【GAFAとは】巨大IT企業4社がプラットフォーマーとして特別視される理由

【GAFAとは】巨大IT企業4社がプラットフォーマーとして特別視される理由

GAFAという言葉をニュースなどで目にした方も多いのではないでしょうか。簡単に言うと、GAFAとは大手IT企業4社の総称です。

今回は、GAFAは何の略かという基本的なことから、なぜ特定のIT企業4社を総称した言葉があるのかGAFAにはどんな問題点があるのかまでを詳しく解説していきます。

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1.GAFAとは

GAFA(ガーファ)とは、米国の巨大IT企業の総称であり、読み方は「ガーファ」です。

具体的には、Google(グーグル)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック、現メタ)、Amazon(アマゾン)のことを指します。

GAFAという言葉には、巨大IT企業というだけでなく、プラットフォーマーであり、消費者の生活をイノベーションにより大きく変えたという意味が込められています。

(1)プラットフォーマーとは

GAFAという言葉には、大きなIT企業という意味だけでなく、プラットフォーマーであるということが重要になっています。

プラットフォーマーとは多くの人に広く使われる、なくてはならないサービスを提供する企業のことです。

プラットフォーマーは新たなサービスをプラットフォームの上で展開することで、他社よりも素早く普及させることができます。

この点で、他のIT企業と比べて圧倒的に影響力があることから特に注目されています。

このため、Microsoft(マイクロソフト)も巨大IT企業でありプラットフォーマーですが、消費者の生活への直接的な影響が現在では見えにくくなったこともあり、含めないのが一般的です。

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(2)GAFAが通じるのは日本だけ?

日本では広く使われるGAFAという言葉ですが、世界でもこの呼称は使用されているのでしょうか。

まず、アメリカではGAFA4社を呼ぶ場合、巨大企業を意味する「Big Tech」という総称が一般的です。

過去にはGAFAの4社をまとめて論じる風潮はあったものの、基本的にGAFAとは言わないので、アメリカでは通じないと言われています。

ただし、欧州のニュースでは時々GAFAが使用されていることもあるため、欧州では通じる可能性があります。

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2.GAFAを構成する4社の特徴

ここからは、GAFAを構成する4つの企業について見ていきましょう。

それぞれの企業には、異なる特徴やビジネスモデルがあるので、詳細を詳しく解説します。

(1)Google(Alphabet)

Google(Alphabet)のプラットフォームは、検索エンジン「Google」、スマートフォン用OS「Android」(アンドロイド)、アプリストアであるGoogle Playの他、Gmail、Googleマップなどを展開しています。

AndroidではGoogle以外のアプリを使うこともできますが、多くの人がGoogleのサービスを使っています。

また、Googleはウェブやアプリで、Adwords、Adsenseなどのデジタル広告を展開していて、Googleサービスの利用者の個人情報データを分析し、効果の高いデジタル広告を提供しているため、多くの企業が利用しています。

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(Google(Alphabet)の2021年の収入の内訳。80%以上が広告からの収入になっている。収入総額は161857百万ドル(約19.77兆円)。AlphabetのSEC提出書類より作成)

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(2)Apple

Appleのプラットフォームは、Mac、iPad、iPhoneなどです。例えば、Appleは2015年から音楽ストリーミングサービス「Apple Music」を始めましたが、Mac、iPad、iPhoneの膨大な利用者に向けてサービスを展開したため、短期間で世界で6000万人以上が利用するようになりました。

また、iPhone、iPadへのアプリの配信は、Appleが運営するApp Store以外からは認められてなく、Appleはアプリ課金による莫大な手数料収入を得ています。

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(Appleの2021年の収入の内訳。70%以上がデバイス販売からの収入。収入総額は365817百万ドル(約44.68兆円)。AppleのSEC提出書類より作成)

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(3)Facebook(現Meta)

Metaのプラットフォームは、SNS「Facebook」「Instagram」などです。この2つのSNSでは、さまざまな企業が公式アカウントを持ち、メッセージに対する反応を元にさまざまなマーケティング活動を行なっています。

Metaもこのような活動を支援する広告収入を得ています。また、Metaも、原則実名登録制のSNSであるFacebookを中心に膨大な個人情報を収集、分析し、広告やマーケティングサービスを提供しています。

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(Metaの2021年の収入の内訳。ほとんどが広告収入。今後、VR、メタバース事業を行うリアリティラボの収入を伸ばしていく。収入総額は117929百万ドル(約14.40兆円)。MetaのSEC提出書類より作成)

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(4)Amazon

AmazonのプラットフォームはECサービスである「アマゾン」です。アマゾンは世界に向けて莫大な販売力を持ったため、多くのメーカー、販売業者がアマゾンで自社の商品を扱ってほしいと考えています。

どのような人がどのような商品を購入しているかというデータをAmazonは保有をしているため、小売業の多くにとってAmazonはなくてはならない販売プラットフォームになっています。

