ボーナスの手取り額を計算する方法は?シミュレーションや早見表も紹介

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ボーナスの手取り額は、支給額から社会保険料と所得税を差し引いた後の金額です。実際にボーナスを受け取り、「思ったより少ない...」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。本記事では、ボーナスの手取り額の計算方法をわかりやすく解説し、実際のシミュレーション例や早見表も紹介します。支給前に手取り額の目安を確認して、上手に使い道を考える参考にしましょう。

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1. ボーナスの手取り額を計算する方法は?

ボーナスからは、一般的に社会保険料と所得税が控除されるため、手取り額は以下の計算式で算出できます。

ボーナス総支給額-(社会保険料+所得税)=ボーナス手取り額

総支給額に対する社会保険料と所得税の割合は、給与額や扶養状況などによって異なるものの、およそ20~30%と言われています。

つまり、ボーナスの手取り額は、ボーナス支給額の70~80%前後となることが多いので、おおよそのボーナス手取り額を確認したい場合は、以下の計算式で算出することができます。

ボーナス総支給額×70~80%=おおよそのボーナス手取り額

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1.1. ボーナスがある企業は何割?

ボーナスは、月々の給与のように労働基準法による定めはないため、必ず支給しなければならないものではありません。

実際、令和6年に夏期ボーナスが支給されたのは全業種の73.0%、冬期ボーナスが支給されたのは77.8%でした。

このように、ボーナスを支給している企業は多いものの、支給がない企業も2~3割程度存在します。もしも、ボーナスがないことに不満を感じているのであれば、ボーナス制度がしっかりしている企業への転職を考えてもよいかもしれません。

【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果速報等」
【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等」

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1.2. ボーナの種類は主に3つ

ボーナスには下記の通り大きく分けて3つの種類があります。

・基本給連動型賞与
給与の基本給に対して、支給月数をかけた金額を支給するのが基本給連動型賞与です。支給月数は企業が独自に決定できます。例えば基本給が200,000円、支給月数が2カ月分であれば、ボーナス額は「200,000円×2ヵ月分=400,000円」となります。

・業績連動型賞与
会社や個人の業績に応じた金額を支給するのが業績連動型賞与です。基本給連動型賞与とは異なり、業績によって支給額は毎回変化します。また、基本給が同じでも、部署の業績や個人の貢献度によって支給額の差が大きくなるのが特徴です。

・決算賞与
一般的に、会社の決算期の結果に基づいて支給される賞与です。決算の状況によっては支給されなかったり、支給額が大きく変化したりすることも多い賞与です。

1.3. 額面と手取り額の違い

額面とは、会社から支払われる支給総額のことです。一方、手取り額とは額面から税金や保険料が引かれた後の、実際に受け取る金額のことを指します。

給与と同様にボーナスからもさまざまな税金や保険料が引かれるため、通常は額面よりも手取り額の方が少なくなります。

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2. ボーナスにかかる税金・保険料と計算方法

ここでは、ボーナスの手取り額を知るために、ボーナスにかかる税金と社会保険料について説明します。具体的な計算方法も紹介しますので、参考にしてください。

2.1. 所得税

ボーナスにかかる所得税を計算する手順は以下の通りです。

①前月の給与総支給額-社会保険料=基準額

②基準額と扶養人数を使用し、国税庁の「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」から所得税率を確認

③(ボーナス総支給額-社会保険料)×所得税率=所得税

ボーナスにかかる所得税は、前月の給与や扶養人数により大きく変わるのが特徴です。

【出典】国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和 7 年分)」

2.2. 健康保険料

健康保険料は以下の計算で算出されます。

標準賞与額×健康保険料率×1/2=健康保険料

標準賞与額とは、賞与の総額から1,000円未満を切り捨てた額です。健康保険料率は都道府県や加入する保険組合によって異なります。

また、健康保険料は企業と従業員が折半で納付します。

2.3. 厚生年金保険料

厚生年金保険料は以下の計算で算出されます。

標準賞与額×厚生年金保険料率(18.3%)×1/2=厚生年金保険料

厚生年金保険料率は、現在18.3%で固定されています。また、こちらも健康保険料と同様に、企業と従業員の折半となります。

【出典】日本年金機構「厚生年金保険料額表」

2.4. 雇用保険料

雇用保険料は以下の計算で算出されます。

賞与総支給額×雇用保険料率(0.55%)=雇用保険料

従業員が負担する令和7年度の雇用保険料率は0.55%です。また、雇用保険料を計算する際は、1,000円未満を切り捨てる標準賞与額ではなく、賞与の総支給額を使用することには注意が必要です。

