育休中でもボーナスはもらえる?減額されるケースや控除についても解説

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育休(育児休業)とは、原則1歳未満のこどもを養育するための制度です。この期間中に、気になるのが収入面です。育休中は給与の支払いがないケースもありますが、それでもボーナスについては支給するという場合もあります。条件によって、満額支給される場合もあれば、一部のみ支給されることもあります。

そこで、本記事では育休中のボーナスについて詳しく解説します。育休中のボーナスの有無から、計算方法、控除項目、もらえる手当まで細かく紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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1. 育休中でもボーナスはもらえる可能性がある

ボーナスは、会社に在籍していれば育休中であってももらえる可能性があります。育休中であることを理由にボーナスが支払われない場合は、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法の「婚姻・妊娠・出産などを理由に女性労働者に不利益を与えない」という内容に抵触する可能性が高いと考えられます。

一方、育休中においては、給料は支払われないことが多いようです。給料は労働の対価であるため、労働していない間は支払われないという理屈です。ただし、一定条件を満たしていれば、給料の50%~70%程に相当する額を手当金や給付金として受け取ることができます

【出典】e-GOV法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第九条」
【出典】e-GOV法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」

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2. 育休中のボーナスがもらえるケース

育休中でもボーナスはもらえる可能性があると説明しましたが、全ての人がボーナスをもらえるとは限りません。そこでまずは、育休中にボーナスがもらえるケースについて解説します。

2.1. 就業規則などにボーナスについて記載がある場合

就業規則や雇用契約書に「ボーナスの支給額」「ボーナスの支給期間」などが明記されている場合は、育休中の方でもその他の従業員と同様ボーナスを受け取ることができます

「育休中の従業員へボーナスは支給しない」といった文言があっても、前項で説明した通り妊娠・出産に関わる女性労働者への不利益に該当するため、無効となる可能性が高くなります。

2.2. ボーナス算定期間中に勤務していた場合

ボーナス算定期間とは、ボーナス額決定のための査定対象期間です。夏のボーナスは10~3月、冬のボーナスは4~9月を算定期間としている企業が多く、この期間の勤務状況や業務成績などを評価してボーナス額をしています。

そのため、ボーナス受給時期に育休を取得していたとしても、査定期間中に勤務していたのであれば、通常通りボーナスが受け取れる可能性が高いでしょう。

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3. 育休中のボーナスがもらえない・減額されるケース

次に、育休中のボーナスがもらえない、または減額されるケースについて解説します。

3.1. ボーナス算定期間中に育休を取得した場合

先述した通り、ボーナス額は算定期間中の勤務状況や業務成績などによって決まるのが一般的です。そのため、算定期間中に育休を取得した場合、ボーナスが減額されるかもしれません。

例えば、10~3月が夏季ボーナスの査定期間である場合、4月から育休を取得すれば夏季賞与は満額もらえることが多いでしょう。しかし、1月から取得すると、10~12月しか査定対象にならないため、減額されてしまう可能性があります。

3.2. 企業の業績が悪化した場合

ボーナスは給与と違い、支給の基準は全て企業の判断に委ねられています。企業によっては、就業規則や雇用契約書に「業績が悪化した場合は減額する、または不支給となる」といった内容が記載されていることもあります。その場合、業績の悪化などを理由にボーナスが減額になったり、なくなったりする可能性があります。

3.3. 年俸制の場合

年俸制では1年間の給与総額が決まっており、その給与を月々定額で支給するのが一般的です。そのため、毎月の給与にボーナスが含まれているという見方もできます。以下に例を挙げます。

【年収600万円・月給制の例】

・給与40万円×12カ月
・ボーナス120万円

【年俸600万円・年俸制の例】

・給与50万円(うち10万円はボーナス分)×12カ月

このように、年俸制では月々の給与にボーナスが含まれていると考えることができます。通常、育休中は給与が支払われないため、年俸制の場合は実質ボーナスが減額となる可能性があります。詳しい支給基準は企業ごとに異なるので、事前に就業規則や雇用契約書で確認することが大切です。

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4. 育休中のボーナスはいくらもらえる?計算方法は?

ボーナスの支給基準は企業によって異なりますが、ここでは査定期間中の勤務日数に応じて支給額を決定しているケースを例に挙げて紹介します。

例えば、満額で40万円のボーナスをもらえる場合、査定期間中に勤務していたのであれば40万円もらうことができます。一方、査定期間180日のうち、45日勤務してそれ以降は育休を取得した場合は、日割り計算で40万円×(45日÷180日)=10万円となります。

ただし、実際は企業の業績や個人の成果なども加味されて、単純な日割り計算での支給にはならないことも多いため、ボーナスの支給基準に関しては就業規則や雇用契約書などでしっかり確認しておきましょう。

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5. 育休中のボーナスに対する社会保険料はどうなる?

ボーナスの社会保険料は、ボーナス支給日の末日を含んだうえで、連続した1ヶ月を超える育児休業等を取得した場合に免除されます。

例えば、7月にボーナスが支給される場合、7月31日を含んで連続1ヶ月以上の育休を取得すれば、社会保険料が免除になります。一方、7月1日~7月30日など末日を含まない場合や、7月20~8月15日など1ヶ月を超えない場合は免除になりません。なお、所得税や雇用保険料は通常通り控除の対象です。

5.1. 育休中に報酬があると社会保険料は免除されない?

