中小企業のボーナス平均額は?何ヶ月分?支給なしの割合や大企業との差も解説

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国内企業の99.7%を占める中小企業のボーナス平均額は、約62万円です。ただし、年齢や業種などによって平均額は大きく異なります。

本記事では、中小企業のボーナス平均額を項目ごとに詳しく紹介します。また、大企業との差や、ボーナスから差し引かれる税金や保険料についても解説するので、中小企業のボーナスのことが知りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

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1.中小企業のボーナス平均額は約62万円

厚生労働省によると、従業員数が10~99人の中小企業における令和6年のボーナス平均額(※)は、約62万2千円でした。なお、1ヶ月の給与平均額は約32万円であったため、月給の約1.9ヶ月分がボーナスとして支給されたことになります。

(※令和6年賃金構造基本統計調査における年間賞与その他特別給与額)

ただし、厚生労働省が調査した令和4年の結果によると、全世帯における平均所得金額が約524万円なのに対し、中央値は約405万円と平均額よりも120万円ほど少ない金額となっています。

そのため、年間約62万円という中小企業のボーナス平均額も、中央値で見るともう少し低くなる可能性があります。

【出典】厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
【出典】厚生労働省「各種世帯の所得等の状況」

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1.1.中小企業は全企業の99.7%

中小企業庁が公開している2024年版「中小企業白書」よると、日本国内にある336万4,891社の企業のうち、99.7%にあたる285万3,356社が中小企業です。また、中小企業に勤務する人は、労働者全体の69.7%で約3,310万人です。

中小企業の定義は原則として以下のように定められています。

業種分類①資本金の額または出資の総額※②常時使用する従業員の数※
製造業その他 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下

※①または②のどちらかにあてはまること

ただし、この条件はあくまでも中小企業政策における「原則」であり、法律や制度によって中小企業の定義は異なることがあります。

【出典】中小企業庁「2024年版「中小企業白書」全文」
【出典】 中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義 」

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1.2.中小企業のボーナス額の決め方

民間企業のボーナスには法的な定めや基準がなく、額の決め方は各企業に委ねられています。一般的には、「半期の経常利益率が〇%以上であった場合、支給月数を給与の2カ月分にする」など「給与の〇ヶ月分」という基準を設定しているケースが多い傾向です。

そのほかにも、等級や役職、個人の業績に応じて独自のボーナス額算出基準を設けている企業も存在します。このように、ボーナス額の決め方は企業によって異なるため、あらかじめ就業規則や雇用契約書でチェックしておきましょう。

1.3.中小企業でボーナスがない割合

厚生労働省の公表によると、令和6年の夏にボーナスが支給されたのは全業種の73.0%、令和6年の冬にボーナスが支給されたのは77.8%でした。つまり、約22%の企業はボーナスがないということになります。

なお、令和6年夏のデータからボーナスを支給している企業を業種別に見ると、鉱業・採石業等が100%と最も高く、複合サービス事業97.5%、電気・ガス業92.3%と続きます。

【参考】厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):結果の概要」

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2.【項目別】中小企業のボーナス平均額

ここからは、厚生労働省が公表した令和6年のデータから、中小企業のボーナス平均額を項目別に紹介します。なお、本記事では厚生労働省のデータに基づき、従業員数が10~99人の中小企業について紹介しています。

【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査)」

2.1.【男女別】中小企業のボーナス平均額

まず、男女別の中小企業ボーナス平均額を紹介します。

令和6年 年間賞与その他特別給与額
(事業所規模10~99人)

性別ボーナス平均額(千円)
男性 680.4
女性 522.8

男女別の中小企業ボーナス平均額を見ると、約140万円ほど男性の方が上回っています

2.2.【年齢別】中小企業のボーナス平均額

次に、年齢別の中小企業ボーナス平均額を紹介します。

令和6年 年間賞与その他特別給与額
(事業所規模10~99人)

年齢平均勤続年数ボーナス平均額(千円)
~19歳 0.9年 92.9
20~24歳 2.1年 303.1
25~29歳 3.9年 485.8
30~34歳 6.0年 588.1
35~39歳 8.4年 674.6
40~44歳 10.5年 734.1
45~49歳 12.7年 771.3
50~54歳 14.7年 749.5
55~59歳 16.1年 709.3
60~64歳 16.7年 530.9
65~69歳 17.1年 374.3
70歳~ 18.4年 273.1

