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フィンテック企業取材レポート

"フィンテック企業"『LINE』のキャッシュレス戦略とは!?--「LINE Pay」でキャッシュレス時代の旗頭として名乗り。

決済・送金(キャッシュレス)
最終更新日:2019/01/22

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現金主義の根強かった日本も、キャッシュレス時代を迎えようとしています。キャッシュレス決済とは、現金を用いない決済方法のことで、クレジットカード、電子マネーに続き、第三世代のキャッシュレス決済としてQRコードやバーコード読み取り型のスマホ決済が台頭してきました。そこへ、2014年12月、LINE子会社のLINE Pay社が提供する「LINE Pay」です。今回は、「LINE Pay」に関して、LINEのオフィスにお伺いして、お話を聞くことができました。

「LINE Payは、すべてスマホで完結する金融サービス」

「LINE Payは、対話アプリ「LINE」上で展開する送金・決済サービスです。多くの金融サービスが、PCを中心としたサービスから展開して、スマホ版も導入する形でスマホ最適化されてこなかった。それに対してLINEはスマートフォンがベースのコミュニケーションツールで、すべてスマホで完結する金融サービスであるところが他とは差別化されたポイントです。」

「LINE PayはLINEのアプリ内から登録後、銀行口座やコンビニなどから事前にチャージすることで、LINE Pay加盟店での決済が可能になります。普段お使いのLINEの中から簡単に利用開始できることが強みです」とはLINE Pay PRの上岡さん。

クレジットカードとの紐付けが必須でなく、与信がいらないため、高校生などクレジットカードを持つのが難しい若年層にも利用しやすいといった特性もLINE利用者が幅広い年代であることを意識して導入されています。

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「個人間送金ができるのも大きな特徴」

また、「個人間送金ができるのも大きな特徴です。複数人での飲食代を立て替えた場合など、現金では面倒だった1円単位の割り勘が、スマホの操作だけで簡単にできるようになります。LINEで日常対話をする延長で送金を依頼し集金できるというように、スマホで一連のやり取りが完結できるのも強固なコミュニケーションプラットフォームを持つLINEならではの強みです」とも話してくれました。

米国では送金アプリ「Venmo(ベンモ)」が急速に普及。中国でも、国内ユーザーを5億人以上抱えるスマホ決済アプリ「Alipay(アリペイ)」の人気の一端を個人間送金機能が担っています。このような諸外国の実績を鑑みると、個人間送金機能は、LINE Payでのスマホ決済を定着させるためのキラーコンテンツであるといえそうです。

LINE Payは、スマホ決済を普及させるため、ユーザーと加盟店の双方に利用しやすい環境作りを進めています。ユーザーに対しては、ポイント還元率の高さで利用を促します。独自のインセンティブプログラムでは、前月の決済額によって当月の「マイカラー」が決まります。カラーによって0.5〜2%まで4段階に還元率が設定されていて、LINE Payでの支払いを多く利用するほど還元率が高くなる仕組みです。さらに2018年8月からの1年間は、マイカラーに準じたポイント還元率に加え、コード決済を利用した場合には3%が上乗せされるキャンペーンを展開しており、最高で5%という高還元率を打ち出してユーザー獲得に力を入れています。

一方、加盟店に対しては、費用対効果の高さでアピールします。国内事業者の大部分を占める中小規模の店舗にとって、キャッシュレス化の最大の障壁はコスト増にあります。そこでLINE Payは、通常2.45%かかる決済手数料を、中小店舗に限り、2021年7月末まで決済手数料が無料になるキャンペーンを展開しています。さらに、LINE Payを導入することで、ユーザーが支払いをした際、店舗のアカウント(LINE法人用アカウントなど)の友だち追加をスマホ画面上で促すことができます。連携費用は無料で、月に1000通までメッセージ配信が可能です。友だちが上手く集められない、リピーターを獲得し売上をアップしたい、集客に大きなコストをかけられないといった加盟店の悩みを解消する販促ツールとしてもメリットを訴求しています。

2018年7月時点でLINE Payが利用できる決済対応数は9万4000箇所に留まっていましたが、2018年11月26日に開催された中小企業向けイベント「LINE SMB Conference」のなかで、「2018年内に100万カ所まで拡大する」という事業目標を達成したことを明言しています。

金融業界のリーディングカンパニーへ

また、LINEが渋谷で開催した「LINE Fintech Conference」では新たに2つの事業戦略が発表されました。

1つ目が、タクシー配車アプリを提供するJapanTaxi社との提携です。2018年12月10日から、JapanTaxiの広告タブレット・決済機付きタブレットを搭載した全国のタクシーでLINE Payでのスマホ決済が可能になります。現在、JapanTaxiのタブレットは東京都内ではおよそ5,500台に導入されており、2020年までに5万台、つまり全国のタクシー4台につき1台を占めるまでに増加させる目標が掲げられています。LINE Payは、タクシーを足掛かりに、様々な交通機関にも導入していくことを目指すとしています。

2つ目が、訪日インバウンドを取り込む『LINE Pay Global Alliance』構想です。まずは2019年早期に中国最大のSNSアプリ「WeChat」を展開するTencent社と、2019年度中には韓国最大の検索サイトを運営するNAVER社との提携が予定されています。さらに、2019年度中に各国独立したサービスとして運営してきた台湾、タイ、インドネシアの「LINE Pay」ともサービス連携するとしています。これにより、中国のWeChatPayユーザー、韓国のNAVER Payユーザー、日本以外のLINE Payユーザーが、新たにアプリダウンロードや新サービスの登録の手間なく日本国内のLINE Pay加盟店・対応箇所において支払いが可能になる予定です。

現在、政府はキャッシュレス化に大きく舵を切っており、2016年には20%だったキャッシュレス決済比率を、大阪・関西万博のある2025年までに40%、将来的には世界最高水準である80%にまで引き上げる目標を掲げています。そうした状況の中で、スマホ決済の機運は高まっているとはいえ、まだまだ一般の認知度は高いとはいえませんLINEが掲げる「Closing the distance」の思想。これは「人とサービス」「人と人」「人と企業」などあらゆる距離を縮めていくツールとしてますますLINEが身近なものになっていく宣言でもあります。LINE Payが新しい金融業界のリーディングカンパニーとして、今後どのようにスマホ決済の裾野を広げていくのかが注目されます。