コミュニケーション能力とは、相手と円滑に意思疎通を図ることができる能力を指します。「誰とでも明るく会話できる力」「どんな話にもついていける力」などととらえられている場合がありますが、実際はこれらとは少し意味が異なります。
今回は、コミュニケーション能力の定義をおさえた上で、コミュニケーションに必要なものや、その力を高めるための具体的な方法などについて解説していきます。
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1.コミュニケーション能力とは
コミュニケーション能力とは、「円滑な対人関係を育み、持続させることができる力」を指します。相手との意思疎通を図ることが重要であり、一方的な情報発信は、コミュニケーション能力には含まれません。
例えば、社交的な性格で誰にでも積極的に話しかけることができても、自分の話だけをしたり、相手の気持ちを考えない発言をしたりする人は、コミュニケーション能力が高いとは言えない可能性があります。
一方、積極性はなくても、「話す」と「聞く」のバランスを取りながら双方向のやり取りを大切にできる人は、高いコミュニケーション能力を持ち合わせていると言えるでしょう。
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2.仕事でコミュニケーション能力が求められる理由
厚生労働省は「企業が若者に求める就職基礎能力」として、「意思疎通」「協調性」「自己表現力」という3つのコミュニケーション能力を挙げています。なぜ、ビジネスシーンではコミュニケーション能力が求められるのでしょうか。
2.1.円滑な人間関係を構築するため
コミュニケーション能力は、相手と信頼関係を構築する上で重要な役割を果たします。相手の意図がわからず、意思疎通もままならない状態では、人間関係の発展は望めません。
適切なコミュニケーションを幾度も重ね、相手の性格や考え方を知り、相手にも自分を知ってもらうことで、円滑な人間関係を構築することができます。
近年は在宅勤務やテレワークが普及していますが、コミュニケーション能力が不要になったわけではなく、むしろコミュニケーションのあり方に変化が生じたことで、より柔軟な対応力が求められるようになりました。
たとえ時代の流れと共に仕事の手法が変化しても、人間同士のコミュニケーションは必ずついて回るものだと認識し、コミュニケーション能力を磨いていく必要があります。
2.2.仕事の効率を向上させるため
スムーズな意思疎通が図れると、業務の指示や報告、交渉が的確に行えるためチームワークが強化され、仕事の効率が向上します。また、相談や報告がしやすくなることで、課題への対応が迅速になり、トラブルを早期に解決できるようになるでしょう。
同じ目的やフローの業務を行っていても、良い評価を得やすいのは、コミュニケーション能力が高い人であることが多い傾向にあります。「どれだけ密なコミュニケーションを重ねてきたか」ということは、周囲からの信頼度をアップさせる可能性があります。
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3.コミュニケーション能力を構成する4つの力
コミュニケーション能力は複数の力で構成されています。ここでは大きく4つの力について紹介していきます。
3.1.相手の話を聞く「傾聴力」
コミュニケーションの最も基礎となるのが、相手の話に耳を傾ける「傾聴力」です。相手の話をきちんと聴く事ができなければ、相手の話の意図や求めるものも正しく理解できません。その結果、相手との信頼関係構築も難しくなります。
また、傾聴力が高い人は、安心して話しやすい空気感を作り出せるため、相手が言語化しにくい感情や状況、伝えにくい本心をうまく引き出すことができます。
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3.2.話を噛み砕いて理解する「読解力」
傾聴力のワンランク上の能力として求められるのは、相手の話の要素を分解し、自分の中で整理し理解する「読解力」です。話の前後関係も踏まえながら、相手が伝えようとしている意図を正確に捉えなければなりません。
そのためには、ただ相手の話を聞くだけではなく、相手に質問し情報を補完していく努力も必要です。
3.3.自分の考えを発信する「伝達力」
コミュニケーションは双方が対等な立場でなければ成立しません。そのため、相手の話を聞くばかりではなく、自分の考えを正確に伝える「伝達力」も必要です。
伝える際には、自分の考えをわかりやすく言語化し、誤解を生まないような言葉選びが大切です。「伝えたつもり」の自己満足にならないよう、相手の立場に立ち、一方的な主張で終わらないようにしなければなりません。
3.4.相手の気持ちに寄り添う「共感力」
