中小企業のボーナス平均額は?何ヶ月分?支給なしの割合や大企業との差も解説

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日本国内にある企業のうち、9割以上が中小企業と言われています。大企業に比べて資本金や従業員数が少ない中小企業ですが、ボーナスの平均額はどれくらいなのでしょうか。

本記事では、中小企業のボーナス平均額を年齢や業種ごとに詳しく紹介します。また、大企業との差や、ボーナスから差し引かれる税金や保険料についても解説するので、中小企業のボーナスのことが知りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

【関連記事】「ボーナスの平均額は?年齢・業種・規模別に紹介!手取り額の計算方法も」

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1 中小企業のボーナス平均は?

日本国内にある企業のうち、99%以上を占めるのが中小企業です。日本中で多くの方が勤務する中小企業では、平均でどれくらいのボーナスが支給されているのでしょうか。ここでは、まず中小企業の定義に加えて、一般的な賞与の決め方などを解説します。

1.1そもそも中小企業とは

2006年に中小企業庁が公表したデータによると、日本国内にある約421万社の企業のうち、99.7%にあたる約419.8万社が中小企業でした。なお、中小企業に勤務する人は、労働者全体の69%で約2,784万人です。

中小企業の定義は原則として以下のように定められています。

業種分類①資本金の額または出資の総額※②常時使用する従業員の数※
製造業その他 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下

※①または②のどちらかにあてはまること

ただし、この条件はあくまでも中小企業政策における「原則」であり、法律や制度によって中小企業の定義は異なることがあります。

【出典】中小企業庁「最近の中小企業の景況について」
【出典】 中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義 」

【関連記事】「ボーナス・賞与とは?もらえる時期・平均額・手取りの計算方法を紹介」

1.2 中小企業のボーナス額の決め方

そもそもボーナスには法的な定めや基準がなく、額の決め方は各企業に委ねられています。一般的には、「半期の経常利益率が〇%以上であった場合、支給月数を給与の2カ月分にする」など「給与の〇ヶ月分」という基準を設定しているケースが多い傾向です。

そのほかにも、等級や役職、個人の業績に応じて独自のボーナス額算出基準を設けている企業も存在します。このように、ボーナス額の決め方は企業によって異なるため、あらかじめ就業規則や雇用契約書でチェックしておきましょう。

1.3 中小企業でボーナスなしの割合は?

厚生労働省の公表によると、2023年の夏にボーナスが支給されたのは全業種の65.9%、2022年の冬にボーナスが支給されたのは70.5%でした。つまり、約3割の企業はボーナスなしということになります。

なお、2023年夏のデータからボーナスを支給している企業を業種別に見ると、鉱業・採石業等が100%と最も高く、複合サービス事業97.2%、金融・保険業88.8%と続きます。一方、生活関連サービス業は45.3%と最も低い数字となっています。

【参考】厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):結果の概要」

【関連記事】「ボーナスがない会社は何割?賞与なしの会社で働くメリットや注意点」

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2 【項目別】中小企業のボーナス平均額

ここからは、厚生労働省が公表した2022年度のデータから、中小企業のボーナス平均額を項目別に紹介します。なお、本記事では厚生労働省のデータに基づき、従業員数が10~99人の中小企業について紹介しています。

【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査)」

2.1 【全体】中小企業のボーナス平均額と中央値

年齢、業種、学歴を踏まえた全体の平均額は、約57万5千円でした。また、給与額の平均は約30万4千円であったため、給与の約1.8ヵ月分がボーナスとして支給されたことになります。

ただし、2022年度に厚生労働省が調査した結果によると、全世帯における所得額平均値が約545万なのに対し、所得額中央値は約423万円と100万円以上少ない金額でした。そのためボーナスに関しても、中央値は平均値よりも低い可能性があります。

【出典】厚生労働省「各種世帯の所得等の状況」

2.2 【年齢別】中小企業のボーナス平均額

次に、年齢別の中小企業ボーナス平均額を紹介します。

※令和4年年間賞与の支給状況
(事業所規模10~99人)

年齢平均勤続年数平均賞与額(千円)
~19歳 0.9年 91.1
20~24歳 2.2年 282.2
25~29歳 4年 433.6
30~34歳 6.1年 538
35~39歳 8.3年 634.1
40~44歳 10.6年 674.5
45~49歳 12.6年 702.3
50~54歳 14.4年 684.6
55~59歳 16.2年 664.9
60~64歳 16.7年 509.2
65~69歳 16.5年 337
70歳~ 18.6年 243.3

