賞与(ボーナス)にも、毎月の給与と同様に所得税がかかります。賞与から引かれる所得税は、支給額や扶養の有無、直前の給与額によって変わるため、おおよその目安を知っておくことが大切です。
本記事では、賞与にかかる所得税や社会保険料の基本的な仕組みを整理したうえで、支給額ごとのシミュレーションを紹介します。
【関連記事】「転職前にボーナス(賞与)をもらうには?退職のタイミングやスケジュール」
【関連記事】「夏のボーナス後の転職は「早めの転職活動」がポイント!」
「もしかしたら仕事頑張りすぎ!? 」... そんな方へ
\無料・登録不要/
『仕事どうする!? 診断』を受ける >
1. 賞与からも所得税は引かれる?
賞与(ボーナス)は臨時の収入と思われがちですが、給与と同様に所得とみなされるため、支給時には所得税が源泉徴収されます。
ただし、賞与の所得税は毎月の給与とは計算方法が異なり、前月の給与額や扶養人数に応じた税率を用いて算出される点が特徴です。
1.1. 賞与の平均支給額と支給割合
厚生労働省の勤労統計調査によると、事業所規模5人以上の支給事業所における令和7年の夏季賞与は、労働者一人の平均額が426,337円、支給事業所数割合は73.4%でした。業種別のデータは次のとおりです。
| 産業 | 支給事業所における労働者一人平均賞与額 | 支給事業所数割合 |
|---|---|---|
| 鉱業,採石業等 | 648,299円 | 100.0% |
| 建設業 | 594,412円 | 77.7% |
| 製造業 | 588,660円 | 79.1% |
| 電気・ガス業 | 923,096円 | 96.4% |
| 情報通信業 | 788,065円 | 75.4% |
| 運輸業,郵便業 | 385,978円 | 73.6% |
| 卸売業,小売業 | 379,774円 | 71.5% |
| 金融業,保険業 | 721,295円 | 90.3% |
| 不動産・物品賃貸業 | 588,748円 | 77.2% |
| 学術研究等 | 676,574円 | 80.0% |
| 飲食サービス業等 | 78,097円 | 50.9% |
| 生活関連サービス等 | 173,561円 | 58.7% |
| 教育,学習支援業 | 557,673円 | 83.6% |
| 医療,福祉 | 282,108円 | 79.1% |
| 複合サービス事業 | 460,009円 | 97.6% |
| その他のサービス業 | 251,754円 | 76.5% |
【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年9月分結果速報等:≪特別集計≫2025(令和7)年夏季賞与(一人平均)」
1.2. 賞与から引かれるもの
賞与からは、所得税に加えて社会保険料も引かれます。
- 所得税
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 介護保険料(40歳以上65歳未満)
毎月の給与からも引かれている社会保険料が賞与からも引かれるのは、二重に払っている気がして、なんだか納得できない気持ちになる方も多いのではないでしょうか。
しかし、賞与に社会保険料が課されなければ、月々の給与額を抑えて賞与を高く設定し、年収額は変えずに社会保険料を低くすることが可能になってしまいます。
実際に、1994年から2003年まで賞与にかかる社会保険料は「特別保険料」という名目で徴収されており、一律1%の労使折半でしたが、この制度では上述の方法で保険料逃れをする企業が多かったため、2003年に現在の制度に変わりました。
受け取る賞与の手取りは減ってしまいましたが、公平に社会保険料を負担するための制度だといえます。
なお、住民税は前年の所得に基づき算出された年額を納める仕組みのため、賞与には課税されません。
1.3. 賞与から引かれる所得税の計算式
賞与の所得税は次の計算式で計算します。
【所得税】
所得税=(賞与総支給額-社会保険料)×所得税率
所得税は、賞与の額面から社会保険料を引いた数字に所得税率をかけて算出します。この所得税率は、自身の前月給与額(社会保険料控除後)と扶養している人数に応じて決まります。
所得税率は細かく分けられており、給与が高ければ税率が上がり、扶養人数が多ければ税率が下がる仕組みです。
【出典】国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)」
1.4. 賞与から引かれる社会保険料の計算式
