更新日:2023/06/29
社会人としての経験を10年ほど積んだ30代の女性は、20代よりも「スキルアップをしてキャリアを積むのか」、「プライベートを充実させた働き方をするのか」の選択を迫られる年代です。結婚を機に家庭を重視した働き方を考える人もいるでしょう。
今回はそんな30代の女性に向けて、転職のタイミングやポイント、アピールポイントなどについてご紹介します。
目次
転職は男女問わず、人生における大きな選択です。
しかし女性にとっての転職は、男性の転職とは違った視点で気になる点が多いのも事実。特に、女性の転職では年齢が注目されがちですが、年齢を気にしすぎて焦って転職するのは禁物です。
これまで、「女性の転職は30歳がタイムリミット」だといわれることも少なくありませんでした。しかし、時代の流れとともに、転職の限界とされる年齢が高くなってきています。(厚生労働省 平成 29 年上半期雇用動向調査結果の概況より)
転職サイトには30歳以上の女性を対象とした求人も多数存在することからも、女性の転職において「年齢の壁」はあまり意識しなくてもいいことがわかります。
では、ここから30代の女性が転職を成功させるために知っておくべきポイントをご紹介します。
20代の求人の中には、"未経験者歓迎"のものも少なくありません。
一方、30代後半での転職になると、20代や30代前半に比べて「スキル」や「実績」が求められる機会が多くなってしまうことを念頭に置いて下さい。
30歳以上の女性を対象とした求人があることについては先に触れましたが、未経験での転職チャンスは年齢とともに減っていくものと考えてもらって間違いないでしょう。
女性の採用の際、入社直後に結婚や出産を理由に退職・休職しないかを気にする企業も少なからず存在します。
採用した社員が一人前になるには、一般的に1~2年程かかります。もし入社してすぐに結婚・出産ということになれば、仕事を一通り覚える前に産休・育児休暇に入ってしまい、企業にとっては痛手となり得ます。
そのため、結婚・出産を考えている女性は、転職先の企業に時短勤務や保証制度などの育児をしながら働きやすい環境が整っているかどうか、事前に確認するようにしましょう。
出産や結婚を迎え入れる制度が整っていない場合、身体や私生活に支障が出てしまうこともあるため、無理に転職しないのも一つの選択といえるでしょう。
「20代のうちに、できるだけ仕事の幅を広げたい!」という方も多くいらっしゃいます。しかし、ここで大事なのは「ひとつの職種の中で様々な仕事のスキルを磨くこと」です。
「人事職に就いていて、採用の仕事は十分経験したので、次は営業職を!」というように次々に手を広げていくと、自分の価値が上がる経験を十分に積むことができなくなります。
「これまでは採用を担当していたので、将来的には給与計算や労務などの仕事もできるようになりたい」というように、ひとつの職種に注力してスキルを磨いていくと、将来的により良い転職につながりやすくなります。
また、もしも現在の職種が自分に向いていないように感じたり別の職種に興味がある場合は、なるべく早く異動や転職に踏み切ることをおすすめします。
企業としては、色々な職種を少しずつ経験した人よりも、特定の職種を極めたプロフェッショナルを重宝します。もちろん例外もありますが、市場価値の高い人材を目指すのであれば基本的にはひとつの職種に注力するのがよいでしょう。
20代のうちに様々な経験を積んでおくことはとても重要です。その際、焦ってやみくもに経験を積むのではなく、将来どんな人材になりたいのかを見据えてキャリアプランを組み立てていくようにしましょう。
転職のタイミングを判断する際に代表的な基準として挙げられるのは、以下の3つです。
転職すべきかどうか迷っている方は、今の自分にとってこの基準が満たされているかどうかを考えてみることをおすすめします。そして、基準が満たされておらず、そのことを不満に感じたときは、転職を検討してみましょう。
女性の転職に関して重要な要素はさまざまなものが考えられますが、中でもこれから紹介する「職種」はとても重要なポイントです。
それぞれの職種の特徴を摑んで、自分の希望に合った職種選びの参考にしてみましょう。
一般的に、事務職・アシスタント職は20代女性の転職に適しているといわれます。というのも、事務やアシスタントの業務は未経験でも短期間で習得しやすく、派遣社員や契約社員を活用するケースも増えてきているのです。
