歩合制とは?固定給との違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

ビジネススキル・マナー

求人情報の給与欄で「歩合制」という言葉を目にしたことはありませんか?これは個人の成果に応じた報酬が得られる給与形態のことです。本記事では、歩合制の定義や固定給との違い、歩合制のメリットやデメリットなどについてわかりやすく解説します。給与にもさまざまな形態があることがわかれば、転職活動の選択肢も広がる可能性があるので、ぜひ参考にしてみてください。

【関連記事】「年収とは?手取り・所得との違いや確認方法を紹介!」

「もしかしたら仕事頑張りすぎ!? 」... そんな方へ
\無料・登録不要/
『仕事どうする!? 診断』を受ける >

1.歩合制とは

歩合制(読み方:ぶあいせい)は「成果報酬型」とも呼ばれる、本人が出した成果に対して給与額が決定される給与形態です。歩合制では、その月の成果によって給与額が変動します。

歩合の決定方法は、「売上の○%」「総利益の〇%」など何パーセントと割合が定められているケースや、「契約1件につき○円」などと具体的な金額が定められているケースが考えられます。

1.1.固定給との違い

固定給は最も一般的な給与形態といえるもので、定められた時間や日数の勤務に対して一定額の給与が支給される給与形態です。

なお、固定給の中には月給制・週給制・日給制・時給制などいくつかの種類が存在します。歩合制と異なり、一ヵ月・一週間・一日・一時間などの単位で報酬が固定化されているため、成果にかかわらず収入が保証されやすい点がメリットです。

1.2.インセンティブとの違い

インセンティブは英語で「incentive」と表記され、「刺激・動機・奨励」といった意味があります。しかし、ビジネスシーンや給与制度においては、目標達成の成果に対して支給される「成功報酬・報奨金」という意味で使用されることがほとんどです。

歩合制では売上や利益に対して一定の割合で支払われますが、インセンティブでは目標やノルマを達成した際にのみ支払われるという違いがあります。ただし、実際インセンティブと歩合制にそれほど大きな違いはないため、企業の求人情報などではほぼ同じ意味で使用されていると考えていいでしょう。

post826_img1.jpg


【関連記事】「ボーナスとは?もらえる条件・時期・平均額・手取りの計算方法を紹介」

今の仕事、会社がつらい...無料で相談できる転職エージェント「マイナビエージェント」に相談してみる。

2.歩合制には二通りある

一口に歩合制といっても、厳密には以下の2種類が存在します。ポイントは固定給の有無です。

2.1.歩合制+固定給

歩合制+固定給はその名の通り、月々金額が変わらない固定給が支給された上で、さらに成果次第で歩合給が加算される仕組みです。求人情報では「月給25万円+歩合」などと記載され、正社員・契約社員・アルバイト・パートと、多くの雇用形態で適用されています。

定められた働きをしていれば固定給分は必ず収入が得られるので、収入ゼロの月は発生しません。そのため精神的にも安定して働けます。ただし、企業によっては固定給が低く設定されている場合もあるため確認しておきましょう。

2.2.完全歩合制(フルコミッション)

完全歩合制(フルコミッション)は、固定給の設定がなく個人の成果に基づき金額が決定されます。たとえ労働日数や時間が短くても、成果が出れば給与が発生し、成果が得られなければ収入が得られないといった場合もある報酬形態です。

ただし、労働基準法の定めにより、完全歩合制を適用した労働者の雇用は認められていないのが実情です。したがって、完全歩合制は企業と業務委託契約を締結した個人事業主・フリーランスなどに適用される形態となります。

2.3.賃金の保障は両者で大きく異なる

「歩合制+固定給」と「完全歩合制」の両者は、賃金保証の面で大きな違いがあります。「歩合制+固定給」は、労働基準法の第27条「出来高払制の保障給」が適用となるため、最低賃金が保障されています。具体的には、歩合給と固定給の合計を総労働時間で割った1時間分の給与が、最低賃金を超えていなければなりません。

しかし、「完全歩合制」はこの労働基準法の適用外です。先述したとおり、そもそも企業は労働者に「完全歩合制」を課すことはできないため、個人事業主やフリーランスとなり、当然賃金も保障されないことになります。