続いて、賞与にかかる社会保険料の計算式を紹介します。
【健康保険料】
健康保険料=標準賞与額×健康保険料率×1/2
- 標準賞与額とは、賞与の総額から1,000円未満を切り捨てた額です。
- 健康保険料は加入している健康保険組合(協会)によって異なります。
- 健康保険料は労使折半で納付するため、1/2をかけます。
【厚生年金保険料】
厚生年金保険料=標準賞与額×厚生年金保険料率(18.3%)×1/2
- 厚生年金保険料率は、令和8年現在、18.3%で固定されています。
- 厚生年金保険料は労使折半で納付するため、1/2をかけます。
【雇用保険料】
雇用保険料=賞与総支給額×雇用保険料(0.55%)
- 令和7年度(令和7年4月1日から令和8年3月31日まで)の従業員が負担する雇用保険料は0.55です。
- 農林水産・清酒製造の事業及び、建設の事業の従業員が負担する雇用保険料は0.65%です。
- 雇用保険料を計算する際は標準賞与額ではなく、賞与の総支給額を使用します。
【介護保険料】
介護保険料=標準賞与額×介護保険料率×1/2
- 介護保険料は40歳以上になると徴収されます。
- 介護保険料も健康保険料と同様に、加入している健康保険組合(協会)によって異なります。
- 介護保険料は労使折半で納付するため、1/2をかけます。

【関連記事】「ボーナスとは?一般的な支給時期や支給額の基準、平均額などを紹介」
【関連記事】「年収はボーナス含む?計算方法や手取り・年俸との違いを解説!」
【関連記事】「転職のおすすめ時期はいつ?タイミング別のメリットや成功のコツを紹介」
【関連記事】「夏・冬のボーナスはいつ支給される?一般企業と公務員の支給日や平均額を紹介」
【関連記事】「ボーナスがない会社は何割?賞与なしの会社で働くメリットや注意点」
2. 賞与から引かれる所得税額シミュレーション
ここからは以下の条件をもとに、賞与から所得税がいくら引かれるのかを計算したシミュレーションを紹介します。
- 39歳以下
- 東京在住
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)加入
なお、賞与に定額減税が適用される場合の所得税はこの限りではありません。
【参照】全国健康保険協会(協会けんぽ)「被保険者の方の健康保険料額(令和7年3月~)東京」
【参照】国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)」
《例1:賞与が30万円、社会保険料を引いたあとの前月の給与は24万円だった場合》
【社会保険料の計算】
① 【健康保険料】標準賞与額×健康保険料率×1/2
30万円×0.0991×1/2=14,865円
② 【厚生年金保険料】標準賞与額×厚生年金保険料率(18.3%)×1/2
30万円×0.183×1/2=27,450円
③ 【雇用保険料】賞与総支給額×雇用保険料率(0.55%)
30万円×0.0055=1,650円
①+②+③=43,965円が賞与から引かれる社会保険料です。
【所得税の計算】
【所得税】(賞与総支給額-社会保険料)×所得税率
扶養人数0人 (30万円-43,965円)×0.04084=10,456円
扶養人数1~3人 (30万円-43,965円)×0.02042=5,228円
所得税は1円未満の小数点以下の端数は切り捨てます。この所得税と社会保険料の合計を30万円から差し引いた額が、賞与の手取り額です。
【手取り】
扶養人数0人 30万円-(43,965円+10,456円)=245,579円
扶養人数1~3人 30万円-(43,965円+5,228円)=250,807円
《例2:賞与が50万円、社会保険料を引いたあとの前月の給与は27万円だった場合》
【社会保険料の計算】
① 【健康保険料】標準賞与額×健康保険料率×1/2
50万円×0.0991×1/2=24,775円
② 【厚生年金保険料】標準賞与額×厚生年金保険料率(18.3%)×1/2
50万円×0.183×1/2=45,750円
③ 【雇用保険料】賞与総支給額×雇用保険料率(0.55%)
50万円×0.0055=2,750円
①+②+③=73,275円が賞与から引かれる社会保険料です。
【所得税の計算】
扶養人数0人 (50万円-73,275円)×0.06126=26,141円
扶養人数1人 (50万円-73,275円)×0.04084=17,427円
扶養人数2~3人 (50万円-73,275円)×0.02042=8,713円
