冬・夏のボーナスの支給はいつ? 会社員と公務員の支給日・平均額など紹介

冬・夏のボーナスの支給はいつ? 会社員と公務員の支給日・平均額など紹介

就職・転職する際にまず気になるのが「給与」の問題ですが、それに付随して「ボーナス」にも注意を払いたいところです。

本記事では、ボーナスの計算方法や支給時期、それらを規定・制限する国の仕組みなどについて詳しく説明します。就職・転職活動で会社の説明を受ける際などに必須の知識ですので、ぜひ参考にしてください。

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1.そもそもボーナスとは

ボーナスとは、会社などの勤め先から従業員が受け取る給与の一種で、賞与とも呼ばれます。

賞与支給の目的は、主に定期的な給与とは別に特別な報酬を支払うことによって、従業員のモチベーションを高めたり維持したりすることです。

健康保険法では下記で定義されています。

「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう。

(【出典】:健康保険法 | e-Gov法令検索)

賞与がある会社では通常、年に1~2回の賞与が支給されます。給与との最大の違いは、会社にとってその支給が義務ではないことです。労働者への賃金は毎月1回以上支払わなければならないことが労働基準法に定められていますが、賞与に関しては定めがありません。

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1.1.ボーナスの一般的な算定基準

まず前提として、ボーナスの金額や計算方法は基本的に会社側が自由に決める事ができます。従って、ボーナスの算定基準はさまざまです。

しかし、就業規則などで賞与の支払い基準を明示している会社も多く、そうした場合は実際に採用されているボーナスの計算方法はある程度共通しています。日本の民間企業で最も一般的なボーナスの算定方法は、「基本給連動型賞与」と呼ばれるものです。

「基準額 × ◯ヶ月」で計算されますが、基準額とは、「基本給 + 各種手当て」です。ただし、手当をどこまで基準額に含めるかなど、基準額の算定は会社の裁量に任せられており、会社によって残業手当などが基準額に含まれる場合もあれば、基本給のみが基準額となることもあります。

さらに、社員のモチベーションを高める目的から、勤務態度や業績への貢献度を賞与に反映させるため、ボーナス支給のたびに従業員の勤務状況を査定して評価係数を算出する場合もあります。

この場合、計算式は「基準額 × ◯ヶ月 × 評価係数」となることが多く、例えば貢献度や勤務態度による評価係数が1.0を下回るとボーナスの支給額が減ってしまうこともあります。逆に評価が高ければ、より多額の賞与をもらえる場合もあります。

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1.2.ボーナス〇ヶ月分、ってどういうこと?

前述の通り、基本給連動型賞与では、「基準額 × ◯ヶ月 × 評価係数」というようにボーナスの金額が計算されることが多いですが、一般的には「ボーナス◯ヶ月分」と表現することが多いです。

何ヶ月分のボーナスを支給できるかは会社の財務状態や経営成績に左右されます。会社の考え方としては、全社員へのボーナス総額をある程度決めて、そこから逆算して何ヶ月分にするのかを決定します。

また、「◯ヶ月分」は必ずしも「1ヶ月分」や「6ヶ月分」などとキリのいい数字になるとは限りません。「3.2ヶ月分」などの端数が付くこともあります。

1.3.ボーナスの査定期間とは?

「評価係数」についてですが、算定するためには、査定が行われます。査定の基準や対象期間などは会社の任意となっており様々です。詳しい内容は各社の就業規則などで確認してみましょう。

査定後の金額計算作業にかかる期間があり、例えば12月と7月にボーナスが支給される場合には以下のような査定機関となることが多いようです。

ボーナス支給月 査定期間
12月 4~9月、または5~10月
7月 10~3月、または11~4月



1.4.労働組合の有無でボーナス額は異なる?

労働組合は、会社の従業員の利益を代表する組織で、ボーナス支給額の決定にあたっては、就業規則内での適正な支給を求めます。

基本給連動型賞与で「基準額 × ◯ヶ月 × 評価係数」というボーナス支給を定めている会社の場合、「 ◯ヶ月」の部分は基本的に会社が自由に決めることができますが、労働組合は会社の財務状態や経営成績を根拠に労働者側が考える適正な月を算定して会社と交渉を行います。

もとより、最初から労使双方が納得できるボーナスの計算がなされていれば問題はないのですが、経営者が正当な理由なく賞与を切り詰めようとする場合には労働組合がその抑止力となります。

1.5.公務員のボーナスはどう決まる?

国家公務員の賞与は、その支給時期、計算基準ともに法律で定められており、地方公務員については各自治体の条例で同様に定められます。

公務員には給与の交渉権がなく、公務員の給与やボーナスについては、その金額が民間企業とかけ離れない適切なレベルを保つために国の機関として人事院が設置されており、毎年公務員給与について人事院勧告を行います。

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2.冬・夏のボーナスの支給日はいつ?