【出典】厚生労働省「令和7年度の雇用保険料率について」

2.5. 介護保険料(40歳以上65歳未満のみ)

介護保険料は以下の計算で算出されます。

賞与総支給額×介護保険料率(1.59%)×1/2=介護保険料

40歳以上65歳未満の方は、介護保険料も控除されます。協会けんぽの令和7年3月分介護保険料率は1.59%です。介護保険料は企業と従業員の折半となります。

【出典】全国健康保険協会「協会けんぽの介護保険料率について」

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3. 【ケース別】ボーナスの手取り額シミュレーション

ここでは、実際のボーナス手取り額はいくらになるのか、年齢・支給額別のシミュレーションを一覧で紹介します。

【出典】全国健康保険協会「都道府県毎の保険料率」
【出典】日本年金機構「厚生年金保険料額表」
【出典】厚生労働省「令和7年度の雇用保険料率について」
【出典】国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和 7 年分)」

3.1. 20代会社員:ボーナス支給額30万円の場合

以下条件の20代会社員について、ボーナスの手取り額のシミュレーションを行いました。

・20代会社員
・ボーナス支給額:30万円
・社会保険料控除後の前月給与:24万円
・独身
・協会けんぽ加入(東京都)

健康保険料 300,000×9.91%×1/2=14,865
厚生年金保険料 300,000×18.3%×1/2=27,450
雇用保険料 300,000×0.55%=1,650
所得税 (300,000-14,865-27,450-1,650)×4.084%=10,456
控除額合計 14,865+27,450+1,650+10,456=54,421
手取り額 300,000-54,421=245,579


3.2. 30代会社員:ボーナス支給額50万円の場合

以下条件の30代会社員について、ボーナスの手取り額のシミュレーションを行いました。

・30代会社員
・ボーナス支給額:50万円
・社会保険料控除後の前月給与:34万円
・独身
・協会けんぽ加入(東京都)

健康保険料 500,000×9.91%×1/2=24,775
厚生年金保険料 500,000×18.3%×1/2=45,750
雇用保険料 500,000×0.55%=2,750
所得税 (500,000-24,775-45,750-2,750)×10.210%=43,568
控除額合計 24,775+45,750+2,750+43,568=116,843
手取り額 500,000-116,843=383,157


3.3. 40代会社員:ボーナス支給額80万円の場合

以下条件の40代会社員について、ボーナスの手取り額のシミュレーションを行いました。

・40代会社員
・ボーナス支給額:80万円
・社会保険料控除後の前月給与:54万円
・扶養親族1人
・協会けんぽ加入(東京都)

健康保険料 800,000×9.91%×1/2=39,640
厚生年金保険料 800,000×18.3%×1/2=73,200
雇用保険料 800,000×0.55%=4,400
介護保険料 800,000×1.59%×1/2=6,360
所得税 (800,000-39,640-73,200-4,400-6,360)×18.378%=124,308
控除額合計 39,640+73,200+4,400+6,360+124,308=247,908
手取り額 800,000-247,908=552,092


3.4. 50代会社員:ボーナス支給額150万円の場合

以下条件の50代会社員について、ボーナスの手取り額のシミュレーションを行いました。

・50代会社員
・ボーナス支給額:150万円
・社会保険料控除後の前月給与:84万円
・扶養親族2人
・協会けんぽ加入(東京都)

健康保険料 1,500,000×9.91%×1/2=74,325
厚生年金保険料 1,500,000×18.3%×1/2=137,250
雇用保険料 1,500,000×0.55%=8,250
介護保険料 1,500,000×1.59%×1/2=11,925
所得税 (1,500,000-74,325-137,250-8,250-11,925)×26.546%=336,669
控除額合計 74,325+137,250+8,250+11,925+336,669=568,419
手取り額 1,500,000-568,419=931,581

