更新日:2021/09/14
特許事務の仕事とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
ここでは、特許事務の業務内容と活かせるスキルのほか、特許事務の仕事に就く方法、やりがいについてまとめてご紹介します。特許事務への転職を検討している方は、参考にしてください。
目次
特許事務は、特許に関する事務全般を行う仕事ですが、具体的な業務内容はどのようなものになるのでしょうか。
特許事務所や企業の知財部門などで働く特許事務の仕事について、業務内容を詳しく紹介します。
企業が自社オリジナルの新しい商品や技術を発明したとき、国から特許権を付与してもらうため、特許庁に特許出願を行います。特許事務の仕事は、知的財産権に関する業務を行う弁理士が、特許出願に必要な書類を作成する際に補助をすることです。
作成する書類には、発明をした人の氏名等を書いた願書と、特許を取りたい発明の内容をまとめた書面などがあります。他に、商品の外観や細部がわかるような図面を作成する場合もありますが、具体的にどこまでをサポートするのかは、勤務先や各人のスキルによって変わります。
特許の出願に関する書類はオンラインでの提出が可能であり、このオンライン申請手続きも特許事務の仕事のひとつとなります。
具体的には、電子証明書の準備、インターネット出願ソフトの入手とインストール、申請人利用登録などを行います。
特許の期限を管理することも、特許事務の仕事です。
特許には期限が設けられているため、期限切れになる前に更新手続きをしなければいけません。もし、うっかり期限を切らしてしまうと、特許が失効してしまう可能性があります。そのため、自社や顧客が保有している特許の期限管理は、非常に大切な仕事です。
特許の期限がいつまでなのかは、データベースに入力して管理します。入力業務は特許事務の仕事であり、通常は複数人でチェックを行いますが、ミスは許されず、正確さが求められます。
自社の製品が他社の知的財産を侵害していないか、反対に他社から侵害を受けていないかを調査するのも特許事務の仕事です。
調査はオンライン上で行いますが、調査対象と関連性の高い特許文献だけを効率よく取り出して、ヒットした一つひとつの特許文献を読み込んでいく作業が必要となります。実際、非常に骨が折れる作業であり、特許事務の経験やスキルによっては、外部の専門業者に依頼することも多いです。
調査の結果、自社の製品が他社製品の知的財産を侵害していること、または他社製品が自社の知的財産を侵害していることが疑われる場合は、本当に権利侵害が起こっているかどうかについてチェックすることになります。
この調査も、基本的に特許事務の仕事です。加害者もしくは被害者となった場合、特許発明を継続して利用するか・させるかなど、相手方への対応を検討して法的解決を講じるなど、専門的な知識が必要となります。
特許に関する仕事の他、電話対応やメール対応、顧客向けの書類作成など、一般的な事務作業も特許事務の仕事です。
勤務先によっては、特許に関連する仕事ではなく、事務作業がメインとなることもあります。
特許に関わる仕事がしたいという場合は、希望する企業における特許事務の業務内容と範囲を確認しておきましょう。
特許事務の仕事ができる勤務先は、主に一般企業、特許事務所、弁理士事務所です。就職先を探すときは、それぞれの特徴を知った上で検討しましょう。
ちなみに、特許事務所と弁理士事務所は、ほぼ同義で認識されています。弁理士は、主に特許関連業務を行うため、弁理士が所属している事務所は特許事務所を名乗るのが一般的です。
特許事務には特別な資格は必要ありませんが、転職活動の際に有利となる能力や、身に付けておきたいスキルがあります。
特許事務の仕事に就きたいと考えている方は、それぞれ、どのようなシーンで役立つ能力であるのか確認しておきましょう。自身のスキルと照らし合わせ、取得すべき資格を検討したり、スキルの底上げを図ったりするのに役立ててください。
特許事務は、書類作成や調査、請求書の発行、企業経営に関わる膨大なデータの管理とチェックなどを行います。
一般事務など、ある程度の事務作業の経験があれば転職活動が有利となり、実務でも活かせるでしょう。
また、特許事務は営業社員や弁理士をサポートする仕事でもあります。そのため、総務や人事など、バックオフィス業務の経験がある人はスキルを活かせるはずです。
語学力があれば、外国への特許申請をする際に即戦力となるでしょう。
特許事務所で働く場合、日本国内で特許取得を希望する海外企業や、海外での特許取得を目指す日本企業からの依頼を受けることがあります。これは、海外特許事務や内外特許事務と呼ばれ、英語でのメールのやりとりが発生します。
特許事務所の求人では、ある程度の語学力が条件となるケースもあります。ですから、特許事務所を目指した転職活動の際に語学力をアピールできれば、勤務先の選択肢の幅が広がるでしょう。
特許事務の仕事は、特許や商標の出願や申請に必要な書類を作成するにあたり、スピーディーかつ正確に業務を遂行できる能力が求められます。
特許に関する書類の提出は、必ず期限を守らなければなりません。また、ちょっとした記入や入力のミスが、大きなトラブルにつながりかねないでしょう。
特許事務の仕事に就くには、設定された期限に向かって効率よく、正確にコツコツと作業を進められる素養が欠かせません。
事務職の中でも専門性の高い特許事務の仕事は、独特のやりがいがあります。続いては、特許事務として働く上で感じられる、3つのやりがいをご紹介します。
特許とは、企業の生み出した新しい知的財産について、その権利を一定期間保護するために申請を行うものです。特許事務の仕事をすることで、申請前の新しいアイディアに、いち早くふれることができます。
常に新たな技術や製品にふれられること、またそのようなアイディアを生み出す発想力のある人をサポートできることの喜びは、他の事務職にはないものです。
弁理士を目指すのであれば、特許事務は大きなステップアップにつながります。
弁理士の事務的な補佐により業務内容を把握することができ、業務で有効となる技術の習得につながります。
将来は弁理士として独立したい、弁理士資格を取得したいという方にとって、特許事務の仕事は有用な実務経験となるでしょう。
将来弁理士を目指すのであれば、特許事務として働くことは、非常に合理的なプロセスといえます。
弁理士を目指しているわけではない場合でも、特許事務の仕事を通して弁理士のサポートをするうちに、自然と特許出願に関する専門的な知識を身に付けることができます。
企業の開発や新製品の開発に際して、行うべき業務を把握していることは、一般事務では身に付かない特化した強みとなります。
例えば、将来、研究機関や企業の開発部門への転職活動をすることになった際は、特許関係の専門的な法律知識はアピールポイントとなるでしょう。
特許事務の仕事には、一般事務にはない特殊な業務が含まれます。スピーディーかつ正確に業務を遂行しなければならない厳しさがある半面、他の事務では身に付かない能力が得られるため、やりがいがある仕事です。
特に資格がなくても挑戦できるので、特許に関する仕事に興味がある方は、転職を検討してみてはいかがでしょうか。
転職活動の第一歩として、まずは自分に活かせる能力がないかチェックしてみてください。その上で、スキルに合致する企業を探しましょう。
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