更新日:2021/12/27
管理職は、企業のあらゆる部署において欠かせないポジションです。
一般社員を上回る権限を持ち、業務を円滑に進めるうえでさまざまな意思決定をおこないます。しかし、その詳しい役割や適性を持つ人材の特徴などについて詳細に把握されている方は少ないのではないでしょうか。
ここでは、企業における管理職の役割や必要なスキル、能力について紹介します。
目次
管理職とは、企業が掲げる目標やミッションを達成するためにメンバーを管理し、業務を円滑に遂行するためのさまざまな役割を担います。
まずは、管理職とそのほかのポジションとの違いを解説します。
管理監督者とは、労働基準法第四十一条二号において「監督若しくは管理の地位にある者」 と定められています。また同法における昭和63年3月14日の基発第150号によれば「一般的には部長、工場長など労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるものの意であり、名称にとらわれず実態に即して判断すべきもの」とされています。
ただし、管理職と呼ばれる立場の人が押しなべて管理監督者であるとは限りません。法律で厳密にその立場が定められている管理監督者に対して、管理職という存在の捉え方は企業や組織によって異なり、そこに明確な基準が設けられているわけではありません。
部下を取りまとめ目標や業務の進捗管理をおこなう管理職に対し、一般社員は管理職からの指示に従い業務にあたります。
また、手当や権限・責任においても違いがあります。一般社員には時間外労働の上限や残業・休日出勤手当が支給されますが、管理職の中でも管理監督者に該当する立場である場合は、労働時間や休日などの規定が適用されません。
さらに、付与されている権限の大きさも異なります。管理職は自らがある程度の決済裁量をもち、組織やチームをコントロールする権限を有しています。
管理職が決定された企業の目標やミッションに向けて部下をとりまとめるのに対し、役員は企業方針や重要事項の決定そのものに関わるポジションです。契約形態、給与、責任範囲などに違いがあります。
役員は委任契約であるため、従業員ではありません。管理職は労働の対価として毎月給与が支給されるのに対し、役員は従業員ではないため給与は支払われず、代わりに任務遂行に対する役員報酬が支給されます。仮に事業で失敗した場合、管理職はその責任を個人が負うことはほとんどありませんが、役員の場合は損害を賠償する責任があります。
管理職にはさまざまな業務がありますが、主に期待される役割は以下の3つです。
それぞれ見ていきましょう。
管理職は、部署やチームとして目標を達成し企業の利益を拡大させるために、業務プロセスの見直しや改善を随時おこなう役割を担います。
また、チームとして成果を上げるため、部下のスキルや経験を踏まえたうえで適切に役割やタスクを配分します。
経営理念への共感はチームの結束を強めることにつながるため、一人ひとりのパフォーマンスを上げ企業により大きな利益をもたらす可能性も秘めています。管理職は、部下が方向性を見失わないよう、経営理念や戦略・方針の浸透を図ることも求められます。
経営理念や戦略は、内容によっては解釈がむずかしい場合があります。なるべく部下が理解しやすいように適宜内容をかみ砕いて周知させることも必要です。
管理職は部下を管理するだけでなく成長させる役割も担います。
部下の得手不得手、性格、経験などを把握し、今後のキャリアの道標を与える重要な立場です。人材育成は強い組織の要ともなりますので、日々のコミュニケーションを心がけながら、部下がモチベーションを維持できる環境づくりを心がけましょう。
続いて、管理職がその役割を全うするために求められる能力について解説します。
管理職は、一般社員と経営層の橋渡し役のようなポジションです。部署の業務に関わりながら経営者視点で物事をとらえ業務を遂行していく必要があります。
そのためには、事業経営に必要な情報を収集し、わかりやすい言葉で部下へ伝達することが必要です。それにより部下が経営層と同じ価値観を持つことができれば、会社としての業績アップが自ずと期待できるようになります。
経営側へプロジェクトの進捗や現場の現状を報告することも管理職の大切な役割です。上層部が現場を理解することは経営としての正しい判断につながることはもちろん、部下のモチベーションアップにもつながります。