【出典】労働基準法 - e-Gov 法令検索「第二十七条 出来高払制の保障給]

post826_img2.jpg

【関連記事】「できる営業マンになる! 優秀な営業マンの特徴と実践すべきテクニックとは」

無料で相談できる転職エージェント「マイナビエージェント」の利用方法を確認してみる。

3.歩合制を取り入れている企業が多い職種・業界

歩合制を採用している業界や職種はある程度限定されます。代表的な職種・業界は以下の5種類です。

3.1.営業職

成果が明確に数値化されやすい営業職は、歩合制を取り入れている企業が多い職種です。扱う商材の単価が高く一度に動く金額が大きい保険業界や不動産業界の営業職では、歩合制が多く見られます。

営業職の手腕が業績に大きなインパクトを与えることが多いことから、「歩合制+固定給」でも歩合の割合がより高い傾向にあります。

営業職の求人一覧を見る>

3.2.ドライバー

タクシードライバーやトラックドライバーなどの職種も歩合制が採用されることが多い職種です。

走行距離や仕事量に個人差が大きくなりがちなことや、モチベーションを引き出し業務効率を向上させる狙いがあることなどの理由で、歩合制を採用する企業が多く見られます。

3.3.美容業界

エステサロンやネイルサロン、美容院などの美容業界も、歩合制を採用する傾向が見られます。接客数や指名数が歩合にプラスされるサロンや美容院が多くあります。

個人のスキルや経験の程度が、顧客からの信頼に大きく影響を及ぼす職種であるためです。

3.4.アパレル業界

アパレル業界では、店舗販売員に対して歩合制を取り入れている企業があります。

販売員の場合、個人・店舗ごとの売上目標やノルマが課されていることが多く、それぞれの頑張りに応じた評価が可能な歩合制が採用されやすい環境にあるといえます。

3.5.フリーランスのクリエイティブ職

企業に属さないフリーランスとして働くクリエイティブ職の人達も、歩合制で報酬を受け取っているケースが多いでしょう。

具体的には、Webデザイナーやイラストレーター、フォトグラファー、動画編集者、システムエンジニアなどが該当します。受けるプロジェクトにより報酬の額は大きく異なりますが、「成果物1点につき○円」という形態が見られます。

post826_img3.jpg

【関連記事】「働き方改革のメリットとデメリットは?課題や対策をわかりやすく解説」

4.歩合制のメリット

歩合制には固定給にはないメリットがあります。主なメリットとしては以下の4点が挙げられます。

4.1.スキルや努力次第で高収入が目指せる

自分のスキルや努力の程度によって高収入が目指せる点は、歩合制の大きなメリットといえます。

固定給の場合、どんなに努力しても、組織の体質や周囲との兼ね合いによって思い通りに昇給できるとは限りません。また、たとえ昇給が実現しても小さな変化に留まり、大幅なアップは期待できないこともあります。

一方、歩合制は不動産や保険などお金の動きが大きい業界の場合、自分の頑張り次第で高収入を得ることも十分期待できます

4.2.モチベーションアップに繋がりやすい

働くモチベーションを得やすい点も歩合制のメリットの一つです。自分の頑張りが認められ、給与に反映されることは何より大きなやりがいとなるはずです。もっと上を目指そうという自発性が育まれれば、業務自体を楽しめるようになります。

試行錯誤や努力が実を結び給与として形になることで、より一層モチベーションは高まり、さらに収入につながるという好循環をもたらすでしょう。

4.3.自分の裁量で仕事をしやすい

成果主義である歩合制の仕事は、自分の裁量で動くことができるケースが多い傾向にあります。

特に完全歩合制(フルコミッション)の場合は勤務時間の縛りがなく自由に働けるため、家庭や趣味とのバランスが保ちやすい点が魅力です。良くも悪くも成果がすべてというシステムなので、過程の部分は個人のやり方に委ねられており、メリハリをもった働き方が実現しやすいといえます。

4.4.スキルアップが実現しやすい

歩合制の仕事に就くことで、固定給の仕事よりも早いスピード感でスキルアップが実現する可能性があります。歩合制の仕事はプレッシャーと常に隣り合わせであり、給与を得るためにスキルアップが求められます