人間は、自分を肯定してくれる相手に安心感を覚えるものです。たとえ自分の気持ちや考え方とは違っていても、真っ向から否定せずに受け止める「共感力」は、コミュニケーションにおいて非常に重要です。
「あなたの気持ちはよくわかります」というように、こちら側の意思を伝えるだけではなく、できる限り相手の伝えてくれる感情や状況を受け止めるようにしましょう。
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4.コミュニケーション能力が高い人の特徴
では、実際に「コミュニケーション能力が高い」と評価される人にはどのような特徴があるのでしょうか。
4.1.非言語コミュニケーションを取り入れている
非言語コミュニケーションとは言葉(会話・文字)以外を使ったコミュニケーション手法で、ノンバーバルコミュニケーションとも呼ばれます。
非言語コミュニケーションの例としては以下のようなものがあげられます。
- 表情
- 視線
- まばたき
- 口調
- 声色
- 仕草
- ジェスチャー
- 服装
- 身だしなみ
言葉と併せてこれらの非言語コミュニケーションを取り入れることで、相手に自分の意思をより印象付けられるだけでなく、相手の感情に寄り添い共感の空気を作り出せるメリットもあります。
4.2.話す内容の構成を事前に考えている
コミュニケーション能力が高い人は、思い付きではなく頭の中で話す内容の構成を組み立ててから話をしています。
あらかじめ話す内容の構成を定めておかないと、話の趣旨がブレてしまったり結論までの過程が長くなったりと、聞き手に正しく情報が伝えられなくなる可能性があります。
4.3.細かい会話の内容を覚えている
会話の内容を覚えておくことで、相手との関係を構築しやすくなります。次回会ったときに相手が話していたことを話題に出せば、「この人は自分に興味を持ってくれている」と、親しみや信頼の気持ちを持ってもらえる可能性が高まります。
また、「相手が嫌いな話題を出す」「同じ質問を繰り返す」といった失礼な状況も回避できるため、好印象を残せるでしょう。
もしも、会話の内容を覚えていられないようであれば、会話の後にメモ書きを残しておくのも良い方法です。
4.4.分け隔てなく接している
会社は幅広い年齢層の人々が集まっていることが多いです。そのため、多様な価値観に都度適応しながらコミュニケーションを図り、関係性を構築していかなければなりません。
コミュニケーション能力が高い人は、そうした場においても老若男女問わず、誰とでも分け隔てなく接することができます。
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5.コミュニケーション能力を高める7つの方法
では、仕事でコミュニケーション能力を高めるにはどのようなポイントを意識するべきなのでしょうか? すぐに始められる7つの方法を見ていきましょう。
5.1.積極的に挨拶をする
挨拶はコミュニケーションの基本です。「おはようございます」「お疲れ様でした」「お世話になっております」など、当たり前の挨拶を笑顔で元気よくするだけで、相手に好印象を与えることができます。
あまり話しをしたことのない同僚や、少し苦手意識のある上司には、挨拶をするのをためらうという方もいますが、笑顔で挨拶をされて嫌な気持ちになる人はいません。
相手から声を掛けられる前に、自分から積極的に話しかける意識を持つことで、コミュニケーション能力は向上していくでしょう。
5.2.「PREP」を意識する
コミュニケーション能力を高めるために、まずはわかりやすい話し方や文章を心がけましょう。そのために役立つのが「PREP」と言われる文章構成法で、以下の順序で展開されます。
- 結論(Point)
- 理由(Reason)
- 具体例(Example)
- 結論(Point)
この原則に則って伝えたいことを構成することで、明快で聞き手に伝わりやすい話や文章になります。また、話の趣旨に一貫性が保てるようになり、聞き手に余計なストレスを感じさせない伝え方が可能となります。
5.3.話すスピードや表情にも気を付ける
前述の通り、コミュニケーションの手法は言葉そのものだけでなく、非言語コミュニケーションも重要となります。話すスピードや表情にも気を配りましょう。
たとえば、話すスピードが速すぎると、相手に威圧感を与えてしまうことがあります。表情に関しては、自分の話をしている時は意識していても、相手の話を聞いている時は無防備になりがちなので注意しましょう。
5.4.コミュニケーションに関する目標を決めて行動する
自分の中に具体的な目標を定めることによって、より早く確実にコミュニケーション能力が定着していきます。たとえば以下のようなものです。
- 相手の意見を積極的に聞くようにする
- 上司への報告時にPREPを用いる
いきなり大きな目標を掲げると、うまくいかずに自信を喪失してしまう可能性もあるため、「今の自分がちょっとだけ頑張ればできそうなもの」を意識しましょう。