管理職は業務の進捗を管理し、遅れている場合はそのフォローをおこないます。また、業務がうまく回っていない場合は、その理由を分析したうえでプロセスの見直しと改善をおこないます。
ビジネスは日々刻々とその状況が変わるものですので、フレキシブルに対応する力が求められます。従来の方法に固執せず、よりよい方法はないかを常に模索することが重要です。
チームでの業務を円滑に進めるためには人材の育成が不可欠です。部下が成長すればスムーズに業務が遂行できるようになりますし、新たな業務にチャレンジするチャンスも生まれ、部としての成長を図ることができます。
また、社外との関係を構築しチームのメンバーが積極的に外部と交流を図る機会を作ることも管理職の役割の一つです。外の空気を知ることでチームに連帯意識が芽生え、目標に向かい団結して行動する気持ちが生まれます。
コンプライアンスという言葉が広く浸透する中、働き方においても法令遵守の徹底が強く求められる時代となってきました。
法令遵守のためには効率的に業務を推進が不可欠です。そのための社内体制を整備する力も管理職には求められます。
あらゆる職種には3種類の必要なスキルがあり、職層の違いによってそれぞれに必要なスキルの比率は変化していくものであるとする「カッツ理論」。その3種類のスキルは、まさに管理者に求められるスキルそのものです。
それぞれに分けてその詳細をお伝えします。
テクニカルスキルは「業務遂行能力」と訳され、管理者自身が業務を遂行するために必要な知識や技術のことを指しています。
データ分析力や文書作成能力、商品知識やマーケットニーズの把握など、さまざまなスキルがここに含まれますが、求められるスキルは業種・職種で異なるほか、ポジションによっても変わります。
ヒューマンスキルは「対人関係能力」と訳され、円滑なコミュニケーションをおこない良好な対人関係を築くための能力を指しています。
管理職には、部下とのコミュニケーションはもちろん、上司や取引先などとの関係の構築が求められます。人とかかわる業務である以上、ヒューマンスキルは仕事で成果を上げるために必要不可欠なスキルです。部下への声かけから、取引先との商談、プレゼンテーションなど、さまざまな場面でこのヒューマンスキルが求められます。
コンセプチュアルスキルは「概念化能力」と訳され、物事の本質をとらえる能力のことです。状況分析力や課題の発見力、解決法の検討などのスキルが該当します。
管理職は、現状やさまざまな情報を分析・意思決定し、あるべき方向へメンバーを導かなければなりません。そのため、状況を見極める洞察力や多方面の視野、高い視座、論理的思考などが求められます。また、トラブルや緊急事態などの不測の事態が発生した場合には、その局面を乗り切るための応用力や柔軟な対応力が必要となります。
管理職になっても実務を兼務し「プレイングマネージャー」となってしまう方も少なくありません。しかし、兼務であるがゆえに管理職として全うすべき役割が果たせず、結局人材育成やチームの結束が図れずに悪循環に陥ってしまうこともあります。
そんな場合は、管理職として全うすべき役割を学ぶために「管理職研修」を利用するという方法がおすすめです。
管理職研修には、管理職になったばかりの人向けの「新任管理職研修」やチームワーク向上のための「チームビルディング研修」など、いくつか種類があります。自らに適した研修を利用することで本来やるべきことがわかるようになり、どのように壁を打開していくのか見出すことができます。
部下を同じ方向に向かわせて業務を推進するために経営理念や戦略・方針をチームや部下に浸透させることは、管理職にとっての大きな役割です。必要な業務プロセスの見直し・改善をおこない、人材育成によってチームとしての成果をあげられるように努めましょう。
また、そのためには管理職自身の「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」が必要不可欠になります。もし「管理職としてやるべきことがわからない」「わかっていてもうまく行動に落とし込めない」という場合は管理職研修を利用することを検討してもいいでしょう。
現在管理職として活躍している人はもちろん、いずれその立場を担うことになるであろう人達にも、ぜひここで紹介した内容を参考に管理者として必要なスキルや能力を養うことをおすすめします。
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