厳しい環境下に身を置くことで必然的にスキルアップが実現しやすいため、ビジネスパーソンとしてさらなる成長を目指したい方にはおすすめです。

post826_img4.jpg

【関連記事】「夏・冬のボーナスはいつ? 一般企業と公務員の支給日や平均額を紹介」

【関連記事】「夏と冬のボーナスはどっちが多い?それぞれの平均支給額を紹介!」

5.歩合制のデメリット

数多くのメリットがある一方、歩合制にはデメリットもあります。

5.1.収入が安定しない恐れがある

歩合制の最大のデメリットは、給与の変動幅が大きくなるケースがあることです。例えば完全歩合制の場合、今月100万円の収入が得られても、その次の月では収入が前月の半分以下になるということもあり得ます。

高収入の夢が描けるメリットの一方、毎月安定的な収入を得るためには相応の努力が求められるシビアな世界といえます。

5.2.働きに対して収入が釣り合わないと感じる場合がある

働きぶりに見合った収入が得られないリスクをはらんでいるのも歩合制のデメリットの一つです。固定給の場合は一つの成約を獲得するための準備時間にも報酬は発生します。

しかし、歩合制の場合は契約が取れて初めて報酬が発生するといったケースも多く、それまでの準備に時間がかかるうえ、業務の要領を得ず自分のスタイルを確立できていない段階では、作業と収入が釣り合わないと感じる場面が多くなるでしょう。

5.3.経費が自己負担になることもある

歩合制では業務に必要な経費が自己負担になることもあります。特に、「完全歩合制」ではパソコンなどの物品、プロバイダ料金、光熱費などは実費で支払うことがほとんどです。

また、「歩合制+固定給」でも営業先までの交通費や取引先に渡す資料代を自ら準備しなければならないケースもあります。歩合給の決め方は企業によって異なるため、経費についても前もってしっかり確認しておきましょう。

5.4.個人プレーに繋がる可能性がある

歩合制は個人プレーを助長することもあるというデメリットもあります。周囲がすべてライバルに思えてしまい、チームワークに不具合が生じるリスクもあります。

本来であればフォローしたりされたりしながら進めていくべきところ、それぞれが自らの成果を追い求めるあまり、助け合いや思いやりの精神が希薄になってしまう可能性もあります。

【関連記事】「基本給とは?手取りや月給・固定給との違いについて詳しく解説」

6.社会保険や残業代はどうなる?

社会保険の加入対象は、企業に雇用されている労働者です。したがって、歩合制+固定給で働く正社員・契約社員・アルバイト・パートは加入の対象ですが、完全歩合制(フルコミッション)で働く個人事業主・フリーランスは対象外となります。自ら国民健康保険や国民年金の加入手続きをしなければなりません。

残業代に関しても、歩合制+固定給は支給対象、完全歩合制(フルコミッション)は対象外です。歩合制の場合の割増率は、歩合給の金額は0.25倍、固定給の金額は1.25倍です。

【関連記事】「残業時間とは? 時間外労働の定義や36協定、新たな上限を解説」

7.歩合制に向いている人の特徴

ここまで解説した内容を踏まえると、以下の特徴に該当する人の場合は歩合制の働き方に向いているといえるでしょう。

  • 計画性がある人
  • 自発的に行動できる、するのが好きな人
  • コミュニケーションスキルが高い人
  • 決断力がある人
  • プレッシャーや逆境に強い人
  • 忍耐力がある人
  • 個人の裁量で成果を上げたい人
  • 体力に自信がある人


【関連記事】「コミュニケーション能力とは? 高い人の共通点や鍛えるための方法を解説」

【関連記事】「年収500万円の手取り額と生活レベルは?独身・既婚別の生活費を紹介」

年収アップを目指すなら
まずはプロにご相談ください
マイナビエージェントについて詳しく知る >

8.まとめ

自分の努力がダイレクトに収入に反映されるのが歩合制の魅力です。収入アップを目指したい方はもちろん、ビジネスパーソンとしての実力を試したい、より厳しい環境に身を置き成長したいという人は、働き方の選択肢の一つに加えてみても良いでしょう。

ただし、状況によっては大きく収入を落とすケースもあるため、ストレスやプレッシャーに打ち勝つタフさや、絶え間なくスキルを磨く努力が必要です。メリットとデメリットを踏まえて、自分に適した働き方かどうかをぜひ検討してみてください。

\転職するか迷っていてもOK/
マイナビエージェントに無料登録して
転職サポートを受ける

この記事をシェア

  • facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • X(旧Twitter)

同じカテゴリから
記事を探す

ビジネススキル・マナー

同じキーワードから
記事を探す

求人情報

TOPへ