20代、30代と年齢が上がるにつれ平均賞与額も上がっていき、45~49歳で最も多くなりました。勤続年数を見ると、全ての人が同じ会社で働き続けているわけではないものの、40代後半は責任あるポジションを任されることが多く、会社の中心的存在と言えます。そのため、ボーナスの支給額も上がることが予想されます。

2.3 【業種別】中小企業のボーナス平均額

次に、業種別で中小企業のボーナス平均額を見てみましょう。

※令和4年年間賞与の支給状況
(事業所規模10~99人)

業種平均賞与額(千円)
鉱業、採石業、砂利採取業 698.3
建設業 669.1
製造業 556.3
電気・ガス・水道業 1176.5
情報通信業 651.1
運輸業、郵便業 563.5
卸売業、小売業 962.9
金融業、保険業 1449.0
不動産業、物品賃貸業 1067.9
学術研究、専門・技術サービス業 1337.9
宿泊業、飲食サービス業 342.7
生活関連サービス等 361.7
教育・学習支援業 1227.3
医療、福祉 734.3
複合サービス事業 992.9
その他のサービス業 500.7

中小企業の平均賞与額が最も高い職種は「金融業、保険業」で、その額は約144万円でした。また、最も低い職種は「宿泊業、飲食サービス業」の約34万円です。

2.4 【学歴別】中小企業のボーナス平均額

最後に、学歴別の中小企業平均ボーナス額を紹介します。

※令和4年年間賞与の支給状況
(事業所規模10~99人)

最終学歴平均賞与額(千円)
中学 382.8
高校 488.2
専門学校 562.1
高専・短大 655.2
大学 762.6
大学院 1336.2

中小企業では、学歴によるボーナスの差が顕著になります。理由として、専門的な知識を身につけているとされる大卒や大学院卒の方は、より責任ある仕事を任される機会が多いことが挙げられます。また、重要な役職に就く可能性が高まることも、大卒や大学院卒の方のボーナス額が多い理由の一つです。

【関連記事】「夏・冬のボーナス支給はいつ? 会社員と公務員の支給日・平均額、引かれる額の計算方法」
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3 中小企業と大企業のボーナスの差はどれくらい?

中小企業と大企業ではボーナスの額に違いはあるのでしょうか。2022年度の厚生労働省データから、企業規模別のボーナス平均額を見てみましょう。

※令和4年年間賞与の支給状況
(事業所規模10人以上)

従業員数平均賞与額(千円)
10~99人 575.4
100~999人 842.4
1000人以上 1230.5

上記の通り従業員1000人以上の大企業では、100人未満の中小企業の約2倍ものボーナスが支給されていることがわかります。大企業のボーナスが多い理由としては、ブランド力や市場規模の大きさによる、高い収益性が挙げられます。また、専門的で高度なスキルを持った人材が集まりやすいことも理由の一つです。

ただし、従業員が少ないベンチャー企業などの中には、賞与が少ない分毎月の給与額を高く設定しているところもあります。そのため、賞与が少ないからといって、一概に年収が低いとは言い切れません。

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4 ボーナスの種類

ここでは、一般的なボーナスの種類について説明します。ここでは3種類のボーナスの特徴を解説するので、参考にご覧ください。

3.1 基本給連動型賞与

基本給連動型賞与とは、給与の基本給に連動して支給額が決定するボーナスのことです。例えば、支給月数が2カ月であれば、「基本給×2」という計算で支給金額が決まります。支給月数は従業員全て一律であることがほとんどですが、仕事の成果によって差をつけている企業もあります。

3.2 業績連動型賞与

業績連動型賞与とは、企業全体や各部署、従業員個人の業績に応じて支給額が決定するボーナスのことです。基本給連動型賞与とは異なり、業績によってもらえる金額は大きく上下します。また、同じ基本給をもらっている従業員間でも、金額には大きな差が生じる可能性があります。

3.3 決算賞与

決算賞与とは、決算後に利益を従業員に還元するために支給されるボーナスです。通常、決算終了後の3〜4月頃に支給されます。夏・冬のボーナスのほかに決算賞与を出す企業もあれば、この決算賞与しかない企業もあります。