20代、30代と年齢が上がるにつれ平均賞与額も上がっていき、45~49歳で最も多くなりました

勤続年数を見ると、全ての人が同じ会社で働き続けているわけではないものの、40代後半は責任あるポジションを任されることが多く、会社の中心的存在と言えるため、ボーナスの支給額も上がることが予想されます。

2.3.【業種別】中小企業のボーナス平均額

次に、業種別で中小企業のボーナス平均額を見てみましょう。

令和6年 年間賞与その他特別給与額
(事業所規模10~99人)

業種ボーナス平均額(千円)
鉱業、採石業、砂利採取業 767.2
建設業 679.2
製造業 589.7
電気・ガス・水道業 1102.7
情報通信業 739.7
運輸業、郵便業 362.2
卸売業、小売業 717.8
金融業、保険業 1505.6
不動産業、物品賃貸業 783.8
学術研究、専門・技術サービス業 932.8
宿泊業、飲食サービス業 236.1
生活関連サービス等 315.2
教育・学習支援業 757.7
医療、福祉 598.6
複合サービス事業 1193.3
その他のサービス業 568.1

中小企業のボーナス平均額が最も高い職種は「金融業、保険業」で、その額は約150万円でした。次に高いのは「複合サービス事業」「電気・ガス・水道業」で、どちらも110万円を超えています。

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2.4.【学歴別】中小企業のボーナス平均額

次に、学歴別の中小企業平均ボーナス額を紹介します。

令和6年 年間賞与その他特別給与額
(事業所規模10~99人)

最終学歴ボーナス平均額(千円)
中学 435.8
高校 510.0
専門学校 617.6
高専・短大 711.6
大学 851.3
大学院 1297.8

専門的な知識を身につけているとされる大卒や大学院卒の方は、より責任ある仕事を任される機会が多いことが多いことから、ボーナス平均額も高くなりやすい傾向にあります。

2.5.【都道府県別】中小企業のボーナス平均額

最後に、都道府県別の中小企業ボーナス平均額を紹介します。ここでは、全世代におけるボーナス平均額が高い上位5つの都道府県(東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫)についてまとめました。

令和6年 年間賞与その他特別給与額
(事業所規模10~99人)

従業員数ボーナス平均額(千円)
東京 821.6
神奈川 563.4
愛知 683.8
大阪 654.2
兵庫 620.5

上記5つの都道府県における中小企業のボーナス平均額は、東京都が最も高く、その額は約82万円となっています。

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3.中小企業と大企業のボーナスの差はどれくらい?

中小企業と大企業ではボーナスの額に違いはあるのでしょうか。令和6年の厚生労働省データから、企業規模別のボーナス平均額を見てみましょう

令和6年 年間賞与その他特別給与額
(事業所規模10人以上)

従業員数平均賞与額(千円)
10~99人 622.9
100~999人 919.4
1000人以上 1271.8

上記の通り、事業所規模が大きくなるにつれてボーナスの平均額も高くなる傾向にあります。大企業のボーナスが多い理由としては、ブランド力や市場規模の大きさによる高い収益性が挙げられます。

ただし、中小企業の中でも、ボーナスが少ない分毎月の給与額を高く設定していたり、福利厚生を手厚くしていたりする企業もあります。そのため、ボーナスが少ないからといって一概にデメリットが大きいとは言い切れません

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4.ボーナスの種類

ここでは、一般的な3種類のボーナスの種類について説明します。ここでは3種類のボーナスの特徴を解説するので、参考にご覧ください。

4.1.基本給連動型賞与

基本給連動型賞与とは、給与の基本給に連動して支給額が決定するボーナスのことです。例えば、支給月数が2カ月であれば、「基本給×2」という計算で支給金額が決まります。支給月数は従業員全て一律であることがほとんどですが、仕事の成果によって差をつけている企業もあります。

4.2.業績連動型賞与

業績連動型賞与とは、企業全体や各部署、従業員個人の業績に応じて支給額が決定するボーナスのことです。基本給連動型賞与とは異なり、業績によってもらえる金額は大きく上下します。また、同じ基本給をもらっている従業員間でも、金額には大きな差が生じる可能性があります。

4.3.決算賞与

決算賞与とは、決算後に利益を従業員に還元するために支給されるボーナスです。通常、決算終了後の3〜4月頃に支給されます。夏・冬のボーナスのほかに決算賞与を出す企業もあれば、この決算賞与しかない企業もあります。

