基本給とは?手取りや固定給との違い、決め方について詳しく解説

ビジネススキル・マナー

基本給とは、給与のベースとなる賃金のことです。会社から支給されるお金には、手取りや月給、固定給といった言葉もあるので、混乱してしまう方も多いでしょう。そこで本記事では、基本給の意味や決め方、基本給と手取りの違い、ボーナスや残業代への影響などを詳しく解説します。ビジネスパーソンが知っておくべき用語を正しく理解し、実生活で活用しましょう。

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1. 基本給とは

基本給とは、手当やインセンティブなどを含まない給与の基本となる賃金のことを指します。法律上の定めは存在しないものの、一般的には特定の期間に応じて固定で支払われる金額だと言えます。金額が固定されているため、完全月給制であれば休みを取ったとしても減ることはありません。

ただし、会社によっては「手当」を含めた金額を「基本給」としている場合もあるので、就業規則を確認しましょう。基本給の額は会社ごとに独自の基準が定められており、年齢や勤続年数、資格、能力などによって算出されます。この際、基本給の最低ラインである「最低賃金」を下回る金額は設定できません。

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2. 基本給の決め方

基本給の決め方は会社によって異なるものの、主に以下3種類のうちいずれかの方法で決定します。

● 属人給型
● 仕事給型
● 総合給型

【出典】独立行政法人 労働政策研究・研修機構「賃金制度」

2.1. 属人給型

属人給型は、学歴や年齢、勤続年数などの属人的要素から基本給を決定する方法です。仕事内容や業務遂行能力、成果といった部分は基本給に反映されず、年齢を重ねるにつれて基本給が上がります。そのため、将来のライフプランを構築しやすく、比較的安定感があると言えるでしょう。

しかし、年功序列型の給与体系で、成果によって基本給を増やすことができないため、実力主義の評価を求める人には向いていないかもしれません。

2.2. 仕事給型

仕事給型は、「職務や職種などの仕事の内容」「職務遂行能力」「業績・成果」によって基本給が決まります。学歴や年齢・勤続年数などは、基本給の金額に影響しません。従業員1人ひとりの実力が基本給に反映されることが特徴で、主に欧米で採用されています。

年齢や勤続年数に左右されず、成果が出れば基本給を上げられるため、就労意欲を高められることがメリットです。しかし、成果がでなければ基本給が上がらない点を欠点だととらえられる場合もあります。

2.3. 総合給型

総合給型は、仕事給型と属人給型を組み合わせて基本給を決める方法です。仕事内容や業務遂行能力、成果、勤続年数、年齢、学歴といった要素を加味して基本給を決定します。

成果に対する評価と個人の属人的要素をバランスよく取り入れ、最終的な金額を算出します。日本の会社では、この総合給型が採用されていることが多いです。

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3. 基本給と混同しやすい言葉との違い

報酬に関する言葉には、基本給のほかにもさまざまなものがあります。ここでは、特に基本給と混同しやすい言葉を挙げてそれぞれの意味と違いを紹介します。

3.1. 給与との違い

給与とは、企業が従業員に対して支払う報酬の総額です。給与には基本給のほか、家族手当や役職手当などの各種手当、残業代、インセンティブなどが含まれます。なお、「額面」「給与額面」「総支給額」なども、給与と同じ意味で使用されることがほとんどです。

3.2. 手取りとの違い

基本給と手取りは、どちらも会社から支給されるお金という大きなくくりは同じですが、それぞれ意味合いが異なります。

手取りとは、実際に銀行口座に振り込まれる金額のことです。会社から支給される額面給与(総支給額)から、各種控除(健康保険料・厚生年金・雇用保険料・所得税・住民税など)を差し引いた金額を指します。