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4. 【支給額別】ボーナス手取り額の早見表

ここでは、以下の条件を前提にした支給額別のボーナス手取り額を早見表で紹介します。金額は概算のため、おおよその目安として参考にしてください。

・30代会社員、独身、協会けんぽ加入(東京都)

前月の給与支給額ボーナス支給額ボーナス手取り額
20万円 10万円 81,860円
20万円 163,720円
30万円 245,579円
30万円 40万円 320,468円
50万円 400,584円
60万円 480,701円
40万円 70万円 536,419円
80万円 613,051円
90万円 689,682円
50万円 100万円 714,031円
150万円 1,071,046円
200万円 1,466,338円

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5. ボーナスの手取りの平均額はどのくらい?

ここからは、「自分のボーナスが世間的に見て多いのか少ないのか分からない」という方のため、厚生労働省の調査を参考にボーナスの手取り額の平均値を紹介します。

5.1. 年間のボーナス手取り平均額は58万円~66万円前後

従業員が5人以上の企業において、令和6年の夏・冬ボーナス合計平均支給額は827,792円でした。

ボーナスの手取り額は支給総額の70~80%程であることが多いので、ボーナス手取り平均額は、58~66万円前後の可能性が高くなります。

5.2. 職種や企業規模などによって大きく異なる

例えば、従業員が5人以上の企業において令和6年の年間ボーナス平均支給額が最も高いのは「電気・ガス業」で、1,825,007円でした。手取り額は127~146万円前後になると見られ、全体の平均値を大きく超えています。

また、企業規模が大きくなるほど、ボーナスの平均支給額も多くなる傾向があります。ボーナス額は年収にも大きく影響しますので、転職などを考えている方はこういった点も頭に入れておくことをおすすめします。

【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果速報等」
【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等」

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6. ボーナスに社会保険料がかからないケースもある

通常ボーナスには、上記の通り社会保険料がかかりますが、一方でかからないケースも存在します。

6.1. 支給された月の末日までに退職した場合

例えば、12月10日にボーナスが支給され15日に退職した場合、ボーナスに社会保険料はかかりません。なぜなら、月末に在籍していない場合、その月は社会保険料がかからないという決まりがあるからです。

転職を検討している方は、退職日について事前にしっかりと確認しておきましょう。

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6.2. 産休・育休中に支給された場合 

ボーナス支給月の末日を含み、連続した1ヵ月超の産前産後休業・育児休業を取得している場合、社会保険料は免除されます。

例えば、12月10日にボーナスが支給され、12月15日から1ヶ月以上の産休・育休を取得する場合、ボーナスには社会保険がかからないことになります。

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7. 手取り額が増える?税金負担が軽くなる所得控除とは

税金や社会保険料を計算する際に、特定の条件を満たす個人や法人が一定額を差し引いて計算することができる控除を「所得控除」といいます。

税金のベースとなる課税所得額を減少させることで、納税者は実際の所得よりも少ない金額に対して税金を支払うことになり、結果として税負担の軽減と手取り額の増加に繋がります

ただし、所得控除は年末調整での申告、または確定申告が必要ですので、忘れずに行いましょう。

現在認められている所得控除は以下の通りです。

  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • セルフメディケーション税制
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寄附金控除
  • 寡婦・寡夫控除
  • 勤労学生控除
  • 障害者控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • ひとり親控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除

【出典】国税庁「所得から差し引かれる金額(所得控除)」

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8. まとめ

ボーナスからも住民税以外の税金や保険料が引かれるため、実際の手取り額は額面より少なくなります。「毎回いくらくらい引かれているのか」「手取り額はだいたいいくらになるのか」など、ボーナスの税金や保険料について知りたい方は、おおまかな計算方法を知っておくと良いでしょう。

もしも、ボーナスの手取り額に不満を感じる場合は、思い切って転職をするというのも一つの選択肢です。キャリアを生かせば、将来的に収入アップが見込めるかもしれません。自身の市場価値を知りたい場合は、マイナビエージェントのキャリアアドバイザーにご相談ください。

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