現代社会では、情報を正しく理解し、活用する力がますます重要になっています。その中でも「読解力」は、あらゆるシーンにおいて欠かせないスキルの一つです。読解力が高い人は、文章の要点を素早く把握し、論理的に内容を理解することができます。この記事では、読解力とはどういう能力かを詳しく説明したうえで、読解力を鍛える具体的な方法も解説します。読解力を仕事や日常生活に活かしたいという方は、ぜひ参考にしてください。
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1 読解力とは?
読解力(読み方:どっかいりょく)とは、簡単に言うと「文章を正しく理解する力」のことです。あらゆる場面で必要な能力ですが、近年、日本人の読解力は低下ぎみと言われます。
その理由を探る前に、まずは文部科学省が公表している読解力の定義と、なぜ読解力が重要なのかという点について解説します。
1.1 読解力の定義
日本では2000年から3年ごとに、高校1年生を対象にした学習到達度調査(PISA)を実施しています。
PISAは読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーという3分野の能力を調査する目的で実施されますが、その中で文部科学省はPISAにおける読解力の定義を以下のように公表しています。
自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力。
つまり、読解力は文章を読む力だけでなく、読み取った内容を利用したり、理解した中身を深堀りしたりする力も含まれることがわかります。
出典文部科学省|1 PISA調査における読解力の定義,特徴等
1.2 読解力の重要性
読解力は、情報を正しく理解し活用するうえで欠かせない能力です。特に、近年は膨大な情報の中から本質を見抜く力が必要不可欠なため、読解力を鍛えることは大きなメリットになります。
また、読解力を鍛えて相手の意図を正しく理解できるようになると、円滑なコミュニケーションも可能になります。さらに、読解力が高いと、多くの情報を効率良く処理できるので、論理的に考える力も向上します。
2 読解力を構成する4つの力
文章を読んで内容を正確に理解する読解力は、さらに細かい能力から成り立っています。ここでは、読解力を構成する4つの力について解説します。
2.1 語彙力
語彙力とは、言葉の意味を正しく理解し、使いこなす力のことです。文章を読む際、知らない言葉が多いと内容の理解が難しくなります。
例えば、論理的な文章では「抽象的」「本質」「相関関係」などの言葉がよく登場しますが、これらの意味を知らなければ、内容を正しく読み解くことができません。このように、語彙力は文章の意図を正確に把握し、深い理解につなげる大切な要素です。
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2.2 要約力
文章の重要なポイントを抜き出し、簡潔にまとめる力を要約力と言います。長い文章の中から本質を見極め、無駄を省いて要点を整理することで、効率的に理解を深めることができます。
長いニュース記事やビジネス文書を読む際も、要約力があれば短時間で内容を把握することが可能です。読解力がある人は、優れた要約力を持ち合わせています。
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2.3 解釈力
解釈力とは、文章の意図や背景を正しく理解し、自分なりに意味を見出す力のことです。例えば、小説に登場する人物の行動を「勇敢」と見るか「無謀」と見るかは、読み手の解釈によります。
この際、解釈力がある人は、小説の文脈や登場人物の背景を踏まえて、論理的に考えることができるでしょう。一方、解釈力がないと「何となくそう見えるから」といったあいまいな判断に頼ることになり、本来の意図とはかけ離れた解釈をしてしまう恐れもあります。
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2.4 速読力
文章を素早く読み、内容を正確に理解するのが速読力です。限られた時間で多くの情報を処理するためには、速読力が重要になります。
例えば、試験やビジネスの場面では、素早く文章を読み取ることで迅速な判断や対応ができ、残った時間を見直しや他の仕事に充てられます。ただし、効率化のためには、速く読むだけでなく内容を正しく把握することが大切です。
3 日本人の読解力が低下している原因
近年、日本人の読解力は低下していると言われています。重要性の高い能力にもかかわらず、なぜ低下しているのでしょうか。ここでは主な原因を2つ紹介します。
3.1 SNSによる「短文文化」
SNSでは限られた文字数で簡潔に情報を伝えることが求められ、深い思考を必要としない短い文やフレーズが主流になっています。このような文化の影響で、長文を読む力や文章の背後にある意図を理解する力が衰えていると言われます。
また、SNSでは迅速な反応が重要視されるため、じっくりと考えて読む時間が減少し、情報を浅くしか捉えない傾向が強まっているのも読解力低下の一因です。
3.2 読書量減少による「活字離れ」
現代では、テレビやインターネット、SNSなど視覚的なメディアが主流となり、活字を読む機会が減少しています。特に、若年層では読書の習慣が薄れ、長文を読むことが少なくなっているため、文章を理解する力を養う機会が失われつつあります。
読解力を高めるには、活字に触れて語彙力や文章構造の理解を深めることが不可欠ですが、読書量の減少がそのプロセスを妨げていると言われます。
4 読解力が高い人の特徴
実際に、読解力が高い人にはどのような特徴があるのでしょうか。
4.1 物事の本質を素早く理解できる
