昇給とは?昇給制度の種類や仕事選びでの注意点を紹介

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会社を選ぶ際に気になる点が昇給制度の有無です。仕事をする以上、できるだけ多くの収入を得たいと思うのは当然ですし、将来どのくらいの給与をもらえるか予測が立ったほうが人生設計をしやすいでしょう。

本記事では、昇給制度について詳しく解説します。日本で主として行われている定期昇給とはどのようなものか。中でも混同しやすい定期昇給とベースアップとの違いについてはしっかりと把握しておきたいところです。

昇給制度の基本を押さえて、仕事選び、会社選びに役立てましょう。

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1.昇給とは

昇給とは、勤務年数などに応じて、あるいは会社内での昇格などに際して賃金が上がることです。

そうした中、毎年一定の時期に行われる昇給を定期昇給といいます。

定期昇給と混同しがちなのがベースアップですが、両者の違いを把握し、会社が採用している昇給がどのように行われるのか把握しておきましょう。

1.1.ベースアップ

ベースアップは、個々の社員の評価等に関わらず従業員全員の賃金水準を引き上げる制度です。たとえば、「基本給を◯%増加させる」というように行われます。

一律なので計算が簡単であること、物価上昇などに応じて会社の利益を従業員に配分できることがメリットです。

半面、ベースアップによる基本給の底上げは会社にとって固定費の大きな増加となり、一度ベースアップした給与はなかなか下げられないため、将来的に大きな負担となる場合があります。

ベースアップについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

【関連記事】「【ベースアップ(ベア)とは】定期昇給との違いや実施企業が減少している理由」

1.2.定期昇給

定期昇給では通常、会社によって昇給の規定が定められており、勤続年数や昇格の度合いに応じて給与が決定されます。

そのため会社側は、従業員1人に支払う生涯賃金をある程度予測することができます。これは大きな利点です。

しかし定期昇給のデメリットとして、会社の業績に関わらず、勤続年数などによって半自動的に給与がアップしていくことが多いため、従業員のモチベーションにつながりにくい事があげられます。

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2.昇格と昇進との関連

昇給と似た概念に、昇格と昇進がありますが、それぞれとどのように関連しているのでしょうか?昇格や昇進との関連について理解しておきましょう。

2.1.昇格

社内での等級が上がることです。「一般職◯級」「総合職◯級」などがよくみられる等級です。昇格すると権限の範囲が広くなり、より重要で難しい仕事を任せられるようになります。

それに応じて昇給も同時に行われる場合も多いです。

昇格について詳しくは以下の記事をご覧ください。

【関連記事】「【昇格とは】昇進・昇給との違い、昇格試験合格に必要なポイントを解説」

2.2.昇進

「課長」や「部長」といった肩書が付き、「職位(役職)」が上がることを昇進といいます。役職がつく(または上がる)ため、より責任のある管理的な業務を行うようになります。

昇進についても、昇給を伴う場合があります。

3.昇給制度の種類

昇給には定期昇給だけではなく、他にも様々な種類があります。

たとえば、臨時昇給のように不定期的に行われる昇給もあります。自動昇給考課昇給は定期的に行われることが多く、定期昇給の一部とも言えます。これらは昇給の理由に着目した概念です。

特別昇給が別段の功労があったときなどに行われるのに対し、普通昇給は通常の業務の範囲内で、資格取得などの技能向上や勤続年数が一定に達した場合に行われます。

このように、昇給制度にはさまざまな種類があります。ではここから、種類ごとに詳しく見ていきましょう。

3.1.臨時昇給

臨時昇級とは、会社の業績が好調な場合などに臨時で行われる昇給です。定期昇給と対立する概念として用いられる用語と言えます。

業績好調により全社員の基本給を一律引き上げれば、それがすなわちベースアップです。一部の従業員の功労を認めて昇給すれば、特別昇給となります。

3.2.自動昇給

自動昇給は勤続年数・年齢に応じて自動的に給与が増える仕組みです。能力や業績に関係なくすべての従業員が定期的に昇給します。定期的に行われるため、定期昇給の一部は自動昇給に該当します。

自動昇給がある会社では、将来の給与がある程度予測できます。これは従業員にとっても会社にとってもメリットになるでしょう。

ただし、業績に関わらず昇給が約束されているため、モチベーションのアップにはつながりにくいという欠点もあります。

【関連記事】「仕事へのモチベーション、どうしてもやる気のない時はどうすればいい!?」

3.3.考課昇給

考課昇給は、査定昇給とも呼ばれ、業績や勤務態度の評価によって行われる昇給のことです。定期昇給は考課昇給を含む場合があり、その場合、定期的に査定が行われ、昇給の可否・昇給率が決定されます。

こちらは査定によって昇給の額が変わるため、従業員のモチベーションにつながります。しかし、査定の方法が客観的であることが求められるほか、査定作業そのもののコストがかかります。

3.4.普通昇給

普通昇給は、技能・業務遂行能力が向上したときなどに採用される昇給です。考課昇給・自動昇給との区別が曖昧に感じられますが、普通昇給という言葉は通常、次項で説明する特別昇給との違いを強調して用いられます。

3.5.特別昇給

特別昇級とは、会社に特別な貢献、または格別の実績や功労があったときなどに特別に行われる昇給です。これと異なり、通常の事由で行われるのが普通昇給となります。

勤務成績が格別良好であった場合、通常の昇給規定で2段階以上アップする(飛び級)規定が設けられている点なども特別昇給の特徴です。

post615_img3.jpg【関連記事】「給与が高い仕事とは?メリットや必要な資格、転職方法について紹介」

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4. 昇給額・昇給率とは?