そんな中、正社員としての事務職・アシスタント職には、年齢に応じたスキルアップが求められます。そのため、企業が教育を考えてくれる20代での転職が向いている職種といえるでしょう。
30代のキャリア志向の女性には、「企画・マーケティング職」が人気です。
これまでの営業経験を活かして、市場調査や商品企画、販売促進活動に関わりたいと考える人が盛んに転職を検討する職種です。
また、「コンサルタント」も人気が高く、MBAを取得している人は有利です。20代後半、あるいは30代前半に、海外MBAを取得しておくと、大手コンサルティングファームへの転職でも、30代半ばまで転職のチャンスがあります。
SEなどの「ITエンジニア」では、30代では上流工程を目指すか、「ITコンサルタント」への転身が人気です。
SEの転職では、資格の取得が企業側に評価されることがあるので、SEとしてのステップアップを目指すのであれば、関連する資格を取っておきましょう。
ITコンサルタントは、企業の経営上の問題をIT技術の導入によって解決を図る仕事で、ITシステムの導入のために業務の標準化を推進するといった役割を担います。
「ものづくり系エンジニア」では、同職種での転職の希望が中心で、別の分野の製品に関わりたいとする人が多くみられます。
特に、医療機器や電気自動車、次世代のエネルギー供給システムであるスマートグリッドの分野では電子・電気系エンジニアのニーズが高まっています。
一方、事務職などからのキャリアチェンジを図る人にも人気があるのは、「営業職」です。30代半ばくらいまでは営業職未経験でも、不動産や人材サービスを中心に採用されやすい傾向にあります。
男女差なく働いてキャリアアップを目指したい人、収入アップを図りたい人などが目指すことが多いです。
人と接することが好きな人には、「アパレル・販売系スタッフ」も人気のある職業です。
アパレルは、特別な資格が必要なく、年齢に応じたブランドがあるため、アパレル業界や販売に関する分野が未経験でも、30代女性でも転職しやすく、人気の職業となっています。
最近では、派遣社員などの「非正規雇用」で働く30代女性も多くなっています。
この働き方にはメリットが多い反面、デメリットも少なからずあります。メリット・デメリットを押さえて、働き方選びの参考にしてください。
現在派遣社員として働いており正社員を目指したいと考えている方や、これまで正社員として働いていて、ライフステージの変化に伴い派遣社員になったけれど、もう一度正社員になりたい...と考えている方にとって、「派遣社員から正社員になるにはどうしたらいいか」というのはとても気になる疑問だと思います。
30代の女性の中には、結婚や出産、育児などで会社を辞めた後に働き方を変えたり、正社員に復職できなかったりして、派遣社員などの「非正規雇用」で働く方も少なくありません。
そこから再び正社員になるためには、まず「自分が正社員として採用されたら、企業にどのような貢献ができるのか」ということを明確にするのが大切です。そのうえで、自分の経験や能力が活かせる企業を探すようにしましょう。
また、経験を積みながら正社員を目指すなら、派遣社員として一定期間働いた後、正社員や契約社員として採用される「紹介予定派遣」を活用するのもおすすめです。
一方で、契約社員や派遣社員などの「非正規雇用」で働くことにも、様々なメリットがあります。
契約社員・派遣社員として働くメリットの1つ目は、正社員よりも採用に至るまでのハードルが低いことです。
契約社員や派遣社員であれば、正社員として転職するのが難しい大手企業や女性に人気の業界で働くことも夢ではありません。
2つ目は、女性向けの求人が豊富な点です。
派遣社員はニーズが高く、女性に人気の事務職を中心に数多くの求人があります。
3つ目は、未経験でも働ける企業が多いことです。
いきなり正社員になるのは難しくても、契約社員や派遣社員としてならこれまでに経験のない新しい業種・職種で働くことも可能です。
4つ目は、人間関係に気をつかう必要が少ないことです。
たとえ女性同士のトラブルなどがあったとしても、正社員とは違って在籍期間が限られているので、ある程度割り切って仕事ができるでしょう。
最後に、正規雇用に比べて残業が少ない職場が多いことが挙げられます。