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3.3. 月給・月収との違い

月給とは、基本給に毎月固定で支払われる手当(役職手当や住宅手当など)を含めた月単位の賃金のことです

月収は、年収を12ヵ月で割ったものを指します。なお、年収は時間外手当などの月ごとに金額が異なるものや、賞与などを含めた年間で支払われる金額の合計のことです。

【関連記事】「日給月給制って?月給制との違いや給与計算の仕方もご紹介」

3.4. 固定給との違い

基本給は手当を含まない賃金であるのに対し、固定給は「基本給」に「諸手当」を含めた金額のことを指します。

会社によって異なりますが、固定給には役職手当や住宅手当、通勤手当などの「毎月金額に変動のない手当」が含まれていることが大きな違いです。

【関連記事】「昇給とは?昇給制度の種類や仕事選びでの注意点を紹介」

3.5. 俸給との違い

俸給は、公務員の労働に対して支払われるお金のことを指します。国家公務員は、俸給表によって職務や等級に応じた「俸給」が細かく定められていることが特徴です。

民間企業の「基本給」と同じ位置づけとなっているため、民間企業で働く会社員の給料を「俸給」と呼んだり、国家公務員の給料を「基本給」と呼んだりするケースもあるようです。

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4. 基本給の平均額はどれくらい?

ここでは令和5年に厚生労働省が公表したデータを元に、正規雇用と非正規雇用の賃金平均額を紹介します。賃金には各種手当などが含まれているものの、基本給に近い数字として参考にできます。ご自身の年代や性別を照らし合わせながらチェックしてみてください。

年代合計男性女性
正規雇用 非正規雇用 正規雇用 非正規雇用 正規雇用 非正規雇用
~19歳 192,800円 170,700円 193,500円 170,100円 191,800円 171,200円
20~24歳 228,700円 194,800円 232,200円 202,000円 224,800円 189,800円
25~29歳 263,600円 216,400円 271,400円 229,100円 252,600円 206,800円
30~34歳 294,100円 221,400円 307,000円 238,100円 270,200円 210,500円
35~39歳 327,000円 220,500円 344,800円 241,100円 286,400円 207,600円
40~44歳 354,600円 220,600円 380,200円 245,600円 296,600円 207,600円
45~49歳 374,500円 217,700円 406,400円 245,700円 304,500円 204,700円
50~54歳 394,300円 222,200円 428,300円 262,500円 315,200円 204,400円
55~59歳 404,800円 221,700円 440,800円 264,500円 316,300円 201,800円

【出典】厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

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5. 基本給はボーナスや残業代、退職金に影響はある?

基本給は、ボーナスや残業代、退職金に影響を与える可能性があります。ここからは、それぞれの影響について詳しく見ていきましょう。

5.1. ボーナスへの影響

基本給はボーナス(賞与)に大きな影響を与えます。なぜなら、一般的なボーナスは「基本給×〇ヵ月分」という形で基本給をベースに算出されるからです。

例えば、ボーナスが基本給の3ヶ月分だった場合、基本給が20万円の人は60万円、40万円の人は120万円と60万円もの差が生じます。

5.2. 残業代への影響

基本給は残業代にも影響します。法定労働時間を超える残業は、「通常の労働時間の賃金を時給換算した額」の割増率50%以上で支払われます。時給換算するときの金額は、基本給と固定手当がベースになっているため、基本給が低ければ時間外手当(残業代)も少なくなります。

5.3. 退職金への影響

退職金もボーナスと同様に、「退職時の基本給×支給率」という計算式で金額を算出するのが一般的です。そのため基本給の割合が少なければ、当然ながら退職金も低くなってしまうでしょう。

【出典】厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の 割増賃金率が引き上げられます」

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6. まとめ

基本給とは、手当やインセンティブを含まない給与のベースとなる賃金のことです。

基本給を決める方法は、学歴や年齢、勤続年数が指標になる「属人給型」や、職務遂行能力や成果で判断される「仕事給型」のほか、属人給型と仕事給型を組み合わせた「総合給型」などがあり、会社によって異なります。

基本給は「手取り」や「月給・月収」「固定給」と似ていますが、手当やインセンティブが含まれるのかといった違いがあるので、それぞれの用語を理解して、自分の基本給がどれくらいなのかを把握しておきましょう。

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