ただし、決算で相応の利益が確定しない場合は、支給されないことも考えられます。また、基本給連動型と業績連動型を組みあわせて支給する企業もあります。

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5 ボーナスから引かれる税金と保険料

給与と同様に、ボーナスからも保険料や税金が引かれるため、支給額と手取り額は異なります。ここでは、ボーナスから引かれる項目と計算方法を紹介します。なお、ボーナスに住民税はかかりません。

5.1 所得税

所得税を算出するには、以下の手順を踏む必要があります。

①前月の給与-(社会保険料+厚生年金保険料)で基準額を出す
②基準額と扶養人数を使用し、国税庁の「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」から所得税率を確認する
③(賞与-社会保険料)×所得税率=所得税

所得税は、前月の給与額や扶養人数により大きく変わってくるのが特徴です。

【出典】国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和 5 年分)」

5.2 健康保険料

健康保険料は以下の計算で算出されます。

・標準賞与額×健康保険料率=健康保険料

標準賞与額とは、賞与の総額から1,000円未満を切り捨てた額です。健康保険料率は加入している保険組合によって異なります。また、健康保険料は企業と従業員が折半で納付します。そのため、実際の金額は計算で算出した金額の半分ということになります。

5.3 厚生年金保険料

厚生年金保険料は以下の計算で算出されます。

・標準賞与額×厚生年金保険料率(18.3%)=厚生年金保険料

厚生年金保険料率は、現在18.3%で固定されています。また、こちらも健康保険料と同様に、企業と従業員の折半となります。

【出典】日本年金機構「厚生年金保険料額表」

5.4 雇用保険料

雇用保険料は以下の計算で算出されます。

・賞与総支給額×雇用保険料率(0.6%)=雇用保険料

従業員が負担する令和5年度の雇用保険料率は0.6%です。また、雇用保険料を計算する際は、1,000円未満を切り捨てる標準賞与額ではなく、賞与の総支給額を使用することには注意が必要です。

【出典】厚生労働省「令和5年度の雇用保険料率について」

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6 中小企業のボーナスでよくあるトラブルと対処法

中小企業のボーナスでありがちなトラブルと、その対処法をお知らせします。ボーナス額に疑問を感じたり、ボーナス制度に不満を感じたりしている方はぜひチェックしてください。

6.1 支給額が少ない

ボーナスの支給額に法的な規定はないため、ほかの企業や同期入社した同僚と比べて少ないということは十分に考えられます。周囲より極端に少ない場合であっても、就業規則や労働契約書に明記されている方法で支給されているのであれば、正当なボーナスということになります。

しかし、雇用契約書などで提示された内容とは異なる方法で計算されている場合は、違法となる可能性もあるため、速やかに会社へ申し出ましょう。

6.2 減額された

ボーナスの減額についても会社ごとにルールは異なるため、まずは就業規則や雇用契約書を確認することが大切です。ボーナスの額は、企業の経営状態や部署ごとの業績、従業員の勤務状況などによって変動するのが一般的です。

しかし、規則の定めを越えて、理由もなく大幅な金額をカットすることは違法となる可能性があります。その場合は、減額に同意できない旨を会社に伝え、訴えが通らない場合は、労働基準監督署や各都道府県の労働局へ相談するのも一つの方法です。

【出典】厚生労働省「都道府県労働局」

6.3 ボーナス自体がない

記事の前半で解説したように、約3割の企業ではボーナスが支給されていません。ボーナスは支給が義務付けられているものではないため、ボーナスが出ないこと自体は違法にあたりません。また、就業規則などに「年2回の賞与支給」と記載されていても、「やむを得ない事由により支給しないことがある」などの但し書きがあることも多く、突然支給が停止になる可能性もあります。

もしも、ボーナスがないことに不満がある場合は、転職を視野に入れるのも一つの選択肢です。特に、「給与水準が低いのにボーナスがない」「業績悪化によりボーナスがなくなった」という場合は、早めに転職することで将来的なメリットは大きくなるかもしれません。

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7 まとめ

国内企業の約99%を占める中小企業では、約7割がボーナスを支給しています。平均額は年齢とともに上がる傾向があり、2022年のデータを見ると最も多い金額が支給されているのは45~49歳の年代でした。大企業と比べるとボーナスの平均額は少ないものの、一部のベンチャー企業では、もともとの給与額を高く設定しているケースもあります。

ただし、業績の悪化などにより突然ボーナスがなくなってしまうと、今後の人生設計に大きな影響が出てしまいます。もしも、ボーナスに不満や不安がある場合は、早めに転職を検討することで、将来的に大きなメリットを得られるかもしれません。

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