契約社員や派遣社員は短期労働者なので、ヘビーな仕事を担当することが少なく、残業もほとんどありません。そのため、家族と過ごす時間を確保できたり、余暇を、自分の時間に費やしやすい働き方であるといえます。
一方、30代女性が契約社員や派遣社員として働くデメリットには以下が挙げられます。
1つ目は、仕事にやりがいを見出しにくいことです。
雇用期間が限られている契約社員や派遣社員は、気楽に働ける反面、重要な仕事を任せてもらえないこともあり、どんなに頑張って働いても昇給しにくいというデメリットがあります。
2つ目は、正規雇用の社員に比べてスキルアップの機会が少ないことです。
「経験を積みながら成長してほしい」と考えられている正規雇用の社員に比べ、非正規雇用の社員には「与えられた仕事をしっかりとこなしてほしい」という意図が強い傾向にあります。
そのため、企業はすでに持っている能力の範囲でできる仕事を与えるケースが多いです。
結果として正規雇用に比べるとどうしても教育の機会が減ってしまい、どんどんスキルアップしていきたいと考えている人は物足りなさを覚えるかもしれません。
3つ目は、給与面で正社員と差が生まれやすいことです。
企業によっては契約社員や派遣社員はボーナスや交通費が支給されなかったり、昇給も認められない場合もあります。
そういった待遇面から、結果的に給料面で正社員との間に差が出てきてしまい、仕事への不満につながることが多いようです。
4つ目は、派遣社員から正社員になれる方は数が限られるということです。
平成27年に改正された「改正労働者派遣法」では、勤務期間が3年になる派遣社員に対して、正社員への登用・新たな派遣先の提供などの対策が義務つけられました。
とはいえ、未だ適用や浸透は進すすんでおらず、正社員になれるのは一部の方に限られ、それ以外の方はおのずと雇い止めになってしまうことが多いです。
ここまで女性にまつわる転職の状況などをご紹介してきましたが、実際の採用面接の際には具体的にどういったことをアピールするのが良いのでしょうか?
アピールするポイントや注意する点などを把握して、面接の際の参考にしてみましょう。
面接でアピールする際、一体どういう点をアピールするのがいいのでしょうか?
今回はそんな採用面接でのアピールポイントについて、3つにポイントを絞ってご紹介します。
30代前半の女性の採用面接で企業が気にするポイントは、一番最初に述べたように「採用して間もなく結婚・出産の予定がないか」という点です。
採用や教育には膨大なコストがかかるため、早期に退職されたり休職されたりすることは企業側にとって大きなリスクです。
結婚の予定がない場合は「今のところ結婚の予定はありません。結婚した場合でも、仕事は続けたいと考えています」、「あと○年は仕事に集中したいと思っています」と回答しておくと安心感を与えられるでしょう。
また、結婚の予定がある場合も「来年の○月に結婚を予定しています。結婚後も家庭と両立させながら働くつもりです」というように、スケジュールを伝えたうえで、長く働く意欲があることをアピールしましょう。
これまでに培ってきたスキルや経験、実績は重要なアピールポイントになります。
何か特筆すべき実績などがあれば、具体的にアピールしましょう。
他にも、「何かひとつのことを長く経験してきた」ということも十分なアピールポイントです。例えば事務職の経験が長ければ、資料管理が得意であることや、電話対応のスキルが高いことなど、今までの経験を積極的にアピールしましょう。
もしもこれといってアピールできるスキルがない場合は、アピールできるような資格を取得するのがおすすめです。30代前半なら、仕事に活かせそうな資格を習得する時間もまだまだ十分にあります。
通信教育などで独自に勉強するのもいいですが、ハローワークの求職者支援訓練や公共職業訓練を利用して資格を取るのもよいでしょう。
続いては、採用面接において、注意すべきポイントをご紹介します。
例えば転職希望先の社員教育の制度や環境が充実している場合、「御社ではいろいろと学ぶことができ、成長できると感じました」というかたちで志望理由を伝えようと考えるかもしれません。
しかし、これだと「教育してもらうことを期待する受け身な姿勢」として良くない印象を与える可能性があります。