昇給額は、「昇給後の給与の額から昇給前の給与を差し引いた金額」で、昇給率は「昇給後の給与÷昇給前の給与の額で求められる割合」のことです。

つまり昇給率は、以前の給与から何%アップしたのかを示す数値ということになります。

ここで一つ注意点があります。企業の昇給率や業界の平均昇給率といった場合、通常は「基本給」の上昇率を指します。各種手当てや賞与といった不確定な要素を排除して計算することで、企業や業界の一般的な傾向をより正確に掴むことができます。

また、「平均昇給率」とは、各企業の昇給率の平均をとった値のことです。

たとえば「大企業」「中小企業」といった企業規模ごとに計算することもありますし、「建設業」「製造業」のように業種で区分することもあります。

なお、2021年大手企業の平均昇給率は1.82%となっています。

(参考: 「2021年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況」(日本経済団体連合会HP))

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5.日本企業における昇給実施率

昇給率と同様に大切な指標として「昇給実施率」があります。昇給実施率は、事業規模別・業種別などでそれぞれ何%の企業が昇給を行ったかという割合です。

2021年に東京商工リサーチが行った「賃上げアンケート」調査においては、日本企業における昇給実施率は、全体で66.6%。事業規模別では大企業が74.1%、中小企業が64.8%となっています。

【出典】2021年度「賃上げアンケート」調査(東京商工リサーチ)

また、昇給額と混同しがちなのが「賃金改定額」です。賃金改定額は、役職手当などを含んだ賃金全体の変化を表します。また、マイナスの変化、つまり賃金の減少も加味します。

2020年の統計では、全体の賃金改定額はプラス4,940円でした。この金額は月額の賃金を示します。また、改定後の賃金÷改定前の賃金を計算することによって「賃金改定率」が求められます。2020年の賃金改定率は全体で1.7%となっています。

【出典】「賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要」(厚生労働省)

6.定期昇給は定年退職まで続く?

定期昇給制度はなく能力・実績主義の給与体系を採用している企業も最近では増えてきていますが、定期昇給制度を採用している会社が一般的です。

では、定期昇給制度の企業に勤めていれば定年退職するまで昇給は続くのでしょうか?

結論から言うと、定期昇給は一定の年齢で停止する企業が多いです。多くの場合50歳前後で基本給の上昇がひと段落し、自動的な賃金上昇はとどまる傾向にあります。

定年退職まで定期昇給が続く会社もありますが、一定の年齢で停止する企業が多いため、給与を上げたい方は「定期昇給があるから安心」と考えず給与アップのため、キャリアアップ転職を検討してみましょう。

7.求人票で「昇給」制度の有無は注意すべき?

新卒で就職する場合も転職する場合もこれから働く会社の昇給制度は気になるところですが、求人票で確認できるのは昇給制度の有無、または前年昇給があったかどうかの実績までで、昇給制度の詳しい中身までは分かりません。

しかし、企業によっては、HPなどで昇給制度について詳しく説明しているところもあると思います。また、平均の給与支給額などを公表している場合もありますので合わせてチェックしておくとよいでしょう。

その他の企業の昇給制度については、面接などで確認することになります。面接時に昇給制度の確認をする際には、面接官に対して悪い印象を与えないように言葉に気をつけながら確認をしましょう。

8.昇給するにはどうしたらいい?

昇給するには、昇進したり、プロジェクトを成功させたりすることで会社から評価を得る必要があります。会社によっては指定されている資格を持っていることが必須の場合もあります。会社の制度を調べて必要な要件を確認してみましょう。

また、昇給を見込めない場合は思い切って転職を考えてみましょう。今までの経験を活かしてキャリアアップを目指して転職することで、給与やボーナス支給額をアップできるかもしれません。

9.転職して給与アップを目指す

「長く勤めていても、昇給がない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?スキルや経験を活かして転職することで、理想の給与に近づけるかもしれません。

9.1.キャリアアップ転職をする

給与やボーナス支給額を上げたいと思っている方は、今持っているスキルや資格を活かして、より高度な仕事ができる企業へのキャリアアップ転職を検討しましょう。給与やボーナス支給額が上がれば、仕事へのモチベーションアップにもつながります。

また、キャリアアップ転職を考えている場合は、目指す職業に関連する資格を取得しているとより転職に有利になります。

9.2.転職エージェントに相談してみる

持っているスキルや資格を活かして、キャリアアップ転職を考えている方は、転職エージェントに相談してみましょう。転職エージェントは面談の時間を設け、悩みや転職先の希望を聞くことで、求職者の現状を見極めてより合う仕事を紹介してくれます。

また、給与やボーナス支給額を上げたいと思っていても、いざ内定をもらって条件交渉をする場面になっても要望を伝えづらいものです。転職エージェントでは、内定後の条件交渉を代行で行ってくれるため、より理想に近い条件での転職が叶うかもしれません。

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10.まとめ

仕事を選ぶ際に、給与体系、中でも昇給制度は重要な要素です。昇給の方法は定期昇給とそうでないものがあり、定期昇給が一般的ではあるものの、最近では完全な能力・実績主義の給与体系を採用している企業も見受けられるようになりました。

また、一口に昇給制度があるといっても、必ずしも毎年昇給が行われるかどうかは分かりません。昇給制度の内容も大切ですが、仕事・会社を選ぶ際には、業務の内容や労働環境を総合的に判断する必要があります

企業の昇給制度について検討する際には、本記事で得た知識を活用して正しく理解するようにしましょう。

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