新社会人などで働き始めると、最初に気になってくるのは税金のこと。給与明細を見ると、引かれている金額は分かりますが、どんな仕組みで徴収されているのか、知らない方も多いのではないでしょうか。
今回は、税金、特に所得税と住民税について詳しく解説します。ぜひ社会人の基礎知識として、身に付けて頂ければ幸いです。
【関連記事】「年収とは?手取り・所得との違いや確認方法を紹介!」
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1. 税金の種類
1.1 直接税と間接税
税金は徴収方法によって直接税と間接税の二つに分かれています。
直接税は納税者が直接税金を支払います。所得税、住民税、固定資産税、相続税、贈与税、自動車税などが直接税です。自動車を持っていない人は自動車税を支払う必要がないように、それぞれ自分が支払う必要のある税金を納めます。所得税と住民税に関しては多くの会社では天引きの方式をとっているので、納税者が直接税金を支払うとはいっても、手続きは会社が代わりにやっています。自分ではとくになにもしていないという方も多いのでしょうか。
間接税は納税義務者と担税者(税金を支払う人)が異なります。消費税、酒税、タバコ税、ガソリン税などが間接税です。消費税は一番身近で誰でも払ったことのある間接税でしょう。消費税はなにか買い物をした場合に負担する税金ですが、買い物した人が納税義務者で定価に上乗せされた消費税を負担します。売った側(お店など)が担税者となり、税金を納めています。消費者全員がそれぞれ納税するのは大変なので、まとめて代わりに納税する仕組みです。このように間に事業所などが挟まっているので間接税と呼ばれています。
1.2 給与から差し引かれる税金の種類
給与明細を見ると税金と社会保険料が様々な名目で引かれています。そのうちの所得税と住民税が税金です。個人事業主は自身で確定申告を行う必要があります。
次の章からは、所得税と住民税が引かれる仕組みについて解説します。
社会保険料については下記の記事をご覧ください。
【関連記事】「社会保険とは?公的医療保険と公的年金について詳しく解説!【社会人のためのお金の勉強】」
2. 給与から引かれる税金①|所得税
2.1 所得税の仕組み
所得税は累進課税制度といって、所得が高いほど税率が高くなります。
会社員の場合、会社が毎月の給与から見込みの所得税額を差し引いて納税しています。これを源泉徴収といいます。これはあくまでも見込みなので、実際の納税額とは異なる場合があります。そのため、年末調整をして正しい税額を再計算します。これをすることで、払いすぎた分の還付を受けたり、足りなかった分を追納したりします。年末調整についてはまた後で解説します。
2.2 所得の計算方法
所得税はその名の通り、所得に対して課される税です。ここで気を付けなくてはならないのは、所得と収入は違うということです。収入とは給与や賞与を足した額のことで、いわゆる年収のことです。その収入から必要経費などを引いたものが所得となります。会社員の場合、必要経費にあたるものが「給与所得控除」です。この「給与所得控除」は年収に応じて段階的に設定されています。
2.3 課税所得の計算方法
会社員の場合、収入から「給与所得控除」を引いたものが所得になります。この所得から「所得控除」を差し引いた金額が「課税所得」です。
「所得控除」には、子どもや親などを養っている人に適用される扶養控除や、所得金額が一定以下の配偶者がいる人に適用される配偶者控除など全部で15種類の控除があります。会社員の場合は基本的に年末調整の際に申告書に記入すれば大丈夫ですが、医療費控除、雑損控除、寄附金控除の三つは自身で確定申告をする必要があるので注意が必要です。
2.4 所得税額の計算方法
「課税所得」に税率を掛けて控除額を引いたものが「所得税額」です。この税率に累進課税制度が適用されています。所得税の速算表は国税庁が発表しています。
2.5 実際の納税額
ここまで計算して出した「所得税額」から、最後に「税額控除」を引くと実際の納税額が出ます。
「税額控除」とは「所得税額」から直接差し引くことが出来るものです。住宅ローンを組んで家を購入や改築した場合や、住宅の耐震改修をした場合に受けられる控除など、様々な控除があります。多くの場合、自分から申告しなければ適用されないので、自分が受けられる税額控除がないか確認し、確定申告を行いましょう。
