引継ぎ資料の役割とメリットは?記載すべき内容や作成のコツを解説

仕事の悩み・転職

引継ぎ資料は、業務をスムーズに引き継ぐための重要なツールです。この記事では、引継ぎ資料の役割とメリットに加えて、どのような内容を記載すべきかを詳しく解説します。また、わかりやすい引継ぎ資料を作成するためのコツも紹介しますので、後任者へ確実に業務を引き継ぐための参考にしてください。

「もしかしたら仕事頑張りすぎ!? 」そんな方へ
\無料・登録不要/
『仕事どうする!? 診断』を受ける >

1 引継ぎ資料とは

退職や異動、長期休暇などで担当者が変更になる場合は、前任者と後任者の間で業務の引継ぎが必要になります。そんな引継ぎで用いられるのが引継ぎ資料です。

1.1 引継ぎ資料の役割

引継ぎ資料は、業務を次の担当者へ正確に引き継ぐための重要なツールです。具体的な業務内容や手順、使用するシステムやツール、連絡先リスト、過去のトラブルや注意点などを記載し、後任者が迷わず業務を進められるようにサポートします。

また、文字として残すことで、口頭だけでは伝えきれない情報を補完する役割も果たします。さらに、業務の一貫性を保ち、引継ぎ後に発生するミスや混乱を最小限に抑える効果も期待できます。引継ぎ資料は、業務のスムーズな移行を支える基盤といえます。

1.2 引継ぎ資料とマニュアルの違い

引継ぎ資料とマニュアルは似ていますが、目的や内容に違いがあります。引継ぎ資料は、特定の担当者から後任者へ業務を引き継ぐ際に使用されるもので、個別の業務内容や手順、担当者独自のノウハウ、注意点などを具体的に記載します。

一方、マニュアルは特定の担当者に限らず、誰でも業務を遂行できるよう標準的な手順やルールを記載した文書です。引継ぎ資料は一時的・個別的な性質が強いのに対し、マニュアルは長期的・汎用的な性質を持ちます。

1.3 引継ぎ資料は何で作る?

引継ぎ資料は、後任者が業務をスムーズに引き継げるよう、わかりやすい形式で作成することが重要です。一般的には、Word(ワード)やExcel(エクセル)など、編集がしやすくテキスト・表・図を組み合わせて情報を整理できるソフトが使用されます。

さらに、PowerPoint(パワーポイント)でスライド形式にすれば、ビジュアル重視の資料作成も可能です。また、Googleドキュメントやスプレッドシートでは、クラウド上で複数人が同時編集を行えます。

口頭のみでも引継ぎ自体は可能ですが、資料を作成することでさまざまなメリットが得られます。ここでは、引継ぎ資料がもたらす主なメリットを3つ紹介します。

2.1 業務をスムーズに移行できる

引継ぎ資料には、業務の手順、現時点の進行状況、注意すべきポイント、必要な資料、関係者の連絡先などを具体的に記載するため、後任者は引継ぐ業務内容を理解しやすくなります

また、引継ぎ資料があれば、疑問点を後から何度でも確認できるので、前任者がいなくなっても業務が滞るリスクを最小限に抑えられます。引継ぎ後の混乱やミスを防ぎ、効率的な業務移行を目指せるのは大きなメリットです。

2.2 引継ぎの漏れや伝達ミスを防げる

人間は、8割以上の情報を視覚から得ていると言われます。そのため、視覚的に整理された情報は理解しやすく、口頭の説明で起こりがちな聞き漏れも回避できます

また、口頭では細かい指示が抜け落ちたり、言った言わないで問題になったりする可能性もありますが、引継ぎ資料があれば必要な情報を確実に後任者へ伝えられます。さらに、複数人へ同時に引き継ぐ場合も、引継ぎ資料を使うと効率的です。

2.3 業務の質を維持できる

引継ぎ資料を参考にすることで、後任者は前任者の経験やノウハウを活用しながら業務を進められます。これにより、引継ぎ後も前任者と同じレベルで成果を上げられる可能性があります。

また、資料があることで曖昧な部分が減り、後任者が独自の解釈で業務を進めたり、誤った判断で仕事の質が低下したりするのを防ぐことができます。結果として、組織全体の安定したパフォーマンスにつながるでしょう。

post1489_img2.jpg

3 引継ぎ資料に記載すべき内容

具体的に、引継ぎ資料にはどういった内容を記載すべきなのでしょうか。業種ごとに内容は異なるものの、一般的には以下のような内容を記載します。

3.1 業務の概要

まずは、担当業務の具体的な内容を明確に記載します。特に、経験の浅い後任者へ引継ぐ場合は、業務の背景や目的、社内での位置づけなど全体像を示してあげることが重要です。

なぜその業務を行う必要があるのか、その業務は会社にどんな利益をもたらすのかをわかりやすく説明することで、後任者はモチベーションを保ちながら、納得して業務を遂行できるようになります。