今まで極端にコミュニケーションがなかったという場合は、「朝出社したら同じ部署の人に必ず挨拶をする」といった小さな目標から始めてみると良いでしょう。
5.5.話のネタを集める
相手からの話題提供を待っているだけでは、コミュニケーション能力が高いとは言えません。何気ない雑談から相手との共通点や共感できるポイントが見つかり、急激に距離感を縮められるケースも大いにあります。日常的に話のネタを集めてストックしておけば、いざという時に役立つはずです。
ただし、集めたネタの使い方には注意が必要です。相手との関係性や世代、性別、経験、状況などを踏まえ、心地良いコミュニケーションが取れる話題選びをしましょう。
5.6.心理学を活用する
例えば、相手の言動をさりげなく模倣して心を開きやすくする「ミラーリング効果」や、相手の振る舞いから情報を引き出し、相手を理解している印象を与える「コールドリーディング」は、ビジネスでよく使用される心理学の手法です。
こうした手法を活用することで、相手の気持ちを深く理解し、スムーズな人間関係を構築できる可能性が高まります。
ビジネスで活用できる心理学の手法を知りたい方は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
【関連記事】「ビジネスで有効な「心理学用語」12選!営業や職場での活用方法を紹介」
5.7.診断ツールを利用してみる
コミュニケーション能力を高めるには、自分に現在どれだけの能力があるのかを確認することも重要です。
コミュニケーション能力を数値化するのは難しいものの、厚生労働省が提供するツールでは、人との関わり方におけるスキルを自己分析して、分かりやすく見える化することが可能なケースもあります。
自分が持つスキルを活用できる職務も提示されるので、コミュニケーション能力の把握だけでなく、将来の方向性を確認するのにも役立ちます。
【出典】厚生労働省|jobtag「ポータブルスキル見える化ツール」
6.採用の場面で求められるコミュニケーション能力とは
コミュニケーション能力は就職活動や転職活動の際にも重要です。多くの企業では、選考時に応募者のコミュニケーション能力の有無を重視しています。
特に実務経験がない新卒や第二新卒に対しては、これから自社の既存社員とうまく関係性を構築し、業務を円滑に進められるかという点を見極めようとしています。新卒や第二新卒の面接の際には、以下のポイントをおさえておきましょう。
- 面接官の話によく耳を傾ける
- 質問に対する適切な回答をおこなう
- スムーズな会話になるように、会話のキャッチボールを意識する
転職活動の場合は、上記のような基礎的なコミュニケーション能力を身に着けている前提で面接を行っている企業が多く、自発的に周囲とコミュニケーションを図れるかが問われます。
実務の中でどのようなコミュニケーションを心がけ、その結果どのような成果が得られたかの具体的なアピールが必要です。学生気分が抜けていないような受け答えは評価を得られないと心得ておきましょう。
【関連記事】「最終面接(役員面接)で聞かれることとは?10の質問回答例を紹介」
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7.「コミュニケーション能力の高さ」を面接の自己PRで使うには
コミュニケーション能力の高さは、自己PRでも大きな武器になることは間違いありません。
しかし、面接の際に「私はコミュニケーション能力があります」とだけPRしても、初対面の面接官にはなかなか伝わりづらいものです。
そのため、うまく言い換えて能力の高さをアピールしていきましょう。
具体的な言い換え方法には、以下のようなものがあります。
- 他者の意見を受け止めて共感し、本音を引き出せます。
- 人、場所、状況に合わせて自分の意見を上手に伝えられます。
- 他者の状況や行動からその先を推測し、サポートや助言ができます。
このように言い換えることで、面接官にどのような人物であるか具体的に伝えられるため、より自分をPRすることが可能になります。
言い換えを考える際には、客観的にコミュニケーション能力の高さを感じる表現であるかを意識することが重要です。
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8.まとめ
コミュニケーション能力は、今後の人生でどのような環境に身を置いたとしても必ず必要な能力です。しかし、今日明日ですぐに身に着くものではありません。
まずは自らのこれまでのコミュニケーションのやり方について見直し、身近にいるコミュニケーション上手な人を観察するなどしながら、スキルを磨いていきましょう。
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