この所得税と社会保険料の合計を50万円から差し引いた額が、賞与の手取り額です。
【手取り】
扶養人数0人 50万円-(26,141円+73,275円)=400,584円
扶養人数1人 50万円-(17,427円+73,275円)=409,298円
扶養人数2~3人 50万円-(8,713円+73,275円)=418,012円
《例3:賞与が80万円、社会保険料を引いたあとの前月の給与は34万円だった場合》
【社会保険料の計算】
① 【健康保険料】標準賞与額×健康保険料率×1/2
80万円×0.0991×1/2=39,640円
② 【厚生年金保険料】標準賞与額×厚生年金保険料率(18.3%)×1/2
80万円×0.183×1/2=73,200円
③ 【雇用保険料】賞与総支給額×雇用保険料率(0.55%)
80万円×0.0055=4,400円
①+②+③=117,240円が賞与から引かれる社会保険料です。
【所得税の計算】
扶養人数0人 (80万円-117,240円)×0.08168=55,767円
扶養人数1~2人 (80万円-117,240円)×0.06126=41,825円
扶養人数3人 (80万円-117,240円)×0.04084=27,883円
この所得税と社会保険料の合計を80万円から差し引いた額が、賞与の手取り額です。
【手取り】
扶養人数0人 80万円-(55,767円+117,240円)=626,993円
扶養人数1~2人 80万円-(41,825円+117,240円)=640,935円
扶養人数3人 80万円-(27,883円+117,240円)=654,877円
《例4:賞与が100万円、社会保険料を引いたあとの前月の給与は40万円だった場合》
【社会保険料の計算】
① 【健康保険料】標準賞与額×健康保険料率×1/2
100万円×0.0991×1/2 = 49,550円
② 【厚生年金保険料】標準賞与額×厚生年金保険料率(18.3%)×1/2
100万円×0.183×1/2=91,500円
③ 【雇用保険料】賞与総支給額×雇用保険料率(0.55%)
100万円×0.0055=5,500円
①+②+③=146,550円が賞与から引かれる社会保険料です。
【所得税の計算】
扶養人数0人 (100万円-146,550円)×0.12252=104,564円
扶養人数1人 (100万円-146,550円)×0.10210=87,137円
扶養人数2人 (100万円-146,550円)×0.08168=69,709円
扶養人数3人 (100万円-146,550円)×0.06126=52,282円
この所得税と社会保険料の合計を100万円から差し引いた額が、賞与の手取り額です。
【手取り】
扶養人数0人 100万円-(104,564円+117,240円)=778,196円
扶養人数1人 100万円-(87,137円+117,240円)=795,623円
扶養人数2人 100万円-(69,709円+117,240円)=813,051円
扶養人数3人 100万円-(52,282円+117,240円)=830,478円
《例5:賞与が120万円、社会保険料を引いたあとの前月の給与は50万円だった場合》
【社会保険料の計算】
① 【健康保険料】標準賞与額×健康保険料率×1/2
120万円×0.0991×1/2 = 59,460円
② 【厚生年金保険料】標準賞与額×厚生年金保険料率(18.3%)×1/2
120万円×0.183×1/2=109,800円
③ 【雇用保険料】賞与総支給額×雇用保険料率(0.55%)
120万円×0.0055=6,600円
①+②+③=175,860円が賞与から引かれる社会保険料です。
【所得税の計算】
扶養人数0~2人 (120万円-175,860円)×0.16336=167,303円
扶養人数3人 (120万円-175,860円)×0.14294=146,390円
この所得税と社会保険料の合計を120万円から差し引いた額が、賞与の手取り額です。
【手取り】
扶養人数0~2人 120万円-(167,303円+175,860円)=856,837円
扶養人数3人 120万円-(146,390円+175,860円)=877,750円

【関連記事】「ボーナスの手取り額を計算する方法は?シミュレーションや早見表も紹介」
【関連記事】「手取りとは?額面との違いや計算方法、年代別の平均額を紹介」
【関連記事】「給料から引かれる税金とは?所得税と住民税について詳しく解説!【社会人のためのお金の勉強】」