民間企業では、ボーナスの支給時期について法律などの定めがなく、会社の裁量の範囲内となっています。ただし、就業規則等において「毎年◯月◯日に賞与を支給する」といった規定がある場合には、遵守されなければなりません。

一方、公務員の賞与については、支給時期についても法律で定められています。

2.1.民間企業の支給日

一般的な民間企業の冬のボーナスについては12月中、夏のボーナス(夏季賞与)支給日は6月下旬~7月上旬に支払われることが多いです。民間企業では賞与の支給時期について法律などの規定がありませんので、実際の支給時期については各社の就業規則などを確認する必要があります。

就業規則などに夏のボーナス支給の定めがない場合は、会社は支給月は自由に決められるだけでなく、賞与を支給しないといったこともできます。

2.2.公務員の支給日

国家公務員の冬季賞与(冬のボーナス)は12月10日、夏季賞与(夏のボーナス)支給日は6月30日、と定められています。地方公務員は条例の定めによりますが、ほとんどが国家公務員に準じて支給されます。これもまた、一般的な民間企業の支給時期に合わせたものと言えるでしょう。

3.冬・夏のボーナスの平均はどれくらい?

国家公務員の給与・ボーナスは人事院規則という法律で規定されていますが、地方公務員についても各自治体の条例で似たような規定があり、双方ともその職務や責任に応じて定められています。

一方、民間企業の給与の支払い方法などを規定するのは労働基準法です。労働基準法では、会社が遵守すべき最低限のルールが規定されており、給与の金額そのものについては最低賃金法という法律で下限が定められています。

最低賃金法や労働基準法にはボーナス支給を強制する条文はありません。したがって民間企業では、冬・夏のボーナスを支払うか否かは会社の自由となっています。

では、それぞれの平均支給額はどのくらいになっているでしょうか? 2021年の各種統計資料から見ていきましょう。

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3.1.民間企業の冬・夏のボーナス平均支給額

厚生労働省の統計によると、2021年冬に民間企業が支給したボーナスの平均額782,198円なっています。

また、2021年夏に民間企業が支給したボーナスの平均額は、厚生労働省の統計によると、773,632円です。

この統計は、冬は「妥結額などを把握できた、妥結額などを把握できた、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業355社」、夏は「妥結額などを把握できた、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業349社」を対象としており、中小企業の実情とはいささか乖離しているかもしれません。

より範囲の広い統計(5人以上の労働者を擁する全国調査)では、2021年夏季賞与の平均支給額は380,268円となっています。

3.2.公務員の冬・夏のボーナス平均支給額

国家公務員の冬のボーナスは2021年平均で651,600円、夏のボーナスは2021年平均で661,100円でした。

夏のボーナスについてみてみると、民間企業の同年統計500名以上規模の企業における夏季賞与が平均636,176円となっており、これに近い金額であると言えるでしょう。

4.退職が決まっている場合、ボーナスは支給されない?

まず、退職した後にはボーナスの支給を受けることができない場合もあります。なぜなら、多くの企業ではボーナスの支給要件として「支給日に在職していること」を定めているからです。

では、ボーナス支給日の後に退職することが決定している場合はどうでしょうか?

この場合、基本的にはボーナスを受け取ることができますが、ボーナスには「将来の会社への貢献に対する期待」という側面もあるため、就業規則などで賞与支払いの根拠・目的として「将来の貢献に対する期待」などが含まれている場合は、減額の可能性もあります。

5.コロナ禍の影響によるボーナス支給額の変動

上記にあげた各種統計によると、2021年は前年に比べて賞与支給額が減少しています。

例えば民間企業では2020年夏のボーナス平均が383,439円であったのに対し、2021年では380,268円となっており、0.8%の減少となっています。

また、夏のボーナスを支給した企業の割合も、2020年の65.3%→2021年の65.1%と、減少傾向です。 これにはコロナウイルスのまん延による全体的な経済の停滞が影響していると考えられます。

国家公務員のボーナスについても、2020年の680,100円から2021年には661,100円と2.8%減少しています。

(※ボーナスの額が下がって転職を考えるようになった方は、職種・業界に特化したアドバイザーが無料で転職相談をしてくれる「マイナビエージェント」などの転職エージェントに相談するのをおすすめします。)

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6.まとめ

これから働く職場を選ぶときに、ボーナスを含めた賃金は重要な要素の一つです。

給与・賞与ともに労働の対価ではありますが、賞与(ボーナス)の支払いは会社の義務ではありません。就職・転職をする際には、給与体系とともに、ボーナスの規定についても確認しておきたいものです。

しかし、面接が始まってすぐの時間帯に「ボーナスはどうなっていますか?」などと質問するのは避けるようにしましょう。ただ、賃金体系を事前に確認しておくことは今後の生活に大きく関わりますので、話がある程度進んだ段階で聞くようにしたほうがいいでしょう。

もし自分から直接聞くのがはばかられる場合は、転職エージェントなどを活用して、エージェントに聞いてもらうと良いでしょう。

本記事で得た知識を、会社から受ける給与・賞与の説明をより正確に理解するためにご活用いただければ幸いです。

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