ここまでで解説した所得税の納税額を出す方法をまとめると以下の表のようになります。
3. 給与から引かれる税金②|住民税
3.1 住民税の仕組み
住民税は所得割(前年の所得金額に応じて課税)と均等割(定額で課税)の二つを足した額が住民税として徴収されています。
所得割は前年の課税所得金額に10%をかけて計算します。
均等割はその名の通り、誰しもが均等に5000円を負担します(従来の4000円に足して2024年度より森林環境税1000円が徴収されるため合計5000円)。この二つを足した金額が住民税となります。会社員の場合は6月から翌年の5月にかけてその金額を12で割った額が毎月徴収されます。個人事業主などの場合は、自治体から住民税納付書が送付されてくるので、それに従って納付します。
住民税は前年の所得から計算するので、仕事を辞めてそのまま次の仕事をしていない場合や、収入が下がった場合でも住民税は以前の給与の水準から算出した額を納めなくてはならないので注意が必要です。
2024年6月からは「定額減税」という制度が期間限定で導入されています。これは所得税と住民税が減額される制度で、これも会社員の場合は会社がやってくれるので個人の特別な手続きなどは必要ありません。
【関連記事】「ボーナス(賞与)から所得税はどれくらい引かれる?税金の仕組みを知ろう」
4. 税金で損をしないためには?
4.1 年末調整と確定申告をしっかり行う
税金で損をしないためには年末調整や確定申告を正しく行うことが必須です。
所得控除や税額控除は会社が自動的に行ってくれるものではありません。例えば扶養している家族や配偶者がいても、それを申告しなければ控除は受けられないということです。また、控除には会社で配られる年末調整の申告書に記入すればいいだけのものから、自分で証明書を用意して提出するもの、確定申告を自分で行うものもあります。
例えば、生命保険や地震保険、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している人は控除の対象になるので年末調整の際に必ず申告書を提出しましょう。
確定申告とは所得や納税額を計算して自分で税務署に申告することです。会社員の場合でも、年収2000万円超えの人や、不動産所得や副業所得などで給与所得以外の所得が20万円を超える人は確定申告をして納税しなくてはなりません。
4.2 確定申告をすると返ってくる税金
会社員だけど、確定申告をすれば税金が返ってくるのは次のような例があります。
1年間の医療費が10万円を超えた場合は、200万円を限度として医療費控除を受けられます。医療費には通院のための交通費や薬局で買った薬代も含まれ、生計を一にする家族の医療費すべてが対象になります。家族が多い場合はこの控除を受けられる可能性が高いです。
その他にも、災害や盗難にあってしまい家財に損害を受けた人や投資で損失が出た人も税金を軽減できる場合があります。これらは自分で確定申告をしないと控除は受けられません。
これらの他にも様々な控除があります。近年話題になることが多い「ふるさと納税」も寄附金控除の一部です。
【関連記事】「ボーナス(賞与)から社会保険料はどれくらい引かれる?手取りの仕組みを知ろう」
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5.まとめ
税金には所得税と住民税があり、会社員の場合、自動的に天引きされます。ただ、場合によっては支払った税金の一部を手続きすることで取り戻すこともできるわけです。 制度を知らなかったせいでもらえるはずのお金がもらえなかったなんてことがないように、自分が使える制度はないか一度調べてみるいいでしょう。
また、自分のライフプランを考えてみた際に、税金でたくさん差し引かれるよりも、生命保険や個人型確定拠出年金に入ったり、住宅ローンを組んで、税金の控除を受けたほうがトクだと思った方も多いのではないでしょうか。 控除にどういったものがあるのかを一度調べてみたうえで、ライフプランを考えてみることをおすすめします。
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