年収とは?手取り・所得との違いや確認方法を紹介!

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1年間の収入を意味する「年収」は、日常生活でもよく耳にする言葉です。しかし、源泉徴収票などの書類を見ても、「どの金額を答えればいいのかわからない」という方は少なくありません。そこで、本記事では年収とはどの金額を指すのか、また年収はどこで確認するのかなど、年収に関わる内容を詳しく解説します。

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1 年収とは1年間の「総支給額」を示す言葉

「あなたの年収はいくらですか?」と聞かれたとき、どの金額を答えたらいいのか迷った経験がある方もいるかもしれません。

年収とは、1年間に企業から支給された、社会保険料や税金が差し引かれる前の「総支給額」のことです。同じ意味で使われる「額面」については、後ほど解説します。ここでは、年収に含まれるものと含まれないものを解説していきます。

1.1 年収に含まれるもの

年収に含まれる項目には以下のようなものがあります。

・基本給
・ボーナス
・残業代、役職、家族、住宅などの各種手当

年収は基本給やボーナスのほか、残業代、各種手当の合計です。社会保険料や税金はここから差し引かれます。

1.2 年収に含まれないもの

年収に含まれない項目には以下のようなものがあります。

・通勤手当、交通費(社会保険料を計算する際は年収に含める)
・出張旅費
・結婚祝い金
・見舞金

通勤手当は働いて得る収入ではなく、通勤に必要な経費のため年収には含まれません。ただし、社会保険料を計算する際に必要な年収には、通勤手当も含まれるため注意が必要です。そのほか、出張に関わる旅費や慶弔見舞金なども年収には含まれません。

1.3 年収はいつからいつまでの収入を指す?

年収を算出する期間は、1月1日から12月31日までの1年間を指します。これは、年末調整や確定申告の対象が1月1日から12月31日までの収入であるためです。

また、入社時期や1年のうち働いた期間、所属する企業の決算月などにかかわらず、1月1日から12月31日の収入を計算します。例えば、その年は11月〜12月の1ヶ月間しか働いていなくても、その1ヶ月分の総支給額が年収となります。

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2 年収と混同しやすい言葉

ここでは、年収と混同しやすい4つの言葉について解説します。

2.1 額面

給与や収入における額面とは、社会保険料や税金の控除がまだ行われていない総額のことです。額面と年収は同じ意味で使用されます。

2.2 手取り

雇用主より支払われた給与から、社会保険料や税金などが引かれた後の金額のことです。従業員が実際に受け取るのは、この手取りになります。

【関連記事】「手取りとは?額面との違いや計算方法、年代別の平均額を紹介

2.3 所得(給与所得)

給与における所得とは、給与から「給与所得控除額」を差し引いた金額のことです。「給与所得控除」は自営業で言う「経費」にあたるもので、控除額は給与収入額によって変わりますす。

【参考】給与所得控除│国税庁

2.4 給与収入

給与収入は、給与や賞与(ボーナス)などを合計した金額です。つまり、1年間の給与収入は年収や額面と同じ意味になります。似ている言葉として「給与所得」がありますが、給与収入から給与所得控除されたものが給与所得です。

2.5 年俸

1年間の労働契約に基づいて、従業員が受け取る給与のことを「年俸」といいます。年俸制を採用している会社では、年間の給与を一定の金額で決めており、その金額を12等分して毎月支給することが多いです。

近年は、年俸制を取り入れる会社も増えています。転職を考えている方は、求人情報をチェックする際に、給与形態をしっかり確認しておきましょう。

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3 年収を確認する方法は?

自分の年収を確認するにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、以下の通り主な3つの方法を紹介します。

3.1 源泉徴収票の「支払金額」を確認する

毎年12月に会社から発行される、源泉徴収票の「支払金額」に記載されているのが「年収」です。支払金額とは会社から支払われた給与の総額、すなわち年収を指します。

3.2 給与明細で1年間の「総支給額」と「ボーナス」を足す

月々の給与明細に記載されている総支給額と、ボーナスの総支給額を足すことでも年収がわかります。1年分の明細を確認するのはやや面倒ですが、源泉徴収票が見当たらないといった場合は、この方法を覚えておくと安心です。

3.3 確定申告書の「所得金額等」を確認する

個人事業主などで確定申告を行っている場合、年収は確定申告書から確認できます。確定申告書Bの第一表にある「所得金額等」の「合計」が、年収となります。この金額は、売上から必要経費を差し引いた所得金額です。

ただし、青色申告者の場合は、この所得金額等の合計はすでに青色申告特別控除が適用された後の金額になっています。そのため、年収を算出するには、所得金額等の合計に青色申告特別控除額を加算する必要があります。

3.4 所得証明書や課税証明書を発行する

源泉徴収票や給与明細が手元にない場合は、居住する自治体で所得証明書を発行してもらいましょう。所得証明書とは、住民税を計算する際に自治体が基準とする書類で、1年間の収入を確認できます。

自治体によっては、住民税の課税額が記載された課税証明書しか取扱いがない場合もありますが、課税証明書でも年収の確認は可能です。ただし、これらの書類を発行するには手数料が必要です。

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4 年収情報が必要になるのはどんなとき?