3.2 業務のスケジュール

この作業はいつ行うのか、という業務のスケジュールも明確に記載する必要があります。その際、1年の仕事内容を時系列で確認できれば、業務全体の流れを理解しやすくなり、遅延や漏れの防止になります。

また、「9時までにメールチェック」「17時までに報告書の作成と提出」など、日々のルーチン作業も流れで把握できるようまとめるのがおすすめです。カレンダー形式で記入できるテンプレートやフォーマットをうまく活用しましょう。

3.3 業務を実行する手順

手順をステップごとに整理し、具体的な作業内容やポイントを明記します。やるべきことがわかっていても、正しい手順がわからないと後任者は混乱してしまう恐れがあります。

また、必要なツールやシステムの使用方法、注意すべき事項を含めるとさらに効果的です。自分にとっては簡単な仕事でも、初めて担当する人は複雑に感じることもあるため、引継ぎ資料にはわかりやすい手順を記載しましょう。

3.4 現在の状況と今後の課題

長期間にわたるプロジェクトや複数の業務を担っている場合、全てが完了してからの引継ぎは難しいことがあります。もし、その状態で十分な情報共有が行われないと、業務が重複したり遅延したりするリスクが高まります。

そのため、現在の進捗状況や未完了のタスクを明確にし、後任者が業務の状態を把握できるようにすることが大切です。また、今後の課題や優先すべき事項も記載することで、後任者は迅速な対応が可能になります。

3.5 イレギュラーな事態の対処方法

業務を進める中では、予期しないトラブルや問題が発生することがあります。これらに対する対応策を明確にしておくことで、後任者は急な事態に柔軟に対応でき、業務の中断を防止できます。

例えば、システムの復旧方法や機器の修理方法、取引先からのクレーム対応方法など具体的な対処方法を盛り込めば、後任者の不安は軽減し、安心して業務にあたれるでしょう。

3.6 関係者リストと連絡先

引継ぎ資料には、どの部署や人物が関与しているかを明確にした関係者リストを記載するのがおすすめです。関係者リストには、各担当者の役職・責任範囲のほか、電話番号・メールアドレスなどの連絡先も併せて記載します。

こうすることで、緊急時や不明点が出てきた場合でも、後任者は関係者へ素早く連絡ができます

3.7 関係資料やデータの保存先

業務に関連する文書やデータが、どこに保存されているかを明確にしておくことも重要です。関連資料の所在がわからないと、後任者は必要な資料をすぐに閲覧できず、業務の遅延や効率の低下を招きかねません。

また、クラウドストレージに重要なデータを保存している場合は、パスワードやアクセス方法の共有が必須です。引継ぎ後の実務を想定して、必要な情報をもれなく共有するようにしましょう。

post1489_img3.jpg

4 引継ぎ資料に記載すべきでない内容

引継ぎ資料には記載しない方が良い情報もあります。余計な内容を含めると、逆に混乱を招いたり業務の効率を下げたりする可能性があるため注意が必要です。

4.1 根拠のない個人的な感想

引継ぎ資料に、根拠のない個人的な感想を記載するのは避けるべきです。例えば、「この業務は面倒だった」「あの取引先とは気が合わなかった」などの主観的なコメントは、後任者に誤解を与え、業務に対する偏ったイメージを抱かせる恐れがあります。

引継ぎの目的は、業務を円滑に移行することであり、事実に基づいた情報を正確に伝えることが重要です。そのため、不要な内容は削除し、後任者が冷静に業務を引き継げる資料作りを心がけましょう。

4.2 過去のやり方や手順

すでに廃止された手順や非効率的な方法を記載すると、後任者がそれを採用してしまい、業務の進行に支障をきたす可能性があります。不必要な混乱を防ぎ、現在の業務内容を正確に伝えるためにも、最新かつ有効な情報を記載しましょう。

もしも、過去の情報を引用する場合は、現在は使用されていない参考情報であることを明記しなければなりません。

4.3 未確認の不確かな情報

未確認の取引先情報や根拠のない予測は、後任者に誤解を与え、業務の進行に混乱をもたらす可能性があります。

例えば、「まだ決まっていない注文を確定事項として記載する」「取引先の経営状態に関する噂を真実のように伝える」といった行為は、正確な判断を妨げるだけでなく、大きなトラブルを招きかねません。

引継ぎ資料は業務をスムーズに引き継ぐため、信頼できる情報のみを提供するものです。もし情報が不確かである場合は、その旨を明記するか、記載を控えることが重要です。

post1489_img4.jpg

5 業務の正しい引継ぎ手順

ここでは、業務を正しく引継ぐ手順を説明します。引継ぎ資料の作成以外にも重要なポイントがあるので、スムーズな引継ぎを行いたい方はぜひチェックしておきましょう。

5.1 引継ぐ業務をリストアップする

まずは、引継ぎ内容をリストアップします。しかし、仕事量が多いと何を共有すべきか判断できないこともあるでしょう。そんなときは、とりあえず全ての仕事を洗い出し、優先度を考慮しながら整理していくのがおすすめです。