30代の転職は、20代のようにポテンシャルで採用してもらおうとするのではなく、あくまでも自発的に勉強や成長を重ねていくのが基本。その方法のひとつとして制度を活用していきたい、という方向でアピールするほうがいいでしょう。
面接の場で、「20代はがむしゃらに働いてきたので、30代は働き方をペースダウンしたいと思っています」と言う方がいます。
しかしこれをストレートに伝えてしまうと「やる気や働く意思が薄いのではないか?」と受け取られてしまうおそれがあります。
こういった場合は、少し表現に工夫をして「20代はがむしゃらに働いていましたが、30代は腰を落ち着けて仕事の質を向上させていきたいと思い、転職に踏み切りました」という伝え方をするのがおすすめです。
「産休や育児休暇が取りにくい」、「育児休暇後に仕事復帰するのが難しい」など、出産や育児の環境が整っていないことを理由に転職を考えるケースも少なくありません。
もちろん、こうした女性に関わる労働環境が整っていることは、転職先探しの大きなポイントになります。
とはいえ、中には制度が十分に整っていない企業もあります。もしもそうした企業への転職を希望する場合、あまり自分の希望を強く押し出し過ぎるのはマイナスです。
育休や産休がどれくらい取れるのか、時短勤務は可能なのかなど事前に必要な情報を整理した上で企業を選ぶようにしましょう。
転職を成功させるには自分が働く上での軸を決めることが重要です。では、実際にどういった事を意識すれば良いのか、順にチェックしてみましょう。
30代女性の転職では、キャリアプランだけでなく、結婚や出産といったライフプランをどう組み立てていくかをきちんと考えておくことが大切です。
先ほども述べたように、結婚や出産を控えた段階での転職では、採用する企業側も近々結婚や出産の可能性があるかどうかを気にしています。
場合によっては、キャリアを取るのか、女性としての人生設計を優先させるのか、判断することも必要になります。そうした際に決定が揺らがないよう、また自分にとって最もよい選択ができるよう、事前にしっかり考えておきましょう。
働くうえで譲れない条件というと、一般的に「給料がいい」、「残業が少ない」、「仕事にやりがいがある」、「結婚や育児に対して理解がある」といったものが挙げられます。
しかし、あれもこれもと希望条件を多くしてしまうと、該当する企業がおのずと絞られてしまい、うまくいきません。
「自分にとって、本当に譲れない条件は何か?」をはっきりさせ、妥協して転職することにならないようしっかりと軸を定めておきましょう。
「せっかく転職するのだから、今の会社よりもよい条件で働きたい」と、待遇にこだわる気持ちは誰しも抱くものです。
しかし、待遇に過度にこだわってしまうと「思っていた働き方と違う」「そこまで女性が働きやすい職場ではない」といったように不満が生じやすくなります。
また、転職活動の段階で条件にあてはまる求人の数が少なくなり、なかなか採用されなかったり、活動期間が長引く原因になります。
上で述べたような「どうしても譲れない条件」以外の待遇はあまり追及しすぎない方が精神的にも楽になるかもしれません。
30代女性の転職は以前よりも容易かつ一般的になったとはいえ、20代に比べるとどうしても難易度が上がってしまうものです。
したがって、「企業がどのようなスキルを求めているのか」、「そのスキルと自分はマッチしているか」、「実際に働いている人たちはどのようなキャリアステップを踏んでいるか」など、情報収集を徹底的に行うことが大切です。
情報収集をきちんと行わないと、自分のスキルと企業が求めているスキルが合っていなかった、業務内容が考えていたものとは違ったといったことにもなりかねないので、注意しましょう。
転職において後悔しないためには、「できるだけ自分を客観視すること」や「企業の情報を正しく手に入れること」が大切です。
しかし、自分の長所やアピールポイントがうまくまとめられない、どんな企業を選べばいいかわからない、働きたい企業について情報が得られないという方も少なくありません。
そんなときは、転職エージェントに相談しましょう。多くの転職希望者の相談に乗り、様々な事例に対応できる転職エージェントなら、適切なアドバイスがもらえるはずです。
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