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(Amazonの2021年の収入の内訳。小売収入は半分程度で、そのほかの収入が伸びている。収入総額は469822百万ドル(約57.39兆円)。MetaのSEC提出書類より作成)

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3.GAFAが特別視される理由

巨大IT企業の中でも、GAFAが特別視される主な理由を2つ紹介します。

(1)インフラとして大きな影響力があるから

GAFAが他のIT企業と区別され特別扱いされる理由は、事業規模が大きいだけではなく、4社が市民生活に大きな影響を与えているからです。

GAFAのうち、1社でも欠けたら、私たちの生活は成り立たなくなる可能性があります。

AppleやGoogleがなくなると、スマートフォンの利用はほぼできなくなります。Amazonがなくなると買い物に困ることになります。

また、AmazonはAmazon Web Service(AWS)という巨大クラウドサービスを運営していて、世界中の企業がAWS上で自社サービスサイトやECを運営しています。Amazonがなくなると、このような他社のサービスも使えなくなる可能性があります。

Metaがなくなると、デジタル広告の多くが利用できなくなり、企業は商品プロモーションができにくくなります。

もちろん、本当にGAFAのうちの数社がないとしても、他社のサービスを利用できたり、GAFAに代わる企業が登場してきたりする可能性もあります。

しかし、GAFAが私たちの生活に関与する度合いは高く、私たちはもはやGAFAの提供するサービスを直接または間接的に使わない日はほぼなくなっています。

この影響力の高さから、GAFAは他のIT企業と一線を画しています。

(2)圧倒的な時価総額を誇っているから

時価総額は企業価値をはかる指標の一つであり、額が大きいほど企業としての信用度も高まります。

GAFAを構成する4社は、いずれも圧倒的な時価総額を誇っており、市場における信頼度や企業としての価値は揺るぎないものとなっています。

もちろん、投資家からの注目度も高く、世界経済に大きな影響を与える存在です。

このように、市民生活や世界経済に大きな影響力を持っていることが、GAFAを特別視する主な理由と考えられます。

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4.GAFAに対する指摘

GAFAに関しては、あまりにも生活に深く関与をしているため、問題点も指摘されています。

(1)市場

これはGAFAだけの話ではなく、トップ企業による一強多弱状態が起きている業界は少なくありません。

例えば、iPhoneのアプリを配信するためには、アップルの審査を受け、アップルが運営するApp Storeから配信をし、アップルにアプリ収入の一定割合を手数料として支払う必要があります。

このような仕組みに対して、アプリ開発企業からは不満の声が上がり始めています。

(2)個人情報

GAFAには、世界中の人々がプラットフォームを利用するため、膨大な個人情報が集まってきます。Facebookは、実名登録を原則としたSNSであるため、デリケートな個人情報も集まってきます。

個人情報が一部の企業に集中する問題が懸念されています。

(3)税金

法人税率を安く設定しているケイマンやバージン諸島などに関連会社を設立することで、節税をしている可能性が指摘されています。

節税であって違法ではありませんが、本社のある米国、事業が展開されている各国から見れば、本来得られるべき法人税が得られていないことになります。

各国の税制がグローバル企業のあり方を想定したものになっていないことや、国際的な納税の仕組みが整っていないことも大きな原因ですが、GAFAの納税額は巨額であるために、問題と指摘されることもあります。

(4)雇用とイノベーション

米国では、巨大企業の社員が高給を得て、それ以外の労働者は低賃金になるという労働市場の両極化が起きています。

また、GAFAが成長したのはイノベーションを次々と起こしたからですが、GAFAが安定した現在では、中小企業やスタートアップ企業のイノベーションの阻害要因になっている可能性も否定できません。

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5.GAFA以外の総称にも注目

GAFAにMicrosoft(マイクロソフト)を含めた「GAFAM(ガーファム)」や、Netflix(ネットフリックス)を含めた「FAANG(ファング)」という総称が使われることもあります。

また、Facebookを抜いて、代わりにTesla(テスラ)とNVIDIA(エヌビディア)を加えた「MATANA(マタナ)」や、Microsoft・Amazon・Twilio(トゥイリオ)・Adobe(アドビ)・Shopify(ショッピファイ)・Salesforce(セールスフォース)の6社で構成された、「MT SAAS(マウントサース)」も知られるようになりました。

さらに、近年IT市場を席巻している中国テック企業4社、Baidu(バイドゥ)、Alibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)、HUAWEI(ファーウェイ)から成る「BATH(バス)」にも注目が集まっています。

6.まとめ

GAFAとは、米国の巨大IT企業の総称です。具体的には、Google、Apple、Facebook(現Meta)、Amazon、のことを指します。

この4社は巨大IT企業であるだけでなく、膨大な数の利用者がいるプラットフォームを所有し、プラットフォーム上でさまざまなビジネスを展開しています。

最近では、その影響力の大きさが問題とされることもあり、その動向には世界が注目しています。

この記事を参考にして、IT業界だけでなく世界情勢の今後を左右する存在であるGAFAについて、正しく理解しておきましょう。

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原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)
テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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