更新日:2023/12/06
平成30年労働安全衛生調査(厚生労働省)によると、仕事や職業生活に関して、約6割の人が強い不安やストレスを感じています(「労働者の心の健康の保持増進のための指針」厚生労働省)。
管理職にとって、部下のメンタルに関するケアも大切な業務のひとつ。
部下に思い切り実力を発揮してもらうためにも、上司として日ごろの対策が必要となります。
目次
近年、経済・産業構造が変化する中で、半数以上の労働者が、仕事や職業生活に関して、強い不安やストレスを感じている状況にあります(「労働者の心の健康の保持増進のための指針」厚生労働省)。また、仕事の心理的な負荷が原因となり、精神障害の発症も増加しています。
実際に、日本の国民で、一生の間にうつ病、不安症など何らかの精神疾患にかかる人の割合は約5人に1人です(学校保健 第4回「精神保健・精神疾患を学ぶ」)。
こうした背景から、厚生労働省は、労働安全衛生法第70条の2第1項の規定に基づき「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針、平成18年3月 策定、平成27年11月30日改正)を定めました。これは、事業者が、労働者の心の健康の保持を積極的に増進するよう促すための施策で、通称メンタルヘルスケアといいます。
施策の一つとして、2014年には従業員50名以上の事務所に対して、心理的な負担の程度を把握するための簡易的な検査「ストレスチェック」を年に1回、労働者に対して実施することが義務付けられました。
年に一度のストレスチェックの結果は上手く活用すれば、職場の環境改善に繋がります。ストレスチェック実施者に、ストレスチェック結果を一定規模の集団(部、課、グループなど)ごとに集計・分析してもらい、その結果を提供してもらいます。
ストレスチェックの結果では、項目ごと(「ストレスの要因に関する項目」「心身のストレス反応に関する項目」「周囲のサポートに関する項目」)に点数が算出されます。部署ごとに平均を比較するなどして、特に点数の高いストレス要因を特定したり、周囲のサポートの有無や程度を客観視したりする必要があります。せっかく時間を取り、制度を実施するので、単に義務的に受けるだけで終わらせることなく、しっかりと結果を分析し、職場環境の改善にも繋げるのは管理職としての大切な役割です。
部下があなたを頼って、職場の問題について相談したときには、どのように対応したらよいでしょう?
①部下の話に傾聴し②サポートを提供する必要があります。
まずは、部下の話をきちんと聞くことで置かれた状況や感情を丁寧に理解しましょう。その上で、部下の求めるニーズに合わせて,サポートを提供しましょう。
たとえば「営業成績があがらない」という相談には、「なぜ営業がうまくいかないのか」原因を考え、その部下に合った営業のアプローチ法を提案するなど、単に自分の意見を述べるだけではなく、部下の気持ちに寄り添った解決法を一緒に考えることが大切です。特に、上司から部下へのサポートは、多くの面で、彼らのストレスを軽減するのに有効であることが示されています。
たとえば、Fenlason & Beehr(1994)は、上司の部下へのサポートが、彼らの仕事の技能活用の低さによるストレスを緩衝し、抑うつを低下させる可能性があることを報告しています。また小林他(2010)は、これまでの研究から、上司の励ましや傾聴などによるサポートが、部下の自尊心を向上させ、抑うつ傾向を低減させると推測しています。
このように、上司から部下へのサポートは、彼らのメンタルヘルスケアに対して重要な役割を担います。
(引用文献:小松優紀, 甲斐裕子, 永松俊哉, 志和忠志, 須山靖男, & 杉本正子. (2010). 職業性ストレスと抑うつの関係における職場のソーシャルサポートの緩衝効果の検討. 産業衛生学雑誌, 52(3), 140-140. Fenlason KJ, Beehr TA. Social support and occupational stress: effect of talking to others. J Organi Behav 1994; 15: 157-75.)
また部下のニーズに応じて、その時々で柔軟なサポートを提供することも重要です。
たとえば、技術面で不安を覚えている部下に対しては、必要な情報を提供したり、その資源を手に入れることができるような情報を与えたりするサポートが必要です。
職場の対人関係で悩んでいる部下に対しては、対人関係をよくするよう職場環境を整えたり、部下の自尊心を高めたりするなど情緒的なサポートが必要です。
単に励ましの言葉をかけるだけでは、解決に至らないケースも多いので、その際には具体的な解決方法を上司として自らアクションを起こすことが、不安を抱える部下には有効です。
一方で、自ら積極的に相談しない部下は多いかもしれません。そうした場合は、日頃からコミュニケーションをとることに加えて、彼らの様子の変化にも気づけると良いでしょう。たとえば、うつ病の傾向がある場合は、見た目に元気がなく表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、といったものが挙げられるようです。日頃から、部下に話しかけて仕事の様子を尋ねるなどして、部下とのコミュニケーションを取ることが大切です。
職場としてチームのメンバー全員がストレスなく十分に実力を発揮できる環境は理想的ですが、そのためには管理職自らの努力が必要です。
日ごろから部下の様子を観察し、適格なタイミングでアドバイスができ、相談されたら一緒に解決する姿勢をしめす、上司として心がけておくことが大切です。
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