には言えないような良からぬ事情を抱えて退職したのかもしれない」などと穿った見方をされる……という、打ち出し方が非常に難しいケースでした。
50代の転職という、シニア層を受け入れる企業が単に少ないという難しさもさることながら、Yさんの転職活動サポートの中で最も困難だったのは、この点でした。
内定までの流れ
そもそも50代の候補者の採用をリアルに検討することができる企業は世の中にどれだけあるのか?
これはなかなか難しい問いだと思います。
「マネージャー採用枠で、ピンポイントに経験豊富な大ベテランを必要としている」という求人案件でもない限り、好んで50代を受け入れる求人企業は、残念ながらほぼありません。
ただ非常に興味深いことに、50代を採用することをそもそも検討したことすらないという企業がほとんどなのではないでしょうか。
思い切って訊いてみれば、潜在しているニーズがあるかも――いや、きっとあるに違いない!
Yさんには私に賭けてもらったようなものでした。
結構な数の企業にあたりましたが、「年齢と経験のバランスがアンマッチ……」「年齢と年収のバランスが……」と見送り理由は似通って同じことを繰り返し言われる展開が続きました。
しかし、ついに「お任せしたい業務を十分に全うしてくれるのであれば、たとえ年齢が高かったとしても、それ自体は問題ではない」という素晴らしいお考えの企業とご縁を結ぶことができました!
上記の通り、オファー年収をいくらで設定するかで膠着状態に陥ったシーンはありましたが、無事にお互いの納得がいく着地点が見つかり、めでたく内定いたしました。