育休中は、先述したような一定の条件を満たすことで社会保険料が免除されます。ただし、この間に短期的な就労による報酬を得た場合、内容によっては免除の対象外となることがあります。

免除の対象になるかどうかは、実際の就労日数や報酬額、勤務内容などによって変わります。社会保険料への影響が考えられる就労の予定がある場合は、事前に勤務先に確認しておきましょう。

【出典】日本年金機構「育児休業等期間中の 社会保険料免除要件が見直されます」

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6. ボーナスをもらうと育休中の手当は減額される?

育休中にはさまざまな手当が支給されますが、ボーナスをもらうことで減額されたり不支給になったりすることはあるのでしょうか。ここでは、育休中の手当について解説します。

6.1. 基本的に減額はなし!年俸制は要注意

基本的には、ボーナスの有無で育休中の手当が減額になったり不支給になったりすることはありません。ただし、給与の受け取り状況によっては、減額や不支給の対象となる手当があります。

また、先述した通り年俸制の場合は少なからず年収に影響が出る可能性があるため、ボーナスの扱いをしっかり確認しておくことが重要です。

6.2. 育休中にもらえる手当

育休中にもらえる手当には、実際どのようなものがあるのでしょうか。出産、育児に関わる手当には以下のようなものがあります。

6.2.1 出産育児一時金

出産時の経済的な支援を目的とした手当であり、通常一児につき50万円支給されます。妊娠週数22週未満で出産した場合や、産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合は、12,000円が減額され48万8千円となります。

【出典】全国健康保険協会「子どもが生まれたときは出産育児一時金が受けられます」

6.2.2. 出産手当金

健康保険の被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合に受け取れる手当です。通常、出産日以前42日から出産翌日以後56日目までの間で、会社を休んだ期間が対象となります。金額は給与(標準報酬月額)のおおよそ2/3です。

【出典】全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき」

6.2.3. 出生時育児休業給付金・育児休業給付金

雇用保険の被保険者が、子の出生後8週間のうちに28日を限度として、産後パパ育休を取得した場合に、一定の要件を満たすと受け取れるのが「出生時育児休業給付金」です。また、原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した場合、一定の要件を満たすと「育児休業給付金」が支給されます。

【出典】厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」

6.2.4. 出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金

2025年4月1日から改正雇用保険法が施行され、「出生後休業支援給付金」が新たに創設されました。この給付金は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金と併せて、最大28日間支給されます。

支給額は、「休業開始時賃金日額×休業期間の日数(上限28日)×13%」で計算されます。育児休業中の給付金が充実することで、男性の育児休業取得の促進が期待されています。

さらに、仕事と育児の両立支援を目的として、「育児時短就業給付金」も創設されました。2歳未満の子を養育するために時短勤務を選択した結果、賃金が低下した場合に支給されます。支給されるには、一定の要件を満たす必要があります。

【出典】厚生労働省「出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金の創設(令和7年4月1日)」
【出典】厚生労働省「2025年4月から「出生後休業支援給付金」を創設します」
【出典】厚生労働省「2025年4月から「育児時短就業給付金」を創設します」

7. 育休が理由でボーナスをもらえなかった場合の対処法

育休中でも支給条件を満たしているのであれば、通常通りボーナスを受け取れる可能性が高くなります。しかし、「ボーナスをもらえなかった」「理由もなく〇%減額された」など、育休によって不当な扱いを受けた場合はどうすればいいのでしょうか。具体的には、以下のような対処法が考えられます。

7.1. 会社に申し出る

まずは会社に申し出て、ボーナスが支給されなかった理由や減額された原因を確認しましょう。場合によっては、就業規則などに記載されている条件を見落としていたり、育休以外の理由があったりすることも考えられます。

育休を理由にしたボーナスの不支給や減額は違法にあたる可能性があるものの、ボーナス自体は必ずしも支給が義務付けられているものではないため、慎重に確認することが大切です。

7.2. 労働基準監督署や労働局に相談する

「会社に確認を求めても明確な理由が提示されない」「明らかに不当な扱いにもかかわらず、会社が対応してくれない」などの場合は、労働基準監督署や各都道府県の労働局に相談することも考えましょう。その際は、就業規則や雇用契約書をコピーしたり、会社とのやり取りをメモしたりしておくのがおすすめです。

【出典】厚生労働省「都道府県労働局」

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8. まとめ

就業規則や雇用契約書に記載されている支給条件を満たせば、育休中でもボーナスを受け取れる可能性は高くなります。また、ボーナスを受け取ることで、もらえるはずの手当がもらえなくなったり減額されたりすることはありません。

ただし、育休の取得時期によってはボーナスに影響が出る場合があります。また、会社の業績によっては、そもそもボーナスが支給されないことも考えられます。まずは、自分の会社のボーナスがどういった条件のもと支給されるのか、しっかり確認しておくことが重要です。

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