企業の初任給額や新入社員の夏のボーナスの額、社会人になった後もなんとなく気になりますよね。今回は、産労総合研究所が発表した「2022年度 決定初任給調査」から、初任給や新入社員の夏のボーナスの最近の事情を見ていきます。
調査は2022年4月初旬~5月下旬に、同社の会員企業および上場企業から一定の方法で抽出した3,000社を対象に郵送にて行われ、305社から有効回答を得ました。
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1.初任給を「引き上げた」企業、前年度より1割超増
2022年4月入社者の初任給の改定状況を調べたところ、「引き上げた」企業は41.0%(前年度29.8%)、「据え置いた」企業は55.4%(同65.7%)となりました。
コロナ禍前の2019年度水準(50.6%)までは戻っていないものの、「引き上げた」企業の割合は前年度より11.2ポイント増えたことがわかりました。
(【画像出典】産労総合研究所プレスリリース)
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2.初任給を引き上げた理由、1位「人材確保」
初任給を引き上げた理由については、「人材を確保するため」が63.2%でトップ。次いで「在籍者のベースアップがあったため」が45.6%、「初任給の据置きが長く続いていたため」と「その他」が同率の9.6%と続きました。
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(【画像出典】産労総合研究所プレスリリース)
一方、初任給を据え置いた理由については、「現在の水準でも十分採用できる」が最も多く54.4%。以降、「在籍者のベースアップがなかったため」が30.2%、「その他」が11.8%、「新卒採用はしないため」が11.2%となりました。
(【画像出典】産労総合研究所プレスリリース)
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3.初任給額、大卒(一律)21万854円
学歴別の決定初任給額をみると、職種やコースによる格差がなく、一律に決定している企業の場合、大学卒で21万854円、高校卒で17万3,032円となりました。
職種やコース(総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務など)で初任給額に格差を設けている場合の最高額と最低額は、大学卒で最高額22万5,166円、最低額20万1,578円、高校卒で最高額18万2,183円、最低額16万9,815円でした。
(【画像出典】産労総合研究所プレスリリース)
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4.新入社員への夏のボーナス、支給する企業は83.0%
また、新入社員の夏季賞与の支給状況および支給額を調べたところ、「何らかの夏季賞与を支給する」企業は83.0%、「支給しない」企業は8.2%でした。平均支給額については、大学卒で8万9,334円、高校卒で7万3,848円となりました。
(【画像出典】産労総合研究所プレスリリース)
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5.まとめ
今回の調査では、初任給を引き上げた企業が前年度より1割以上増加したことがわかりました。
ただ、ウクライナ情勢や円安、世界的な景気後退予想など日本経済への懸念事項も複数あるため、来年度も増加傾向が続くのか注目していきたいところです。
(【記事出典】産労総合研究所2022年度決定初任給調査プレスリリース)
(記事執筆:御木本千春)