多くの企業では、夏と冬の年2回ボーナスが支給されますが、どちらの支給額が多いのでしょうか。実は、企業や業界によって差はあるものの、夏と冬のボーナスの額に大きな差は見られません。本記事では、夏と冬それぞれの平均支給額や給与に対する割合、支給額の決まり方などをわかりやすく解説します。夏冬のボーナスについて気になる方は、ぜひ参考にしてください。
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1. ボーナスは夏と冬どっちが多い?
多くの企業で夏と冬の2回支給されるボーナスですが、一般的にはどちらの方が多いのでしょうか。ここでは、民間企業と国家公務員に分けて、夏冬のボーナスを見ていきましょう。
1.1. 民間企業の夏と冬のボーナス
厚生労働省によると、民間企業における令和6年の夏冬ボーナス平均額、月々の給与に対する支給割合、支給事業所数の割合は以下のとおりです。
※令和6年の民間企業のボーナス支給状況
(事業所規模:従業員5人以上)
夏のボーナス | 冬のボーナス | |
---|---|---|
平均支給額 | 414,515円 | 413,277円 |
給与に対する支給割合 | 1.05ヵ月分 | 1.07ヵ月分 |
支給事業所数の割合 | 73.0% | 77.8% |
このデータからわかるように、夏と冬のボーナスの平均支給額に大きな差は見られません。
ただし、給与に対するボーナスの支給割合は冬の方が若干高く、ボーナスを支給する事業所数も冬の方が多くなっています。
【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果速報等」
【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等」
1.2. 国家公務員の夏と冬のボーナス
内閣官房内閣人事局によると、国家公務員における令和6年の夏冬ボーナス平均額、月々の給与に対する支給割合は以下のとおりです。
※令和6年の国家公務員ボーナス支給状況
夏のボーナス | 冬のボーナス | |
---|---|---|
平均支給額 | 約659,400円 | 約652,800円 |
給与に対する支給割合 | 2.21ヵ月分 | 2.21ヵ月分 |
国家公務員のボーナスも、夏と冬に大きな差は見られず支給割合も同じです。
なお、国家公務員のボーナス額は、民間企業の給与調査を行い、その水準に合わせた額を提案する「人事院勧告」に基づいて決められています。
地方公務員に関しても同様ですが、自治体によっては財政状況や独自の条例などによって決められる場合もあります。
【出典】内閣官房内閣人事局「令和6年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」
【出典】内閣官房内閣人事局「令和6年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」
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2.【業種別】夏と冬のボーナス平均額
ここでは業種ごとに、ボーナス支給額の夏と冬の差を見てみましょう。
※令和6年夏期・年末賞与の支給状況
(事業所規模5人以上)
業種 | 夏 | 冬 | ||
---|---|---|---|---|
支給事業所における 労働者一人平均賞与額 | きまって支給する 給与に対する支給割合 | 支給事業所における 労働者一人平均賞与額 | きまって支給する 給与に対する支給割合 | |
鉱業,採石業等 | 558,769円 | 1.12ヵ月分 | 612,066円 | 1.12ヵ月分 |
建設業 | 543,670円 | 1.12ヵ月分 | 540,595円 | 1.16ヵ月分 |
製造業 | 547,928円 | 1.03ヵ月分 | 558,186円 | 1.10ヵ月分 |
電気・ガス業 | 881,533円 | 1.82ヵ月分 | 943,474円 | 1.93ヵ月分 |
情報通信業 | 739,621円 | 1.32ヵ月分 | 707,303円 | 1.27ヵ月分 |
運輸業,郵便業 | 395,736円 | 0.97ヵ月分 | 398,540円 | 0.98ヵ月分 |
卸売業,小売業 | 382,412円 | 1.03ヵ月分 | 373,565円 | 1.02ヵ月分 |
金融業,保険業 | 703,753円 | 1.61ヵ月分 | 641,032円 | 1.62ヵ月分 |
不動産・物品賃貸業 | 588,824円 | 1.50ヵ月分 | 551,281円 | 1.48ヵ月分 |
学術研究等 | 645,387円 | 1.28ヵ月分 | 588,937円 | 1.35ヵ月分 |
飲食サービス業等 | 75,897円 | 0.39ヵ月分 | 83,199円 | 0.42ヵ月分 |
生活関連サービス等 | 186,504円 | 0.71ヵ月分 | 184,277円 | 0.75ヵ月分 |
教育,学習支援業 | 567,828円 | 1.52ヵ月分 | 589,333円 | 1.63ヵ月分 |
医療,福祉 | 282,874円 | 0.89ヵ月分 | 308,846円 | 1.00ヵ月分 |
複合サービス事業 | 429,741円 | 1.63ヵ月分 | 455,496円 | 1.71ヵ月分 |
その他のサービス業 | 241,311円 | 1.16ヵ月分 | 236,048円 | 1.09ヵ月分 |
情報通信業や不動産・物品賃貸業のように夏の方が多い業種もあれば、製造業や電気・ガス業のように冬の方が多い業種もあります。
【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果速報等」
【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等」
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3. 夏と冬のボーナス支給日・査定期間・金額の決め方
夏と冬のボーナスは、いつ、どのようにして支給されるのでしょうか。ここでは、具体的な支給日や査定期間、金額の決め方について解説します。
3.1. ボーナスの支給日
ボーナスの支給日は企業によって異なりますが、一般的に夏のボーナスは6〜7月頃、冬のボーナスは12月頃が多くなっています。
また、多くの企業では事務手続きや資金繰りの関係から、ボーナスの支給日を毎月の給料とは別の日に設定しています。
なお、国家公務員の場合、夏は6月30日、冬は12月10日と法律で決められています。(休日の場合は前日か前々日)地方公務員も同様であることがほとんどですが、独自の条例に基づいて支給される可能性もあります。
【出典】e-Gov 法令検索「人事院規則九―四〇第十四条」
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3.2. ボーナスの査定期間
ボーナスの査定期間とは、支給されるボーナスの金額を決めるために、社員の勤務態度・業績・成果などを評価する対象期間のことです。夏と冬のボーナス査定期間の例は以下のとおりです。
・夏のボーナス:前年10月〜当年3月、前年11月〜当年4月
・冬のボーナス:当年4月〜9月、当年5月〜10月
実際の期間は会社ごとに異なりますが、夏と冬のボーナスがある場合は、それぞれ6カ月ほどの期間が設けられるケースが多いでしょう。
【関連記事】「夏・冬のボーナスの査定期間はいつ?査定の仕組みや平均額を解説」
3.3. ボーナスの額はどう決まる?