日常生活で年収情報を使用するのはどんなときでしょうか。ここでは、代表的な3つの場面について解説します。

4.1 クレジットカードやローンを申し込むとき

クレジットカードの発行やローンの申し込みをする際は、年収の提示が必要です。年収は利用者の返済能力や信用度を評価し、適切な融資条件を決定するのに役立ちます

一般的に、年収が多い方が審査は通りやすくなりますが、これまでの借入履歴や返済状況によっては、年収が多くても審査に通らないこともあります。

4.2 確定申告のとき

確定申告の際は年収の情報が必要になります。一般的なサラリーマンであれば、会社が年末調整を行ってくれるため、個人で確定申告を行う必要がない場合が多いです。

しかし、年収が2,000万円を超える場合、また副業などの「給与以外の収入」が20万円を超える場合は確定申告が必要です。申告漏れを防ぐためにも、自身の年収を把握しておくことが重要です。

4.3 転職の履歴書を書くとき

転職の際、履歴書に現在の年収を記載することもあります。また、面接では希望年収を聞かれることも多いので、事前に答えを準備しておかなければなりません。

転職先の採用担当者は、転職希望者の現在の年収や希望年収を知ることで、新しい仕事においてミスマッチが起きないかを判断します。そのため、年収額は正確かつ正直に伝えましょう。

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5 【年齢・勤続年数・業種別】平均年収はどれくらい?

国税庁が発表しているデータによると、令和5年度における日本の平均給与はおよそ460万円でした。なお、男性は569万円、女性は316万円と200万円以上の差があります。また、正社員は530万円、正社員以外では202万円と雇用形態でも大きな開きがあります。

ここからは、さらに細かく年齢・勤続年数・業種別に分けて、それぞれの平均年収(平均給与)を見ていきます。

【出典】国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」

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5.1 【年齢別】平均年収

令和5年度における年齢別の平均年収は以下の通りです。

年齢平均年収(万円)
~19歳 112
20~24歳 267
25~29歳 394
30~34歳 431
35~39歳 466
40~44歳 501
45~49歳 521
50~54歳 540
55~59歳 545
60~64歳 445
65~69歳 354
70歳~ 293

年齢が上がるにつれて年収はアップしていきますが、平均年収のピークは55~59歳の545万円でした。

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5.2 【勤続年数別】平均年収

令和5年度における勤続年数別の平均年収は以下の通りです。

勤続年数平均年収(万円)
1年~4年 339
5年~9年 398
10年~14年 454
15年~19年 533
20年~24年 587
25年~29年 667
30年~34年 723
35年以上 627

勤続年数を重ねるごとに平均年数は上がっていきます。とはいえ、毎年大幅に増えていくとは言い難い状況です。近年は勤続年数よりも、個人のスキルや経験が重視される傾向にあります。

そのため、今の年収に不満がある場合は、転職をした方が生涯賃金を増やせる可能性があります。

5.3 【業種別】平均年収

令和5年度における業種別の平均年収は以下の通りです。

業種平均年収(万円)
農林水産・鉱業 333
建設業 548
製造業 533
電気・ガス・熱供給・水道業 775
情報通信業 649
運輸業,郵便業 473
卸売業,小売業 387
金融業,保険業 652
不動産・物品賃貸業 469
学術研究,専門・技術サービス業,教教育学習支援業 551
宿泊業,飲食サービス業 264
サービス業 378
医療,福祉 404
複合サービス事業 535

最も平均年収が高い業種は、電気・ガス・熱供給・水道業の775万円でした。もしも、今の年収と比較して大幅な差があると感じる方は、転職することで年収アップが見込めるかもしれません。

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6 年収から手取りを計算する方法

年収からは税金や保険料が引かれます。それぞれの計算方法は以下の通りです。

【健康保険料】

標準報酬月額×健康保険料率÷2

健康保険料率は加入している健康保険組合によって異なります。また、健康保険料は企業と従業員が折半で納付します。

【厚生年金保険料】

標準報酬月額×厚生年金保険料率(18.3%)÷2

厚生年金保険料率は、現在18.3%で固定されています。こちらも健康保険料と同様に、企業と従業員の折半です。

【出典】日本年金機構「厚生年金保険料額表」

【雇用保険料】

額面給与額×雇用保険料率(0.6%)

従業員が負担する令和5年度・令和6年度の雇用保険料率は0.6%です。

【出典】厚生労働省「雇用保険料率について」

【所得税】

①課税対象支給額-社会保険料
②給与所得の源泉徴収税額表で、①で出た金額と扶養人数を当てはめて確認する

また、2037年までは復興特別所得税として、基準所得税額の2.1%が加算されます。

【出典】国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和 5 年分)」
【出典】国税庁「個人の方に係る復興特別所得税のあらまし」

【住民税】

課税所得金額×税率10%-税額控除額+均等割5,000円

均等割とは、一定の収入がある方全員に均等に課せられる税金で、標準額は5,000円です。

【介護保険料】

標準報酬付額×介護保険料率÷2

介護保険料率は会社が加入している保険組合によって異なります。なお、令和5年度における協会けんぽの介護保険料率は1.82%、令和6年度は1.60%です。また、給与から介護保険料が徴収されるのは40歳~64歳の期間であり、企業と従業員の折半です。

【出典】全国健康保険協会「協会けんぽの介護保険料率について」

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7 まとめ

年収とは会社から支給される報酬の総額を指します。交通費や祝い金など一部含まれないものもありますが、ボーナスや各種手当を合計した、税金が引かれる前の額です。実際に受け取る手取りとは異なるので、混同しないように気を付けましょう。

転職の際も、今の年収や希望年収については質問されることが多くあります。このときに誤って手取り額を答えてしまうと、実際の年収よりも少ない金額を伝えることになってしまうため、年収については正しい認識を持つことが大切です。

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