読解力が高い人は、文章や会話から書き手や話し手が伝えたかった本質的な内容をとらえることができるため、核心に迫ることができます。
また、読解力が高いと言葉の背景にある意図を理解できるので、複雑な状況や問題を的確に整理し、解決策を見つけるために役立ちます。
4.2 多角的な視点で考えられる
読解力が高いと、文章を一方向からだけでなく、さまざまな角度から分析することができます。複数の視点を取り入れることで、物事の全体像を把握し、深い理解に至ります。
トラブルが起きたときの問題解決や、会社の評価に関わる重大な意思決定において、この多角的な視点は非常に重要な役割を担います。
4.3 仕事を効率良く進められる
文章や指示内容を正確に理解できるので、仕事を効率良く進めることができます。
さらに、読解力が高いと、仕事に関する資料や報告書を効果的に整理でき、適切な対応策を迅速に考えることができるため成果も上がりやすくなります。
4.4 人間関係のトラブルが少ない
読解力が高い人は、相手の意図を正確に理解できるため、誤解や行き違いを避けて、円滑なコミュニケーションを図ることができます。
5 ビジネスで読解力が求められるシーン
ビジネスでは、どのような場面で読解力が求められるのでしょうか。実際のビジネスシーンを例に挙げて解説します。
5.1 メールや報告書を確認する場面
ビジネスで扱う文書には、業務に関する重要な情報が含まれており、誤解や見落としがないよう正確に理解する必要があります。
特に、報告書ではデータに基づいた結論が述べられるため、内容を正確に読み解き、必要な情報を迅速に抽出することが求められます。また、メールの場合は、相手の意図を的確に把握しなければならないため、高い読解力が欠かせません。
5.2 会議資料や議事録を確認する場面
会議資料や議事録を確認する場面では、会議の内容を正確に理解し、重要なポイントを把握する読解力が求められます。
特に、自分が出席していない会議の議事録を確認する時には、議論の経緯や発言の意図などをふまえながら理解する必要があり、高い読解力が必要でしょう。
5.3 市場調査や顧客のニーズを分析する場面
競合他社の動向や市場のトレンドを分析する際は、調査結果を正しく解釈し、戦略的な判断を行わなければなりません。また、設問文や回答文の文意を正確に理解することで、調査結果のデータを正しく分析することができます。
6 読解力を鍛えるトレーニング方法
読解力は幼いうちに育むのが理想とされますが、大人になってからでも高めることは可能です。ここでは、日常生活で実践できる読解力のトレーニング方法を紹介します。
6.1 さまざまなジャンルの文章を読む
一つの分野にこだわらず、さまざまなジャンルの文章を読むよう心がけましょう。異なる構成の文章を読むことで、幅広い語彙や表現方法に触れることができます。
例えば、文学作品では人間の感情を、ビジネス書では論理的な話の組み立て方を、ニュース記事で最新の情報を学べます。このように多様な文章を読み続ければ、読解力が自然に養われ、あらゆる状況に対応できる力が身につきます。
6.2 文章は質問を作りながら読む
文章を読む際は、「なぜそうなるのか?」「どうしてこの情報が重要なのか?」など、内容に対する疑問を持ちながら読むことで理解が深まります。
質問を作ることで、文章の核心を見抜こうとする意識が生まれ、内容をより正確に把握できるからです。また、質問を通して筆者の意図を意識的に追えるので、読解力の向上にもつながります。
6.3 接続詞に注意して論理的に理解する
接続詞は文と文の関係を明確にする言葉であり、これを正しく捉えることで、文章の構造や筆者の意図を明確に理解できます。例えば、「しかし」は逆説、「つまり」は要約、「なぜなら」は理由を示します。
こういった接続詞に注目すると、論理のつながりを意識しながら読む習慣が身につき、より深く文章を理解できるようになります。
6.4 自分の言葉で要約してみる
文章を読んだ後は、その文章が伝えようとしていることを一言で要約してみるのも効果的です。自分の言葉で要約する際は、情報を整理しなければならないため、重要なポイントが明確になります。
また、「文章の本質をつかめているか」「内容を正確に理解できているか」といった点の確認にもなり、自然と高度な読解力が身につけられるでしょう。
6.5 わからない単語はすぐに意味を調べる
文章を読んでいるときに知らない単語が出てくると、その部分の理解があいまいになり、全体の意味を正しくつかめなくなることがあります。そのため、辞書やインターネットを活用し、意味を確認しながら読むことが大切です。
また、調べた単語をノートに書き留めたり、実際に使ったりすることで語彙力が向上し、次に似た文章を読んだときの理解もスムーズになります。
6.6 アウトプットの機会を増やす
自分では正確に読み取れていると思っても、実際は正しく理解できていないこともあります。また、正しく読み取れていても、その内容を整理して言語化できなければせっかくの読解力を活かせません。
そのため、読解力を鍛えるには、読み取った内容を誰かに説明してフィードバックを受けるのがおすすめです。読み取る力と伝える力をバランス良く鍛えることで、読解力は確実に向上していくでしょう。
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7 まとめ
読解力とは、文章の内容を正しく理解し、論理的に解釈する力です。ビジネスや日常生活のあらゆる場面で求められ、仕事の効率向上や円滑なコミュニケーションにも役立ちます。
読解力が高い人は、物事の本質を素早くつかみ、多角的な視点で考えることができます。幅広いジャンルの文章を読んだり、要約やアウトプットを行ったりしながら、効率的に読解力を高めていきましょう。
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