そうすることで漏れを防ぎ、より効率的な引継ぎが可能になります。また、仕事内容だけでなく、業務に関連する担当者や重要な連絡先、必要な資料の保管場所などもまとめておくとスムーズです。

5.2 引継ぎのスケジュールを決める

引継ぎが完了するまでの期間を明確にし、どの業務をどのタイミングで引き継ぐかを計画します。業務の優先順位を把握して、重要度が高いタスクから引き継ぐようにするとより効率的です。

退職や異動、長期休暇の前は、関係者への挨拶や荷物の整理、各種手続きなど引継ぎ以外にもやるべきことが山積みです。「気付いたら引継ぎの時間がなくなっていた」ということがないように、余裕をもったスケジュール調整を行いましょう。

5.3 引継ぎ資料を作成する

リストアップした業務内容も基に、引継ぎ資料を作成します。一般的には、日々の業務をこなしながら資料を作成することになるため、業務の合間を見てまとめるなど効率的な時間管理が必要です。

漏れのない資料を作成し、実際の引継ぎに十分な時間を確保するためにも、引継ぎが必要なことがわかったらできるだけ早く準備を開始しましょう。

5.4 引継ぎを行う

引継ぎ資料を見ながら実際の引継ぎを行います。口頭の指示だけでなく、後任者と一緒に仕事をこなし、業務の流れや対応方法を実践形式で伝えます

後任者は実際の業務を直接体験することで、引継ぎ内容に関する理解を深められます。また、疑問点をその場で確認できるため、新しい業務への不安が減り、スムーズな業務の移行が実現するでしょう。

6 わかりやすい引継ぎ資料を作成するコツ

引継ぎ資料は、ただ必要な情報を記載すれば良いというものではありません。ここでは、後任者にとってわかりやすい引継ぎ資料を作成するコツを5つ紹介します。

6.1 業務フローを明確にする

フロー図を使用することで作業手順が把握しやすくなり、後任者は何をどこから進めるべきかを視覚的に理解できます

特に、後任者が仕事に慣れていない場合、自分が今どの仕事をしているのか、次にどの作業をすればいいのかが曖昧になってしまうこともあるため、業務フローを明確にする必要があります。

6.2 見出しや箇条書きで要点を簡潔にまとめる

見出しを使うことで、各項目が一目で分かりやすくなり、後任者は必要な情報を素早く見つけられます。また、重要なポイントを箇条書きにすれば、情報が整理され、より短時間で必要な内容を理解できます

わかりやすい資料を作るには、ただ情報を羅列するのではなく、こういった工夫で読みやすさを向上させることが大切です。

6.3 実際の例を交えてまとめる

「いつも通りのやり方で」「大きめの数字を入力して」など抽象的な表現を使用すると、後任者は正しい判断ができず、混乱してしまう可能性があります。

そのため、実際の対応方法や問題点を例に挙げ、具体的に説明することが重要です。また、成功例を挙げれば、より現実的なイメージが湧きやすくなり、後任者は迷うことなく業務にあたれるでしょう。

6.4 図やスクリーンショットを活用する

図やスクリーンショットなど視覚的な要素を加えれば、より直感的で理解しやすい資料が作成可能です。

システムエンジニアの引継ぎ資料を例に挙げると、システムの概要図や相関図は、図解を用いた可視化が求められる箇所です。また、複雑なシステム操作は、スクリーンショットを活用することで実際の作業をイメージしやすくなります。

6.5 専門用語や略語は使用しない

特に、経験の浅い後任者へ引継ぐ場合は、専門用語や略語を使用しない方が良いでしょう。ビジネスシーンでは、英語を使った専門用語や業界固有の略語が当たり前のように使用されています。

しかし、後任者によっては言葉の意味を理解できず、確認に余計な時間がかかったり、曖昧な判断で思わぬ混乱を招いたりする恐れがあります。そのため、引継ぎ資料は誰でも理解できるように、簡潔かつ平易な言葉で記載するようにしましょう。

転職を考え始めたら、
まずはプロにご相談ください
マイナビエージェントについて詳しく知る >

7 まとめ

引継ぎ資料は、業務を円滑に引継ぐために不可欠なツールであり、業務内容や進行状況、必要な手順を明確に伝えるのが主な役割です。引継ぎ資料を使用することで伝達漏れが減り、後任者は迅速に業務を開始できます。

記載すべき内容には業務の詳細、スケジュール、トラブル時の対応法などが挙げられます。図解やスクリーンショットを活用し、完璧でわかりやすい引継ぎ資料を作成しましょう。

\転職するか迷っていてもOK/
マイナビエージェントに無料登録して
転職サポートを受ける

TOPへ