ただし、決算で相応の利益が確定しない場合は、支給されないことも考えられます。また、基本給連動型と業績連動型を組みあわせて支給する企業もあります。

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5.ボーナスから引かれる税金と保険料

給与と同様に、ボーナスからも保険料や税金が引かれるため、支給額と手取り額は異なります。ここでは、ボーナスから引かれる項目と計算方法を紹介します。なお、ボーナスに住民税はかかりません。

5.1.所得税

所得税を算出するには、以下の手順を踏む必要があります。

①前月の給与-(社会保険料+厚生年金保険料)で基準額を出す
②基準額と扶養人数を使用し、国税庁の「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」から所得税率を確認する
③(賞与-社会保険料)×所得税率=所得税

所得税は、前月の給与額や扶養人数により大きく変わってくるのが特徴です。

【出典】国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和 5 年分)」

5.2.健康保険料

健康保険料は以下の計算で算出されます。

・標準賞与額×健康保険料率=健康保険料

標準賞与額とは、賞与の総額から1,000円未満を切り捨てた額です。健康保険料率は加入している保険組合によって異なります。また、健康保険料は企業と従業員が折半で納付します。そのため、実際の金額は計算で算出した金額の半分ということになります。

5.3.厚生年金保険料

厚生年金保険料は以下の計算で算出されます。

・標準賞与額×厚生年金保険料率(18.3%)=厚生年金保険料

厚生年金保険料率は、現在18.3%で固定されています。また、こちらも健康保険料と同様に、企業と従業員の折半となります。

【出典】日本年金機構「厚生年金保険料額表」

5.4.雇用保険料

雇用保険料は以下の計算で算出されます。

・賞与総支給額×雇用保険料率(0.55%)=雇用保険料

従業員が負担する令和7年度の雇用保険料率は0.55%です。また、雇用保険料を計算する際は、1,000円未満を切り捨てる標準賞与額ではなく、賞与の総支給額を使用することには注意が必要です。

【出典】厚生労働省「令和7年度の雇用保険料率について」

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6.中小企業のボーナスでよくあるトラブルと対処法

中小企業のボーナスでありがちなトラブルと、その対処法をお知らせします。ボーナス額に疑問を感じたり、ボーナス制度に不満を感じたりしている方はぜひチェックしてください。

6.1.支給額が少ない

ボーナスの支給額に法的な規定はないため、ほかの企業や同期入社した同僚と比べて少ないということは十分に考えられます。周囲より極端に少ない場合であっても、就業規則や労働契約書に明記されている方法で支給されているのであれば、正当なボーナスということになります。

しかし、雇用契約書などで提示された内容とは異なる方法で計算されている場合は、違法となる可能性もあるため、速やかに会社へ申し出ましょう。

6.2.減額された

ボーナスの減額についても会社ごとにルールは異なるため、まずは就業規則や雇用契約書を確認することが大切です。ボーナスの額は、企業の経営状態や部署ごとの業績、従業員の勤務状況などによって変動するのが一般的です。

しかし、規則の定めを越えて、理由もなく大幅な金額をカットすることは違法となる可能性があります。その場合は、減額に同意できない旨を会社に伝え、訴えが通らない場合は、労働基準監督署や各都道府県の労働局へ相談するのも一つの方法です。

【出典】厚生労働省「都道府県労働局」

6.3.ボーナス自体がない

記事の前半で解説したように、約22%の企業ではボーナスが支給されていません。ボーナスは支給が義務付けられているものではないため、ボーナスが出ないこと自体は違法にあたりません。また、就業規則などに「年2回の賞与支給」と記載されていても、「やむを得ない事由により支給しないことがある」などの但し書きがあれば、突然支給が停止になる可能性もあります

もしも、ボーナスがないことに不満がある場合は、転職を視野に入れるのも一つの選択肢です。特に、「給与水準が低いのにボーナスがない」「業績悪化によりボーナスがなくなった」という場合は、早めに転職することで将来的なメリットは大きくなるかもしれません。

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7.まとめ

国内企業の約99.7%を占める中小企業では、8割近くの企業がボーナスを支給しています。ボーナスの平均額は年齢とともに上がる傾向があり、令和6年のデータを見ると最も多く支給されているのは45~49歳の年代でした。

ただし、業績の悪化などにより突然ボーナスがなくなってしまうと、今後の人生設計に大きな影響が出てしまいます。もしも、ボーナスに不満や不安がある場合は、早めに転職を検討することで、将来的に大きなメリットを得られるかもしれません。

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