更新日:2023/12/07
現在女性管理職として活躍している人はどのような道筋で現在のポジションに辿り着いたのでしょう?結婚は?育児との両立はどう乗り越えた?など、将来管理職になりたい、と思っている人にとっては気になるところではないでしょうか。
現在大手出版社で統括部長を務める宮田浩子さん(50代・仮名)の例で女性が管理職になるまでの過程を紐解いてみました。
目次
今回お話を伺った宮田さんのキャリアの出発点は、大学卒業後、新卒で入社した情報サービス会社です。入社直後配属されたのは、専門誌の計数管理・総務担当。本を一冊作るための原価計算や事業収支の計算など、当時まだエクセルなどはない時代、マルチプランという計算ソフトを使い、ひたすら数字と向き合わなければならない業務でした。
雑誌の編集職を希望していた宮田さんにとっては、配属当初は辛い日々が続きましたが、実はこの業務が将来の大きな武器となることになります。
計数管理・総務を担当する部署に4年半在籍し、業務にも自信が出てきた頃、念願の編集業務への異動が叶い、リーダー、マネージャーへと順調にキャリアを重ねて行きました。32歳で副編集長に就任。翌年33歳で結婚をします。寿退社を促すような風潮のない、自由な社風の会社だったため、結婚後も同じようなペースで仕事を続けます。さらに産休、育休制度も充実していたこともあり、特に迷いもなく35歳で第1子を出産。10ヵ月の育休後、現場に復帰しました。
産休明けの部署は自ら希望し、ベビー関連のメディアへと異動。編集長として仕事をこなす一方、当時ご主人の仕事は多忙を極め、ほとんど協力を得られず家ではワンオペ育児の状態。夕方までの保育園と夜まで延長保育ができる保育園のW使いで何とか乗り切ります。
宮田さんが在籍していた会社は、これまでのスキルを起業や転職に活かすべく、38歳が退職金のピークとしており、多くの社員がこの制度を利用し、40歳前で退職し、新たな道に進みます。
宮田さんも38歳で早期退職、現在働く出版社と業務委託契約を結び、書籍の編集者として再スタートを切りました。翌年39歳で第2子を妊娠、出産後、宮田家に大きな変化が訪れます。多忙をきわめていたご主人が退職し、フリーランスとして在宅で仕事をすることに。収入が不安定となってしまった宮田家。ここは自分が安定したポジションで働かなくては!と宮田さんは決意し、社員になれるよう猛アピールを決行します。
ここで大きな武器となったのは、新卒で配属された計数管理の部署で得たスキルです。これまでの自分の実績を数値化し、「自分はこれだけの売り上げを伸ばせる!」と具体的に会社側にアピールをしました。その結果、42歳で正社員として採用。入社後担当した書籍もヒットを続け、順調にキャリアを重ねます。そして50歳で40人ほどの部下を束ねる書籍部門の統括部長に就任します。
キャリアの積み重ね方として、「何歳までに課長、何歳までに部長に」などと具体的な目標を立てる方法もありますが、宮田さんの場合は「実はキャリアプランなどあまり考えたことはなく、好きな仕事を続け、その場の境遇で流れに乗っていたらこうなったという感じ」とのこと。
ですが、いまそのキャリアの道筋を振り返ってみると、「編集の仕事をしたい」「仲間と働くのが好きなので起業ではなく、組織で働きたい」という2つの軸をしっかり持ち、ぶれることなく進んできたことが現在のキャリアに繋がっているようです。
また女性がキャリアアップを図る際、大事なポイントとして、自身の経験から以下の3つを挙げていただきました。
特に育児など忙しい女性は、男性に比べて上司や同僚と飲みに行ったり、ゴルフに行ったり、業務以外で社内の情報を仕入れたり、自分をアピールする機会は少ない。
女性が上司にアピールするには、実力を数字で表して提案すると伝わりやすいとのこと。日頃から自分の実績は数値化して整理しておくことも必要です。
上司に課されている目標は何かということを踏まえて自分の課題に取り組むことも大事です。
一つ上のポジションの視点を持つことで、自分の役割が明確になり、会社の求める方向とずれずに成果に繋げられます。また自分の働きにより上司が出世すれば、自ずと自分のポジションも上がることに繋がります。
宮田さんが最初に在籍した会社では、週に1回新しいアイデアを考えるアイデアコンテストという制度があったそうで、その頃から常に「こうなったら良いな」「こうしたらもっと使いやすい」など考えるクセがついているとか。
日常の業務も少しずつでもアップデートを積み重ねることで、いざとう時の力になります。
キャリアプランの立て方は、きちんと具体的な目標を設定した方が頑張れる人、目標があるとプレッシャーになるのでノープランで突き進みたい人、など人それぞれ。またいまは順調にキャリアを積み重ねていても、家族の事情や今回のようなコロナ騒動など、思わぬことでそのプランを見直す必要に迫られることもあるでしょう。
そんな時でも対応できるよう、自分の軸はしっかり持ち、また日頃からスキルの積み重ねをやっておくことは大切です。
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