【関連記事】「試用期間中の「社会保険なし」は違法?加入条件や入れない場合の対処法を解説」
3. 賞与の所得税計算が通常と異なるケース
賞与の所得税は上記のような計算式で算出できますが、一部例外もあります。ここでは、通常の計算式では所得税を算出できないイレギュラーなケースについて紹介します。
3.1. 前月給与が0円だった
前月の給与が0円だった場合は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」が使用できないため、賞与額をもとに「給与所得の源泉徴収税額表」に当てはめて所得税を算出します。
まず、賞与の支給額から社会保険料を差し引き、その金額を賞与の計算期間(半年ごとに賞与が支給されている場合は6、年1回の場合は12)で割ります。
この金額を、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表・甲欄)」に当てはめると、1か月あたりの所得税額が確認できるので、賞与の計算期間に合わせて6倍または12倍します。
【出典】国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和 8 年分)」
3.2. 賞与額が前月給与の10倍以上だった
賞与額が前月給与の10倍以上だった場合も、通常の所得税計算では算出できないため、「給与所得の源泉徴収税額表」を利用します。
まず、社会保険料控除後の前月給与に、社会保険料控除後の賞与を期間で割った金額を合算し、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表・甲欄)」に当てはめて1か月あたりの所得税額を確認します。
その後、上記と同様、賞与の計算期間に合わせて6倍または12倍することで、所得税額が算出できます。
【出典】国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和 8 年分)」

【関連記事】「社会保険とは?公的医療保険と公的年金について詳しく解説!【社会人のためのお金の勉強】」
【関連記事】「中小企業のボーナス平均額は?業種や年齢別の平均や給与何ヶ月分かも解説」
【関連記事】「育休中でもボーナスはもらえる?減額されるケースや控除についても解説」
【関連記事】「新卒のボーナス平均額は?一年目の夏・冬はいくらもらえる?」
【関連記事】「20代のボーナス平均額は?業種や性別、学歴など項目ごとに紹介」
【関連記事】「30代のボーナス平均額は?業種や性別、学歴など項目ごとに紹介」
【関連記事】「ボーナスの使い道ランキングを紹介!年代別おすすめの使い方や無駄遣いを防ぐコツは?」
4. 引かれた税金は年末調整で戻ってくる可能性がある
年末調整では、1年間に納めた所得税の一部が戻ってくる可能性があります。
例えば、その年に支払った生命保険料や個人年金保険料、住宅ローンなどを申告すると、所得控除や税額控除が適用され、所得税が軽くなることがあります。これらは月々の源泉徴収には反映されていないため、忘れずに申告しましょう。
また、賞与支給日の前月の給与が残業などで多かった場合、賞与の所得税が実際より高めに計算されていることがあり、その払い過ぎ分は年末調整で還付されます。
一方で、賞与の金額が大きく年収に占める割合が高い場合は、賞与の所得税が低めに計算されていることがあります。その場合、還付される金額が少なくなる、あるいは追加の納税が発生する可能性もあります。
【関連記事】「ボーナスがない会社は何割?賞与なしの会社で働くメリットや注意点」
年収アップを目指すなら
まずはプロにご相談ください
マイナビ転職エージェントについて詳しく知る >
5. まとめ
賞与(ボーナス)にかかる所得税は、賞与の支給額だけでなく、前月の給与額や扶養親族の人数などによって異なります。賞与から所得税がいくらぐらい引かれるのか知りたい方は、本記事で紹介した計算方法やシミュレーションを活用して、実際の所得税を算出してみてください。
なお、所得税の税率は年度ごとに変更される可能性があるため、国税庁などの最新情報を確認することが重要です。資産管理を行う際は、所得税の制度を正しく理解し、納税額をしっかり把握しておきましょう。
【関連記事】「「転職したいけど何がしたいかわからない」ときはどうすればいい?解決策や転職先の見つけ方をご紹介」
【関連記事】「職務経歴書の添削を転職エージェントで受けるべき理由とは?準備や注意点も紹介」
\転職するか迷っていてもOK/
マイナビ転職エージェントに無料登録して
転職サポートを受ける