ボーナスの有無や金額に関する法的な規定はないため、企業が自由に決められます。
多くの企業では、基本給に一定の支給月数をかけてボーナス額を決定しています。そのほか、会社や個人の業績に応じて決定したり、等級や役職で一律の金額を設定したりしている企業もあります。また、これらの方法を複数組み合わせる場合もあります。
ボーナスの支給基準に関しては、労働協約、就業規則、労働契約などに記載されているので、気になる方は一度確認しておきましょう。
もしも、「ボーナスの額に不満がある」「頑張りに応じたボーナスをもらえていない気がする」という場合は、転職を考えるのも1つの方法です。
4. 新卒社員の夏冬ボーナスはどれくらい?
あまり大きな違いはない夏と冬のボーナス支給額ですが、入社したばかりの新卒社員のボーナスはどうなのでしょうか。ここでは、新卒社員の夏と冬のボーナスについて解説します。
4.1. 夏のボーナスは「寸志」程度か出ない場合も
夏のボーナスは、新卒社員が入社して間もない6月〜7月頃に支給されることが多いです。会社によっては、この時期を本採用の前の「試用期間」とみなしている場合もあり、満額のボーナスを支給する会社は少ないでしょう。
また、前項で述べたように、ボーナスの支給額を決定するための「査定期間」が設けられている場合、夏のボーナス査定期間は10月〜3月頃であることが多く、新卒社員はまだ会社に在籍していません。
このことから、新卒社員の夏ボーナスは寸志程度、もしくは出ない可能性もあることを理解しておきましょう。
4.2. 冬は通常通りもらえることが多い
新卒社員の冬ボーナスは、通常通りに支給されることが多くなります。冬のボーナス査定期間は4〜9月頃が一般的であり、新卒社員の査定も問題なく行えるからです。
とはいえ、企業によっては満額支給されないこともあります。ボーナスには法律による規定がないので、支給要件は企業が決定できます。詳しい要件は、就業規則や雇用契約で確認しておきましょう。
もしも、ボーナスに関して不満があったり、正当な評価をしてもらえないと感じたりする場合は、転職することで今より満足できる働き方ができるかもしれません。中には好条件のボーナス制度を設けている企業もあるので、一度求人情報をチェックしてみることをおすすめします。
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5. ボーナスの手取り額計算方法
ボーナスからも、毎回税金や保険料が引かれるため、額面と手取り額は異なります。ここでは、ボーナスから引かれる項目とその計算方法を紹介します。
【健康保険料】
健康保険料=標準賞与額×健康保険料率×1/2
標準賞与額とは、賞与の総額から1,000円未満を切り捨てた額です。健康保険料率は加入している健康保険組合や都道府県によって異なります。
また、健康保険料は企業と従業員の折半となります。
【厚生年金保険料】
厚生年金保険料=標準賞与額×厚生年金保険料率(18.3%)×1/2
厚生年金保険料率は、現在18.3%で固定されています。また、こちらも健康保険料と同様に、企業と従業員の折半です。
【雇用保険料】
雇用保険料=賞与総支給額×雇用保険料率(0.55%)
令和7年度の従業員が負担する雇用保険料率は0.55%です。また、雇用保険料を計算する際は、1,000円未満を切り捨てる標準賞与額ではなく、賞与の総支給額を使用します。
【所得税】
①前月の給与-社会保険料=基準額
②基準額と扶養人数を使用し、国税庁の「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」から所得税率を確認
③(賞与総支給額-社会保険料)×所得税率=所得税
ボーナスにかかる所得税は、前月の給与や扶養人数によって変化します。
【出典】国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和 7 年分)」
【介護保険料(40歳以上65歳未満のみ)】
介護保険料=賞与総支給額×介護保険料率×1/2
40歳以上65歳未満の方は、介護保険料も控除されます。介護保険料率は加入している健康保険組合や地域によって異なります。
例として、協会けんぽの令和7年3月分介護保険料率は1.59%です。介護保険料は企業と従業員の折半となります。
【出典】全国健康保険協会「協会けんぽの介護保険料率について」
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6. まとめ
夏と冬のボーナスは、企業や業種によって差はあるものの、平均支給額や給与に対する割合に大きな違いはありません。
ボーナスには法的な基準がなく、支給の有無や金額を企業が自由に決められるため、毎月の給与以上に企業ごとの差は大きくなる可能性があります。
近年はより良い人材を確保するために、ボーナスの支給額を高く設定する企業もあるので、今のボーナスや収入に不満がある場合は、転職を検討するのも一つの方法です。
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