『LINE』のフィンテック戦略(2)--「LINEほけん」はLINEで最短60秒加入可能、新たなフィンテックサービスを実現
LINE Payを中心とした金融プラットフォームで、次々と新サービスを打ち出すLINEだが、2018年10月16日には、「LINEほけん」の提供を開始した。保険といえば、旧態依然とした印象だが、LINEが参入したことで新風が吹き込んでいる。
保険加入の煩わしさをLINE利用で解決
LINEフィナンシャル広報担当の星山多英子さんは「LINEがコミュニケーションを変えたように、金融の世界も変えていきたいと、2018年4月に損保ジャパン日本興亜と提携。LINEほけんならではの商品開発に取り組んできました。その結果、今回発売する59にわたる多彩でユニークな商品ラインナップが誕生したのです」と開発経緯を語る。
実際、保険加入というと、「面倒臭い」「高い」「わかりにくい」といった若者に敬遠されがちな要素が多かった。LINEほけんを立ち上げる際には、その障壁をすべて取り払おうというところに力を入れたという。
保険加入というと、代理店などに足を運び、商品説明を受け、氏名、住所、生年月日などを記入し、印鑑を押すといった一連の作業があり、どんなに簡単な損保商品でもすぐに20分や30分はかかってしまう。「LINEほけんの場合、専用のアプリケーションを特にインストールすることもなく、どこででも、好きな時間に保険加入ができます。ユーザー登録を完了していれば、最短約60秒で加入できます」(星山さん)と、シンプルでスピーディな加入手続きが売りとなっている。
LINEで加入手続きを終わらせ、保険料の支払いも決済サービス「LINE Pay」で済ませられるスマホでの一気通貫が特徴だ。
商品ラインナップは59。1DAY保険中心
商品名もわかりやすさとフレンドリーさに気を使っている。旅行、スポーツ、イベント、ゴルフ、賃貸などといった生活シーンに合わせたテーマや、天気・家族構成に応じた、その時に必要な保険を選ぶことができる。たとえば、「みんなでワイワイ飲み会保険」なら、飲み会中はもちろん、家に着くまでの思いがけないケガや賠償責任を補填する。「つり人安心保険」なら、釣り中の思いがけないケガや賠償責任、釣り道具が壊れたときの持ち物の損害を補填。さらに救援が必要となったときの費用も補填する。
人気の商品ラインナップを見ると、「国内の旅安心保険」「スキー・スノボ安心保険」「自転車ライフ安心保険+」「今年もお疲れ忘年会保険」「アジア旅行保険(エコノミー)」などが並ぶ。日常生活のちょっとしたリスクに備えられ、保険料も1日100~500円と安いこともあり、反響は上々という。
無料プレゼントキャンペーンも好評
「LINEほけん」販売開始を記念して、国内のLINEユーザー向けに無料でもらえる保険「もらえるシリーズ」プレゼントキャンペーンを実施。期間限定!無料でもらえる保険として、「スマホのおまもり」「自転車のおまもり」「年越しのおまもり」のうち1つを10月16日~12月12日の期間にプレンゼントした。
スマートフォンを落とした際の液晶割れなどの破損事故を1万円まで補償する「スマホのおまもり」、自治体の自転車保険加入義務化の広がりを背景に損害保険の中でもニーズが高まっている「自転車におまもり」、カウントダウンや初詣の際のケガなどを補填するユニークな「年越しのおまもり」の3つ。
LINEほけん公式アカウントの「友だち登録」をした人の数は3週間で460万人にもなったということからも、反響の大きさがわかる。
現在、若者市場開拓の目的もあり、損害保険各社は、1日単位で手軽に入れるいわゆる「1日保険」の開発に力を入れている。1日自動車保険「1DAY保険」は、契約回数と事故の有無に応じて保険料を割り引く「マイレージ割引」を導入し、割引もされ、販売は好調だ。こうした手軽な1DAYニーズに対し、LINEほけんは大きな効果を発揮すると期待できる。同社は今後、自動車、火災などの補償商品にも拡大していくとしている。
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